レンズとセンサーサイズを考える!

ビデオカメラの光学系は業務用の3板式ポータブルカメラの場合は1/3、1/2、2/3型の3種類となっている。2/3型は、SDの撮像管時代から使われてきたサイズということもあり、キヤノン12本、フジノン13本と豊富に用意されている。

1/2型も撮像管の時代からあったサイズで、2/3型ほどではないがキヤノン5本、フジノン3本とそれなりに充実している。1/3型は撮像素子の時代になってからのサイズであり、カメラの機種も少ないことから、キヤノン2本、フジノン1本となっており、選択の幅は非常に少ない。

レンズのラインナップは、対応するカメラが各社からどのくらいの数が発売になり、実際に運用されているかといったことだけでなく、そのカメラがどのような使われ方をしているかを端的に表していると思う。 したがって、2/3型のレンズは、ショートズームから望遠系の高倍率ズーム、シネレンズや短焦点レンズ、防振レンズなど実に様々な性格をもつレンズが用意されており、それだけあらゆる撮影に対応できるようになっているといえよう。

一方1/2型は、ハンディカメラとしての利用が多いせいか、交換レンズとしてショートズームのラインナップが比較的多く、20倍を超える望遠ズームレンズはキヤノンのKT20×5B KRSとKH20×6.4 KRSのみとなっている。1/3型は、キヤノンKT14×4.4B KRS、フジノンHTs18×4.2BRM/BERMそれぞれ1本とキヤノンが20倍のKT20×5B KRSがあるが、キヤノンのKT14×4.4B KRSはビクターのGY-HM700の標準レンズと同じだ。

ちなみに、業務用として販売されているカメラには、GY-HM700のように標準レンズとして付属していることが多いが、放送用のカメラの場合、レンズは別途購入するようになっている。

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2/3型レンズラインナップ(左)1/2型、1/3型レンズラインナップ(右)

マウントアダプター、コンバーターレンズ

ACM-21.jpg ▴ソニーEXマウント2/3型レンズ用変換アダプター

大は小を兼ねるというが、レンズも同様でマウントアダプターを使用することで、1/2型のカメラの場合は2/3型のレンズが1/3型のカメラの場合は2/3型のレンズまたは1/2型のレンズを装着して利用することができる。

マウントアダプターは単にマウントの形状を変換するだけでなく、光学ガラスが組み込まれているが、これは1/3、1/2、2/3型ではそれぞれプリズムの体積が異なるためにそれを補正するためのものである。

したがって、こうした補正用の光学ガラスのないマウントアダプターでは、レンズ本来の性能を発揮することができないので注意が必要だ。マウントアダプターは、通常レンズメーカーかカメラメーカーがオプションとして用意しているので、こうした製品を使用するようにしたい。

1/3や1/2型のカメラ用交換レンズは種類が少ないが、こうしたマウントアダプターを利用することで、望遠系のラインアップはある程度カバーすることができる。ただし、光学性能や使い勝手は専用に作られたものの方がよい場合が多い。レンズ交換することのできない小型ビデオカメラやレンズ交換することができても、交換レンズが高価であったり、取材先で手軽に画角を変えたい場合には、レンズ先端に装着することで簡単に画角を変えることができるワイドコンバーターやテレコンバーターが便利だ。

zunow.jpg ▴zunowスーパーワイドアタッチメントレンズFHV-055、FEX-055

また、フィッシュアイアタッチメントなど、交換レンズでは得られない画角を実現することもできる。テレコンバーターはレンズにエクステンダーを装備した機種が結構あるので、小型ビデオカメラ用以外はあまり使われることがないせいもあり種類は少ない。ワイドコンバーターはおおむね0.8倍から0.6倍の製品が多く、キヤノンやフジノンといったレンズメーカー以外のサードパーティー製の製品もあり、選択の幅は広い。

ビデオの業界では、ワイドコンバーターとワイドアタッチは区別されているが、写真関係の周辺機器メーカーの中には、ズーム全域で使用できないワイドアタッチをワイドコンバーターとして販売しているところがあるので、小型カメラ用のワイドコンバーターを購入する際には確認した方が良いだろう。

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