[ファイルベース収録カメラ最新案内]Vol.05 ファイルフォーマットとワークフロー
2010年02月17日 掲載
ビデオカメラの収録フォーマットは概ねMPEG-2かMPEG-4 AVC/H.264系の2種類となっている。MPEG-2は比較的長く映像制作で使われてきたフォーマットで、いわば枯れたフォーマットといえるだろう。一方MPEG-4 AVC/H.264系は、通信系の規格団体ITUとMPEG(ISO/IEC)が別々に規格化してきたものを途中から共同作業で規格化するようになったこともあり、非常に柔軟な規格になっている。
MPEG-2
MPEG-2が開発された当初は、配信やメディアへ記録するための圧縮フォーマットとして登場した。というのは、1コマ1コマが独立した画像として成立しているのではなく、ある間隔で独立した画像として記録し、その間は変化のあった差分のみを記録するという竹の節のような圧縮方法を採用していたからだ。テレビやビデオの視聴ならば問題ないが、フレーム精度の編集を行う場合、1コマ分の情報がない差分のところでカットして画像をつなぐことは、当時は現実的ではないと考えられていたからだ。
▴MPEG-2 GOPの並び
現在MPEG-2は、Simple、Main、SNRscalable、Spatialscalable、High、Multiview、4:2:2という7つのプロファイルとHigh level、High-1440 level、Main level、Low levelという4つのレベルがあり、目的に応じてプロファイルと組み合わせて運用されている。
MPEG-2が編集などに不向きなのは差分情報があるLong GOPだからで、差分情報を省略したShort GOPが考案されたが、現在ではPCの処理能力が向上し、Long GOPでもShort GOPでも編集を行う上で不都合はなくなっている。
ソニーではXDCAMがMPEG-2 422p@HLに、XDCAM EXがMPEG-2 MP@HLといったMPEG-2フォーマットを採用しているほか、池上通信機のGFCAMもMPEG-2 4:2:2P@HLを採用している。また、キヤノンが開発中のカメラにMPEG-2 422を採用すると発表しており、MPEG-4 AVC/H.264がある現在でもMPEG-2は過去の圧縮フォーマットになるというわけではなく、住み分けという道を歩むようである。
MPEG-4 AVC/H.264
MPEG-4 AVC/H.264は、携帯端末からハイビジョンと守備範囲は非常に広く、低ビットレートから高ビットレートまで対応できるので電話回線を利用した伝送からブロードバンドなど様々な用途に利用できるようになっている。基本的な技術的要素はMPEG-2と同じだが、フェードやディゾルブなどの画質向上のための重み付け予測やイントラ予測など様々な改良がなされており、MPEG-2の2倍以上の圧縮効率があるとされている。プロファイルもBaseline Profile、Main Profile、Extended Profile、High Profileのほかさらに高画質化に対応したHigh 10 Profile、High 4:2:2 Profile、High 4:4:4 Predictive Profileなどが追加されている。
MPEG-4 AVC/H.264を採用しているカメラは、ソニーではNXCAMが、パナソニックではAVC-Intraを採用したP2HDシリーズが採用している。 MPEG-4 AVC/H.264は、圧縮効率が良い反面、エンコード/デコードに非常に多くの計算量が必要とされ、当初はネイティブ編集は非常に難しいとされていたが、現在ではかなり改善されている。ただし、マシーンパワーが必要になるので、このフォーマットで快適な編集環境を構築するためには最新のマシーンが必要になるだろう。
MXFファイル
MXFファイルに関してはPRONEWSの過去の特集でも取り上げているので、詳細はそちらをご覧いただきたいが、ここでは簡単にカメラ収録で採用されているMXFファイルについて触れておこう。
MXFファイルは目的によりいくつかの種類があるが、収録では左上のOperational pattern 1A(Single Item, Single Package)が使われることが多い(SMPTE 378M)。この図にはないがビデオとオーディオが独立した形で保存されるSpecialized Operational Pattern "Atom"を採用しているカメラもある(SMPTE 390M)*SMPTE 378M-2004オペレーショナルパターンOP1a規格書より引用
MXFファイルは映像と音声にメタファイルを合体させたようなもので、乱暴な言い方をすれば、テープやディスクに収録内容を記入したり、撮影カットの内容を紙に書いてケースに入れていたものを映像と音声のファイルと一緒にしたものと思ってしまっても良いだろう。こうしておけば、撮影した日時やカメラマン、収録内容などを編集時に簡単に参照できるだけでなく、撮影したファイルを伝送したり、メモリーやディスクにコピーして渡す場合も紙に書いた情報をコピーしなくてもファイルの受け渡しだけで済んでしまう。
問題は、こうした情報をいつどのようにしてファイルに記録するかである。従来であれば撮影前や撮影中に関わらす、アシスタントなどが手書きで記入し、撮影が終了したテープなりメモリーに添付すれば事足りていた。MXFで同じことをやろうとするとPCやPDAなどの情報端末が必要になる。すでにカメラ側ではこうした情報端末とワイヤレスでやり取りできるオプションなどがあり、それなりの対応はできつつあるのだが、紙と鉛筆のような手軽さや可視化といった面ではいかがであろうか。
編集システムもMXF対応が進んでおり、メタデータの参照なども行えるようになっているが、メタデータを元にした検索やソート、ファイルの一覧などデータ処理といった面では、まだ力不足と言わざるを得ない。MXFを活用するのであれば、撮影だけでなく編集やアーカイブといった作業工程全般で、メタデータに含める情報や書式などを決めて導入しなくては、本来のメリットを譲受することはできないだろう。その意味でも、MXFファイルに対応した手軽にしかもリーズナブルな情報管理を行うツールや専用のビュアーなどの開発が望まれる。
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[ DATE : 2010年02月17日 ]
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