[DSMC・DSLR 2010]Vol.01 DSMC/DSLRが変えたもの
2010年03月19日 掲載
今から3年以上前、RED Digital Cinema 社がRED ONEカメラの市場投入とともにそのカメラコンセプトとして掲げた、1台のカメラで静止画も動画も撮影できることを意味するDSMC(Digital Still Motion Camera)。
そして2008年末、キヤノンが発表したデジタル一眼レフカメラEOS 5D Mark IIの登場によってその文字が映像市場でも台頭してきたDSLR(Digital Single Lens Reflex=デジタル一眼カメラ)。
この2つのキーワード『DSMC/DSLR』に含まれる概念、そしてそのコンセプトは、ここ1、2年、日本の映像制作市場にも大きな影響をもたらしている。これらに該当するカメラが有する、大きな撮像素子により得られるその画像は、これまでのビデオカメラの画像とは大きく異なり、レンズの魅力を最大限に引き出した美しいルックが多くの映像制作者やクリエーター達を魅了した。
また最新のファイルベース・ワークフローがもたらした利便性と効率性は広く制作現場のディレクションなどにも影響を与え、幅広い意味でデジタル映像制作の世界を刺激し続けている。さらに2008年秋に起こったリーマンショック以降の経済不況の波は、広く放送/映像の制作業界においても、制作費の大幅削減=制作規模縮小、人員と機材の圧縮というカタチで大きく影響を及ぼしてきた。
しかしその中で特にEOS 5D Mark IIの登場は、その30万円前後という筐体自体の低価格もあり、従来の業務用ビデオカメラと比べても大幅なコスト削減に一役を担っているようだ。上質なルック、効率的なワークフロー、そして時代にフィットした低価格という3大要素が、いまの日本の映像制作市場でDSMC/DSLRを大きく後押ししている。
DSMC/DSLRがもたらした様々な市場変革
こうした制作市場における一連のDSMC/DSLR登用の流れは、今年になってもその余波を益々拡大させている。特に制作系の現場においては、使用するカメラ機材の2極化の影響は大きいようだ。
CM業界ではこのところの制作費の大幅減少に伴い、例えば某制作会社では制作現場においてフィルムカメラの使用を限定した。これはフィルムの後処理ワークフローに多大な費用がかかることから、よほど潤沢な予算が無い限り、フィルムカメラの使用には稟議が必要だという。さらにデジタルワークフローの浸透に伴い、現在のCMやMVなどの制作現場では、予算が潤沢なケースでは、従来通りの35mmフィルムカメラか、デジタルシネマカメラ(ソニーF35/F23やパナソニックP2 VARICAM(AJ-HPX3700G)、ARRI D-21など)が使用されている。
しかし、それ以下のほとんどの多くである予算が少ない現場では、EOS 5D Mark IIや7Dが当たり前、という上下2極化が進んでいるという。
結果として残念ながらテープベースのHDカメラは、こうした現場から少しずつ陰を薄めてきつつある状況のようだ。元々の機材価格差からDSMC/DSLRの機材に比べて、機材レンタル費の差は明らかだからだ。
また映画制作の現場においても4K画像の魅力からRED ONEはもとより、被写界深度の浅い映像狙いのポイント的な効果演出として、EOS 5D Mark IIや7D、またその他のDSLRカメラの動画機能が用いられる場合も数多くなっている。Web動画の世界ではかなりのパーセンテージでDSLRやそれ以外のスチルカメラでの動画撮影が行われているのも事実だ。
また静止画と動画の同時撮影が可能という点では、スチルカメラマンや写真スタジオ(ラボ)などの動画制作市場への参入や、広告制作会社などの動画同時制作など、DSMC/DSLRの登場によって制作フロー自体の大きな変動が各所で起きている。
この特集では、こうした現状を踏まえてDSMC/DSLRと現場の最先端で向き合っている方々への取材と、3月11日〜14日に開催されたカメラと写真映像の情報発信イベント『CP+(シーピープラス/CAMERA & PHOTO IMAGING SHOW)』のレポートを中心に、この2010年のDSMC/DSLRの動向について考察してみたい。
取材・記事 石川幸宏(DVJ BUZZ TV) 構成:編集部
[ Category : SPECIAL ]
[ DATE : 2010年03月19日 ]
[ TAG : DSMC・DSLR 2010 ]
この記事に関連する記事一覧
|
|
[DSMC・DSLR 2010]Vol.08 DSMCが生み出すニュークリエイティブスタイルニュークリエイティブスタイルが生まれる場所で DSMC/DSLRの台頭は、映像制作市場に様々な変化をもたらしそうだ。機材の面から見てみると、前ページのCP+の兆候からみても、スチル .... 続きを読む |
|
|
[DSMC・DSLR 2010]Vol.07 CP+にみる 最新DSLRムービー情報(2)今年のCP+では、DSLR機材以外にも動画撮影関係の展示も各社非常に多かったのが特徴だ。メーカー各社の方向性として、すでに静止画撮影と動画撮影の垣根は無く、スチル&ムービーというコ .... 続きを読む |
|
|
[DSMC・DSLR 2010]Vol.06 CP+にみる 最新DSLRムービー情報(1)3月11日から4日間、パシフィコ横浜(横浜・みなとみらい)で開催されたスチルカメラ系の総合イベント『CP+(シーピープラス)』。昨年までPIE(Photo Imaging Expo .... 続きを読む |
|
|
[DSMC・DSLR 2010]Vol.05 制作ジャンルを超えての新たなる挑戦 こびとのくつ株式会社広告業界における画像処理の世界でも、DSMC/DSLRの登場によってこれまでと違った潮流が起こりつつある。 フォトレタッチの世界では、多くのメジャーな広告を手がけ、この業界でもトッ .... 続きを読む |
- [DSMC・DSLR 2010]Vol.04 スタイルチェンジ/NEW ENGの世界 助田徹臣 (2010年03月19日)
- [DSMC・DSLR 2010]Vol.03 ポストプロダクションの意識改革:サウンド・シティ (2010年03月19日)
- [DSMC・DSLR 2010]Vol.02 CM/MV制作を震撼させたDSMC/DSLRの登場 (2010年03月19日)
特集記事
|
DSMC/DSLR 2010 #2 現場感覚におけるDSLRの現状の捉えられ方を取材してみた。 |
|
|
Stereoscopic 3D 第3章 ステレオスコピック3Dの具体的な制作方法を考えていく。 |
|
|
Ustream最終案内 Ustreamの世界の可能性を実際に現場で活躍する人々から探ってみた。 |
|
|
Digital Cinematography 2010 Cine Gear EXPOの様子などから、これからのハリウッド映像制作の方向性を紹介する。 |
|
|
Stereoscopic 3D 第2章 関心が高まっているステレオスコピック3Dコンテンツの制作について整理していく。 |
|
|
DSMC・DSLR 2010 CP+のレポートを中心に、2010年のDSMC/DSLRの動向について考察していく。 |
|
|
ファイルベース収録カメラ最新案内 ファイルベース収録カメラを選択するための基準や基礎知識等を、レビューを交えて考察する。 |
|
|
Transcode ファイルベース・ワークフローの普及と共によく目にするようになったトランスコードについて整理する。 |
|
|
映像新時代2010 2010年の映像制作の潮流を様々な方面から予想していく。 |
|
|
稲田出のトレンド100選< /a> InterBEE2009で見た2010年注目100アイテムを紹介。 |
|
|
PRONEWS AWARD 2009 2009年を振り返りつつ、2010年へ向けて各分野の商品・サービスを絞り込み総括する。 |
|
Inter BEE 2009スペシャルレポート 千葉幕張メッセにて開催されたInterBEE2009のレポート記事やブース動画を掲載。 |
|
|
Inter BEE 2009の歩き方 目的に合わせたInterBEE2009の歩き方を紹介する。 |
|
|
最新映像制作ワークフロー VFX 2009 最新映像制作ワークフローの中から、制作効率を改善していくヒントを探す。 |
|
|
オンボードライト特集 Light House 新時代を予感させるLEDを中心にオンボードライトを解剖する。 |
|
|
立体視映像特集 Stereoscopic 3D 再び脚光を浴び始めているステレオスコピック3D制作に焦点を当てる。 |
|
|
REDワークフロー特集 RED flow Now RED ONEの最新ワークフローを考える。 |
|
|
4Kデジタルシネマ特集 4K Ready! RED ONEの登場で一気に注目されつつある4K映像とは? | |
|
デジタルサイネージ特集デジタルサイネージ2009 急速な広がりを見せるサイネージメディアを紹介する。 |
|
|
ワークフローの鍵を握るMXF& amp; lt;/a> MXFファイルを活用する現場を取材し、制作ワークフロー全体に広がるMXFを紹介する。 |
|
|
フルデジタル制作移行、その課題と展望 フルデジタル制作環境に向けて乗り越えなければならない課題と、その先の可能性を紹介する。 |
|
|
2008年総括:これからの映像業界 2008年の売れ筋を見ながら、人気機材の動向を振り返ってみる。 |
|
|
次世代収録環境へのアプローチ& amp; lt;/a> 2008年のカメラ環境を踏まえ、次世代環境に必要なものを考える。 |
展示会レポート
- SIGGRAPH2010
- NAB2010
- Inter BEE 2009
- CEATEC JAPAN 2009
- SIGGRAPH2009
- ケーブルテレビショー2009
- デジタルサイネージジャパン2009
- IMC TOKYO 2009
- NAB2009
Tag
- Inter BEE
- Inter BEE 2009
- SONY
- NAB SHOW
- NAB2010
- 3D映像
- IMC TOKYO
- Panasonic
- Avid
- コロラド紀行
- Adobe
- Autodesk
- RED DIGITAL CINEMA
- 地上デジタル放送
- SIGGRAPH
- AJA
- デジタルシネマ
- Canon
- Apple
- Final Cut Pro
- IBC
- Stereoscopic 3D
- ケーブルテレビショー
- AVCHD
- Point of View
- PRONEWS TV Live
- H.264
- Omneon
- S3D
- トムソン・カノープス
- FOR-A
- Matrox
- アスク
- デジタルサイネージ
- Quantel
- Victor/JVC
- CEATEC JAPAN
- Ki Pro
- 4K
- Blu-ray

