[DSMC・DSLR 2010]Vol.02 CM/MV制作を震撼させたDSMC/DSLRの登場
2010-03-19 掲載
撮影現場にも劇的な変化が見られるDSMCやDSLRの存在
DSMCやDSLR機の特徴は、なんと言ってもそのルックの良さに加えて、フィルムライクな撮影方法がこれまでと違和感なく現場に導引できることで、特にCMやミュージックビデオ(MV)の制作には重宝されるようになってきた。
東京・港区三田にある撮影技術会社、株式会社スパイスではCM、PV、VP、WEBなどの撮影を手がけており、現在主流のカメラ機材としては、秒間1000コマまでの超スローモーション撮影が可能な『ファントムHD』や、『SONY F35』などのハイクラスのデジタルムービーカメラと、EOS 5D Mark II、EOS 7Dでの撮影を中心に行っている。
▴7D用のPLマウント
また同社では、このDSLRの潮流にいち早く対応、キヤノン7Dに対応した PLレンズマウントを自社制作している。本製品は昨年のInterBEE2009にも出展していたが、7Dに使用出来るAPS-CサイズDSLR用のPLマウントで、シネレンズ装着でスチルカメラ用レンズでは出来ない撮影や操作などを、オペレータ付きで機材レンタルしている。またこのPLマウントは特許申請許諾を得ており、今後は日本以外の市場にも拡大を考えているようだ。
▴ビデオエンジニア&デジタルイメージテクニシャン 三浦 徹氏
同社ビデオエンジニアでもありデジタルイメージテクニシャンでもある、三浦 徹氏はDSMC/DSLRを取り巻く現状についてこう語る。
「昨今のDSLR機の登場によって、フィルムカメラと肩乗せ式のミドルレンジのビデオカメラで撮る仕事はかなり少なくなり、予算がある場合はF35(SONY)やD-21(ARRI)、そしてファントム。その他の仕事は、5倍までのハイスピードと合成メインの現場ならばRED ONE、それ以外では7DなどのDSLR機という状況になってきています。制作会社自体が大幅な制作予算の削減という現状もあって、撮影現場にも劇的な変化が起こっています。現実につい3年前まではフィルムとデジタルの撮影の割合は8:2でしたが、昨年ぐらいからは3:7と完全に逆転しています」
さらにDSMC/DSLR機の登場は、撮影技術会社の仕事自体にも変化を与えた。いまや単に撮影のカメラサポートをするだけは、撮影現場は成り立たたなくなってきている。ほとんどの現場でデジタルデータのワークフローにも精通するスキルが要求されるという。
「今は単に撮影だけでなく、例えばRED ONEの現場ではRAWデータをデジタル現像したり、Appleのcolorでカラコレを施しLUT(Look Up Table)を当てて、色調を確認しながらカラー調整なども行っています。また最近では、DSLR機ですと動画と静止画が両方撮影できるもの大きな利点です。動画撮影中に同アングルで静止画を押さえておけば、編集時の素材加工などにも使用できるので、現にそういう仕事も増えて来ています。シズル感の部分をファントムで撮影し、ノーマルな部分は動画も静止画も7Dで、という現場は増えています。スチルとムービーの境が段々無くなってきましたね。カメラマンもスチルの方がムービーも撮るケースが確実に増えています」
現在、現場にはMacProが必ず持ち込まれ、SDIキャプチャーカードDeckLink HD Extreme(Black Magic Design)を装着、これで撮影後すぐに画質や色調のチェック、クライアントチェックを可能にしている。これによりカラーコレクションされた後の、実際の映像イメージを見ながら、撮影現場全体で画の追い込みを行っていくという。
「現在、7Dなどデジタル一眼レフカメラのHDMI OUTからの出力をDeckLink HD Extremeが装着してあるMacProへSDIで送り、colorでLogデータや 眠いガンマを補正するなど、Mac上で色調や輝度などを調整/変更して、クライアントチェックを受ける、という現場のフローを構築しています。これによりクライアントには紙の資料だけでなく、実際に現場で後処理のカラーコレクションではこうなります...といったシミュレーションとして、実際の画に近い画を見せることができるので、現場でかなり画作りを追い込むことが可能になりました。また現場でもHDMI出力から民生用TVに映すことで、ダウンコンバートされた後の画質がどの程度のものなのか、クライアントにもその場で確認して頂くことができます。やはり頭の中だけで想像していたものと、実際の数値(パラメータなどの)というのは全く違いますから、サンプル画像を見ながら、カメラ側の画作りはもちろん、照明のセッティングまで、現場で追い込めるこの環境が出来たことは、本当に凄いことです」
協力:
株式会社スパイス
東京都港区三田2-17-18 三田ビル1F
03-5445-2911
[ Category : SPECIAL ]
[ DATE : 2010-03-19 ]
[ TAG : DSMC・DSLR 2010 ]
この記事に関連する記事一覧
|
|
[DSMC・DSLR 2010]Vol.08 DSMCが生み出すニュークリエイティブスタイルニュークリエイティブスタイルが生まれる場所で DSMC/DSLRの台頭は、映像制作市場に様々な変化をもたらしそうだ。機材の面から見てみると、前ページのCP+の兆候からみても、スチル .... 続きを読む |
|
|
[DSMC・DSLR 2010]Vol.07 CP+にみる 最新DSLRムービー情報(2)今年のCP+では、DSLR機材以外にも動画撮影関係の展示も各社非常に多かったのが特徴だ。メーカー各社の方向性として、すでに静止画撮影と動画撮影の垣根は無く、スチル&ムービーというコ .... 続きを読む |
|
|
[DSMC・DSLR 2010]Vol.06 CP+にみる 最新DSLRムービー情報(1)3月11日から4日間、パシフィコ横浜(横浜・みなとみらい)で開催されたスチルカメラ系の総合イベント『CP+(シーピープラス)』。昨年までPIE(Photo Imaging Expo .... 続きを読む |
|
|
[DSMC・DSLR 2010]Vol.05 制作ジャンルを超えての新たなる挑戦 こびとのくつ株式会社広告業界における画像処理の世界でも、DSMC/DSLRの登場によってこれまでと違った潮流が起こりつつある。 フォトレタッチの世界では、多くのメジャーな広告を手がけ、この業界でもトッ .... 続きを読む |
|
|
[DSMC・DSLR 2010]Vol.04 スタイルチェンジ/NEW ENGの世界 助田徹臣DSLRの登場はジャーナリズムの画作りを変える DSLRの登場は、ENGの世界にも少しずつ変化を起こしはじめている。実はこの現象は世界中で起きてきており、日本でもそうした潮流に刺激 .... 続きを読む |
|
|
[DSMC・DSLR 2010]Vol.03 ポストプロダクションの意識改革:サウンド・シティDSMC/DSLRの素材持ち込みが増えたことで、ポストプロダクションの世界でも変化が起こっている。カラーグレーディング/カラーコレクションという分野が、より判りやすく身近になって .... 続きを読む |
|
|
[DSMC・DSLR 2010]Vol.01 DSMC/DSLRが変えたもの今から3年以上前、RED Digital Cinema 社がRED ONEカメラの市場投入とともにそのカメラコンセプトとして掲げた、1台のカメラで静止画も動画も撮影できることを意味 .... 続きを読む |
USTREAM生放送番組
|
PRONEWS Lounge テーマに沿ったゲストを招き、対談・ディスカッションなどを特設会場より生放送。過去放送分も視聴できます。 |
特集記事
|
CES 2012レポート 世界最大級の家電見本市CES2012の現場から、PRONEWSならではの切り口でレポートをお届け。 |
|
|
PRONEWS AWARD 2011 2011年を振り返りつつ、2012年へ向けて各分野の商品・サービスを絞り込み総括する。 |
|
|
Inter BEE 2011スペシャルレポート 千葉幕張メッセにて開催されるInterBEE2011。PRONEWSでは今年もInterBEEのオフィシャルメディアパートナーとして、様々なコンテンツをお届け! |
|
|
Inter BEE 2011の歩き方 最小限の力で最大の効果が得られるInterBEE2011のおすすめの歩き方を、目的に合わせたコースごとに紹介する。 |
|
|
CEATEC JAPAN 2011 10月4日(火)から10月8日(土)まで幕張メッセにて開催される最先端IT・エレクトロニクス総合展 "CEATEC JAPAN 2011"をプロの視点からレポートする。 |
|
|
Movie Maker's GIG in Europe オランダ・アムステルダムで開催されたIBC2011レポートを中心に、新たに湧き起こって来た映像技術における次世代の新テーマなど、現場から伝わって来たその温度感をレポートする。 |
|
|
PRONEWS課題図書 2011年の夏の終わりに、あらためて「映像」に関わるものとして「映像」について考え、新解釈を探る事にした。 |
|
|
SIGGRAPH2011 CGの祭典「SIGGRAPH」が8月7日から11日の5日間、カナダ・バンクーバーで開催された。受賞作品を映像と共に紹介する。 |
|
|
Stereoscopic 3D 第4章 1年ぶりの3D特集。この間に3Dを取り巻く状況はどのように変化しただろうか?押さえておくべき3Dの基礎を考えつつ、2011年の3Dを再考してみる。 |
|
|
Movie Maker's GIG in Hollywood セッション(GIG)感覚で映画が創れる時代の潮流をハリウッドではどう捉えているのか?CineGearExpoの情報もお伝えしつつ、次世代のプロ映像制作者像を追い求める。 |
|
|
Master Mind Camera 2011 今必要な理想のカメラを追求しつつ、カメラを使う人と機能から紐解いていく。 |
|
|
NAB2011 スペシャルレポート 4月11日から米ラスベガスにて開催された世界最大の放送機器展「2011 NAB Show(NAB2011)」。毎年恒例のレポート特集を現地よりお届け。 |
|
|
USTREAM最終案内+ 奇しくも、今回の震災でのライブメディアが活躍する事になった。3.11以後USTREAMをはじめとするライブメディア/ソーシャルメディアのあり方を今一度取り上げてみたい。 |
|
|
ファイルベース新時代 ファイルベースの進化は、VTRの進歩とともに現在に繋がってくる。1950年代に開発されたVTRを起点にその流れを簡単にさかのぼってみよう。 |
|
|
Into the Lens 『CP+』における取材を通じて、2011年のプロ映像界におけるレンズの世界最新事情や表現者たちの最新機材での挑戦を追う。 |
|
|
CES 2011レポート 世界最大級の家電見本市CES2011の現場から、PRONEWSならではの切り口でレポートをお届け。 |
|
PRONEWS AWARD 2010 2010年を振り返りつつ、2011年へ向けて各分野の商品・サービスを絞り込み総括する。 |
|
|
Inter BEE 2010スペシャルレポート 千葉幕張メッセにて開催されたInterBEE2010のレポート記事や動画を掲載。 |
|
|
Inter BEE 2010の歩き方 目的に合わせたInterBEE2010の歩き方を紹介する。 |
|
|
映像品質検証 -VQC- デジタル映像全盛の今、問われる映像品質検証の現状とは? |
|
|
DSMC/DSLR 2010 #2 現場感覚におけるDSLRの現状の捉えられ方を取材してみた。 |
|
|
Stereoscopic 3D 第3章 ステレオスコピック3Dの具体的な制作方法を考えていく。 |
|
|
Ustream最終案内 Ustreamの世界の可能性を実際に現場で活躍する人々から探ってみた。 |
|
|
Digital Cinematography 2010 Cine Gear EXPOの様子などから、これからのハリウッド映像制作の方向性を紹介する。 |
|
|
Stereoscopic 3D 第2章 関心が高まっているステレオスコピック3Dコンテンツの制作について整理していく。 |
|
|
DSMC・DSLR 2010 CP+のレポートを中心に、2010年のDSMC/DSLRの動向について考察していく。 |
|
|
ファイルベース収録カメラ最新案内 ファイルベース収録カメラを選択するための基準や基礎知識等を、レビューを交えて考察する。 |
|
|
Transcode ファイルベース・ワークフローの普及と共によく目にするようになったトランスコードについて整理する。 |
|
|
映像新時代2010 2010年の映像制作の潮流を様々な方面から予想していく。 |
|
|
稲田出のトレンド100選 InterBEE2009で見た2010年注目100アイテムを紹介。 |
|
|
PRONEWS AWARD 2009 2009年を振り返りつつ、2010年へ向けて各分野の商品・サービスを絞り込み総括する。 |
|
|
Inter BEE 2009スペシャルレポート 千葉幕張メッセにて開催されたInterBEE2009のレポート記事やブース動画を掲載。 |
|
|
Inter BEE 2009の歩き方 目的に合わせたInterBEE2009の歩き方を紹介する。 |
|
|
最新映像制作ワークフロー VFX 2009 最新映像制作ワークフローの中から、制作効率を改善していくヒントを探す。 |
|
|
オンボードライト特集 Light House 新時代を予感させるLEDを中心にオンボードライトを解剖する。 |
|
|
立体視映像特集 Stereoscopic 3D 再び脚光を浴び始めているステレオスコピック3D制作に焦点を当てる。 |
|
|
REDワークフロー特集 RED flow Now RED ONEの最新ワークフローを考える。 |
|
|
4Kデジタルシネマ特集 4K Ready! RED ONEの登場で一気に注目されつつある4K映像とは? | |
|
デジタルサイネージ特集デジタルサイネージ2009 急速な広がりを見せるサイネージメディアを紹介する。 |
|
|
ワークフローの鍵を握るMXF MXFファイルを活用する現場を取材し、制作ワークフロー全体に広がるMXFを紹介する。 |
|
|
フルデジタル制作移行、その課題と展望 フルデジタル制作環境に向けて乗り越えなければならない課題と、その先の可能性を紹介する。 |
|
|
2008年総括:これからの映像業界 2008年の売れ筋を見ながら、人気機材の動向を振り返ってみる。 |
|
|
次世代収録環境へのアプローチ 2008年のカメラ環境を踏まえ、次世代環境に必要なものを考える。 |
展示会レポート
- CES 2012
- Inter BEE 2011
- CEATEC JAPAN 2011
- IBC2011
- SIGGRAPH2011
- デジタルサイネージジャパン2011
- IMC TOKYO 2011
- Cine Gear EXPO 2011
- NAB2011
- CES 2011
- Inter BEE 2010
- CEATEC JAPAN 2010
- IBC2010
- CEDEC2010
- SIGGRAPH2010
- ケーブルテレビショー2010
- IMC TOKYO 2010
- デジタルサイネージジャパン2010
- Cine Gear EXPO 2010
- NAB2010
- Inter BEE 2009
- CEATEC JAPAN 2009
- CEDEC2009
- SIGGRAPH2009
- ケーブルテレビショー2009
- デジタルサイネージジャパン2009
- IMC TOKYO 2009
- Cine Gear EXPO 2009
- NAB2009
- Inter BEE 2008
- CEATEC JAPAN 2008
- SIGGRAPH2008
- ケーブルテレビショー2008
- IMC TOKYO 2008
- NAB2008
- PIE2008
- Inter BEE 2007
- CEATEC JAPAN 2007
- BroadcastAsia2007
- ケーブルテレビショー2007
- NAB 2007
- Inter BEE 2006
- CEATEC JAPAN 2006
- SIGGRAPH2006
- NAB2006
