[DSMC/DSLR 2010 #2]Vol.02 映画 『SP 野望篇』5D markIIで特殊撮影を多用
2010-08-29 掲載
この冬公開される映画『SP 野望篇』でDSLRが活躍した理由とは?
カメラマン:佐々木雅史
10月30日公開の映画『SP 野望篇』(監督:波多野貴文、原案・脚本:金城一紀、制作プロダクション:FILM)では、キヤノン5D markⅡが使用されている。この作品の元となっている『SP 警視庁警備部警護課第四係』は、2007年11月から2008年1月にかけて、CX(フジテレビ)系で深夜帯にオンエアされたサスペンスドラマだ。主人公/井上薫役として岡田准一(V6)が主演、脚本は直木賞作家の金城一紀、総合演出に本広克行(踊る大捜査線シリーズ)を配した斬新なストーリー構成と演出、また当時はTV業界ではタブーとされていた30Pでの撮影を行い、今や大河ドラマ『龍馬伝』などでも使用されているシネガンマで画面の色調を工夫した独特の映像感は業界内でも話題になった。
オンエア直後から映画化の話が持ち上がり、以来1年4ヶ月という長期の制作期間/内ロケ撮影期間7ヶ月を経て、この10月に公開される『野望篇』と、来春公開の『革命篇』の二部作として劇場公開作品としてこの秋、いよいよスクリーンに登場する。
今回この撮影の中で、岡田准一演じる井上薫が持つ、事件や身にかかる危険を察知する能力"シンクロ"のシーン撮影で、実はEOS 5D markⅡが活躍しているのだ。撮影/制作を担当したのは、カメラマンの佐々木雅史氏と、VFXディレクターの山本雅之氏だ。佐々木氏はフィルムカメラからHD、HDVとジャンルやサイズを問わずCMや映画で活躍するカメラマン。VFXディレクターの山本氏は、これまで多くのTV番組、CM、PVでVFXを担当、映画では「踊る大捜査線2」「忍者ハットリくん」「交渉人 真下正義」などでその手腕を発揮してきた。
その2人が考え出したユニークな撮影方法とは?
「"シンクロ"シーンの撮影を、まずは佐々木さんにお願いしたいと思っていて、彼に5D markⅡを薦められました。丁度クランクイン前の時期に5D markⅡの映像作品が世に多く出回り始めていて、Web等でも画像を観ることができ、画的にも非常に面白いと思いました。コスト的にも制作費内で購入できるような金額であったし、半年を超える長期撮影でその間にずっと機材を借りるのもコストがかかりますし、撮影が終われば他にも使えるという事で、5D markⅡを購入しようということになりました」(山本)
「5D markⅡのセットとして購入したレンズは、普通の汎用的なF2.8の24〜70mmと70〜200mmのキヤノン純正のズームレンズなのですが、これはオープニング・ムービーの数カット以外は使っていません。例の"シンクロ"シーンでは僕が持っている、ペンタックスの古いレンズでM42マウントの55mmレンズなどを使用しました。しかも実際の撮影時にはマウントも装着しないで、レンズ自体を手持ちで撮影しています」(佐々木)
上の写真を見てわかる通り、なんとレンズをマウントせずに、外したままミラーの前にレンズを手持ちで固定して、ピントを手で調節しながらコマ撮りやムービーの撮影が行われた。
「佐々木さんはシフトレンズ的に手持ちで、マウント前でレンズを動かしてピント合わせなどをするわけですが、当然そういう撮り方をしているのでハレーションというか、横から光が入ってきて白くぼやけたりする映像が撮れるのです。そのときにの条件で色々と違った表現ができ、まさにジャムセッション的な撮影で、その時の光の具合によって入ってくる光や効果を選びながら撮っていきました。そこではちょっと素人ではできない、佐々木さんならではのテクニックが発揮されています。僕も実際この撮影を試してみましたが、ミラーに手持ちのレンズがすぐ当たってしまったり、一度ピントグラスが外れて壊してしまいました」(山本)
「(ペンタックス55mm/M42マウント)レンズ自体が小さいのでEOSのマウントの中にすっぽりと入ってしまうサイズなんです。そうすると無限大が来ないのでピントは合うのですが、ピントを合わそうとするとミラーに当ててしまう危険性もあるわけです。また動画の時はライブビューで確認できるのですが、連写のときは確認出来ないので、一回ずつ再生確認しながら撮影していました。持ち方一つで(光の調子が)変わってしまうので確認してみないと結果が判らないわけですが、これもデジタルカメラの恩恵で、すぐプレビューチェックできるので、こういう撮影方法も可能だったのです」(佐々木)
「5D markⅡに至る前には、我々はRED ONEでも試しましたし、その後お手軽に撮れる民生用のビデオカメラなどでも試しましたが、レンズを取り外す事も出来ないし、フィルターを入れる程度で要はアナログ的な"遊び"が出来ないんです。でも5D markⅡならば、バリバリの電子機器にも関わらず光学系はアナログなので色々と工夫ができる。しかもスチルカメラでありながらムービーも撮れるので、場面によってここはコマ撮りでいこうとか、ここはムービーで押さえようとかの切り替えも、フレキシブルにできるところが結果的に良かったですね。ああいう映像を劇場のスクリーンで流してしまっていいのかな?という感じもしますけど、現在流れている予告編にもかなり多くのカットが採用されています。印象的なシーンに仕上がったので予告編を作った方にも気に入って頂けたようですね。そういえば現場では、スタッフさんも僕らのことをなんて呼んでいいか判らなかったみたいで、結局"スチール入りまーす!"って呼ばれていました(笑)」(山本)
[ Category : SPECIAL ]
[ DATE : 2010-08-29 ]
[ TAG : DSMC/DSLR 2010 #2 ]
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