CEATECの特別展示「スマートコミュニティ・イノベーション 2011」は「IT・エレクトロニクス産業の提案する安心・安全でスマートな社会」のコンセプトを基軸に、未来の街づくりでの健康で豊かな夢のある生活、省エネ・節電対策、安全・安心のための緊急時対策などの提案を行うコーナー。

ここで目についたのは日産のスマートハウスNSH-2012で、ソーラー電源および燃料電池を電源として電気自動車リーフにその電気を蓄えることで、外からの電力供給なしに生活できるようにしたもの。放送に使われる中継車は自家発電を持っているが、燃料がなくなれば放送どころか移動も不可能になる。こうした技術を利用した中継車も災害報道には必要なのかもしれない。

電源にまつわる出展は他にも多数あったが、PRONEWS目線であまり目立たない組み込み系や地味な展示の製品も取材してみた。

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バンダイナムコゲームスのスマート屋台(Smart Yatai)は床下にバッテリーやインバーターなどの電源装置があり、屋台に必要な電力を供給するというもの。バッテリーには日産リーフに使われているものと同じバッテリーを搭載するという。上物は必ずしも屋台でなくてもいいわけで、様々な用途が考えられる。(スマートコミュニティ・イノベーション 2011ブース)

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京セラのコミュニケーションシステムソーラー充電ステーション。電動バイクや電動アシスト自転車などのバッテリーを充電できる。商用電力自動切り替え機能を搭載しており、天候に左右されず電力を安定供給することが可能で、蓄電池と組み合わせることで、災害時の非常用電源としての活用も可能。写真はセグウェイのオフロード仕様に適用したものだが、充電には数時間以上必要になりそうだ。(スマートコミュニティ・イノベーション 2011ブース)

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ソニーの家庭用蓄電池ホームエネルギーサーバーCP-S300。オリビン型リン酸鉄リチウムイオン二次電池を搭載した電源システム。充電時間は約6時間でAC100V 300Wの容量をもつ。商用電源と同等の正弦波出力で、50HzモデルCP-S300Eと60HzモデルCP-S300Wが用意されている。大きさ210×350×270mm、質量約12kg。2011年10月発売で実勢価格は15万前後。業務用としては更に容量の大きなESSP-2000が用意されており、800W負荷時約2.5時間、500Wで約4時間の電源供給が可能。

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パナソニックのポータブル電源CB-LS01H。リチウムイオン電池を21本内蔵しており、正弦波出力のAC100Vコンセント(50Hzと60Hzは切り替え使用)とUSB充電用ポートを装備している。フル充電にかかる時間は約3.5時間で、AC100V100Wの白熱電球なら約1時間の連続点灯が可能。高輝度LEDライトとアラームが搭載されており、停電すると自動的に5分間点灯して暗闇でも本機の所在を知らせるしくみとなっている。大きさは220×250×85mmで重さは約3kg。発売は2011年8月で実勢価格8万円前後。キャンプやレジャーなどにも使える。

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日本ケミコンのDLCAPを搭載したLED街路灯。電気二重層キャパシターDLCAPを採用しており、対環境性能やメンテナンス、廃棄時の環境負荷の低減など従来のバッテリーより優れた性能をもつ。

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村田製作所の高パワー密度電気二重層エネルギーデバイス。ミリオームレベルの低ESR (等価直列抵抗) により、大電流や高出力の充放電が可能で、2.7V/セルの高ピーク電圧、-30~+70℃の幅広い使用温度範囲で安定した出力特性をもつ。ピーク出力補助におけるバッテリーの負荷変動軽減やデジタルカメラやデジタルビデオカメラ、携帯電話用のLEDフラッシュ用補助電源などの用途に利用可能。デジタルアンプの電源部に採用することで、急激な負荷変動でも安定した音声を聞くことができるというデモを行なっていた。

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富士通のハイブリッド発電デバイス。光と熱の両方から電力を作り出すことができるハイブリッド型発電デバイスで、従来エネルギー源として光と熱を別々に利用していたものを1つの発電デバイスで利用することが可能となり、電気の配線や電池の交換の課題のために普及しなかった観測空白地域での気象センサーや医療用途での活用が見込まれる。

P型とN型2つの半導体材料の接続を回路的に切り替えることで、光電池と熱電素子の2つの機能を実現しており、写真のように腕に装着することで、体温や環境光での発電も可能。

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富士通のリチウムイオンキャパシタEneCapTenによる電気自動車。充放電サイクル寿命が長く、大電流の急速充放電が可能な蓄電デバイスリチウムプレドープ型ハイブリッドキャパシターを採用することで、高温環境下での使用が可能なほか、充電電流150Aで約1分でフル充電することが可能。実際の走行試験では3.5kmの距離を平均速度21km/hで走ることができた。なお、最高速度は80kmで40-80kmの中間加速は5秒。


Vol.03 [CEATEC JAPAN 2011 テーマ別レポート] Vol.05