映像系の機器として波形モニターやLCDモニター、ディスクレコーダーなど従来のメーカーが作らなかったようなユニークな形式の機材や4K対応のカメラ、ラウドネスモニター、フルHDビューファインダーなど最近では製品の幅を広げているアストロデザイン株式会社。今回は同社の4K機材についてアストロデザイン営業部マネージャーの佐野道則氏にお話をお伺いした。

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お話をお伺いしたアストロデザイン営業部マネージャーの佐野道則氏

–御社は元々ジェネレーターなど測定機器のメーカーだったということですが、こうした制作系のビデオ機器を手がける経緯は?

佐野氏:79年にプログラマブルビデオ信号発生器VG-800を世に送り出しました。当時VGAとかSVGAといったプリセットされた信号を発生するジェネレーターはあったんですが、水平垂直の同期信号の極性とか周波数、タイミング、ドットクロックなどを任意に設定できるものはなかったんです。その後、イメージプロセッサーなど画像処理関連機器の開発を始めました。こうした技術がNHKさんの目に止まり、ハイビジョン関連の開発を始めて、シンセビジョンというクロマキー合成を行う機器を開発しました。それが映像機器を本格的に手がけるようになった第一歩といえるでしょうね。

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アストロデザインの原点ともいえる1979年に発売されたプログラマブルビデオ信号発生器VG-800

–当時はまだ高品位テレビとか言われていた時代で走査線も1125本だったり、MUSEという方式を使って試験放送していた時代ですね。ハイビジョンの規格も筑波万博仕様などという暫定仕様で運用していました。カメラやVTR、モニターといった主要な機器はソニーや池上通信機、日立製作所といったメーカーが開発していたんですが、周辺機器を手がけてくれるところがなくて苦労されていたようです。その後しばらく制作用の製品は出されていなかったようですが。

佐野氏:製品としてはなかったですね。フレームメモリーなどはやっていましたが。

–そういえば、CGワークステーションやDVSの製品など輸入品は扱ってましたね。その後ビデオ業界でもデジタル化が進む中で波形モニターや4Kディスクレコーダーなど矢継ぎ早に製品を発売しているような印象を受けましたが。

佐野氏:高速デジタル技術やデジタルビデオ信号技術に関して、当社は79年にプログラマブルビデオ信号発生器を開発した当時からの技術やノウハウの蓄積がありますから、そうした技術を応用できる分野が広がって来たというビデオ業界の変化もあると思います。基本的な開発ポリシーの一つとして、ONLY ONEを常に意識した製品開発を行なっています。

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表示ディバイスに1920×1080のLCOSディスプレーを採用したフルHDビューファインダー

–波形モニターなどはすでにビデオ業界にはあったと思いますが。これは、ONLY ONEとは別の開発ポリシーから開発された商品なのでしょうか。

佐野氏:研究開発やスタジオで使用するタイプの製品はありましたが、LCDを採用した小型なタイプはなかったと思います。特にSDIに対応した手頃なサイズのLCDモニターは製品も少なく、波形モニターといった計測器は搭載されていなかったと思います。現在では4Kに対応した32型のLCDモニターや4K対応の波形モニターなどそうした流れをくんだ製品を発売しています。

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4K対応LCDモニターは28、32、56、60型の4機種がラインナップされている

–ビデオ機器がデジタル化される過程で小型化やSDIの普及など新たな展開があり、制作の現場も変わってきていますね。そうしたなかで、4K対応の製品だけでなくラウドネスモニターのようなオーディオ製品も発売されていますね。

佐野氏:SDIにエンベデッドされた形でオーディオ信号があり、波形モニターやLCDモニターではこうしたエンベデッドされたオーディオレベルを表示できるようになっています。ラウドネスモニターはこうした技術の延長線上にあり、国内では対応した製品を開発しているところがなかったということもあり、商品化したといえます。 4Kに関してはまだこうした市場が出来る前からてがけていたので、そういう意味では典型的なONLY ONEの製品ということができるでしょうね。

–4Kカメラを開発されたのにはびっくりしました。

佐野氏:すでに4Kレコーダーを開発していたということもありますが、当初は4Kカメラは監視や医療といった分野での利用を主眼としていました。もちろん制作での使用も考慮していますが、制作用4Kカメラはすでにソニーや海外のメーカーから発売されていましたし、あえてそうした市場に参入しなかったということもありますね。ただ、4Kを撮影できる小型カメラが当社以外では無かったので、水中撮影など小型カメラで4Kを撮影するという制作現場では重宝されたようです。マイクロフォーサーズ対応の4Kカメラも3Dリグに搭載することを考慮した小型化を図りました。ただ、3Dのブームはすでに終わった感じですね(笑)。

–4K関連の製品はレコーダーやカメラのほか、かなり充実したラインナップになっていますが、今後もさらなる開発が行われるのでしょうか。すでにその先の8Kの開発も進んでいるようですが。

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NHKの8kスーパーハイビジョン製品。SSDレコーダー、カラーグレーディングシステム、ダウンコンバーターなど

佐野氏:4Kは海外メーカーなどすでに様々な製品が登場しています。当社は会社の体力的にもマスプロダクトの製品を開発するには時期尚早と思っています。ONLY ONEの例を引くまでもなく、現状ではマスの土俵でやっていくつもりはありません。かといってすぐに開発ターゲットを8Kに切り替えるつもりもありません。先の波形モニターやラウドネスモニターのようにニッチな部分では当社の技術を生かせる分野が現状の4K市場にはあると思います。ただ、最近の4Kの動向を見る限りは非常に早い速度で進んでおり、難しい時期にあることは確かですね。8Kに限りませんが、今後当社の技術が活かせる分野があれば積極的に開発を進めていきたいと考えています。

–NHKでは8Kの試験放送を2020年に行うことを目標にしており、すでにロンドン五輪では8Kでの収録をして、国内外でパブリックビューイングを始めています(国内3箇所プラス海外4箇所)から、意外と早い時期にカメラやレコーダー以外にも様々な周辺機材が必要になってくるでしょうね。そうした状況から思うにアストロデザインの果たす役割はますます重要になってくるように思います。

佐野氏:4Kや8Kといった放送・映像機器以外にも測定機器の部門もありますので、これから忙しくなるでしょうね。お陰様で営業拠点もここ雪ヶ谷の本社以外に大阪と北米に、R&Dセンターが松山と鳥取にあり、みなさんのご要望に答えるべくこれからも新たな製品開発を進めていきたいと思います。

–本日はお忙しい中ありがとうございました。

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本社のエレベーターホールに展示されていた今まで製品化された製品の一部

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キヤノンCINEMA EOS C500のRAW出力を非圧縮で収録する事ができる4K SSDレコーダー

txt:稲田出 構成:編集部


Vol.02 [4K High Resolution!] Vol.04