ユニークなトイカメラや、オールドライクでアーティスティックな描写のレンズなど、遊び心とイマジネーションを掻き立てるガジェットを手掛ける同社は、ロシアレンズJupiter 3の改良版として、先月発売したロシアレンズNew Jupiter 3+ Art Lens、Lomographyの新商品Petzval Art LensやRussar+、LC-A120、Lomo’Instantなどのほか、LC-A+やLC-Wide、Diana F+などを出展した。

同社のトイカメラはチープな安物というより、通常のカメラでは得られないフィッシュアイや独特な描写表現を狙ったものが多く、35mmフィルムカメラコレクションや120フィルムを使用する中判カメラ、小さくて可愛らしい110フィルムを使用するbabyカメラなど、実にバラエティに富んでいる。今回発売されたレンズもこうした志向のもとに発売されたもので、写真が庶民の普及しだしたころのレンズを復刻したものとなっている。

同社の特徴的なのはそうしたレンズを現代的な無機質なデザインで再現するのではなく、デザインにもソレらしさを求めているところにあるといえるだろう。もちろん当時は4×5とか8×10といった大判のフィルムサイズだったので、当時のレンズをそのまま復刻したのでは現代の35mmカメラとはイメージサークルが違いすぎて独特の描写を再現できないわけで、現在のカメラに適合できるよう再設計されている。

CP2016_Lomography_00152

New Jupiter 3+ Art Lens 1.5/50 L39/M。Carl Zeissが開発したゾナー型をもとにロシアで作られたJupiterを原型にしたレンズ。当時は新しいレンズ構成のレンズが発表されるとそれを元にレンズメーカー各社が改良を重ねて製品化するようなことがあり、高画質を目指したがJupiterは収差をのこしたまま、それがレンズの味となっている。マウントはL39なので、デジタルカメラに装着するにはマウントアダプターが必要。

CP2016_Lomography_00137

Lomography Petzval 85 Lens – Brassはキヤノンとニコン用のマウントが用意されている。外装は人物撮影用のペッツバール式レンズが流行った1800年代のデザインとなっており、当時のレンズ同様ピント合わせはレンズ全体を前後にスライドする方式になっている。レンズ下にあるダイアルノブはそのためのもので、ヘリコイドが開発される前なのでこうした機構を採用していた。また、レンズ鏡筒上部にスリットがあり、ボケの効果が調節できるプレートを差し込むようになっている。

CP2016_Lomography_00139

Lomography Petzval 85 Lens – Brassにはゴールドとブラックの2種類が用意されている。このカラーリングも当時のレンズを再現したもの。ちなみにペッツバール式レンズはVoigtlanderを始めとしてダルメイヤーなど当時のレンズメーカー数社が人物撮影用レンズとして製造していた

CP2016_Lomography_00143

NEW Russar+ 5.6/20mm L39/MとLOMO LC-A MINITAR-1 ART LENS 2.8/32M。NEW Russar+は真鍮製の20mmスーパーワイドアングルレンズで、1958年にゼニット社より発売されたルサールレンズを復刻したもの。マウントはL39。LOMO LC-Aは同社のLC-Aカメラに搭載されたいるMinitar-1レンズをMマウントの単体レンズとしたもの

CP2016_Lomography_00148

見ているだけでも楽しいカメラ。フィッシュアイカメラや4眼カメラ、パノラマカメラなど、機能的にも特殊だがデザイン的にも面白いものが多い