ほとんどのカメラメーカーが、センサーにベイヤー配列のCMOSセンサーを採用しているが、シグマはフィルムと同じ3層構造のセンサーFoveonを採用している。またカメラもSIGMA sd QuattroシリーズやSIGMA dp Quattroシリーズといったユニークな製品を開発している。同社は現在一見して一眼レフカメラのようなデザインのカメラは販売しておらず、コンデジタイプのカメラも生産を終了している。この傾向は数年前Quattroシリーズのカメラを発表したころから始まっており、従来のカメラという既成概念から脱皮し、新境地を目指しているようだ。

カメラメーカー大手はコンデジの販売低迷に直面しているが、これはスマートフォンの普及や中国、韓国など海外メーカーの台頭を考えれば当然予想されたことで、企業としていつどのように方向転換するかの問題でしかなかったといえよう。そうした中で一足早く方向転換を果たし、生産もカメラ本体はもちろんのこと、周辺機材や金型、パーツに至るまで同社の国内工場である会津で生産されているという。Foveonセンサーを開発した会社の買収もそうだが、徹底した内製化をメイドインジャパンで実現していこうというものである。ある意味、カメラやレンズに対して使う上でのこだわりや性能はもちろん、写真に対する思い入れを持っているコアなユーザーをターゲットにした「製品開発」と「ものつくり」を目指しているといえる。

斬新なデザインと先進的な技術をもとに高級志向に舵を切った同社だか、シグマのブランドを定着させるには今後の製品開発にかかっている。昨年発表したデジタルシネマ用のレンズのラインナップは、まさしく同社の勢いを感じる。今回FF High Speed Prime Lineとして単焦点レンズ5本およびHigh Speed Zoom Line 2本、FF Zoom Line 1本の計8本のズームレンズを発表しており、本格的にデジタルシネマ業界に参入した。ちなみに同社は元々レンズ専業メーカーで、カメラメーカーになったのは70年代後半である。今回のデジタルシネマ用レンズを発表したことで、Foveonセンサーを搭載したデジタルシネマカメラが世にでてくるのだろうか。個人的には大いに期待したい。

昨年末発売になった18-35mm T2と50-100mm T2のほか、24-35mm T2.2 FFが出品された。24-35mm T2.2 FFはEFおよびEマウントモデルのみで、発表となった単焦点レンズを含むすべてのレンズはPL、EF、Eマウントモデルが用意されている

24-35mm T2.2 FFはスーパー35を超える大型のイメージセンサーを持つ最新のデジタルシネマカメラにも対応したモデルラインでフルフレームのイメージサークルをカバー

昨年末に発売されたHigh Speed Zoom Lineの50-100mm T2。スーパー35対応のズームレンズでズーム全域でT2の明るさを実現

High Speed Zoom Lineの18-35mm T2。このモデルも昨年末に発売になったもの。50-100mm T2同様、スーパー35対応のズームレンズでズーム全域でT2の明るさを実現している

20mmから85mmまで5本すべてT1.5で統一されたFF High Speed Prime Line。レンズ前枠径も95mmに統一されている。レンズの全長はEFおよびEマウントともにそれぞれのレンズで異なっているがPLマウントモデルは未定となっており、可能な限り全長も統一されるようだ

FF High Speed Prime Lineの単焦点レンズ20mm T1.5 FF。レンズ左の突起は1/4のネジが切ってあるサポートとなっており、フォローフォーカスの装着やEFやEマウントでは1kgを超えるレンズ質量を支え切れない可能性があるための処置のようだ

FF High Speed Prime Lineの単焦点レンズ35mm T1.5 FF。デジタルシネマ用レンズなので、ピントや絞りリングには0.8のギアになっている

FF High Speed Prime Lineの単焦点レンズ24mm T1.5 FF。距離メモリは現状FTとなっており、絞りメモリ同様、レンズ左右どちらからでもアクセスできるよう左右両面にメモリがある

フルサイズ対応の超望遠ズームレンズSIGMA 100-400mm F5-6.3 DG OS HSM | Contemporary。加速度センサーを利用した手ブレ補正機構OSや最新のアルゴリズムで高速なオートフォーカスを実現した超音波モーターHSM、フォーカスリミッターなどを装備している。シグマのほかキヤノンおよびニコンのマウントに対応

大口径単焦点レンズSIGMA 135mm F1.8 DG HSM|Art。開放F1.8の大口径が生み出す大きなボケを活かすため、軸上色収差を徹底的に排除し、高コントラストでヌケが良いクリアな画質を実現

シグマブース 360°全天球動画

RICOH THETA Sで撮影した360°全天球動画です。視点変更機能を利用するにはPC版Google ChromeブラウザおよびiOS/Android版YouTubeアプリが必要です。(アプリ起動はこちら)