SIGMAブース動画

360°全天球動画

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SIGMAブースレポート

シグマのデジタルシネマ用のレンズのラインナップ。今回のNABで2本のレンズが加わり、単焦点レンズが7本、ズームレンズが3本の計10本となった

シグマは、昨年からデジタルシネマ用レンズを展開しており、すでにIBCやInterBEEで披露していたが、NABへの出展は今回が初めてとなる。レンズのラインナップはイメージサークルやT値の揃え方などで「FF High Speed Prime Line」や「High Speed Zoom Line」、「FF Zoom Line」など3種類のラインナップを揃えている。デジタルシネマ用のレンズをここまでまとめて発表できたのは、すでにデジタルカメラ用のレンズとして性能を追求して設計されたArtラインというラインナップがあり、光学系はそのArtラインを元に外装のほかズームやフォーカス、絞りの回転角などをデジタルシネマ用のレンズにリファインしたからだ。

なお、マウントはFF Zoom Line以外はPL、EF、Eマウントが用意されている。Eマウント、EFマウントのレンズにはエンコーダーが入っており、絞りやズーム、ピント位置の値をボディ側に伝達できるようになっている。また、High Speed Zoom Lineの2本はイメージサークルがスーパー35となっているがそれ以外はすべて35mmフルサイズにイメージサークルをカバーする。

昨年までのレンズラインナップは

  • High Speed Prime Line
    20mm T1.5 FF
    24mm T1.5 FF
    35mm T1.5 FF
    50mm T1.5 FF
    85 mm T1.5 FF
  • High Speed Zoom Line
    18-35mm T2
    50-100mm T2
  • FF Zoom Line
    24-35mm T2.2 FF

となっている。今回新製品として加わったのは、High Speed Prime Lineの「14mm T2 FF」と「135mm T2 FF」の2本で、単焦点レンズが7本、ズームレンズが3本という構成となった。

今回新たにラインナップに加わったHigh Speed Prime Lineの「14mm T2 FF」

今回のNABで新たに発表されたHigh Speed Prime Lineの「135㎜ T2」

FF Zoom Lineの「24-35mm T2.2 FF」。現在ズームレンズは3本がラインナップされているが、このレンズだけが35mmフルフレームのイメージサークルとなっている

High Speed Zoom Lineのズームレンズ「18-35mm T2」と「50-100mm T2」。この2本はイメージサークルがスーパー35となっている

SIGMAがシネマレンズの世界に参入する理由とは?

今回NAB Show初参加となるシグマのシネマレンズに対する思いを山木和人社長にお伺いした。

――初参加となったNAB Showですが、いかがですか?意図などを教えていただけますか?

山木氏:このNABが、当社にとって本当の意味でのローンチであり、非常に記念すべき展示会であるといえます。昨年のIBCで、当社はシネマレンズ事業参入を発表しました。IBCではまず、フルフレーム用1本を含むズームレンズ3本と、全てフルフレーム対応のプライムレンズ5本(20/24/35/50/85mm)の、計8本のレンズを開発発表しました。これまでは、そのうちズームレンズ2本を出荷していましたが、今回のNABを機に全面展開をしてまいります。さらには、新たに開発発表した14mmと135mmのプライムレンズも順次展開予定です。これらのラインナップは、キヤノンEFマウント、ソニーEマウントに加え、(24-35mm FFという、35mmフルフレーム用のズームレンズ1本のみ、機構上の問題で除外されますが)すべてにPLマウントを加えて展開します。いずれも、“フィート”表記、“メートル”表記のバージョン、蓄光塗料を用いて、暗いところで一応光るようにしているバージョンも展開しています。

現在出荷中の日本とアメリカに加え、ヨーロッパとアジアもカバーします。2017年の前半、おそらく7月頃にはほぼ出揃うでしょう。このように「フルラインナップが出揃う見通しが立ったことを国際的なショーでアナウンスする」ことが、今回のNABの主な目的と言えます。

――いよいよシネマレンズが出揃いましたが、シネマレンズのマーケットに参入された経緯をお聞かせください。

山木氏:二つあるのですが、ひとつは我々の“ものづくり”に対する思いによるもの。もう一つはビジネス的な観点での狙いからです。これまで当社は、写真用レンズ製造において、高解像・高性能の製品を目指して開発を行ってきました。おかげさまで、写真の世界では高評価を頂いています。同様に、映像の世界の方々にも認めていただけるモノづくりを目指すことでプロフェッショナルの期待に応え、夢のある映画製作の世界に貢献したいと考え、シネマレンズの世界に参入いたしました。

一方で、ビジネス的な観点から言えば、写真市場における閉塞感を挙げることができます。当社の場合は、縮小傾向の市場においても基本的にはシェアは拡大しており、幸運にも、今のところ深刻な影響は受けておりません。しかし、将来的に影響を受けることは想像に難くありません。これは無視できない要素です。写真領域の縮小分を補充する意味でも、このシネマレンズ分野で展開していきたいというのが事業の側面での理由です。レンズといえども厳密には細分化されたジャンルが存在します。監視カメラ、車載カメラ、プロジェクター用のレンズなど、BtoBでの事業展開も多様と思いますが、写真と映像については、全方位的にやっていきたいと思います。BtoBの領域も大事ですが、クリエイティブ・ワーク分野に貢献できるブランドや企業でありたいと思っています。

――シネマレンズの今後の展開を教えていただけますか?

山木氏:今回のNABはカメラ以上にレンズの新製品が多く、市場は活況を呈している印象を受けますね。当社もこれで当初のラインナップは揃いましたので、市場に投入してどれだけ反響を頂けるかが今年の課題だと考えています。今後もシグマらしいユニークな展開や提案に力を入れていきますので、ご期待ください。