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ATOMOSブース:Sumo19に対応する「AtomOS 9.1」を発表

Cine Gearの展示会場の注目は、レンズメーカーの展示だ。シグマやトキナーのような純粋なレンズメーカーから、一眼レフ用交換レンズをシネマ用のレンズにカスタマイズするメーカーまで幅広く出展している。ここでは、代表的な周辺機器メーカーと合わせてレンズ/周辺機器編をお届けしよう。

ATOMOSは6月1日にプロダクションモニターレコーダー用「Sumo19」に新機能を追加する「AtomOS 9.1」を発表。こちらの新バージョンのデモが注目されていた。

新バージョンは、クワッドISOレコーディングやオンスクリーン選択可能な出力切り替え、パナソニックのAU-EVA1で最大30fpsでの5.7k ProRes RAWレコーディングを実現。EVA1とATOMOSのレコーダーの組み合わせによって、解像度とコストパフォーマンスを備えた環境を提供できるとアピールしていた。

ATOMOSのジェロミー・ヤング氏に話を聞くことができたので紹介しよう。

――今回のCine GearのATOMOSブースで注目すべき点はどこでしょうか?

Sumo19に新機能を追加した「AtomOS 9.1」を発表しました。パナソニックのEVA1で5.7KのProRes RAW記録を30fpsで可能になります。また、クワッドISOレコーディングとオンスクリーン選択可能な出力切り替えを搭載しました。

――ProRes RAWの反響はどうですか?

もう、素晴らしいの一言ですよ。ProRes RAWとは何ですか?と聞かれた際には、お客様にはアップルのFinal Cutと組み合わせて編集できることを紹介しています。

――もうProRes RAWのエバンジェリストですね。

ハハハ(笑)。そうですね。ProRes RAWは、たぶん今年中に対応製品が増える予定です。小さいカメラ、大きいカメラ。大小問わず、ビギナーからプロまでパートナーは増えるでしょう。

――編集ソフトはFinal Cut以外に何か予定はありますか?

そうですね。今はFinal Cutのみですが、今アップルも別メーカーと交渉中だと思います。

TILTAブース:ローズウッドハンドルを採用したGravity G2Xハンドヘルドジンバル

TILTAはカメラアクセサリーを製作するメーカー。ブースでは、Nucleus-Mワイヤレスフォローフォーカスシステムやハンドヘルドジンバルを中心に展示。特に注目は「Gravity G2」と「Gravity G2X」で、最大搭載重量は3.6キロ。DSLR、ミラーレスカメラ、スマートフォン、GoProsなどに対応する。金属製だが、グリップの木製パーツが目を引く。他社のスタビライザーと異なるところは、前方または後方のいずれかに配置できる45°のロールモーターの採用で全長の長いカメラ設定のバランスを取りやすくなっている。また、アクセサリを幅広く提供しているところも特長だ。

Wooden Cameraブース:小型でコンパクトなカメラに最適なフォローフォーカス

Wooden Cameraはカメラアクセサリーメーカー。2016年にVitec Groupに買収され、現在はグループの一員となっている。目玉は軽量のフォローフォーカスシステム「Zip Focus」。すべてのレンズに対応し、すべてのレンズタイプで1:1の比率でフォーカスが可能。レンズやカメラの構成に合わせて簡単かつ迅速に調整が可能で、490ドルという手頃な価格も特長だろう。

また、Canon EOS C200/C200B用の「PL Mount Modification Kit」は499.00ドルで、Canon EOS C300 mark II用の「Canon C300mkII PL Modification Kit」は599.00ドルで発売中。キヤノンが有償で行っている純正のPLマウントへのレンズマウント交換サービスより価格を抑えられるのが特長だ。

EOS C300 Mark IIとWooden Cameraのアクセサリを組み合わせた例。Zip Focusが使われている

EOS C200とWooden Cameraのアクセサリを組み合わせた例

ブラザーブース:ドローン業界に人気のヘッドマウントディスプレイを展示

ミシンや複合機でお馴染みのブラザーは、ヘッドマウントディスプレイを展示。カメラ付きドローンの操縦・撮影や業務用カメラや測定機器などと共に使えることをアピールしていた。例えば、ドローンの操縦中にモニターへ目を落とすと、機体から目が離れるので事故の原因になりかねない。そこで、視線は飛んでいる機体のままチラチラとヘッドマウントディスプレイで確認をしながら操縦する用途に適していて、日本ではドローン業界でも認知されているという。

また、放送業界では、RONINなどのジンバル系を使うことが増えてきているが、こうしたユーザーにもアピールしてきたいとのこと。テレビや放送業界向けとあってこちらのモデルは1080のHDMIやSDIに対応したモデルも発売している。

※国内では720pのモデルのみ発売で、SDIの1080とHDMIの1080は未発売

ヘッドマウントディスプレイ、フレキシブルアーム、ヘッドバンド、コントロールボックスがセットになっている

Leitz Cine(旧CW Sonderoptic)ブース:夏に出荷予定のThaliaシリーズ3本を展示

6月13日にCW SonderopticからLeitz Cineに社名変更を行った同社は、ALEXA 65のような大判センサーをカバーするイメージサークルを持つThaliaシリーズをリリース中。24mmから180mmまでの9本のラインナップで構成されているが、現在、24mmと55mmと120mmの3本はまだ出荷されていない。Cine Gearでは、その3本がプロトタイプとして初展示されていた。出荷は7月から8月を予定。

Thaliaはもともと中判スチルカメラのLeica Sシリーズのレンズの光学系を流用したものだが、Leica Sに55mmという焦点距離は存在しない。Leica Sシリーズの45mmより長い次の焦点距離は70mmになり、それではシネマレンズのラインナップとしては間が空きすぎてしまう。そこで55mmは、新たに設計して実現したという。

ブースで特に念を押して説明されたのが、ThaliaのレンズはLeica Sシリーズをベースにしているが、光学系は大幅に変更している点。アイリスの機構もゼロから設計し、コーティングもすべて変更、イメージサークルも54mmから60mmに広げている。そういった意味でも、単純なリハウジングでは決していないとのことだ。

Thaliaシリーズのの120mm

新たに設計して実現したThaliaシリーズの55mm

Thaliaシリーズの24mm

3本のレンズは、マクロ域の撮影が可能なことも特長としている。レンズの手前に手を置いてみたが、これほど短距離でもピントを合わすことができた

富士フイルムブース:Xマウントに対応したMKXシリーズを展示

富士フイルムブースの見どころは、デジタルカメラの「X-H1」とズームレンズ「MKX 50-135/T2.9」にSLR Magicのアナモフィックアダプターをつけたデモだ。外部モニターを確認してみると、アナモフィック独特のワイドで奥行きがある映像が確認できた。このアダプターは、FUJINON MKズームレンズ用に最適化されており、EマウントのMKシリーズでも使用可能という。

ブースでデモが行われていた「X-H1」に「MKX 50-135/T2.9」の組み合わせ。レンズにはアナモフィックアダプターが取り付けられている

アナモフィックアダプターを前からみたところ

アナモフィックアダプターを取り付けた場合(左)と取り付けていない場合(右)の比較

こちらは、ズームレンズ「HK4.7×18」とソニーのラージセンサーカメラ「VENICE」を組み合わせたデモ。「HK4.7×18」はスーパー35mmセンサー対応でPLマウントのレンズだが、Duclos Lensesの「Duclos 1.7x Expander」を組み合わせることでフルサイズ撮影が可能になる。

HK4.7×18とDuclos 1.7x Expanderを組み合わせることでVENICEのようなカメラでフルサイズの撮影が可能になる

SIGMAブース:レンズの展示のほかに14mm T2 FFの設計図面を配布

ズームレンズの「FF Zoom Line」シリーズや、「High Speed Zoom Line」シリーズ、14mmから135mmまでT1.5からT2でラインナップする「FF High Speed Prime Line」シリーズを展示。ブースでは14mm T2 FFの図面を配布。シグマのレンズが気になる人には貴重なアイテムになりそうだ。

シネレンズのラインナップを展示したシグマブース

14mm T2 FFの図面を無料で配布。多くの人たちが手に取っていた

Band Pro Film&Digitalブース:Whitepoint OpticsやIB/E Opticsなど取り扱いメーカーのレンズを展示

シネマやテレビ撮影者向けの製品やソリューションを扱うBand Proは、提携メーカーであるフィンランドでシネマ業界向けシネマレンズを製造するWhitepoint Opticsの「TS70」シリーズを展示。特長は最大82mmのイメージセンサをカバーし、9°までのティルトスウィングが可能なところだ。ALEXA 65mmやMONSTRO 8K VVに対応。フロント径は114mmで、レンズマウントは、PL、LPL、E、EFなどがある。

取り扱い商品のドイツの光学メーカーIB/E Opticsからは、ラージフォーマットに対応した4つの焦点距離を持つマクロレンズセットのRAPTORシリーズを展示。フロント径は95mm。レンズマウントは、ニコンF、キヤノンEF、ソニーNEX E。

Cookeブース:フルフレーム対応プラスプライムレンズ「S7/i」

フルフレーム対応プラスプライムレンズ「S7/i」シリーズを中心に展示。同シリーズはフルフレームセンサーのカバーが特長で、Weapon 8KやソニーのVENICEに対応。ブースではソニーのVENICEなどと組み合わせてデモが行われていた。

NiSi:フィルターブランドでお馴染みのメーカーがプライムレンズに新規参入

NAB 2018でまったく新しいシネプライムを発表したNiSi。Cine Gearでも25mm T2.1、35mm T2.0、50mm T2.0、75mm T2.0、100mm T2.0をラインナップするF3シリーズを展示。46.5mmフォーマットのセンサーをカバーし、ARRIのALEXA LF、REDのMONSTRO 8K VV、ソニーのVENICE、キヤノンのC700 FFに対応する。

Angenieuxブース:スーパー35やフルフレーム、ビスタビジョンに対応するOptimo Ultra 12X

メインの展示はスーパー35やフルフレーム、ビスタビジョンに対応する「Optimo Ultra 12X」。IROテクノロジーによって、ユーザー自身の手によってプロジェクトに最適化された仕様を構成できる。

Cinescopeブース:ライカRレンズをシネレンズ化

Cinescopeは、ロンドンのシネレンズメーカー。ビンテージシネレンズや写真向け交換レンズのシネレンズ化に特化している。写真用交換レンズにとどまらず、シネマ業界でも人気のライカRレンズを中心に、ElmaritやSummiluxの光学系を使ったPLマウントのフルフレームシネレンズをリリースしている。外見はライカのレンズらしくないが、300mm以上のフォーカス角や滑らかな動きを実現するなど、高い操作性を実現しているといっていいだろう。

True Lens Servicesブース:ビンテージレンジをリハウジングしてシネレンズ化

レンズの修理やリハウジングのメーカー。キヤノンの映画用のズームレンズを使ったキヤノンK35レンズ、1960年代後半に製造されたレンズをリハウジングしたKowa Cine Prominarシリーズ、キヤノンのFDをリハウジングしたモデルを展示していた。

Duclos Lensesブース:スーパー35mm用PLレンズをフルフレームで使用するためのアダプター「Duclos 1.7x Expander」

撮影レンズのイメージサークルを効果的に拡大する「Duclos 1.7x Expander」を展示。富士フィルムブースでも展示されていたものと同じものだ。スーパー35のレンズをフルフレームのカメラに対応でき、レンズマウントはPLマウントのレンズとPLマウントのボディの組み合わせに対応する。

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Vol.04 [inside DaVinci 15] Vol.06