[再現:CP+2020]Vol.06 ハッセルブラッドジャパン、待望の最小中判カメラシステム「907X」シリーズについて聞く
2020-03-27 掲載

取材・文:編集部
CP+2020のハッセルブラッドブースではミュージアムを予定していた
2019年はCP+未出展だったハッセルブラッドジャパン。今年は、DJIとの合同ブースでCP+2020に出展予定だった。2019年は「X1D II 50C」「CFV II 50C」「907X 50C」「907Xスペシャルエディション」などの発表ラッシュが続いた同社だが、CP+2020ではどのようなブースを予定していたのだろうか?東京・原宿のハッセルブラッドストア東京で話を聞いてみた。
まずは、新型コロナウイルスの影響について。ハッセルブラッドストア東京は現在の世界情勢により、2020年3月28日より当面の間、クローズすると発表された。テクニカルサポートもクローズするという。不明な点は、電話(03-6434-9567/不在時は留守番電話にメッセージを登録)またはメール(info@hasselblad.jp)で問い合わせてほしいとのことだ。

製品の展示、販売、案内を行うハッセルブラッドストア東京で話を伺った
次にブースの出展内容について。CP+2020のハッセルブラッドブースのテーマは、「ハッセルブラッドミュージアム」。「ハッセルブラッドのブランドのことをまだまだ知らない人はいっぱいいます。宇宙の記録といったハッセルブラッドの軌跡を世の中の人に知ってほしいという思いでミュージアムテイストを企画しました」とコメント。

幻のCP+2020ハッセルブラッドブース
アーカイブの展示や、907X+XCD 4/45P、X1DII+のズームレンズのXCD 3,5-4,5/35-75など、現行製品の分解展示を計画。タッチ&トライで最新製品の撮影体験よりも、ハッセルブラッドを見て楽しむコンセプトにおもきを置いたブースを予定していたという。それにしても、907XやX1D II 50Cの分解展示は貴重な機会だったはず。見られなくなってとても残念だ。
CFV II 50Cデジタルバックと中判カメラボディ907Xと組み合わせで最小の中判カメラシステムを実現
ハッセルブラッドが2019年に発表して、まだ発売されていないのが「CFV II 50C」「907X 50C」「907Xスペシャルエディション」だ。その中の小型・軽量を実現した「907X」シリーズには、限定モデルと通常モデルがある。
907Xスペシャルエディションは台数限定で、月面着陸50周年を記念したモデル。台数は未定。価格は845,000円(税別)。

限定台数で販売される907Xスペシャルエディション。ハッセルブラッドストア東京にある限定モデルは写真の掲載が不可とのことで、メーカーの写真で外観を紹介
907X 50Cは、台数を限定しないレギュラーモデル。価格は発表されていない。スペシャルエディションが845,000円(税別)であることを考えると、スペシャルエディションと同等か、よりお求めやすい価格になるのではないかと予想される。

こちらは通常モデルの907X 50C。Vシステム彷彿とさせるボディが特徴だ
限定モデルと通常モデルの違いは外装だ。スペシャルエディションは1968年12月21日から12月27日の有人での月周回飛行で使用さたHasselblad Electric Cameraを連想させるマットブラック仕上げで、ロゴも旧ロゴをあしらっている。仕様に関しては2機種とも一緒で、5000万画素中判センサー搭載で14ストップダイナミックレンジ。16bit RAW画像とフルサイズJPEG記録に対応する。
発売日は2機種とも2019年後半と発表されていたが、遅れているようだ。発売時期に関しては、ハッセルブラッドの公式SNS(Facebook@Hasselblad.Japan/Twitter @Hasselblad_JPN/Instagram hasselblad.japan)やニュースレターにて、お知らせ予定とのこと。
「もうまもなく発売」とのことだがショールームのデモ機体験では特に問題を感じることはなく、すぐに発売されても不思議ではないという印象だった。

3.0インチTFTタイプのディスプレイ。モニターの高さを水平に変えて、ウェストレベルファインダーのように撮影ができる

右下にフロントホイールとレリーズボタン。絞りなどのコントロールが可能

907Xカメラボディ部。レンズマウントとシャッターボタンを搭載した薄いユニットといった感じだ

CFV II 50CデジタルバックとハッセルブラッドVシステムのボディと接続したところ。往年のVシステムでデジタル撮影が可能になる

CFV II 50Cデジタルバックをセンサー側からみたところ。ハッセルブラッドVシステムとはシンクロケーブルなしでシンクロが可能
軽量の中判デジタル用AFレンズ「Hasselblad XCD 4/45P」登場
2020年1月下旬に発売を開始した小型軽量の中判デジタル用オートフォーカスレンズ「Hasselblad XCD 4/45P」も話題だ。特徴は130,000円(税別)というハッセルブラッドの中でもお求めやすい価格を実現しているところだ。65万円のX1D IIとセットで購入すれば、合計80万円以内(税別)で中判デジタルカメラを入手できることになる。

5000万画素センサーを搭載したX1D II 50CとXCD 4/45Pを組み合わせたところ。中判カメラでありながら、非常にコンパクトだ

重量320g、全長47mm。907XとXCD 4/45Pの組み合わせはさらにコンパクトだ
Hasselblad Xシリーズのシャッター音は、どの交換レンズも独特なものが多かったが、XCD 4/45Pでは静音性も重視しており、シャッター音が聞こえないぐらい静かになっている。
また、これまでのXCD 3,5/45は絞り開放3.5だったのに対して、XCD 4/45Pでは絞り開放4と大きくなっている。その分大幅に全長を小さくして、携帯しやすい形を実現。中判カメラでありながら、コンパクトでクオリティの高い撮影を実現できるのも特徴だろう。
ポストプロセスでは、X1D II 50CやCFV II 50Cに対応したiPad Proで動作する「Phocus Mobile 2」への対応が特徴だ。手軽に外に持ち出して、テザー撮影や編集が可能。友人と写真をシェアしたり、クライアントに納品といったことが容易に行える。

背面には3.6インチ236万ピクセルのタッチディスプレイを搭載。デジタル中判カメラとしては最大の液晶ディスプレイだ

Phocus Mobile2のローカルライブラリにRAW画像をインポートすれば、白とび軽減、黒つぶれ軽減、鮮明度などの補正ツールで簡単に編集が可能
取材・文:編集部
[ Category : CP+2020, SPECIAL ]
[ DATE : 2020-03-27 ]
[ TAG : Hasselblad 展示会 CP+2020]
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