txt:川井拓也 構成:編集部

Vlogが熱い!?

なにやらVlogが熱い!Vlogとはなんぞや?Vlogとは「Video Blog」の略で、諸説あるが動画ブログののことを指す。日常を切りとり個人の動画記録などを撮影編集することだ。主張としては過去からあるが、機材や技術の進化により誰でもが体験できることが流行のきっかけとも言える。そして2020年に入り、各社からVlog向けと銘打たれて製品が立て続けにリリースされている。今回は、Vlog用カメラを通して映像を撮ることを数回にわたって考えてみたい。

新しい名機の誕生!パナソニックのVlog向け「LUMIX G100」を触ってみた

マイクロフォーサーズの良さはシステムがコンパクトでレンズが豊富なことにつきる。フルサイズ系はレンズが大きくたとえ小さなボディにつけてもレンズヘビーになることが多い。それに対してマイクロフォーサーズはボディもレンズも小さくズームレンズをつけたとしても重量バランスは良い。

Panasonic LUMIX G100(以下:G100)は、Vlog制作に特化したカメラだというではないか。実は筆者、約20年以上前に映像で日常を切り取っていた期間がある。当時は細い回線、VGAという解像度の低いカメラとG100を比べると隔世の感である。言うなれば元祖Vlog愛好者が最新のVlog機器を触る機会を得たことになる。そんな元祖Vloggerな筆者がVlogカムと謳われるG100の本体についてのファーストインプレッションを展開していきたい!

さて、これまでLUMIXはハイエンド系のGHはもとよりGX系も新モデルが出るたびに大きくなってきた。G100はマイクロフォーサーズが持つ小ささを久しぶりに活かした待望のニューモデルと言える!単体の製品写真ではその小ささが伝わりにくいので筆者が所有するLUMIX GX1/GM1Sと並べてみた。シリーズ最小のGM1Sよりは大きいがほぼGX1と同じである。グリップとファインダー部分のでっぱりがあるが手の中に収まる感じが最高に気持ちいい!

小さいながらグリップの指かかりは前後とも素晴らしい。ダイヤルのクリック感もカチカチして高級感があり安っぽさはない。ボディが小さいのでSDカードスロットは底部にある。製品はバッテリー駆動を前提にしているが、オプションのDCカプラーとACアダプターを購入すれば給電しながら使用できる。ボディ上部には赤い動画専用の録画ボタンがある。録画をはじめると液晶のフレームが赤くなるのが特徴。正面に録画ランプはないが液晶を反転させるとこのフレーム全体が赤くなっていることで遠目でも録画状態がはっきりとわかる。

高性能内蔵OZO Audioマイクの搭載

背面のDSPボタンで表示内容は切替えられるが、特にマイクレベルのメーターが細かいのがいい。緑、オレンジ、赤と色分けされているうえに液晶の半分を占めているので自撮りをしながらも音のレベルが適正かどうかを確認できる。

内蔵マイクはG100最大の特徴で、上部にNokia社が開発したOZO Audio技術のマイクが3つ搭載されている。前に2つ、後ろに1つ搭載されており、設定で「オート」「サラウンド」「フロント」「トラッキング」「ナレーション」に切り替えられる。

「オート」はAFを顔・瞳認識にしている場合に「トラッキング」か「サラウンド」かを自動で切り替える。「トラッキング」は顔を検出したらその顔の方向の音にフォーカスし、それ以外の場合はズームレンズの画角によって音もズームする。「ナレーション」は後方の音を集音するモード。「オート」や「トラッキング」を使ってもカメラの前の声か後ろの声かをインテリジェントに判断して切り替えるわけではない。音質は人の声だけを特別にイコライジングするわけではないが、カメラから1m程度であれば外部マイクを使わなくても十分な収音特性がある。

外部マイクはプラグインパワーの3.5mmステレオミニジャックがあり、録音レベル設定もマニュアルで可能。「MUTE」「-12dB」から「1dB」単位で「+6dB」まで設定できる。録音レベルメーターは「ON」「OFF」があるが、位置は変えられず液晶の左下に表示される。ただしヘッドフォン端子がないため、本体だけでは録音レベルをライブで確認することが出来ない。HDMIからアウトしてスイッチャーや外部レコーダーで確認するのが良いだろう。

「ガイドライン表示」を搭載

これまでのフレーム表示に加えてガイドライン表示が追加されているのも特徴。動画は16:9で録画されることに変わりはないが「2:39:1」「2.35:1」「2.00:1」「1.85:1」「16:9」「4:3」「5:4」「1:1」「4:5」「9:16」など、ガイドラインを液晶に重ねることが出来る。このラインの色は10色から選べ、フレームマスクとして透明度を「100%」「75%」「50%」「25%」「OFF」から選ぶことも出来る。小さいボディなのにシネカメラのような感じで心憎い。

クリエイティブ動画モードで露出をMに設定して録画をしている時は背面のコントロールダイヤルでシャッター速度が、クロスキー右を押せばWBが、上を押すとISOが、左を押すとオートフォーカスモードが変更できる。シャッターボタンにある前ダイヤルは常に絞り、Fn1にはデフォルトでは露出補正が割り当てられており使いやすい。

外部出力はマイクロHDMI端子で、情報表示は「常に情報表示」「カメラを操作したときだけ情報表示」「常にOFF」が選べる。ただし「常にOFF」を選択した場合はHDMI出力中にカメラの操作が出来ない仕様。ライブ配信に使う場合は設定を決め打ちにする必要があり惜しい。小さなボディでビデオ回路に制約があるのか?GH2に戻ったような気分で残念である。そのあたりをHDMI出力中もフルコントロールしたいならGH5を選択するのが良いのだろう。

マイクロフォーサーズ採用が最大の魅力

標準のキットレンズは回してレンズを繰り出してスタンバイさせるタイプ。35mm換算で24mm~64mmだがビデオカメラ的な画と言える。YouTuberが広角端で商品を紹介するとか、自撮りしながらトークにする画角としてはちょうどいいだろう。ひとつポイントを挙げるならマイクロフォーサーズのセンサーサイズを活かしたボケを作るならF値の小さい単焦点レンズを使いたい。小さいながらもレンズが交換できるのがG100最大の魅力だ。

「小さい」ことで活用幅が広がる

とにかく「小さいことはいいことだ!」を実感できる製品になっており、日頃持ち歩こう!と思わせる魅力にあふれている。HDMI出力中の操作に制限はあるが、小さいので料理配信の天井カメラにも使えるし、アクションカメラのような設置の自由度があるので、あらゆるシチュエーションに使える。

パッケージはVlogger向けのカジュアルなデザインで、ターゲット層はズバリ「YouTuber」だろう。日常を動画で切り取るためのカジュアルなマイクロフォーサーズ、新しい名機の誕生と言える。付属の専用グリップは次の回で紹介したい。久々にVlogに挑戦しようと思う。

txt:川井拓也 構成:編集部


[Shoot with Vlog cam] Vol.02