小寺信良のCES2014レポート2日目

ターゲットを自動追尾する雲台「AIMe」

サウスホール1階の右手側は、テーマを絞ったパビリオン形式の展示となっている。デジタルヘルス、フィットネス、シルバーサミットといった具合だ。その一角がロボティクスをテーマにしたパビリオンになっていたのでプラプラしていたら、面白いモノを見つけた。

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ターゲットを自動追尾する雲台「AIMe」を紹介

JIGABOTというベンチャーでは、「AIMe」という自動雲台を紹介していた。これはターゲットとなるビーコンを持っている人を追いかけてパン・チルトする雲台で、三脚とカメラの間にこれを挟むことで、ワンマン撮影が可能になる。1台のビーコンに対して何台でも追従させることができるため、3カメ自動、1カメはマニュアル、みたいな使い方もできる。

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手に持っている白いのが「EmIT」と呼ばれるビーコン

価格は300ドルで、今年6月の発売予定。ただブースには現物の展示はなく、まあ、ある意味「そういう話」レベルである。いわゆるスタートアップ系の会社なので、ちゃんとできるかは保証の限りではないが、技術的には300ドル程度でこういうものがやれそうなところまで来た、ということである。

自動追尾雲台「SOLOSHOT2」

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こちらは動作モデルを展示した「SOLOSHOT2」

その隣で展示していたのは、これもベンチャーのようだがSOLOSHOT2という雲台。こちらは実機も展示してあり、すでに前モデルも出荷した実績があるとのことなので、もう少し信用できそうだ。今年6月発売予定で、価格は400ドル。

見た目もかなりゴツく、ビーコンは民生機カムコーダのLバッテリーぐらいの大きさ。ただサーフィン撮影なども可能なようなので、ビーコン側は防水仕様になっているということだろう。

具体的にこれらの製品のどっちを買おうかなーという話ではなく、もうこれぐらいのものなら、スタートアップ企業が300~400ドルで売って利益が出るぐらいのレベルまで来たということなのだ。何もかもアメリカから来るのを待っているのではなく、「我々日本人こそ自分たちが欲しいモノを自分たちでガンガン作っていく世界に転換していこうぜ」って事なのである。

瞬時に3Dモデルが完成「xxArray」

ニコンブースの一角に展示してあったのが、ニコンとヴィジュアルアーティストのAlexx Henry氏のコラボによって開発された「xxArray」という装置。これは周囲に64台のD5200およびD5300が配置されており、中に入った人間をワイヤレスのリモコンを使って一度に撮影する。その画像を高速処理して、リアルな3Dモデルを作ってしまう。

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周囲にカメラを64個配置

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内部から見るとこんな感じ

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64台のカメラで同時にフラッシュ撮影

それぞれのデータを専用ソフトウェアでつなぎ合わせて、高解像度の全方位ほぼ360度のマッピング用テクスチャーを、瞬時に作るわけだ。会場では実際に撮影したデータを人間のモデルに貼り付け、リアルタイムでゲーム風に動かすというデモンストレーションを行なっていた。

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撮影したデータをマッピングしたゲーム風のアプリケーション

装置としてはかなり大がかりなものだが、撮影からデータ作りは一瞬で終わるので、常設できるスタジオがあれば、大量の人のアバターが作れることになる。ゲームだけでなく、群衆シーンのCGとかでマッピングが効率化できるといった使い方も可能かもしれない。

ヘリ撮影にも!Canon「VIXIA mini X」

今年のCanonブースはビデオ系の新製品が少ないが、昨年発売されて話題になった自分撮り用カメラiVIS miniの後継機「VIXIA mini X」が多数展示されていた。VIXIAはiVISシリーズの米国でのブランド名なので、おそらく日本名はiVIS mini Xになるだろう。

ボディがやや大型になったが、その代わりかなり性能の良いマイクがついた。音声もリニアPCMに対応したことで、ソニーのミュージックビデオレコーダ「HDR-MV1」とガチンコ勝負の様相を呈してきた。

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左はすでに発売されている「iVIS mini」、右が「VIXIA mini X」

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底面のスタンドも健在

前回はMP4でしか録画できなかったが、今回はAVCHDフォーマットでも記録できるようになっている。また前回弱点であったバッテリー容量の少なさが改良され、倍以上となる1910mAhのものが付属する。

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空撮ラジコンヘリに装着

会場ではダンス撮影が可能なブースとして展示されていたほか、空撮用ラジコンヘリに取り付けて撮影するといったスタイルも紹介されていた。米国では3月の発売で、400ドルとなっている。日本ではまだ発表されていないが、これまでの例からすると日米で同じタイミングの発売となるだろう。

txt:小寺信良 構成:編集部


Vol.04 [CES2014] Vol.06