非圧縮やRAWで撮影や編集など、その先へ

開催2日目の15日、昨日に引き続き快晴に恵まれ、午前中からの出足もまずまずのようであった。突然発表された衆院解散の話題を朝の挨拶代わりにInterBEE2日目がスタートした。リーマンショックやギリシャ危機、震災、円高などここ数年様々な困難があったものの、戦後の復興を例に上げるまでもなく、過去そうであったように一つ一つ確実に乗り越えて行こうというしたたかさは健在だと信じたい。昨日の14日の来場者は1万680人と発表され、昨年の1万485人から若干増え初日からの出だしは好調といえよう。

すでに、ファイルベースでのワークフローも一般化し、MXFファイルのハンドリングも常識化したといえよう。VTRによるテープメディアの単なる置き換えではなく、ファイルベースの効率的運用やマルチソースへの対応など次のステップへ向けて進みつつある。AvidやGRASS VALLEY、ソニーなど入り口から蓄積、検索、配信など一貫したソリューションを展開したほか、朋栄やフォトロン、アスク/AJAなどもアセットマネジメントを始めとした様々なソリューションを提案していた。

一方、4Kにおけるワークフローもカメラやレコーダーなど様々な撮影機材の出現に答えるべくAdobe Creative SuiteやApple Final Cut Pro、Sony Creative Software のVegas Proなど比較的ポピュラーな編集システムも対応しており、すでに特別なことではなくなったといえよう。4Kはレゾリューションという意味合いだけでなく、RAWという今までビデオ業界では馴染みの薄いワークフローもついて回る。そこには、ビデオ編集などとは異なったツールが必要だったり、作業も違った分野のスキルが必要になってくる。ややもするとビデオの業界では不必要とされがちなこうした作業だが、CMやドラマなどでは細かな作りこみが行える分有用な手段ではある。すでにBlackmagic DesignはDaVinci Resolveを無償提供(HD版)しているほか、従来非常に高価だったこうしたDI系のアプリケーションもリーズナブルになってきている。また、非圧縮やRAWで撮影や編集などの処理を行う環境も整いつつあり、従来フィルムでしか成し得なかったものが身近になってきたといえる。

Avid メディアアセットマネジメントシステムInterplay Production
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毎年常連だったAvidだが今年はブース出展はなくフォトロンブースでSymphonyNitrisDXやメディアアセットマネジメントシステムInterplay Production、リアルタイム共有メディアストレージ・システムISIS5000を始めとした映像系のツールを出展していた。Avid日本法人が設立される以前は同社がAvidの輸入代理店だったので、古巣に戻った感がある。

ハイエンドカラーグレーディングシステムQuantel Pablo Rio
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ハイエンドカラーグレーディングシステムQuantel Pablo Rio。フィルム系の編集やカラーグレーディングシステムとして専用ハードとソフトの組み合わせで非常に高価なシステムだったが現在ではソフトウェアベースでの販売となり、ハードも特別なものは必要なくなった(サーフェースは専用の製品がある)。扱えるファイルもステレオ3DやOpenEXR、RED HDRx、ソニーF65、Arri RAW、Canon、Phantom、Silicon Image、さらにGoProまでも含む、非常に広い範囲のデータ形式に対応している。

Blackmagic Design DaVinci Resolve
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Blackmagic DesignのDaVinci Resolve。DaVinci買収後8万円台という驚異的な低価格で製品を供給して業界をアッと驚かせたが、更にもましてHDオンリーのResolve Liteは無償提供している。サーフェスを含むとそれなりの価格にはなるものの、従来の常識を破ったものといえよう。扱えるファイルもARRI Alexa RAW .ariファイル、RED color3およびRED ONE R3Dファイル、RED EPIC R3Dファイル、Phantom、GoPro、Canon EOS C300、5Dやソニーなどにも対応している。

カラーグレーディングシステムNucoda FilmMaster
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カラーグレーディングシステムNucoda FilmMaster(フォトロン・デジックスブース)。AvidやFinal Cut ProからEDLベースでコンフォームが可能なほか、Avid DNxHD AAFインポート、MXF(DNxHD)エクスポート、ALE出力、AVID Interplay 2.0対応となっている。対応ファイルフォーマットは、Arriflex D21およびARRI Alexa、キヤノンCanon 5D/7D、RED、Silicon Imagining SI 2K、ソニーXDCAM、パナソニックPanasonic P2 AVC Intra、ProResなどとなっている。

SquareBox アセットマネジメントシステムCatDV
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比較的小規模なプロダクションからでも導入可能なアセットマネジメントシステムCatDV(アスクブース)。Mac OSやWindowsなどにも対応したクロスプラットフォームとなっており、MySQLやオラクルなどのリレーショナルデータベース上で動作可能。メタデータ管理からアーカイブ、さらにはノンリニア編集システムとの連携など、スタンドアローンからネットワークでの統合管理など柔軟び対応する。

Grass Valley STRATUS
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アセットマネジメントのほかディバイスコントロールやプロダクションツールが利用できるSTRATUS (Grass Valley)。メディアサーバーK2 Smmitや編集システムREXCEEDおよびEDUSなどを組み合わせインジェストやファイル共有、編集、プレーアウトなどSTRATUSにより統合された環境をデモしていた。新機能としてカスタムメタデータにより独自のメタデータフィールドを追加することが可能になったほか、ハイレゾ素材のアーカイブ、リトリーブに対応した。

MediaConcierge
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朋栄インジェストからアーカイブまで一連のワークフローを包括したMediaConcierge。各種メディアファイルを一元管理し、必要なファイル形式に変換して出力可能なトータルソリューション。データベースによる一元管理やメタデータおよびプロキシデータによる検索や閲覧機能、アーカイブやライブラリシステムとの連携、必要なファイルの送出やビデオサーバへのデータ受け渡しなど統合された環境で行うことができる。