奥の深いオーディオの世界。手段や機材など多種多様だが、状況に応じた使い勝手の良さや信頼性など、それぞれの業務に特化した機材が必要になりプロオーディオが成立する。デジタル化が当たり前になって久しいが音の入り口であるマイクロホンと出口のスピーカーだけはデジタル化できない領域だ。定評のあるマイクロホンメーカーは何十年も同じ型番のマイクを作り続け、それがメーカーとしてのブランドと信頼を保っているといえよう。

もちろんテクノロジーの発展とともに新たな製品も投入されており、特にスピーカーはデジタル化の発展とともに新製品が投入されている。レコーダーやミキサーなどは見た目はあまり変わらなくても新製品が毎年のように出てきており、InterBEEを始めとした機材展では注目を集めている。オーディオはまるでタイムスリップしたかのようなビンテージオーディオの世界と、最新のテクノロジーが投入された製品が入り乱れており、それらをどう組み合わせて運用し音を作っていくのか、使う側のスキルが問われる部分でもあるだろう。昨年から導入されたラウドネスも放送局を始めとして導入が進み、対応機材も増えてきたが、実践配備されてから1年ほどなので、これから様々な機材が出てくるだろう。

1
フォステクス

(ブース#4404)



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スピーカーのメーカーとして定評のある同社だが、ポータブルレコーダーやミキサー、オーディオインターフェイスなど、幅広く手がけている。特に最近ではスピーカーシステムGX100 LimitedやパワードニアフィールドモニタースピーカーPX-5、DAC&ヘッドホンアンプHP-A4のほか、ミキサー&ポータブルレコーダーDC-R302や、マイクプリアンプAR501といったユニークなポータブル機器の発売が多いようだ。小型ビデオカメラでの収録やDSLRなど多くなってきた昨今カメラシューマウントに装着できるAR501はありがたい。
2
ティアック(TASCAM)

(ブース#4208)



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テープベースでMAが行われていた時代から同社のレコーダーは多くの現場で使われてきたほか、民生機でもハイエンドの物から一般向けまでをカバーしており知名度も高いのでご存じの方も多いはず。ステレオマスターレコーダー/ADDAコンバーターDA-3000や、DSLR動画撮影用X-Y方式ステレオマイクTM-2X、リニアPCMレコーダー/ミキサーDR-60Dがあり、デジタル一眼ユーザーは必見といえよう。特にTM-2Xはカメラのシューに装着できるステレオマイクとして、マイク本体とシューマウント部の間にフローティング構造を採用してカメラのタッチノイズを防止したり、120dB SPLという耐音圧レベルはコンサートなど大音量での収録にも最適だ。
3
ヒビノ/ヒビノインターサウンド

(ブース#4211)



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マイクロホンメーカーのAKGおよびDPAのほか、ミキシングコンソールメーカーSoundcraft、CALREC、DiGiCo、周辺機器としてLexiconやDK-Technologiesなど、SRや放送用オーディオ機器の国内代理店として様々なメーカーを扱っている。アナログ・ミキサーのように直感的に操作できるSoundcraftのSi Expressionとデジタル・ミキサーSi Performer、AKGのイヤーフックマイクロホンC111 LP、低音をあざやかに再現するマイクロホンD12 VR、ワイヤレスシステムWMS470などがある。取り扱いメーカーが多いだけに見逃せないブースの一つといえよう。ShureのDSLR向け小型ショットガン・マイクロホン”LensHopper”「VP83」「VP83F」2モデルもいよいよ国内でも扱いを始めたので手に取ってみる事が出来るだろう。
4
オタリテック

(ブース#4309)



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新製品としてはオタリの光パッチコードで接続する波長多重拡張ユニットCB-195や英国XTA Electronics社のマイク/ラインディストリビューションシステムDS8000Dといったシステム機器があるが、同社が扱っている輸入品ではGENELEC社のスタジオモニタースピーカーにMシリーズが新たに加わったので注目したい。Mシリーズは比較的小規模なシステムにマッチする小型のニアフィールドモニターで、M030とM040がラインナップされている。今までのGENELEC製品はアナログアンプを頑なに搭載していたが、MシリーズはクラスDのデジタルアンプとなっている。比較的手頃な価格で提供される模様なので、聴き比べてみたいところだ。すでに放送回ではラウドネス導入1年が過ぎ、落ち着いたとも言えるが、リアルタイムでラウドネス管理ができるJünger Audioラウドネスプロセッサーも必見だ。
5
ゼンハイザー(SENNHEISER)

(ブース#4308)



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MKH416を引き合いに出すまでもなく業界人で知らない人はいないだろうが、今年から独ノイマン社の代理店となったことで、国内の展示会でもNEUMANNのマイクがブースに並ぶはずだ。ゼンハイザーはワイヤレスのラインナップが揃ったせいか、最近ヘッドホンの新製品が多くなっているがNEUMANNのマイクが並ぶことで展示の幅が広がることに期待したい。出揃った感のあるワイヤレスのシステムや、MKH416やMKH816の姉妹機種MKH70との比較や、レコーディングスタジオでは定番とも言えるNEUMANNのラージダイヤフラムマイクや真空管を搭載したチューブマイクなど新旧製品のラインナップに注目したい。
6
シグマシステムエンジニアリング

(ブース#4412)



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ENGで使うコンパクトミキサーのメーカーとしてよく知られている同社は、コンソール型16chアナログオーディオミキサーBSS-1604とポータブル型の8chデジタルオーディオレコーダーミキサーSS-884Rex/SS-884eRM、および専用リモートフェーダーボックスSS-4300などが出展されるだろう。3ch、4chの小型ミキサーから多チャンネル化へ向かうとともにレコーダー機能を併せ持ちフィールドでの収録に威力を発揮するだろう。
7
三研マイクロホン

(ブース#4516)



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国内では珍しいマイクロホンを専門に扱うメーカーだ。その製品ラインナップは20Hz~100kHzの広帯域収音を可能にしたCO-100Kや5.0chサラウンドマイクロホンWMS-5、氷中マイク(絶版)などユニークな製品が多い。アコースティック楽器の収音に最適なCU-55や、各社のワイヤレス送信機のコネクタに適合したマイクCOS-11Dシリーズなどの展示が予想される。NHKとのコラボレーションで製品化されたものが多くあり、東京オリンピック開催が決定したことから、新たな製品も出展されるかもしれない。
8
ローランド

(ブース#4616)



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同社はライブミキシングコンソールM-200iや8チャンネルレコーダーミキサーR-88のほか、ビデオ機器として小型ビデオコンバーターVCシリーズやマルチフォーマットAVミキサーVR-50HDがある。新製品としては、商業施設やイベント会場などの放送設備として使用されるオーディオレコーダーARシリーズの最上位モデル『AR-3000SD』が登場。またV-Mixer MシリーズのリモートコントロールソフトウェアのiOS7対応に注目したい。今まで文字入力やアプリからシーンストアを実行してもミキサー本体に保存されないといった問題が解決され、最新のiOSでも快適に作業できるようになった。M-480 RemoteやM-300 Remote、M-200i Remoteが対象だが、ユーザーだけでなく、導入検討者にも朗報だろう。
9
アビッドテクノロジー

(ブース#4617)



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同社はNAB以降Media Composer 7やProTools 11のほか、AirSpeed 5000やISIS 5500、Avid S6、Interplay Production 3.0、Avid Motion Graphics 2.5などソフトウェアベースの製品バージョンアップや新製品を発表しており、ビデオ&オーディオの統合制作環境を提供している。オーディオ関係のトピックとしてはやはりAvid S6とProTools 11であろう。S6はサーフェスをモジュール化することで、ユーザーが自由にカスタマイズでき、導入時だけでなく、その後の拡張にも柔軟に対応できるのが大きな特徴と言えるだろう。また、Logic Pro、Nuendo、Cubaseといった他社製品にも対応しており、1つのS6で異なったオーディオワークステーションで作成された複数の音楽やプロジェクトを同時にミックスし、セッションを簡単に切り替えることが可能だ。
10
アストロデザイン

(ブース#5317)



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4Kや8Kのビデオ機器メーカーとして目立つ存在となっているが、オーディオ機器としてラウドネス機器のラインナップも充実している。今回新製品として高機能ラウドネスメーターAM-3807-Aが登場した。AM-3807-Aは、SDIのエンベデッドオーディオまたはAES入力のラウドネス値を計測可能で、7インチのディスプレーにはラウドネスレベル表示のほか時間経過レベルを波形で表示したり、映像のモニターも行えるようになっている。また、USBメモリーにラウドネスデーターやプリセットデータを保存することができるほか、DVI-D出力を搭載しているので、PCモニターなどにモニター表示を行うことが可能だ。

※掲載しているブース写真は過去に開催されたイベントのものです。


Dコース [Inter BEE 2013の歩き方] Fコース