NAB開会式が初日のホール開演と同時刻に開催

初めはNAB会長ゴードンHスミス氏からの開会の挨拶。昨年秋にNAB会長に就任してから初めて公でのスピーチとして、大きな拍手で迎えられた。現在58歳のスミス氏は、1996年からオバマ大統領選挙の2008年までの2期を、民主党員として務めた。

米国上院にて、放送関連の法律を監督する委員会に務め、また通商委員会や上院High Tech Task Forceの委員長をも務めたスミス氏は、ニューメディアと新技術問題への関心を伸ばしたという。 なぜNABは、共和党が国をまとめているときに、民主党派のスミス氏を代表として選んだのか?

スミス氏は演台で、彼には両党に親友達がいることが1つの理由、と説明した。簡単な序奏の後、我々業界の収入、広告の流れ、それに自由主義市場を制御する我々の能力を脅かす問題は数え切れないほどあるが、最初に3つの問題について掲げたいと語った。

1つは、音楽業界で言われる、ロイヤリティや音楽著作権に関わる「Performance tax」である。

基本的には企業財政援助だが、知られる4大音楽企業のうち3社は海外企業である事実をご存じでしょうか。私は、アメリカ国民は十分すぎる企業救済をしてきたと思います。音楽業界始まって80年間、「自由なプロモーション」と「自由な活動」は業界で陰と陽のバランスをとった関係にありました。 しかしデジタル革命が到来してからというもの、そのデジタル技術は今までのビジネスモデルを崩すこととなりました。

そこで音楽業界は何を始めたか? 人々を訴えることに走った。

「しかし問題は、我々は法廷弁護士と共に、技術を止めることができないということです。ティーンエージャー達を訴え続けることに意味があるでしょうか?」「RIAAは、レコード会社に音楽使用料を支払うべきと決めました。 レコード会社は、レコード会社が50%、パフォーマーが45%、バックグラウンド・ミュージシャンは5%の割合で受け取る提案をしました。しかし、レコード会社がパフォーマーかバックグラウンド・ミュージシャンを見つけることができないなら、もらった使用料の100%を得ることになります。シェールからビートルズ、ピンクフロイドのベニーグッドマンからカウント・ベイシーまで。 そして、私が一度も聞いたことがない新しいグループ達は、未払いのロイヤリティできまりきって自分達のレコード会社を訴えています。 1つの訴訟では、300人のパフォーマーを含んでいたこともありました。
衛星やインターネットでの音楽配信では、この使用料を勿論支払って放送しています。 私が今挙げたいのはローカル局について、です。ラジオで同じことをするならば音楽専用局となってしまって、その局からは地方のニュースや天気予報といった情報を得ることはできなくなるでしょう。放送は私たちの市民に共同体として有り続けるために役立つ、いわゆる共同体に一貫性を与えるための存在なのです。それは公益でしょう。これが現在、我々が放送の自由について戦っている理由なのです。

そのほかの2つ目の問題としてスミス氏は、FCCのブロードバンドプランと放送の位置づけについて語った。モバイルDTVが3Dと並び、今年のNABを盛り上げている1つでもあるが、国土安全保障にも関わる問題として、非常時の際、携帯電話と広帯域ネットワークが放送と同じくらいタイムリーで正確な情報を提供できるだろうかと語る。 ブロードバンドプランは、特に老人やディサビリティのある人たちには非常に問題になる。

スミス氏は、私はこのポジションに就任したばかりではあるが、業界が直面している問題について公に述べているのは今になって始めたわけではない、と話を続けた。

放送業界が直視している問題についてアメリカ国民、そして民主主義が支援するのはまだ必須のことです。 放送が我々庶民の生活のために提供していることは、国のためでもあります。 そして放送は国に対しても欠かせない存在なのです。全米放送事業者協会の仕事は価値のあるものです

とスミス氏は最後に、テディ・ルーズベルトの引用 “Far and away, the best prize life has to offer is the chance to work hard at work worth doing”した。

我々は一致団結を求められています。我々連合は、ワシントン本部だけではなく全米に向けて主張するために、国民の皆さんの支援が必要です。 国民にあたえる放送のパワーとインパクトをかなえましょう。我々は、デジタルへの希望と未来を抱き、これからも教育、情報、エンターテイメントを提供してまいります。」 「私はこの業界の一員となれたことを非常に嬉しく思っています。 与えられたミッションに全心全霊を打ち込んでいきます

そして氏は「United」という言葉で、演説の最期をくくった。 

yoshi_bravia.jpgNABのステージには3面の大きなスクリーンが用意され、両脇のスクリーンは3Dで上映された。

ソニー株式会社吉岡浩氏による基調講演

スミス氏からバトンタッチで、ソニー株式会社よりコンシューマ製品&デバイス部門担当の執行副社長、吉岡浩氏を迎えた基調講演が開催された。 吉岡氏からは、ソニーの目指す3Dビジョン「lens to the living room」について、そしてNAB開催期間と重なるマスターズ・ゴルフトーナメントの3D中継をはじめ、ソニー社が注力を注いでいるスポーツ3D放送の実現について、既に放映されたコンテンツクリップを会場で披露しながら行われた。

吉岡氏の講演によると、コンシューマ市場において「3D BRAVIA」の浸透は、来年までに「100 million units」規模の成長を遂げる予測を立てている、という。 またゲーム市場では、Playstation3も3D対応のアップグレードを用意し、年内に3Dゲームのタイトルを発売すると語った。

そのほか、blu-ray 3Dの最初のタイトル「くもりときどきミートボール」がソニーピクチャーズから近々発売されることが紹介された。 スポーツ番組の3D放送を実現するESPNとの提携、コンサートではこの夏にソニーピクチャーズと提携して、カントリーシンガーKenny Chesneyの3D中継放送をすることや、3DシアターではrealDと技術提携、またDiscovery、IMAXと米国で3D専用テレビネットワークを設立したことが語られた。

NAB_MichelJFox1.jpg キャプション3:NABからの名誉賞が俳優のマイケルJ FOX氏へ。 パーキンス病で病魔と 闘っているフォックス氏からの気丈なるスピーチに、会場からは大きな拍手が巻き起こった

エミー賞受賞者でもある、俳優マイケルJフォックス氏へ贈られるNAB偉勲賞の授賞式も引き続き行われた。 

キャプション2:コンテンツシアターでは、5月に公開されるNASAの『HUBBLE 3D-ハッブル宇宙望遠鏡-』の背景に迫るセッションもあることも理由に、宇宙スペースシャトルからのメッセージも届いた。