ナブブラリVol.01 小寺信良編

小寺信良(ポスプロ関連担当)

間違いなく映像の世界は「4K」に突入

江夏由洋(High Resolution担当)

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4Kカメラというだけでなく、今回は4Kモニターもいくつか展示されていました。4KのパイオニアであるREDは複数台の4Kモニターを展示。REDのHighResolution映像をしっかりととらえるためのソリューションを見せていました。もちろんそういった4Kモニターも非常に大切ですが、私が一番驚いたのはキヤノンが4Kモニターを自社で技術展示したことです。しかも30インチというサイズで挑んできたのはとても印象的でした。暗所に置かれていたことあって、その4K映像は非常にキレイで、「これぞポストHD」にふさわしい素晴らしい描写力でした。

そんな中3つの4Kプロジェクターによる上映をNABでは見ることができます。一つはSONYですが、今回もF65による作品を上映。細部まで行き渡る表現力はさすがだと感じました。景色を中心とした構成で作られているのですが、ストーリーも含めてSONYらしい真面目な作りだったと感じました。

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一方でキヤノンはハリウッドの色強くだした作品を投入。C500と1D Cのそれぞれのカメラで撮影したショートムービーを展開。特にC500の表現力は「圧倒的」で、ジャングルの森の細かい部分のみならず、人の表情や、空の色などまさにフィルムの世界に追い付いたといえる描写力でした。そしてREDはなんと4K3Dを上映。偏光メガネをかけて視聴していたため解像感は少々落ちているよう感じたものの、3Dとして4Kを上映する意気込みは技術力で他社との差を見せつけるようでもありました。ストーリーもきわめてREDらしい世界観で、日本人の常識を超えるアート作品だったと思います。

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3社の上映を見て感じたことは、明らかに4Kの映像はHDを超えているということです。またそういった細かい描写力が視聴者に訴える力はとても大きいということを感じました。間違いなく映像の世界は「4K」に突入したと実感したというのが2日目の感想です。ただ忘れてはならないことは、そういった技術力だけに制作を頼ってはいけないことでしょう。キヤノンの撮影監督が「ストーリーがまず全ての中心だ。そのストーリーを支えてくれるのが機材である」と言っていたことが印象的でした。今回の4K上映の中でも1D Cで撮影された「The TICKET」という作品がエンターテイメントとしても個人的には一番良かったです。いやはやいろいろと勉強になるNABですね!

モジュラーリグ「Modula 9+」に感嘆!

石川幸宏(デジタルシネマ&DSLR関連担当)

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セントラルホールは毎年カメラ/撮影系ガジェットの宝庫。今年は昨年にも増して新しい撮影周辺ガジェットが出展されていた。見事なトランスフォーメーションで、コンパクトにDSLRの下部に納まる新発想リグ「The Pocket Rig」で、昨年NABに初登場して話題となった、トルコの撮影ガジェットベンチャー、edelkrone(エデルクローン)。自身もカメラマンだというKadir Koyman氏率いる、たった5人で作っている零細企業だが、なかなかのアイデンティティに満ちた会社だ。

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今回の出展の新作は各パーツを組み合わせて様々な用途に対応出来るモジュラーリグ「Modula 9+」。フォローフォーカスとリググリップを兼ね備えた、これまた新発想の「Focus PLUS+」などを組み合わせた、デザイン、機能性に優れたリグシステムだ。

最近ではVARAVON、Cineroid、KONOVAなど、デザインやコスパの良い韓国のガジェットメーカーが目立つ中で、トルコの首都アンカラに本拠地も持つ、こうした新興企業がNABに参加して人気を呼んでいるというのも面白い。ちなみにedelkroneのModulaシステムのリグデザインは、なんとキヤノンのDVカメラ「XL1」のデザインをヒントにしており、Kadir氏もXL1、XL2、XL H1などの歴代キヤノンのプロビデオカメラのユーザーで、シェイプは完全にXLシリーズを継承しているところが興味深い。その模様は同社のWebサイトでも紹介されている。

本家キヤノンのビデオ製品からは、あのXL独特のシェイプが失われてしまったが、その魂は遠く中東の地で息づいていた。いま撮影ガジェットは、機能性と個性を兼ね備えたユーザーオリエンテッドなデザインの時代に入った。3日目以降は、技術や効率性とともに、新発想のデザインにも大いに着目してみたい。

地殻変動と変わりゆくガジェット達

猪蔵(モンドガジェット関連担当)

数多く見かけるiPadを使用したジャーナリスト

NAB2日目。日々あふれる情報と格闘している。会場地図が少しづつ地殻変動しているのも面白い。新興勢力が多いサウスホールは入れ替わりが激しいが、老舗が軒を並べる定番のセントラルホールに異変が起こった。ブースの規模配置は、ある意味業界勢力図とも言える。期待通りキヤノンが大幅にブースを拡大しているが、勢いのあるGoProが老舗のPanasonicのブースを浸食しているイメージがある。塗り変わる業界地図。取材する方もされる方もそんな部分から感じる事も多い。

撮影、編集、アップまでをiPadで一気通貫

取材に使用する機材もその一つ考えてみれば毎年変わっている。より効率の良いガジェットを求め試行錯誤。銀塩カメラからデジカメへ変化し、コンパクトビデオカメラになり、ネットワークデジカメになった。取材スタイルもそれぞれで面白い。 昨年は、DSLRにリグを組んだ撮影スタイルで取材するジャーナリストが多く見られたが、今年は一転、iPad取材する姿を多く見かけた。やはりiPadで撮影する風景は確実に目立つ。中にはそれがプレゼンテーションという人もいたが…。そんな創意工夫を垣間みられるのもこのNABでの楽しみだ。

埋もれたお宝にフォーカス!

小寺信良(ポスプロ関連担当)

NAB2012会期2日目となる本日は、ソニーブースを集中的に取材した。プレスカンファレンスではあまり新製品の紹介がコマゴマされなかったが、実は取材してみるといろいろすごい製品が出ている。

今回注目したのは、新しいオプティカルディスク・アーカイブシステム。中に12枚のディスクを格納したメディアを使って、映像をアーカイブするわけだが、価格が破格に安い。まだ正式な価格ではないが、ドライブが6000ドル、メディアは600GBで60ドル程度を目標にしているという。

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これはヤバイアーカイブシステムが登場

インジェストする際には、音声を解析してテキストに起こしてくれるので、インタビューなどはテキストによる検索ができる。また顔認識技術を使って、写っている人を類型化して名前を入れることもできるし、どこかから顔写真を探してきて同じ人を探すという事もできる。無名な人がのちに有名人になった時に、そういえばあの人無名時代にどこかに映ってたかも! と思っても普通はどうしようもない。だがそういうお宝映像も探し出すことができるわけだ。

テープ時代に撮影したものなど、これに取り込むだけで自動解析してどんどんメタデータを付けてデータベース化してくれる。個人経営や小規模プロダクションに強い味方の登場である。詳しくはまた動画レポートでお伝えしたいと思っているので、そちらもお見逃しなく!

去年と同じ…

岡英史(ファイルベース関連担当)

何かと言えば「寝不足」、NABでの仕事量と食事量は多分現地に来て見て貰わないと解らないはず。自分で言うのも何だが良くココまで過酷な仕事をこなしていると思う…。基本的には本気で睡眠時間がない!!っとみんなに訴えたら「みんなそうです」すいません、改めます。

JVCケンウッド GY-HM600&650(GPS/Wi-Fi装備)
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4KカメラGY-HMQ10がメインじゃないのは予想していたが、出ました、ド本命カメラGY-HM600&650!丁度HM750とHM150の中間を埋めるべきカメラの位置づけでその大きさはSONY V1J程度。つまりZ5JやNX5Jの一回り小さく、CanonXF105より一回り大きい位でハンドキャリーで持ち歩くようなロケにぴったりのサイズだ。フォーマット形式は従来のEX互換のMP4とクイックタイムMOVフォーマットに加えてMXFも採用されている。

更にAVCHDもドンと来いの何と4フォーマット!どんな現場でもこれなら問題なく対応できる。メディアはSDカードを使用、2スロットはリレー記録は勿論パラレル記録も可能。HM650に関してはWi-Fiの他にもGPSが装備、更に今後のアップデートで簡単にファームアップが出来る。心臓部は1/3inchCMOS×3、ワイド端は約29mm f=1.6でFUJINONレンズ。発売予定は10月頃で、ざっくり言えばHM150で言われていた弱点の部分を全部潰したと言っても良い位、光学23倍ズームも相まって、デジロケには強力なカメラだろう。

今更ながらのPMW-F3
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と言っても本体ではなくLCDに付けるスコープ。F3ユーザーの殆どの方はVFを覗いて撮影していない。外部モニターかLCDを見ているがこの純正の位置でのLCDは流石にそのままじゃ見づらい。そのために各自工夫されて居るが、純正で登場したことに意義がある。その形はまんまEX3に付属している物とほぼ同じと思って良い。しかしその見やすさは形以上に大きい。EVFは残念ながら見送られた様だがこれも是非販売して貰いたい。

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PRONEWSの現地特派員5名+αが、各分野を分担、担当し、テキスト、映像、画像を駆使してレポート。今年のNAB showはこの5人+αが盛り上げます!会期中の更新をお楽しみに!

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