Entertainment Creation Suiteがリリースされさらに強化される商品ラインナップ

今回のNABでは昨年Mac版プレリリーストライアルで話題となったSmokeの最新バージョンSP3のほか、昨年9月発売後数々のブラッシュアップが施されたFlame、Autodesk 3ds、Maya、Softimage、Mudbox、MotionBuilder などがワンパッケージになったEntertainment Creation Suiteなどが出展された。会場ではこうした個々の製品のほかクリエーターやエバンジェリストたちのセミナーなどが行われ新たに追加された機能の解説や実例などに耳を傾ける多くの来場者の姿があった。

Entertainment Creation Suite

統合されたアニメーション製作環境を提供するEntertainment Creation Suite

また、7日にはプレスレセプションがCaesarsのP.J.Clarke’sで開催された。通常のプレス発表会ではなく、同社のこれからを応援してほしいと言うレセプションに近い形で開催され、これまでにない雰囲気で開催された。既にCG及びコンポジットソリューションの大多数を抱え、業界のリーディングカンパニーである同社は30周年を記念して企業ブランドをこの3月にリニューアルした事も記憶に新しい。

プレスレセプション

P.J.Clarke’sで開催されたプレスレセプション

そんな中、さらに詳細を知るべく、今回NABで新たになった製品についてAutodeskのMedia&Entertainment Industry Manager、Maurice Patel氏にお話をうかがった。

Autodesk Entertainment industry manager MAURICE PATEL氏

Autodesk Media&Entertainment Industry ManagerのMaurice Patel氏

――今年のNABでの製品ハイライトは?

今回のNABではSmoke、Flame、Entertainment Creation Suite、Blackmagic Design社とのパートナーシップという4つの新たな展開があります。

去年のNABでMac用のSmokeをプロトタイプ的なものをプレリリーストライアルという形で無償で提供。使用者のフィードバックを求めました。これは全く新しい試みでしたが、ユーザーを取り巻く環境など作り方が変わってきているので、新しいトレンドに適合しているかどうか、それを確認するために思い切った方法をとりました。テクノロジーに対するバリアが低くなり、カメラやハイデフのビデオ、ストレージも非常に安く入手できるようになってきています。一方こうした機材や環境を利用して、CM制作を初めとした映像制作が盛んに行われるようになってきました。新たな市場が形成されてきているのです。

3Dのエフェクト、統合された環境、使い勝手の良い物、インタラクティブ、ハイパフォーマンス、高品質に対する要求など多岐に渡りますが、その声を反映してブラッシュアップしてきた結果、7つのバージョンが生まれました。今回のNABではSmoke SP3というバージョンですが、主にパフォーマンスとワークフローに関して強化されています。

すでに、4万人以上がトライアルソフトをダウンロードし、今まで当社の製品を使ったことのない人たちにも波及しました。新たな試みが成功し誇りに思います。今後当社の製品を使ってくれる新たなユーザーになるものと思います。

なお、Smokeのプレリリーストライアルを公開してから様々なご意見が寄せられました。そのなかの一つとしてBlackmagic Design社とのパートナーを組んでほしいという要望があったのです。今回のBlackmagic Design社とのパートナーシップはこうしたユーザーの声を反映したものです。

Flameはクライアントスーパービジョンのためのポストプロダクションツールで、20年間もの歴史のあるツールです。メディアの多様化によりメディア管理のワークフローが変わってきていることやビジュアルエフェクトも高度かつ複雑になってきたことから、20年を期に一新しました。

こうして生まれ変わったFlameは9月から発売されたわけですが、根本的な変更になりましたのでユーザーインターフェースなども一新されています。従来からのFlameユーザーも一から学び直さなくてはならなくなりました。しかしながら、時代に相応したリニューアルに以前より格段に良くなり以前のものを使えないという声もきいています。

Flameもユーザーの要望を取り入れ日々進化しています。9月発売されたものから今回のNABでは600もの新しいエンハンスの強化が図られており、2013年SP3というバージョンとなっています。

Entertainment Creation Suiteというのを数年前にだしましたが、今回最新版を発表しました。インターオペラビリティを考えながらワークフローを統一するなど、業界が非常に効率的なワークフローを求めていることからそうした機能の強化が図られています。Entertainment Creation Suiteは、Autodesk 3ds、Maya、Softimage、Mudbox、MotionBuilderが含まれたおり、効率的なワークフローを実現するための中心的な存在となっています。

――Smokeのプレリリーストライアルを公開してから様々な意見があったと思いますが、どの程度製品にユーザーの意見が反映されたのでしょうか。

貴重なご意見を沢山いただきました。皆さんには感謝しています。現状ほとんど取り入れていますが、将来取り入れるというという部分もあり最終的には皆さんが満足していただける製品にしたいと考えています。現在、編集の機能にご要望をいただいたのでそれを反映させようとしています。

Smokeの最新バージョンSP3

ユーザーの声を最大限に取り入れたSmokeの最新バージョンSP3

――大手のVFX会社の経営が行き詰まったり、倒産してしまうケースも有るようですが、このことに関してどうお考えでしょうか。

ゲーム関係ではTHQ、ビジュアルエフェクトではRhythm and Hues Studiosといった名門ともいえる会社が経営に行き詰まり倒産したり整理統合されていることは認識しており重く受け止めています。いま変革の最中と言えます。ビジュアルエフェクトも様々な地域に分散したり仕事のやり方が変わってきている時期です。大きな予算ベースのカスタマーは、生産性とか利益性とかに注目しているのでそれに合わせてワークフローとかオープンデータとかを提供しています。一つ言えることはこうした会社がなくなってしまうということは無いということです。アメリカでは以前航空会社の経営がうまく回らなくなり整理統合という時期がありましたが、飛行機を利用するユーザーがいる限り会社はなくならないということです。整理統合されつつも新たなマーケットも展開していくという方向に向かうでしょう。

同時に新しい市場が形成されていると思います。カジュアル・モバイルゲーミング、オンラインで提供するビデオなどです。

一つの例として5人の学生が作ったゲームをお見せしましょう。ローバジェット、ローリソースでも素晴らしいものができるという実例ですね。テクノロジーの進化はこうした新たな市場も生んでいます。これが急成長している業界です。

SmokeとFlameはこうした業界の状況を見据え、違った思想を持っています。Smokeは新しい市場に向けた広がりを、Flameはよりハイエンドな方向へということです。いずれにしてもユーザーからの要望をいかに迅速にうまく製品に反映させていくことが重要になると思います。

Autodesk 製作事例デモ

会場内に設けられたセミナーコーナーには、最新バージョンの新たな機能やそれらを駆使した作品の製作事例デモなどが連日開催された

同社では4月25日(木)14時から、独自のNAB2013のレポートをオンラインで配信。さらに、Smoke 2013のTips紹介も同セッションで行う予定。オンラインセミナーへの参加は無料だが、事前の登録申し込みが必要。参加登録やセミナー内容などの詳細は下記の案内ページより。
http://www.myautodesk.jp/M_E/webinar/smoke.html