注目のComputer Animation Festival (SIGGRAPH2012)が開催

SIGGRAPHは世界最大のコンピュータグラフィックスとインタラクティブ技術に関する学会・展示会である。通算、第39回となる SIGGRAPH2012が、2012年8月5日から9日の5日間、米国ロサンゼルスで始まった。今年は映画の街ロサンゼルスにて、毎日雲ひとつない晴天のもと、開催されている。会場となったのは、ロサンゼルスコンベンションセンター。大変巨大な会場である。マイケルジャクソンの “THIS IS IT” の収録現場になったステープルセンターの隣に位置する建物だ。今年も現地から、数回に分けて御届けしていこう!

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SIGGRAPH 2012 “Studio” のコーナー。各社提供の三次元プリンターやスキャン機材をもとに、その場で映像制作を試したり、楽しんだり、教わったりすることのできるコーナー

今年は一昨年に引き続きロサンゼルスでの開催となった。今年冬に開催される SIGGRAPH ASIA 2012はシンガポール、来年の SIGGRAPH 2013はアナハイム、2014年はカナダバンクーバーが予定されている。SIGGRAPHはコンピュータグラフィックスの学会であるが、近年では、CG(コンピュータグラフィックス)技術のみならず、CGを活用した映像作品や、インタラクティブ技術に関する研究も充実している。今年からは特にハプティック(触覚)やテキスタイル(素材)に関する研究カテゴリも追加され、より広い意味でのCG研究が盛んになってきた。

特にその中でも映像作品はComputer Animation Festivalの枠組みで、数多くの応募作品と良質の作品が会期中に上映され、参加者を魅了する。CAFと省略して呼ばれるSIGGRAPHの中のCGアニメーションに関するカテゴリ、Computer Animation Festivalは、今年のSIGGRAPHでは過去最大規模で開催される。世界43ヶ国から約600のエントリーがあり、その中から91作品が採択された。その中でも特に素晴らしい作品が毎夜開催される二時間にも及ぶ Electronic Theaterで上映される。

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SIGGRAPH 会場中のあちこちに設置されたホワイトボードテーブルとペン。SIGGRAPHへの想い?が書き込まれている。

今年は14のプロダクションセッションと呼ばれる最近の映画のメイキングに関する講演が予定されている。アベンジャー、アメイジングスパイダーマン、Men in Black 3、ホテルトランシルバニア、Hugo (邦題:ヒューゴの不思議な発明)、ピクサーの Brave (邦題:メリダとおそろしの森)、リアルスティール、バトルシップ、CGプロダクション Rhythm & Hues スタジオの25周年記念講演、ストップモーションアニメに関するセッションプロジェクタメーカーによる、超高速フレームレート技術に関するセッション他、多数のセッションが予定されている。

CAF全体の中では、良質の短編作品のシアター上映「Electronic Theater」、ゲームやWebグラフィックス等のリアルタイム映像デモ作品上映「Real-Time Live!」、テレビCMや映画の特殊効果を含め映像作品の上映「Daytime selects」が行われる。CAF (Computer Animation Festival) の今年の受賞者作は以下のとおりだ。

ちなみに、日本からは44作品の投稿があったが、そのうち採択されたのは3本という、超激戦区であった。

BEST IN SHOW AWARD:最優秀賞

タイトル:Reflexion
制作:PlanKton and Yoshimichi Tamura(フランス)

脚本のYoshimichi Tamura氏は、フランスの名門Gobelinsで学んだ後、Disney Studio,DreamWorks SKGを経て、現在フランスで活躍中の人物。映像はパリのファッション業界を描いたスタイリッシュな作品。

JURY AWARD:審査員特別賞

タイトル:How To Eat Your Apple
制作:Erick Oh

監督Erick Ohの描く、独特の世界。シュールで不思議な動きや、映像感覚を持った映像作品。Erick Ohは現在 Pixarで活躍中の人物で、Cars2やBraveの制作に関わっている。自身のオリジナル作品も数多くの受賞歴があり、監督本人のWebページから見ることができる。

WELL TOLD FABLE:寓話賞

タイトル:Rosette
制作:Romain Borrel, Gaël Falzowski, Benjamin Rabaste, and Vincent Tonelli, Supinfocom Arles

現在映像全編は未公開だが、監督個人のshowreelの一部で見ることができる

BEST STUDENT PROJECT PRIZE:学生奨励賞

タイトル:Estefan
制作:Jeffrey Call, Brigham Young University

現在映像自体は未公開だが、ストーリーボードがVimeoで見られる。[パスワードは、Jeffrey CallのWebページに書かれている]

txt:安藤幸央 構成:編集部


[SIGGRAPH2012] Vol.02

WRITER PROFILE

安藤幸央

安藤幸央

無類のデジタルガジェット好きである筆者が、SIGGRAPHをはじめ、 国内外の映像系イベントを独自の視点で紹介します。