ロッキー山脈の東山麓のデンバー地区では今年に入ってからの降雪は5日ないしは6日周期であって、TVニュースでの天気予報がその降雪タイミングを非常に正確に伝えています。しかしながら、例年の様な大雪や激しい風を伴う吹雪となることがなく、今のところ大変助かっています。

湿度を含んだ気団が北西のワシントン州の方から東に移って来て、ロッキー山脈にかかって雪を降らせて、その残りがデンバー地区に少量の降雪となる、といったパターンの繰り返しですが、ロッキー山中の方は例年の2倍程の累積降雪となって各スキー場は豊富な雪に恵まれたシーズンとなっています。

強風で屋根の軒に出来た雪庇
3月2日(日)の強風を伴った降雪で我が家の屋根の軒に出来た雪庇です。屋根の雪は強風で飛ばされてほとんど残っていません。軒下へ引き込んである線はComcast社のケーブルTVラインの同軸ケーブルです。

3月2日(日)には久し振りで北西からの強風を伴った降雪となって、家の屋根に積もった雪は吹き飛ばされてほとんど無くなっていますが、我が家の屋根の端には吹き飛ばされた雪と氷で雪庇が久し振りで出来ました。

翌日の月曜日には天候が回復して快晴となり華氏54度(摂氏28.3度)とこの時期には異常な暖かさとなって道路の雪は消えてしまいましたが、雪かきで積み上げた雪は凍結して残ったままになっています。

「春は名のみの風の寒さよ~」といった雰囲気ですが、例年3月が最も降雪量が多いデンバー地区なので、まだまだこのまま暖かくなってしまうと言う事は無いと思われますが、日差しが強くなってくるのを感じる此の頃です。

StorageTek社の跡地を石油メジャーのConocoPhilips社が買収

ConocoPhilips社が買収したStorageTek社
跡地この様な大きな建物が全部で9棟在り、それぞれ非常に広い駐車場がそれぞれの建物に付いています。 Louisvilleの町に在ります。

大型テープドライブシステムの老舗名門であったStorageTek社はデンバー市からボールダーの町へと向かうハイウエイ36号線沿いのLouisvilleの町へ432エーカー(52.9万坪)という広大な敷地に大きな建物を数多く有して、オフィス、研究開発棟、製造棟、倉庫などからなる一大キャンパスを構成して操業していましたが、時代の流れで業績が徐々に低下して来て、2005年にサンマイクロシステムズ社に買収されて其の従業員、事業ごと買収吸収されました。

サンマイクロシステムズ社はシリコンバレーに本社事業所を持っていますが、5年程前にこのLouisvilleのStorageTek社の敷地と36号線を挟んで反対側に在るFlatiron Tech Centerの中心に3000名の従業員数の事業所を開設して操業しています。

今回、そのStorageTek社のキャンパスの広大な土地と建物を購入する企業が現れた、と言う情報が1月下旬に流れて地元の人達の間では「何処の企業だろう?」と言う事で注目の的になっていました。

何せ大変広大な土地、建物なので、かなりの大企業に違いない、と言う事から当初「Google社ではないか?」と言う噂が立ちましたが、eBay, Appleなどという事になって、やがて「マイクロソフト社に違いない。」と言う話になり、其の時マイクロソフト社がYahoo社の買収を持ちかけている、と言うニュースから真実味を帯びていました。

しかしながら、マイクロソフトの役員から、その話を否定するコメントが有って「さて、誰なのだろう?」と言う事になって地元の一大関心事となっていました。

StorageTek社跡地
全部で9棟からなるキャンパスですが、建物には窓が全く無く全部平屋のセントラルエアコンとなっています。

そもそも、このStorageTek社の跡地の買収交渉に当たっていた会社は買収する側で買収担当会社ST Acquisitions LLCという組織を設けて買収主を全く明らかにしないで交渉して来た事からこんな事になったのですが、この買収が成立して2月20日にコロラド州知事のBill Ritter氏が買収主から連絡が有った、と言う事でプレスミーティングの席で「石油メージャーの一つのConocoPhilips社が買収して将来のクリーンエネルギーの時代を目指して、この場所に研究所とアメリカ国内を含む世界各地からの従業員の研修を行うセンターを設立するのだ。」と言う事が報告されました。

土地建物の買収自体はConocoPhilipsがSun Microsystemsから5850万ドルで今年1月末に購入しており、まだ推測の段階ですが、この場所にConocoPhilipsとしてはStorageTek社が使用していた大きな建物9棟の殆どを解体して新たに建物を2011年又は2012年に完成の予定で同社のGlobal Technology CenterとGlobal Training Centerとからなるキャンパスを構築する計画となっているところまではハッキリしました。

Sun Microsystems社のBloomfieldキャンパス
StorageTek社の跡地とはデンバーからボールダーの町とをつなぐハイウエイ36号線を挟んで反対側に在るInterlocken TechnoPark内にこの様な大きな2階建てと3階建ての建物が全部で6棟からなるキャンパスです。各建物の周囲は広い駐車場となっています。

このキャンパスが完成すると一社のキャンパスとしては最も大きなワシントン州Redmondに在るマイクロソフト社のキャンパスを凌ぐものとなり、1万人規模の従業員が活動し、全世界から技術トレーニングを受ける為に同社の従業員達が集まりエネルギーに関する最新技術の訓練を受ける事になります。

Metro Denver Economic Development社ではこのキャンパスの計画がデンバー地区に及ぼす経済波及効果について試算してそのインフラを含めて新たに18000人分の仕事を産み出し、年間17億ドルの経済効果をもたらすと予測しています。

もともと、ConocoPhilips社は石油メジャーのConoco社とPhilips社とが合併して出来た会社ですが。その本社をテキサス州のヒューストンに持っています。

Conoco社は以前はContinental Oil Corporationと言う会社名で1870年代にデンバーに本社を持って操業していました。

現在、同社はデンバーの北東に接しているCommerce Cityに巨大なガソリンの貯蔵基地を有しており、600名の従業員が働いています。

そして、現在コロラドで天然ガスの採掘がもっとも盛んなロッキー山脈西山麓のGarfield郡では石油及び天然ガスの掘削を行っており、更にコロラドとテキサス州北部の油田地帯とを繋ぐパイプラインの運用、管理を行っています。

今年始めからの大きなビジネスの話題で地元デンバー地区では期待が膨らむばかりとなっています。

デンマークの風力発電システム会社のタービンブレード製造工場がコロラドにオープン

デンマークの風力発電システムのメーカーとして有名なVesta Wind System社の風車の羽を製造する工場がデンバーの北へ60マイル(96.5km)ほどハイウエイ25号線を行った所にあるWindsorの町へオープンしました。

この工場は北米では同社の風車の羽の製造としては初めての施設で、現在既に200名の従業員で操業をしており、最初の羽の製造出荷を今年の1月31日に行っていますが、3月5日に公式な開所式が行われました。

今年の夏迄にはフル操業となるスケジュールでその時点には総計650名の従業員の事業所となる計画で、年間1800枚の生産を行う予定となっています。

Vestas Wind System社自体は既に33,500枚の羽の製造出荷を世界の63カ国へ行っている実績が有り、カナダとアメリカへは9,400枚を今迄に納入していますが、 現在同社の総従業員数は世界に15,000名となっています。

この風車は1基につき3枚構成で組み立てられ、1.65メガワットと3メガワットの2種類の発電機に対応しています。

3メガワットの発電電力はアメリカの家庭の1000軒分以上の消費電力を賄う事が出来るもので、一枚の羽の重量が約6トンでその長さは130フィート(39.6m)のものと144フィート(43.9m)の2種類があります。

この北米で初めての同社の製造工場を建設するにあたってコロラドを選択した理由をVestasでは次の様に説明しています。

  • 地元の自治体の理解が有り協力が得られた事。
  • 能力のある従業員を雇用出来る事。
  • 北米での需要地への納入運搬に地理的に適している事。

この工場の建設費は総額で6500万ドルで、地元自治体からの資金援助400万ドルと事業税控除の額110万ドルとがオファーされています。

コロラド州知事のBill Ritter氏はその政策として「New Energy Economy」を掲げており、特に風力発電、太陽光発電、自動車用バイオエタノール燃料の各エネルギー源の事業化推進に力を入れており、州として今回のVestas社のWindsor工場のオープンは大歓迎としています。

また、今回の開所式に合わせてその場で同社の顧客から新たな注文109枚が入っていると言う事が報告されています。

ちなみに、コロラドにはボールダーの町の南にNational Wind Technology Center(国立風力技術センター)と言う研究所があって風力発電システムの研究開発や実地テストを行っており、メーカーからの依頼を受けて風車の羽の効率テストを行っています。

更にデンバーの西のGoldenの町にあるNational Renewable Energy Laboratoryでの主要研究テーマの一つは風力発電となっています。 更には、コロラドの主要電力会社であるXcel Energy社はその風力発電に力を入れており、まだ全体の発電供給量からするとわずかな比率ですが州内に3カ所の風力発電基地を有して操業しています。

デジタルTVに関する調査統計数字いろいろ

「何でも統計」のアメリカですが、デジタルTVについて発表されている最近の調査結果の数字を以下に並べてみました。

  • 米民生電子工業会(Consumer Electronics Association)によると、2007年末現在でのアメリカの家庭の約50%はデジタルTVセットを既に所有している。
  • アメリカ商務省によると、地上波デジタルTV放送を従来のアナログTVセットで見る為のコンバーターボックスの補助クーポンのオファーが始まってから4日間で100万軒以上の家庭から190万枚のクーポンの取得申請が出されている。
  • 2007年11月にアメリカの消費者1000名を対象としたCable&Telecommunications Association for Marketingが行ったデジタルTV放送への移行の認識度調査の結果によると,

    -2005年7月に行った調査の時は29%の人達が認識していたが、2007年11月の調査時には48%の人達が認識している。

  • 受信メデイア別の視聴者の認識度は、
ブロードバンドサービスの視聴者 45%
デジタルケーブルTVの視聴者 40%
アナログケーブルTVの視聴者 39%
TVを全然視聴していない層 31%
  • デジタルTVへの移行の情報は何から得たか?
TV放送から知った 38%
新聞から知った 26%
家族や友人から聞いて知った 20%
  • The NPD Groupの調査結果によるとアメリカでのAV家電の商品別2007年の売上げ金額の伸び(前年比)と商品別の平均売価に付いては下記の様になっている。
順位 商品カテゴリー 売上げ金額の伸び 平均売価
1位 GPSシステム 237% $189
2位 デジタル額縁 171% $67
3位 LCDTVセット 79% $642
4位 カメラアクセサリー 44% $25
5位 デジタルカムコーダー 33% $655

GPSシステムの昨年の売上げは前年比で大幅な伸びを示していますが、そのユーザーの2/3はそのシステムに何か問題が生じているとしていますが、それでもユーザーの全体の95%はその性能に満足している、としています。

  • Wall Street Journal紙に載った調査会社DisplaySearch社の調査統計によると、全米のフラットパネルTVセットの売上げ台数は2006年には前年比で大幅な伸びを示したのですが、2007年では約3500万台で2.9%の減少となっています。早くもフラットパネルTVセットの時代はアメリカ市場ではそのピークを越えたと言う事でしょうか?地上波TV放送の全面デジタル移行期限を前にして今年の売上げ台数に注目です。
  • FCCのWebに3月3日(月)に載った記事ですが、「アメリカのTV放送業者やケーブルTV会社では来年のデジタルTVへの全面移行の事についてその視聴者に知らせなくてはいけない。」と言う法律が連邦議会を通過したとしています。各商用TV放送局はFCCが定めた計画に従って「1日に少なくとも12回の説明アナウンスを行わなくてはいけない。」と言う事と、それとは別にTV放送業者団体が提案している「1週間に16回以上のアナウンスを行う」という案に固執するか、どちらかにしなくてはならない事となる、としています。

フォトギャラリー

StorageTek社敷地の中の道しるべ
広大な敷地内を2本の道路が走っています。2本の道路の交差点に建てられている道しるべ標識です。StorageTek社の事業にちなんで、Tape DriveとDisk Driveというそれぞれの道路名が付けられています。
Sun Microsystems社のBloomfieldキャンパス
別の角度から見たキャンパスの様子です。
Bloomfieldキャンパスの2号棟の玄関口
2号棟の入り口の様子です。

あとがき

アメリカでは「Daylight Saving Time」と言って、日本で言う「夏時間」ですが、期日を決めて時計の針を1時間進める事が毎年行われています。

昨年は従来の実施日についてエネルギー節減の見地から連邦議会で新たな法律が成立して、その開始期日が3週間早まり、終了日が1週間遅らせる事になり実施されました。

年間で4週間、約1ヶ月夏時間を伸ばして実施したのですが、いったいこれによって全米でどのくらいエネルギー節約が出来たか今のところまだ政府機関からの報告は為されていません。

今年も夏時間のスタートは昨年同様従来より3週間繰り上げて3月9日(日)の未明から時間が変わります。

コロラドでは3月9日(日)の午前2時を期して1時間時計の針を進めるので、それまで日本との時差は16時間だったのが、コロラドが日本より15時間の遅れとなります。

就業時間が一般的には朝9時から夕方5時と言うのは日本の場合と一緒ですが、フレックスタイム制を多くの職場がとっているので朝6時から働いている人が大勢にのぼっている事から、夏時間になると暗いうちから通勤の車で道路が混雑する状況です。そして、午後3時を過ぎると早くも帰宅する車で混雑が始まると言う環境です。

夏時間によって全米でのエネルギー節約が大幅に出来るとすれば石油の大幅値上がりの折から大変重要な事ですが、それよりも日の出が早くなって来ると血の気が多くて血圧の高い人が多勢の朝寝坊をしていられない人が多いアメリカ人に合わせた制度の様な気がします。

今年もこのDaylight Saving Timeの実施にクレームを付ける人も無く習慣としてスムースに移行するアメリカです。

WRITER PROFILE

萩原正喜

米国コロラド州から、米国のデジタル放送事情からコロラドの日常まで多岐に渡るコラムをお届けします。