コロラドでは、この夏は近年にない湿度の高い気候となっています。

特に6月、7月にはロッキー山脈の東山麓の平野部では連日のように午後3時から4時頃にかけて雹などを伴う激しい夕立に見舞われ、その降雨量としては非常に多く翌日快晴となっても湿度が抜ける前にまた降雨がある、ということでコロラドでは珍しい非常に高湿度な夏の様子となっています。

こうした異常とも思える高湿度の影響で、小麦栽培を行っている農場では今年の冬播き小麦の単位面積あたりの収穫が例年の2倍以上となる高収穫となっています。

コロラド州としての総生産量としては8900万ブッシェルと推定されており全米の州別の小麦収穫量としては1位のカンサス州、2位のワシントン州に続いてコロラドが3位となる高い収穫量となっています。

1ブッシェル…約27.2kg(小麦の場合)

今までコロラド州は全米の5位か6位に位置していてそれ以上の順位となったことが無かったのですが、今年は良作な畑では1エーカー当たり60から70ブッシェルの収穫量となって通常の10年間の平均収穫値が1エーカー当たり30ブッシェルと言うことですから、2倍以上の大豊作となった、と言えます。

1エーカー…約0.4ha

豊作の時は市場での買い取り価格が下がるので農家の収入としてはそれほど多くの収入とならないのですが、今までで一番の売り上げを記録した2007年の5億4900万ドルと言う記録に次ぐ5億600万ドルのコロラド州の冬播き小麦の売り上げとなっています。

各農家では今年は1ブッシェル当たり5.70ドルの価格で取引されていますが、昨年の1ブッシェル当たり6.45ドルには及ばないものの最近10年間の平均が1ブッシェル当たり3.83ドルであったのに比較して大幅な高い収入となっています。

しかしながら、各農家ではトラクターなどの農業機械の燃料が高くなっており、また、肥料や殺虫剤などの農薬の価格も高くなってきていることから、大豊作と言っても喜んでばかりはいられない、といった状況です。

コロラド州産の小麦の販売先としては、全体の約80%がヨーロッパやアジアの国々へ輸出されていますが、残りの約20%はデンバーの北に隣接しているCommerce Cityやさらにその北に在るPlattevilleの製粉工場で小麦粉となって、パンなどに加工使用されています。

日本への輸出が最も多い牛肉同様コロラド産の小麦が日本の皆さんの家庭の食卓に載っているかもしれません。

飛び道具社会のアメリカ

アメリカ社会での最大の悩みの種として、あまりにも数多くの銃が世の中に出回っていて、自分の身を守ると言う銃所有の建前が、ともすると犯罪行為に使用される事が多く見かけられます。

最近のコロラドでの銃に関する事をいくつか以下に紹介して皆さんのご参考に供したいと思います。

銃砲の拡販展示会Gun Showの看板:
例年この時期にはアメリカの各主要都市で順次銃砲の展示および商取引の場となるガンショーが開催されています。

秋の狩猟シーズンを前に販売戦略を準備するためにこの時期に開催されるのですが、写真はデンバーのダウンタウンの道路沿いにある大型看板に掲示されたガンショーの案内です。

今年のデンバー地区でのガンショーは7月11日(土)、12日(日)の2日間オローラ市の南東の外れに在るアラパホ郡の市民広場で開催されました。

各地でガンショーが順次開催されている中にあって、ワシントンDCでは「普通の人が国立公園の敷地内では弾丸を実装した拳銃を隠し持つ(Conceald Weaponと呼んでいます。)ことを許すと言う法案が連邦議会を通過して、オバマ大統領がサインして法律として成立しました。

この法律の主旨は;

  • 国立公園内ではあまりにも広大な敷地であるために犯罪に対する警備が行き届かないので「自分の身は自分で護る」と言う事を優先する。
  • 国立公園内にはマウンテインライオンを始め熊やオオカミなどの危険な動物が多く棲息しており、それらからの攻撃に対して「自分の身は自分で護る」ことを優先する。

と言った事が主目的となっています。

西部開拓の時代より「自分の身は自分が護る」と言う事が当たり前となっていたためにその道具として銃砲の所持や使用が日常的となっていたアメリカですが、現代になってもアメリカでの銃の普及が広まって、その総数は全体の人口に匹敵する程となっている現在の状況、と言われています。

ちょうど各地でガンショーが各地で開催されている時でもありましたので、今回のConcealed Weapon法律は国立公園の敷地内に限定されるとはいえ銃砲を販売している側を活気づかせる事になる、と言う事で銃砲規制推進側からの強い反対が有ったにもかかわらず法律は成立してしまいました。

オローラ市内に在るガンショップFiring-Line:
我が家の近くに在る銃の販売を行っている店Firing-Lineです。この建物の1階はガンショップでいろいろな銃とその実弾の展示販売を行っています。また、地下室は広い銃の実弾射撃練習場となっていて、18才以上の誰でも教官が付いて実弾での射撃訓練を行えるようになっています。

このFiring-Line店では、コロラドで最大の銃の商品在庫と販売を行っている、としており、銃を購入するのに必要な資格証明の取得手続きやその取り扱い指導も行っています。こんなに身近で銃の入手や実弾射撃練習が行えるのは日本から来た私にとっては一つのショックでした。


トレーラーハウス村に現れたマウンテインライオン

オローラ市から東へ国道70号線ハイウエーを30マイル(48km)ほど行ったところに在るトレーラーハウス村については以前このレポートで写真入りで紹介しましたが、8月9日(日)の午前10時半頃にこのトレーラーハウスの集合住宅地でマウンテインライオン(Cougar)が徘徊しているのが発見されましたが、その発見者がこのマウンテインライオンが物置小屋に餌を探しに入ったところを素早く入り口の扉を閉めて閉じ込める事に成功しました。

Arapahoe郡の警察の係員と州の野生動物係のメンバーが知らせを受けてやって来て、小屋の中にいるマウンテインライオンに麻酔薬の入った銃で射撃して眠らせて確保しました。

このマウンテインライオンは体重が約65ポンド(約30kg)のメスで約1才半の若いまだ小型なものでいたが、幸い住民には何の被害も無く一件落着となりました。 通常、ロッキー山脈の山麓の村などで見かける事が多いのですが、どうしてこの山麓地域から遠く離れているこのトレーラー村にやって来たのか不明です。

また、マウンテインライオンはロッキー山中では多く見かける動物で熊やオオカミとともに人畜に被害を与えるので要注意動物となっています。

こんなニュースが伝わると「自分の身は自分で護る」為に銃の所持携帯は必要だ、とする声にも納得性があります。

銃撃戦となって警察官1名が死亡、2名が重傷

7月26日(日)の午後8時半頃にロッキー山脈の西山麓の町Montroseの一軒の家から家庭内暴力の電話連絡による通報が地元警察に入って、警察官3人が直ちに現場へ急行しましたが、その家に住んでいる男が警察の車が駆けつけたのを見て、その家のガレージの中からロックをかけて立てこもり、外に向かって銃の乱射を始めるという事件が発生しました。

不幸な事に警察官3人のうちの一名がその銃弾を受けて死亡し、残りの2名は重傷を負って救急車で病院へ送られるという事態となってしまいました。

結局犯人はガレージの中で銃弾により死亡したのですが、それが警察官が発砲したものか、または当人が自殺する為に撃ったものか現在調査中です。

この様にコロラドでは日本と違って何か事件が起ると銃が介在する事が多く、対応する警察官も命がけです。

以下、厳しい統計数字ですが;

  • 2005年から現在までに犯罪により殺されたコロラドの警察官の人数は12名にのぼります。
  • アメリカ全体では53時間に一人の割合で犯罪により警察官が亡くなっています。
  • 2008年にアメリカ全体では133名の警察官が犯罪対応で亡くなっています。
  • 上記の133名のうち73名の警察官は銃撃戦で亡くなっています。
  • 全米で58664名の警察官がこうした銃に関わる事件に巻き込まれており、そのうちの16695名が殺傷されています。
  • コロラド州内では、1861年から現在までに247名の警察官が犯罪の対応で亡くなっており、そのうちの152名が銃弾を受けて亡くなっています。
ガンショップFiring-Line店の新聞広告切り抜き:
今年の4月初めの地元新聞に載ったFiring-Lineの新聞広告の切り抜きです。有名ブランドの拳銃やライフル銃が従業員特別価格で購入出来るいう売り出し広告となっています。また、NRA (National Rifle Association:全米ライフル協会)の承認を得ている銃砲の取り扱い指導のクラス開講案内も出ています。拳銃メーカーとして有名なSmith & Wesson社の指導員がやって来て同社の新型拳銃の実弾射撃のデモを行う、としています。

銃があまりにも多く出回っている為に犯罪事件に銃が関与する事が多く、対処する警察官も命懸けですので、犯人が少しでも怪しい素振りを見せると直ちに発砲してしまう、という事で、犯人が警官に撃たれて死亡すると言う事件も多く発生しており、その発砲した警察官の処置が正当であったかどうか、と言う事が事件が片付いてから審議されるケースが多々あります。

また、一旦発砲事件が発生すると、いわゆるSWATチームの部隊が出動すると言う事も多々有ります。


車で逃げ回った後警察官に射撃されて犯人は死亡

8月10日(月)の明け方午前2時45分頃にデンバーからはるか北のLongmontの町で一人の男が挙動不審で警察のパトロールカーに追跡され20分間にわたって逃げ回ると言う事件が発生し、3台のパトロールカーに追い込まれて停止しましたが、車の中から銃を振りかざしているので警察官が武器を捨てるように声をかけましたが対応しないので、警察官が発砲してその犯人が死亡するという事件が起きています。

以上、身近で起きている銃に関する最近の状況を紹介しましたが、コロラドでは、しばらく前にデンバーの南のLittletonに在るコロンバイン高校でその高校の生徒2名による銃の乱射で先生と生徒合計11名が亡くなると言う事件を経験していますが、基本的には出回っている銃の数が多すぎると言う事と銃が容易に入手出来ると言う事に尽きると思われますが、「21世紀の刀狩り」でも行わぬ限りこうした問題は少なくならないと言う気がします。

もう少しするとアメリカの国立公園を訪れる観光客は防弾チョッキを着用して見物する、と言った事になりかねない感じがします。

だいぶ以前に日本から来ていた留学生の服部君がハロウイーンの晩に悪魔のお面をかぶって友人の家と思って間違って他の人の家の窓から驚かそうとしていたときにその家の奥さんが銃で発砲して亡くなると言う事がこうした銃の問題を見てみるときに忘れられない事件となっています。

発砲した奥さんは結局裁判で無罪となって、当時服部君が家を間違った、と言う事や奥さんが「Freeze」と叫んだのにその意味が服部君に分からなかった、といった事が話題になっていましたが、根本はそこに銃が容易に発射出来るようになって有ったと言う事が日本の若人の一人を死に至らしめた、と言う事だと思います。

あとがき

デンバー地区では7月30日(木)の最低気温は夜半に華氏64度(摂氏17.8度)を記録し、1925年に記録した最低気温華氏66度(摂氏18.9度)の数字を更新し、夏の最低気温の最低記録となりました。

地球の温暖化の為ではないか?と思わされる気象状況が最近多く経験するような気がします。

いよいよ夏の真っ盛りです。皆さん体調管理に心がけ暑さに負けずに乗り切りましょう。

WRITER PROFILE

萩原正喜

米国コロラド州から、米国のデジタル放送事情からコロラドの日常まで多岐に渡るコラムをお届けします。