雑誌「Center for Digital Government and Digital Community」の2009年の 「Advanced Digital Cities」ランキングで私の住んでいるオローラ市が6年間継続してトップクラスにランクされています。今年のランキングではオローラ市は人口25万以上の都市のカテゴリーでケンタッキー州のLouisevilleと並んで3位となっています。

このランキングの判定は特に都市行政に於けるIT技術の適用レベルを主にチェックしており、行政サービスがその活用で市民にどのように波及しているかを調べて全米の各都市について順位付けをするもので、11月12日にテキサス州のSan Antonioで開催された「National League of Cities」コンベンシヨンでオローラ市のIT技術担当者たちが表彰されました。

普段オローラ市に住んでいて、あまりIT技術を活用したサービスを受けているとは感じられませんが、水や空気と同じで日常的には気がつきませんが不足してくるとその有り難みが切実に分かる、市の行政サービスとはそうしたものかもしれません。

ところで、オローラ市の水道はオローラ市が供給していますが、最近行われた 「Rocky Mountain Section of the American Water Works Association」のロッキー山脈沿いのワイオミング州、コロラド州、ニューメキシコ州の各都市の「水道水の味比べコンテスト」でオローラ市の水道水が首位となり2010年6月にシカゴで行われるAmerican Water Works Associationの年次総会で行われる「Best of the Best Tast Test」コンテストへロッキー山脈地区の代表として出場する事となりました。

今回のコンテストは水の味専門家や報道関係者などの5名の判定員からなる評価チームによりロッキー山脈沿いの各都市の水道水について外観、臭い、味などについてのオーバーオールの評価を行い、どの水が一番良い味か、を判定しました。

オローラ市水道局の責任者のMark Pifherさんがこの結果を受けて「我々は400名以上の職員たちでわれわれの市民へ最高の水道水を供給しようと日夜努力しています。 今回の結果はこの職員たちの努力が評価されたのだと思います。」とコメントしています。

市行政がITの有効活用でうまくいっていて、水道の味が良い、と言う事はその恩恵を受けている市民として幸せと思わないといけないのかもしれません。

ロッキー山系の雪解け水を利用している3つの州の各都市の水道水の味比べコンテストでトップになったオローラ市の水道の主要施設について見てみました。

私の住んでいるオローラ市の水道水はデンバー市内を流れるSouth Platte Riverの源流およびその2つの支流の水を集めて利用しています。いずれもロッキー山脈の分水嶺から流れ出している川で、冬の間に降る雪の雪解け水が主体ですので山中には大きな貯水池(Reservoir)が何カ所か設けられており順次下流の貯水池へと流して行く方法がとられています。

また、水不足の緊急時の為にコロラドの南東へ流れているArkansas Riverの上流から地下に埋められたパイプライン(Homestake Pipeline)でSouth Platte Riverの上流に在るSpinney Mountain Reservoirへと接続されています。

山麓に造られた広大な塞き止め湖Strontia Springs Reservoirから以降は地下に埋設されたパイプライン(Rampart Pipeline)でRampart ReservoirそしてQuincy Resevoirとつないで、最終的に大きなAurora Reservoirへと導かれて来ます。

Quincy Reservoirは比較的小さな貯水池でその脇には水処理場が設けられていて一部オローラ市内へ供給していますが、主力はAurora Reservoirでここから何カ所かの設けられている水処理場を経由して我々の家庭へと供給されています。

オローラ市民の水瓶Aurora Reservoir

オローラ貯水池の入り口の看板です。オローラ市の南東の端に有って,此処は既に市内でなくアラパホ郡の一部ですが、この一帯は広大なコロラド州の所有地となっていて、オローラ貯水池を含めてArapahoe Parkという公園(State Recreation Area)となっています。

道路の向こう側にはるかに見えるのは雪を頂いたロッキー山脈の峰峰です。


Aurora Reservoirの在る州の所有地

はるか先の窪地に広い貯水池が有りますがたどりつくまでにかなり車で走ります。急増する市の人口で需要が増加していますので、新しい水処理施設と巨大な貯水タンクが建設中でした。


Aurora Reservoirの岸辺

やっとオローラ貯水池へ着きました。

貯水池は左へ大きく広がっていますが、この辺りは夏には大勢の人達でにぎわうリクリエーシヨンの中心場所です。


Aurora Reservoirの様子

あまりにも広いのでオローラ貯水池の全景がカメラに納まりません。

11月下旬と言う事でひっそりとしていましたが、水鳥が何羽か水面を泳いでいるだけです。


Aurora Reservoirのボート引き込み場

貯水池の南西の端のこの辺一帯はトラックで牽引されたボートやヨットをここで切り離して水に引き込む場所となっています。

先に見える建物はリクリエーシヨンセンターです。


Aurora Reservoirのボート引き込み場の看板

この辺一帯の岸辺は砂浜となっていますが、「Boat Launch Area」の注意書き看板が立っています。


オローラ市の水道局の水処理場

オローラ市の南西の端に在る「Thomas J. Griswold」水処理場です。

オローラ市の水道水はAurora Reservoirからパイプでこの水処理場へ導かれて、ここでフィルタリングされてからポンプで圧力をかけられてオローラ市の各地区へと水道管で供給されます。


オローラ市水道局の水処理場の正門

水処理場の正門ゲートです。広い敷地の中に水処理のいろいろな施設があります。


オローラ市水道局の水処理場の建物

水処理場の正門ゲートから見られる建物です。

「訪問者はここで停止して、インターフォンで連絡をしなくてはいけません。」と言う注意看板と、「携帯用の飲み水の持ち込みは禁止です。」と言う注意書きが見られます。水道は市民の安全面での重要なものという意識が感じられます。


金の高値継続の折りNewmont社の新金鉱山が操業開始

先のこの「コロラド紀行」で紹介しましたが、デンバーの南のGreenwood Villegeに本社を持つ全米最大の金鉱山会社Newmont社の発表によると、かねてより準備を進めていたオーストラリアのBoddington鉱山での採掘作業がスタートしたとしています。

この鉱山は計画では2010年にフル操業となり、最初の5年間に500万トロイオンスの金を採掘して、24年間の採掘期間を有しているとされています。 フル操業に達するとオーストラリアでは最大の金鉱山となる予定です。

一方、金の市場取引価格はニューヨーク市場で11月13日(金)の終値で1トロイオンス当たり1116.70ドルという高値で引けて、その後も高値が継続しています。

かつて、1トロイオンス当たり1000ドルという価格を2008年3月に付けましたが、直ぐにその後買いが入って下がると言う事で何かトリガーがかかって一時的に高値を付けても長続きすると言う事が今まで有りませんでした。 しかしながら、今回は今月に入って7%も値上がりし、昨年と比べると26%の価格上昇となったまま継続しています。

市場分析者の見解としては、この高値継続の原因はアメリカでの金利がかつてない低い政策がとられており、米ドルの為替レートが安いままになっている事から「弱いドル」と云う事で金の買いが集まっている事がその継続をさせている、としています。

アメリカでの低金利政策が終わるまでは高い金価格が続くと言う事ですが、今後の金価格がどう変化して行くか興味が持たれます。高値が続く限りNewmont社はハッピーと言う事と思えます。

あとがき

先のこのレポートでTV放送全米ネットワークのNBC社の過半数の株式をケーブルTVで全米首位のComcast社が買収を計画している事を報告しましたが、その後の関係先の調査でその実現までには少々時間がかかる様子と伝えています。

NBC Universal社の80%の株式保有のGE (General Electric) 社が、やはりNBCの株主であるVivendi SA 社から20%の株式を購入してから自社の所有している株式と合わせて51%分を50億ドルから70億ドルの現金決済でComcast社へ売却する事に計画されています。

その後、GE とComcast社はジョイントベンチャーとしてNBC Universal社のE! やStyleチャンネルをケーブルのネットワークへ組み入れて行く事となっています。

このジョイントベンチャーの仕組みをオファーする事からGE社側ではComcastの買い取り価格を総額150億ドルに増額する事を希望しています。

この買収が成立すると新しいNBC Universal社は8億ドルから10億ドルの負債を抱えてComcast社の過半数株式所有のもと経営される事となります。

一方、この買収取引はVivandi SA社がまずその持ち株をGE社へ売却する事が前提となっていますが、Vivandi 社の役員は11月15日(木)にスペインのマドリードで行われた同社の株主の会合で「急いで年内にNBC Universalの株を売却する必要はないのではないか。」と発言しており、今回の取引確定までには少し時間がかかりそうだと見られています。

ところで、Comcast社のこの第3四半期7月?9月の業績が発表されて、売り上げ金額は昨年同期と比べて3%上昇して88億ドルとなり、利益は昨年同期比で22%増加して9億4400万ドルとなったと報告されています。

ケーブルTV放送、電話サービス、インターネットの3つのサービスを組み合わせたグレードアップ宣伝の効果、そして投資利益、税率の低下などがこの業績に寄与したとしています。

Comcast社の歴史

1963年にRalph Robertsさんは今までやっていた「ベルトとサスペンダーの店」(バンドとズボン吊りの販売店)を売却して何か新しいベンチャーを始めようと物色していましたが、American Cable Systemsと言う会社を見つけて買収しました。この会社はTV放送電波の難視聴地域へ大きなアンテナを建ててケーブルで各家庭へ配信すると言うビジネスをしており、当時1200軒の視聴者を得て1軒あたり5ドルの月額料金で営業していました。

現在Ralphさんは89才ですが、彼の息子のBrian Robertsさんが現在のComcast社のChairmanでCEOをやっており、この親子の名コンビでケーブル事業の推進に当たって来て同社の業績を伸ばして来ました。

1969年に類似のケーブル事業をやっている会社を数社吸収合併してペンシルバニア州のフィラデルフィアに本社を設けて、Comcastと社名を付けています。

Comcastの名称は「Communication and Broadcast」の略で、息子のBrianさんが1990年に社長に指名されて以降その事業拡大に積極的な経営戦略がとられて2002年にはAT&T社のケーブルTV部門であったAT&T Broadband社を買収して全米一の規模のケーブルTV会社となっています。現在Comcast社は2400万軒のサブスクライバーを有して全米の39州およびワシントンDCに配信サービスを行っています。

今年にはComcast社はインターネットサービスプロバイダーとして全米最大の規模となっており、また電話事業では全米で3位の規模となっています。

また、スポーツ面ではプロバスケットボールのチームPhiladelphia 76ersおよびプロアイスホッケーのチームPhiladelphia Flyersのオーナー会社となっており、映画のMGM (Metro Goldwyn Mayer)社の主要株主にもなっています。

さらにケーブルネットワークとしてのE! EntertainmentやStyle, Versus, そしてThe Golf Channelなどを買収や新設で所有しており、今度のNBC Universal社の買収に成功すると、全米最大のHome Entertainment会社となります。

Robertsファミリーが所有しているComcast社の株式は全体の4%で投票権としては3番目の株主となっています。

WRITER PROFILE

萩原正喜

米国コロラド州から、米国のデジタル放送事情からコロラドの日常まで多岐に渡るコラムをお届けします。