9月22日(水)は立秋ですが、アメリカでは「First Day of Autumn」と呼んで暦の上で秋の季節の始まりの日と言う事になっています。

9月下旬に入り、コロラドではすっかり秋の様相ですが、それでも地球温暖化の為か、今年の夏の名残か、9月19日(日)のデンバー地区での最高気温は華氏で96度(摂氏35.6度)となり1980年に記録した華氏93度(摂氏33.9度)を越えて新記録の暑さとなりました。

また、続いて翌日の9月20日(月)には日中の最高気温が華氏93度(摂氏33.9度)となって1956年に記録した華氏92度(摂氏33.3度)を越し2日連続の新記録となっています。

一方、こうした暑い両日ともに湿度の方は相対湿度5%から15%の範囲と非常に乾燥しており、コロラド全般に森林火災の発生について警戒警報で、既にデンバーの北西の町Boulderのロッキー山脈の麓に沿った地域で森林火災が発生して大型のタンカー航空機による散水消化が激しく行われましたが、大規模な焼失面積となり住宅も何軒かが焼失してBoulderの町の山沿いの地区には住民への避難警報が発令されました。

ところで、例年デンバー地区では9月に入ると何時初降雪があっても不思議でない気象環境にありますが、過去の記録では9月に入っての最初の降雪の最も早い記録は1961年の9月3日となっていて、最も遅かった最初の降雪は1934年11月21日の記録となっています。

平均的にはデンバー地区での初雪を見るのは10月19日となっていますが、昨年は9月21日にデンバーから南西に向かう国道285号線沿いの町Coniferでの10インチ(25.4cm)の初降雪でした。ロッキー山脈中のアスペンツリーの黄葉の知らせとともに秋の深まりが急速に進む最近のコロラドです。

デンバー国際空港での新規拡張建設工事

デンバー国際空港は、それ迄使われていたStapleton空港に代って新たな最新鋭の主要空港として、今から約25年前にその建設計画の立案が始まり、1989年11月22日に起工式が行われ、そして、今から16年前の1994年3月19日に開港しました。

アメリカ内の商用国際空港としては現在でも最も新しく開設された空港であり、その総敷地面積は53平方マイル(135平方km)とアメリカでは最大の広さで、世界でも2番目の広さを有しています。

その広大な敷地に現在3600m/幅45mの滑走路5本と4850m/幅60mの滑走路1本とで運用しており、何れの滑走路も計器誘導着陸設備が備えられており特に乗継ぎ便の多いハブ空港として重要な最新鋭の高効率空港となっています。

その利用乗降客数は開港当初に予測されていた数値を大きく上回って昨年の年間利用乗客数は5000万人を越えて、現在の見通しでは、2035年迄に年間で1億人の利用客を扱う空港となるという目標予測となっており、それにふさわしい新たな空港機能設備が必要となって来ています。

特に初期のデンバー空港建設計画時には2016年にデンバー市のダウンタウンから空港への高速鉄道の建設が必要とされていました。また、全米航空ネットワークの主要ハブ空港として必要とされている、500室を有する空港ターミナルホテルの建設も重要なテーマとなっていました。

デンバー空港ではかねてからのこうした計画を実施に移すタイミングが来た、と判断し、その準備を進めて来ましたが、いよいよその計画が煮詰まったと言う事で、今回その新規拡張建設工事のスタートを切る事になりました。

具体的な新規建設の主要内容としては下記の様になっています。

  • 空港メインターミナルとデンバーのダウンタウンに在る鉄道駅ユニオンステーションとを結ぶ高速鉄道の乗り入れ、そして、空港ターミナル鉄道駅の建設。鉄道駅はメインターミナルの南端の地下へ乗り入れる地下にプラットフォームをもつ構造になります。ユニオンステーションからは従来からの鉄道の本線の他にFasTracksと呼んでいるデンバー地区を走っている路面電車網に接続されるので大変便利になります。
  • 空港メインターミナルに接続している500室規模のホテルの建設。完成後のホテル運用のテナントとしては既にWestin Hotelが決まっており、鉄道駅の上の地上に建設されます。
  • Train Station Plazaという名称で鉄道駅と現在のメインターミナル建物の南端とを結ぶ空間通路として、その両側には各種の店舗が設けられる予定です。
  • 空港直前のデンバー環状高速道路E-470が空港への乗り入れ高速道路であるPena Boulevardを越えている場所の近くで、空港へ入ってくる鉄道線路がPena Boulevardの上り線と下り線とを横切る事になり、スパンの長い鉄道専用の橋が建設されます。

これらの新規建設はいずれも現在のメインターミナルの南端への拡張として新たに建設されるもので、「DIA South-Area Project」と呼称して進行される事になり、その完成予定期日は2016年となっています。


今迄空港が開設されるときにあった計画を一旦白紙に戻して、新たに最も合理的でデンバー空港が将来まで誇れる様なデザインを再準備することで、ここ3年間程をかけて空港当局とデンバー市の担当部門とでその計画を練って来ました。


デンバー空港メインターミナルビルの南端(1)

デンバー空港のJeppesenメインターミナルの5階は出発便の乗客達への広いセキュリティーチェック場2カ所と到着便でデンバーへやって来た人達が到着ゲートの在る3カ所のコンコースからメインターミナルへ地下の電車でやって来て出てくる出口、そして出発前に預けた荷物を受け取る沢山のターンテーブルが並んでいるBaggage Claimなどが設けられていて、この写真はそのメインターミナルの南の端を示しています。

屋根はデンバー空港名物のテント張りでこの部分はこの5階のフロアーでは6階部分は吹き抜けとなっていて、乗客達がセキュリテイーチェックを受けています。正面の大きなガラス窓になっている部分へこれから建設される鉄道駅及び空港ターミナルホテルへの広大な通路空間Train Station Plazaが接続されることになります。

デンバー空港メインターミナルビルの南端(2)

新たに建設される鉄道駅及び空港ターミナルホテルへと接続される部分からターミナルビルの外の様子を眺めてみました。大きな星条旗が中央に下がっていますが、その下の床部分、セキュリテイーチェック場のジグザグ路の入り口近くに白い大きなペデスタルが見えます。これは今回新しく建設される鉄道駅と空港ターミナルホテルなどを含むこのターミナルビル南端の完成予想縮尺モデルがここに展示されています。

公開展示されているターミナルビル南端完成予想縮尺モデル(1)
この大きなアクリルのケースの中に計画完成時の予想縮尺モデルが展示されています。これはそのターミナルビル側から見たもので、中央下側の通路口部分がこの建物のガラス面部分へ接続されます。左右へ競り上がって来ている通路は現在の出発する旅行客を車で送ってくる人達が使用している6階出発便フロアーへの道路です。

この計画の新デザインとして最も有力なものとしてスペインの建築デザイナーのSantiago Calatrava氏の案が取り上げられて、去る7月29日(木)にはデンバー市内のホテルでそのデザインの一般公開説明会がもたれています。

今回のメインターミナル南端開発プロジェクトの総予算は6億5000万ドルが計上されていますが、Santiago Calatrava氏の提示したデザインはその総工費を見積もったところ計画予算を大きくオーバーしてしまう事から、その後多くの部分に修正が加えられて最終案が最近なんとかまとまったものと思われます。


公開展示されているターミナルビル南端完成予想縮尺モデル(2)
完成予想縮尺モデルの南側から眺めた様子です。 鉄道駅は地下に設けられて幅広にくり抜かれた溝の中をレールが入って来ます。その鉄道駅の上部に総客室数500のホテルの建物が建設され、ホテルの外観が丁度X字型の構造となって左右に分かれた形をとっています。ホテルの屋根の上の向こう側に見えるのは現在のメインターミナル南端へ接続される通路Train Station Plazaの屋根でメインターミナルに合わせてテントばりとなっています。

現在、その建設予定の建造物の完成予定縮尺モデルがデンバー空港のメインターミナル5階の南端に展示されたと言う事で、出かけていって撮影して来ました。

模型はメインターミナル南端の様子を示しているものですが、完成するとそのテント屋根のメインターミナルとともにデンバー空港のシンボルになると目されている空港入り口のPena Boulevardを跨ぐ鉄道橋については展示されていませんでしたが、先に一般公開されたSantiago Calatrava氏のデザインでは全体が白色の巨体なアーチ型の吊り橋構造で、一本のアーチで上下線の線路の両方を通過させる構造となっています。


建築デザイナーSantiago Calatravaのデザインによるデンバー空港へ向かう高速道路Pena Boulevardを跨ぐ鉄道橋の図

当初デンバー市運輸局が試算したこの跨線橋の建設費は上りと下りのそれぞれ別々の橋2本を造る事で予定していましたが、今回の新デザインでは1本となることから、その見積もり工費としては約300万ドル安い740万ドルとなるものと見られています。

このDIAの新開発の鉄道乗り入れとターミナル直結のホテルはどちらも非常に重要な要素を含んでおり、鉄道の利便性は当然ですが、自動車による空港へのアクセスのみの場合は、かつて開港後しばらくしての冬にデンバー地区に大雪があって、デンバー空港への幹線高速道路のPena Boulevardが路面凍結して数日間にわたって全面閉鎖となり空港機能が麻痺してしまった、と言う事がありましたが、鉄道と2つのアクセスが可能であれば防げたと思われます。

また、ハブ空港として乗り継ぎ客を多く扱っていますので、何かの理由で乗り継ぎ便がキャンセルされた時などに、その乗客達を一晩宿泊させる事が必要となり、そうした対応にもメインターミナルに直結している大型ホテルは大変重要となります。更に全米各地や世界の国々からの人達が集まって開催される会議などを空港に直結のホテルで行えれば、人々はデンバー空港まで来てそのホテルに宿泊して空港外へ出る事無く会議にも出席して再び飛行機で帰ると言う事が可能となります。

その完成迄には暫く時間がかかりますが、プロジェクトの作業が始まったと言う事で大変期待される出来事となっています。

デンバー国際空港が建設されて開港した時の記念碑

完成予想縮尺モデルと建物外部との間にはかつてこのデンバー国際空港が建設されて開港した1994年3月19日にその完成を記念して設けられた記念礎石です。

この石の下には当時の関係した人々の署名を記録した書類などの記念の品々がタイムカプセルとして収められており、100年後の2094年にその時のコロラドの人々によって開いて観てもらう事となっていると記されています。 また、デンバー空港が開港した当時のデンバー市長のWellington Webb氏、また当時コロラド州知事だったRoy Romer氏、運輸相だったFederico Pena氏などの名前も記されています。

メインターミナル南端から外を望む

メインターミナルの南端の外は現在この様になっています。屋根のテントの端がせり出して来ていて吊っているワイヤーの端を鉄筋コンクリート製の柱が固定しています。この部分に鉄道駅とホテルそして連絡通路のTrain Station Plazaの各建物がこれから建造されます。遠く地平線の上に顔を出している峰峰はロッキー山脈の一部です。

世界の空港ランキング

Airports Council Internationalから世界171カ国の商用空港1354カ所についての2009年の年間乗降客数及び発着便数の統計が発表となり、それによりますと、上位の10空港については下記の様な順位となっていて、デンバー国際空港は乗降客数で世界第10位、発着便数では世界第5位となっています。

年間総乗降客数
1位 アトランタ国際空港 (米国) 8803万人
2位 ロンドンヒースロー空港 (英国) 6604万人
3位 北京首府国際空港 (中国) 6537万人
4位 シカゴオヘア国際空港 (米国) 6416万人
5位 東京成田国際空港 (日本) 6190万人
6位 パリドゴール国際空港 (フランス) 5791万人
7位 ロサンゼルス国際空港 (米国) 5652万人
8位 ダラスフォートワース国際空港 (米国) 5603万人
9位 フランクフルト国際空港 (ドイツ) 5093万人
10位 デンバー国際空港 (米国) 5017万人

ちなみに、世界の各空港が扱った2009年の年間総乗降客数の合計は48億人 となっており、これらの乗降客数のカウントの仕方は、各空港での出発便の乗客数及び到着便の乗客数の合計に乗り継ぎ便の利用客は一人当たり1名として勘定しております。

年間総発着便数
1位 アトランタ国際空港 (米国) 97万0235便
2位 シカゴオヘア国際空港 (米国) 82万7899便
3位 ダラスフォートワース国際空港 (米国) 63万8782便
4位 ロサンゼルス国際空港 (米国) 63万4383便
5位 デンバー国際空港 (米国) 60万7019便
6位 ヒューストン国際空港 (米国) 53万8168便
7位 パリドゴール国際空港 (米国) 52万5314便
8位 ラスベガス国際空港 (米国) 51万1064便
9位 シャーロットダグラス国際空港 (米国) 50万9448便
10位 北京首府国際空港 (中国) 48万8505便

ちなみに、世界の各空港が扱った2009年の年間総発着便数の合計は7410万便にのぼるとしています。

乗降客数では世界の各主要空港が列記されていますが、その発着便数となると、殆どアメリカの空港が占めているのは、他の国々に比較してアメリカでの中小型機による国内線の運行が非常に盛んである事に起因しているためと思われます。

あとがき

デンバー国際空港の6月の乗降客数が発表になり、479万182人で昨年の6月に比べて1.7%の増加となったとしています。今年1月から6月までの半年間の総乗降客数は2516万6529人となって昨年同期と比べて82万8975人の増加で3.4%の上昇となっています。

ところで、 最近Air Transport Associationから8月のアメリカの主要航空会社7社とそのローカル地域サービス航空会社の乗客運賃収入の調査結果が発表になって、今年の8月の実績では昨年の8月に比べて17%の増収となっているとしています。

この増収は今年1月より連続8ヶ月の増加となっており、そのうちの約1%は国内線の乗客数の増加によるもので、平均の1マイルの飛行距離当たりの航空料金は14%の上昇となっているとしています。

こうした統計数字がアメリカの経済状況の好転を示しているかどうかは疑問ですが、長い間経済の不調で低調となっていた航空便での旅行が戻りつつあると言えそうです。

WRITER PROFILE

萩原正喜

米国コロラド州から、米国のデジタル放送事情からコロラドの日常まで多岐に渡るコラムをお届けします。