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Column

Vol.35 CS5.5で大きく変わるクリエーションのカタチ

2011-06-09 掲載

トレンドに対応したバージョンアップでCS5.5へ

アドビ システムズはAdobe Creative Suite 5.5 Production Premiumや各構成製品の新バージョンを5月20日に発売を開始した。それに合わせて、5月23日、東京・大崎のアドビ システムズで古田正剛氏によるビデオとオーディオ製品のデモが行われた。

CS5.5はその名の通り、CS5からの大きなメジャーバージョンアップという位置づけではない。近頃の映像制作では立体視映像やデジタル一眼レフカメラを使ったコンテンツ制作が増えてきているが、CS5.5はそれらのトレンドに対応したバージョンアップだ。

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After EffectsとPremiere Proのデモをするアドビの古田氏

Mercury Playback Engineを強化したPremiere Pro

Premiere Pro CS5.5の特徴は、映像再生処理エンジン「Mercury Playback Engine」の対応ビデオカードが追加されたことだ。Mercury Playback Engineとは、対応ビデオカードのGPUアクセラレーション機能によりリアルタイムに編集結果を確認することができたり、4k以上の解像度もよりスムーズに作業を行うことができるCS5から搭載された技術だ。GeForceは570や580、Quadroは2000や6000、モバイルのQuadroはFX3700M、FX3800M、2000M、3000M、4000M、5000M、5010Mなどモバイル対応のGPUも含めて10種類以上の対応モデルが追加された。

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合成をした映像がリアルタイムに再生できる。このパフォーマンスは32ビットのCS4から大きなジャンプアップになっている

CS5.5のMercury Playback Engineは、CS5からパフォーマンスの改善も行われている。古田氏は、5月20日に行われたセミナー「CS5.5 VIDEO DAY」でFOXインターナショナル・チャンネルズの曽根氏が「CS5.5はCS5に較べて30%から40%ほど高速になっているものがある」と講演したと紹介。CS5.5のMercury Playback Engineは対応エフェクトに新しく追加されたものがあり、それによって高速化がなされているのではないかと古田氏。Mercury Playback EngineのGPUのパワーを使うと、これだけレンダリングの処理に違いがでるんだな、というところはVIDEO DAYの中でもかなり反応があったところだったという。

同梱されるエンコード用アプリケーション「Adobe Media Encoder」も新しくなり、監視フォルダの設定が簡単にできるようになった。視聴端末として話題のAndroidやiPadに対応したプリセットが追加された。最新の端末に対応しているほか、幅広いフォーマットを効率よく行えるようになっている。

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CS5.5では、最新の端末に対応した出力を簡単に実現できる

細かい機能の改善では、キヤノンの業務用ビデオカメラXFシリーズのネイティブ対応が強化された。CS5の時点でもMXFファイル方式をそのままタイムラインに読み込むことができたが、CS5.5では、画面左下にあるメディアブラウザでフォルダの構造を気にすることなくアクセスできるようになった。

デジタル一眼レフやステレオ3Dワークフローに対応したAfter Effects

After EffectsのCS5.5の新機能でもっとも目を引くのが、手振れを軽減してくれる「ワープスタビライザー」機能だ。滑らかな映像を撮影したい場合で予算があるならばステディーカムやレールを引くが、デジタル一眼レフカメラレフを使って狭い場所だったりレールやステディーカムが使えないといったケースもある。そういった場合にワープスタビライザーを使えば、メカニカルスタビライザー上にカメラを取り付けたかのようなスムーズな映像をAfter Effectsで実現できるようになった。

ワープスタビライザーの特徴は、特に設定をしない標準の状態のままでも最適な結果が得られるところだ。サードパーティ製プラグインでも同様の手振れの補正は可能だが、解析結果によっては黒味が出たり、調整するために手動で位置を動かしたり、拡大したりという作業が必要だった。ワープスタビライザーでスタビライズした映像では、非常に滑らかな映像が生成される。映像の解像度にも制限は設けられていないので、RED ONEのようなシネマカメラでも対応は可能だ。

また、最近のデジタル一眼レフカメラは撮像素子にCMOSを搭載していて、走査ラインごとに順次シャッターを切るローリングシャッターという方式を採用している。そのため、細かい振動が起きると人物が縦方向に伸び縮みをする場合があったり、望遠で狙っていていると細かいブレが発生するが、それも自動的に軽減してくれる機能を搭載している。

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高精度で手ぶれの軽減を行うことができるワープスタビライザ

もう1つの大きな機能は、After Effects上で左目用と右目用の映像を使って制作をするための支援機能が追加されたことだ。従来のバージョンから搭載されていた、さまざまなステレオ3D形式を選択できる「3Dメガネエフェクト」が大幅に強化された。1ピクセルあたりの色の情報が、8bpcだったものが32bpcでカラーの処理が可能になった。また、編集結果のサイド・バイ・サイド方式による出力にも対応しパナソニックのプラズマ/液晶テレビ「VIERA」やソニーの液晶テレビ「BRAVIA」の3D対応テレビに出力することができるようになった。これらのテレビで実際に奥行き情報を確認しながら作業が可能だ。

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立体視の映像を制作する「3Dメガネ」の機能が強化された

また、3D空間のカメラからステレオリグを容易に設定できるようになった。After Effectsはもともとコンポジションの中に3Dの空間を持つことができるので、左目用の映像と右目用の2台のカメラを用意して立体映像の制作が可能ではあるものの面倒な作業であった。新しく搭載された「ステレオ3Dリグの作成」を使用すれば、簡単に3D要素が含まれたコンポジションから左目用と右目用の情報を自動的に作ることができるというものだ。

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左目用と右目用の映像を作成する「ステレオ3Dリグの作成」。3Dメガネエフェクトを含む必要なすべての要素が作成される

よりリアルな光の距離による減衰を再現できるライト設定の「フォールオフ」を新しく搭載した。CS5のライト表現は、遠くのものも手前と同じ明るさで表現されていたが、CS5.5では光源から遠くなるほど光の強さがどのように低下するかを設定できるようになった。

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「フォールオフ」を搭載することにより、光の減衰の表現がAfter Effectsでも実現が可能になった

さらに、新しいレンズブラー「ブラー(カメラレンズ)」エフェクトが搭載された。「アイリスのプロパティ」で、絞りの羽の枚数を「三角形」や「六角形」、「十角形」のほかに、羽の角度を「丸み」で調整したり表現できるようになった。

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「ブラー(カメラレンズ)」を搭載することにより、レンズの絞りの表現がリアルにできるようになった

また、素材データが持つタイムコードの読み込みに対応。これまでQuickTimeやMXFのようなタイムコードが入っている素材であっても、ゼロからスタートする情報でしか管理ができなかったが、CS5.5では撮影されたときのタイムコードの情報をそのまま反映できるようになった。

Adobe Audition CS5.5との連携

Auditionは、オーディオの波形を強力に編集を行うためのツールだ。CS5.5からProduction PremiumやMaster CollectionのスイートパッケージのサウンドツールがSoundboothからAuditionに変更された。個別のクリップやマルチトラックミックスをAdobe Premiere ProからAdobe Auditionに取り込んで編集が可能だ。また、Audition 3.0の違いとして、Windows版に加えてMac OS X版も合わせて提供するようになった。MIDIの機能は残念ながら廃止となった。

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CS5.5のスイートパッケージに同梱されるようになったAudition

体験版のほかにEOSやRED ONEの検証用のデータも公開中

Premiere ProやAfter Effectsの魅力はなんといっても64ビットのパフォーマンスを生かした快適な制作環境が大きな特徴だ。そのため、After EffectsとPremiere ProはCS5から「64ビットのみ対応」という思い切った決断を下してリリースされた。昨年、CS5が発表した当時は、この32ビット環境を切り捨てたことが大きな話題となった。しかし、CS5の発売から1年たった今、映像制作の環境はほぼ64ビットが着実に標準的になってきていると古田氏はいう。

2010年11月のInter BEEで調査をした時は64ビットのユーザーの割合は65%ぐらいでしたが、先日5月20日に開催したCS5.5 VIDEO DAYで調査した結果、参加者400名のうち約8割が64ビット対応になっていました。映像の世界での64ビット化というのはかなりの勢いで定着していると感じています。

CS5.5は30日間試用できる体験版が公開中だ。CS5の体験版はMPEG系のコーデックの制限があって、体験版をインストールしてもDVしか使えなかった。CS5.5では、コーデックの制限が設けられていないので、P2、XDCAM、XF、 JVC、EOS、Nikon、AVCHD そしてREDの各ファイルベースフォーマットのネイティブ編集を体験することが可能だ。

さらに、検証用としてEOS 1080(23.976p)、EOS 720(59.94p)、RED 4480×1920(23.976p)のファイルが各フォーマットごとにグリーンバック撮影を含む6カットほどが収録されている。興味のある方は、素材もダウンロードして体験してみるといいだろう。


txt:和田学 構成:編集部


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[ Writer : 編集部 ]
[ DATE : 2011-06-09 ]
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