撮影:山下 奈津子

ここハリウッドは、エンターテインメントのメッカとあって、様々な映画関連のイベントが開催されている。特に夏のシーズンは、映画音楽に関連した素晴らしいコンサートを鑑賞出来る機会に恵まれる事も少なくない。そんな中、ここロサンゼルスでVFX業界に従事している人々が楽しみにしている二大コンサートが開催された。今回は、ちょっと趣向を変えて、ハリウッドの夏の風物詩の話題を皆さんにお届けする事にしよう。

Star Wars in Concert

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この夏、ロサンゼルスで開催された大スペクタクル・コンサートに「スターウォーズ・イン・コンサート」がある。これは2009年4月にロンドンのO2アリーナで初公演が行われた後、10月のカリフォルニア州アナハイムでの演奏会を皮切りに、ワールド・ワイドで開催されているコンサート・ツアーで、この夏にはロサンゼルスのハリウッド・ボウルでも行われた。

ハリウッド・ボウルは、ハリウッド・サインに近い山の中腹の、広大な地形を利用して作られた野外音楽堂。なんと17,376席という規模を誇り、毎年6月から9月までがシーズン。シーズン中は、クラシックやジャズ、ロックまで幅広いジャンルのコンサートが、連日連夜開催される。今回の「スターウォーズ・イン・コンサート」は2日間連続で開催されたにも関わらず、ほぼ「SOLD OUT(売り切れ)」状態で、その人気ぶりが伺えた。

参考用:2年前に米マンチェスターで開催された同コンサート・ツアーの模様がYouTubeに投稿されていた。場所は異なるが、観客の発狂ぶりはご理解いただけると思う。

筆者も、例外なく、このコンサートに足を運んでみた。場内はもう、人、人、人。これだけ大勢の人が「スターウォーズ」の音楽を聴く為に、カリフォルニア州内外から押し寄せた訳だ。さて、開演時間となり、いよいよコンサートの幕開けである。冒頭は、まずはTHXのテーマから始まるというニクイ演出。その瞬間、ステージ上に設置されたサーチライトが一斉に観客をかすめて上空へと昇華し、雰囲気を盛り上げる。

続いて、お馴染み「20世紀フォックスのテーマ」がスネアドラムのイントロと共に厳かに、そして勇ましくも始まると、場内のボルテージは最高潮に達する。

「ジャーン!!」

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スターウォーズのメイン・テーマのファンファーレが高らかに鳴ると、観客は全員発狂してバカになり(注:褒め言葉です)、ハリウッド・ボウルは興奮の坩堝と化したのであった。演奏中、ステージ上の巨大スクリーンには、DLPプロジェクターから投影されたスターウォーズ本編からの映像が明るく鮮明に写し出され、場内にはスモークが炊かれ、そしてレーザー光線が飛び交う。

そんな中、スターウォーズの数々の名曲が、大編成のフルオーケストラによって演奏されるのである。しかも、司会を務めるのは、あのC-3POを演じた、俳優アンソニー・ダニエルズだ。なんとド派手で、大袈裟で、楽しく、そして贅沢なコンサートであろうか(笑)。ファンにとっては、まさに「垂涎もの」のコンサートであった。

Star Wars in Concertオフィシャル・サイト:
http://www.starwarsinconcert.com/

John Williams: Maestro of the Movies

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もう1つ、同所ハリウッド・ボウルで開催される数あるコンサートの中で、ロサンゼルスのVFX関係者達が楽しみにしているのが、コレ。毎年恒例、ジョン・ウィリアムズによる映画音楽のコンサートだ。開催が近づくと、VFXスタジオ社内のメーリングリストでも話題に上る程である。「スターウォーズ」「ET」「インディ・ジョーンズ」「ハリー・ポッター」等の数々の映画音楽を作曲したジョン・ウィリアムズがLAフィルハーモニーを指揮し、自らの作品を演奏するという、非常に贅沢なコンサートである。

ジョン・ウィリアムズは、90年代にボストン・ポップス・オーケストラを率いて何度か来日公演を行なった事があるので、演奏を生オケで聴いた経験をお持ちの方も多い事だろう。それをよりパワーアップさせ、オケをLAフィルに置き替えたのが、このハリウッド・ボウルでのコンサートなのである。来年の2月8日で満80才を迎える巨匠ジョン・ウィリアムズ。さすがにお体がちょっと気になるところだが、今年の指揮ぶりを拝見した限りでは、まだまだお元気そうであった。このコンサートの演出や構成は毎年異なるが、今年はステージ上に設置されたスクリーンに映写される映像に合わせて、古き良き時代のハリウッド映画のメドレーからスタート。

また、プログラムも充実していた。「ジョーズ」「スーパーマン」などの70年代の作品や、「ハリーポッター」に代表される最近の曲もバランス良く織り交ぜられていた。そして「スターウォーズ」が登場すると、観客は全員発狂したのは言うまでも無い。アンコールで「ダースベーターのテーマ」が演奏されると、何百というライトセーバーが観客席から一斉に舞った。これは、言い換えれば観客がみんなライトセーバーを持参して来ているという事なのだが(笑)、この光景はもはや、このコンサートの風物詩として定着している。

今年のアンコールの最後は「ETのテーマ」。このエンディングでは、まるで魂が幽体離脱していくような錯覚に包まれ、大変感動的な締めくくりとなった。

おわりに

このレポートを読んで、是非ハリウッド・ボウルでの映画音楽コンサートを鑑賞してみたいと思った方も少ない事だろう。ちなみに、ハリウッド・ボウルの毎年夏シーズンのスケジュールはオフィシャル・サイトにて確認する事が出来、チケットもオンラインで購入する事が出来る。

チケット代は、ステージからの距離によって大体20ドル~100ドル位の幅があるが、比較的リーズナブルな価格で鑑賞する事が出来る。来年の夏はスケジュールをチェックしてロサンゼルスに足を運び、是非とも生演奏を楽しんでみては如何だろうか。これらのコンサートは、おそらく一生涯心に残る、素晴らしい経験となるはずだ。みなさんの充実したエンターテインメント・ライフのご参考になれば幸いである。

WRITER PROFILE

鍋潤太郎

ロサンゼルス在住の映像ジャーナリスト。著書に「ハリウッドVFX業界就職の手引き」、「海外で働く日本人クリエイター」等がある。