本連載もあしかけ一年。DSLR Maestroをお届けしてきましたが、デジタル一眼レフカメラでの動画制作も一般化してきた様に思います。ここで取り上げる話題を広げるべく、タイトルも新たに[DigitalGang!]と銘打ちこの連載も第2章へ向かいます。今回取り上げるのは、皆様おなじみのGoPro!ポストDSLRといいますか、とにかく注目の1品です。

小さなボディに宿る大きな可能性

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GoPro HD HERO2。筐体は高さ42mm、幅60mm、奥行き36mm、重さ97gで旧モデルと全く同じ(写真1)

GoPro HD HERO(旧GoPro)が登場してから撮影の多様性がぐっと広がったと感じている。「小さいからできること」は撮影現場で非常に多いのだ。筆者はそんなGoProを手にすると心が踊る。100gに満たない筐体にはクリエーターの遊び心をくすぐる魅力がぎっしりと詰まっているのだ。最近はテレビ番組でもよく使われるようになり、かなりのシーンで使われるカメラになった。そして2011年の年末に、後継機となるGoPro HD HERO2が発売された。早速購入した筆者が、実機に触れての感想をまとめてみたい。

飛躍的に進歩したダイナミックレンジの広さ

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新旧GoPro2台で同時撮影。撮影モードはともに720p/30fps/170°(写真2)

さて、肝心なのはその性能だ。同じ条件、同じ設定で旧バージョンと新バージョンが捉える映像はどのように違うのだろうか?写真2のように新旧GoPro HDを1台ずつ3D HERO Systemに入れ、サクションカップマウント(Gopro HD HERO2 Motorsports Editionに附属する吸盤式のマウント)で車に装着。昼間と夜の2回に分けて撮影を試みた。撮影モードはハーフHDの30p、視野角170°で統一している。

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旧GoProで捉えた映像(写真3)

新GoProの映像。ダイナミックレンジが広く、暗部に粘り強さを発揮(写真4)

撮影した素材をAdobe Premiere Pro CS5.5のタイムラインに並べて比較検証してみた。まず、昼間の素材で確認できるのは、新モデルのダイナミックレンジの広さだ(写真:3,4)。特に暗部に対する粘り強さが特徴的で、旧モデルでは黒つぶれしてしまっている建物の日陰部分が見事に表現されている。

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旧GoProで捉えた映像(写真5)

新GoProの映像。夜は、顕著で圧倒的に明るい(写真6)

さらに夜の素材となると違いはより鮮明となる。明るさの違いは一目瞭然だ(写真:5,6)。ここまで違いが出るとは正直、予想以上だった。映像の綺麗さはまったくの別物といえるほどで、格段の進歩を遂げている。感度を増したCMOSセンサーと同社が「2倍鮮明になった」と謳う新しいレンズが可能にするのだろう。夜の比較映像は以下の通り。

選択肢が増えた撮影モード

GoPro HD HERO2のビデオフォーマットは従来と変わらずH.264で非常に汎用的だ。バッテリー連続使用時間も720p/60fpsモードで2.5時間と、こちらも変わりはない。ファイルはmp4形式でSDカードに収録される。録画可能時間は32GB使用時、1080p/30fpsモードでおよそ4時間。これは旧モデルと比べ20分程度短くなっている。

格段の進歩が伺えるのが、撮影モードの選択肢が実に多種多様になった。撮影モードはビデオ解像度とフレームレート、視野角の組み合わせで決まる。旧モデルでは5つの選択肢しかなかったのだが、新モデルでは様々な選択肢が用意されていて、充実したと感じる。筆者のお奨めの設定は超広角170°での1080p/30fpsモードだ。旧モデルでは170°での撮影をするには、解像度はハーフHDが限界だったのだが、ついにフルHDでも可能になったのだ。GoProならではの迫力あるワイドな映像をフルHDで捉えることができる。

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1080p/30fps/170°モードで撮影。フルHD解像度で視野角170°の映像は、GoPro HD HERO2ならでは(写真7)

また、WVGA/120fpsモードによるハイスピード撮影も素晴らしいと感じた。解像度は横848×縦480でSDレベルとなってしまうが、十分に魅力的な時間解像度を得ることができる。これだけの映像が税込み31,498円のカメラで捉えることができるのだから、GoPro HD HERO2の最大の魅力はコストパフォーマンスだともいえる。

使いやすさもアップ 各種入出力の充実

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カメラ右側面にあるミニHDMI出力。フルHDでの映像出力が可能に(写真8)

各種入出力はユーザーの欲しかった機能が充実したという印象を受ける。中でも筆者が一番嬉しいと感じたのがカメラボディの前面、上面、背面、底面に配されたREC確認用のタリーランプだ。前面を覗き込まなくても、あらゆる角度からRECを確認できるので撮影現場での安心感がぐっとアップするのだ。前記した車に搭載しての撮影でも背面からRECが確認できたので大変心強かった。デフォルトで液晶画面を持たないGoProのRECランプは大切な役割を持っている。

また、ミニHDMIポートの存在も心強い。旧モデルでのモニタリングは、オプションの液晶モニタ「LCD BacPac」を利用するか、コンポジットやコンポーネントポートから映像を出力するしかなかった。小さなLCD画面ではフレーミングの確認程度がやっとだったといえるだろう。しかしGoPro HD HERO2では、写真のようにHDMIポートからフルHDで出力し、信頼できるモニターでモニタリングしながら安心・確実な撮影をすることが可能となったのだ。

マイク入力機能も向上したポイントだ。ボディの側面に3.5mm外付けステレオマイク入力が備わったのだ。GoPro HD HERO2には内蔵マイクも備わってはいるが、収録した音声のクオリティには少々難点がある。そんな中、外付けマイク入力の拡充は、クオリティの高い音声収録を可能にし、弱点を一つ克服したといえるだろう。

カメラ本体のボタンは従来どおりシャッター/選択ボタンと電源/モードボタンの二つだけで非常にシンプルな構造だ。メニュー階層に大きな変化は見られないが、ユーザーインタフェースは大きく変わった。従来までの3桁の文字コードのインターフェースは正直分かりづらかったのだが、これが言語ベースのインターフェースに変わり、非常に直感的に認識しやすくなったのだ。

新旧モデルでアクセサリー類に互換性を確保

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GoPro HD HERO2(左)とGoPro HD HERO(右)。旧モデルの付属品がそのまま使用可能。現状、3D HERO Systemのみ互換性なし(写真9)

GoPro HD HERO2の筐体は、形状、大きさ共に旧モデルと全く同じである。したがって各種マウント/ハウジングはもちろん、LCD BacPac、Battery BacPacなどGoProの有する多彩な付属品たちに対して新旧のカメラで互換性があるのだ(写真9)。ただし、3D HERO Systemだけは現状、互換性がないようだ。これはファームウェアのアップデートを待ちたい。また購入に当たっては、基本アクセサリー類が付属したパッケージラインナップから選ぶこととなる。筆者の購入したMotorsports Editionの他にもOutdoor Edition、Surf Editionという計3つのラインナップが用意されており、いずれも税込み31,498円と、大変お買い得だ。

登場間近 Wi-Fi BacPac+Wi-Fi Remote Combo Kit

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2012年3月発売予定のWi-Fi BacPac+Wi-Fi Remote Combo Kit(写真10)

結論としては、GoPro HD HERO2はかなり「大きな」バージョンアップだと感じた。捉える映像の綺麗さやダイナミックレンジの広さはもちろんのこと、ユーザーの欲しかった機能を充実させ使いやすさもアップしている。また、この3月には Wi-Fi BacPac+Wi-Fi Remote Combo Kitというかなり魅力的なアクセサリーも登場する予定だ(写真10)。これによってワイヤレスでの遠隔操作やモニタリング、スマートフォンやタブレット端末での遠隔操作が可能となるのだ。モニタリングが困難な状況での使用が多いGoProにとって、まさに待望の機能だといえるだろう。GoPro HD HERO2の活躍の場はますます広がっていくはずだ。

WRITER PROFILE

江夏由洋

デジタルシネマクリエーター。8K/4Kの映像制作を多く手掛け、最先端の技術を探求。兄弟でクリエイティブカンパニー・マリモレコーズを牽引する。