アメリカで最も標高の高い所まで自動車で上れる舗装された道路であるコロラドロッキーのMount Evans Highwayは、冬期は多くの積雪の為閉鎖となっていますが、毎年5月下旬のMemorial Dayの3連休にはその除雪作業が行われて、観光客の自動車が頂上を目指します。

今年も5月28日(月)のMemorial Dayとその前の5月26日(土)と27日(日)の3連休に間に合う様に、コロラド州運輸局では作業を進めて、前日の5月25日(金)の正午から開通しました。

毎年この3連休は多くの人々が金曜日に休暇を取り、4連休として普段遠く離れている親類や親しい友人宅そして観光等の目的で自動車で繰り出しますので、年間でもハイウェイが最も混雑する週末の一つとなっています。

東はカンサス州との州境から西はユタ州境までコロラド州を横断している国道ハイウェイ70号線はデンバーの町の北側を東西に抜けて、さらにロッキー山脈のほぼ中央部を横断している山岳道路となっています。

この70号線をデンバーの町から西へ30マイル(48km)程走った所にあるIdaho Springsの町(海抜10,500フィート(3,200m))がこのMount Evans山への入り口です。

ここから約14マイル(22.5km)の登り道はその上り下りの各1車線ずつの山岳道路で海抜14,264フィート(4,348m)の頂上まで舗装されている有料道路で、自動車は10ドル、自転車やオートバイ、または徒歩でハイキングする人などは3ドルをゲートで支払って頂上を目指します。

標高差の比較
立山黒部アルペンルート Mount Evans Highway
ケーブルカー立山駅 475m Denver 1,609m
美女平 977m Idaho Springs 3,200m
天狗平 2,300m
室堂 2,450m
立山山頂 3,015m Mount Evans山頂 4,348m

ところで、このMount Evans山頂への自動車道路の開通を今シーズンは特別待ち望んでいた人達がいます。

このMount Evans山頂にはMeyer Womble Observatoryと呼ばれる天文台の建物があって、アメリカでは最も標高の高い所に位置している天文台となっています。また世界的には3番目の高さにある事で知られています。

冬の期間は山頂までの道路が閉鎖されますので、この天文台は無人で、ドームの開閉や望遠鏡の操作等は無線によるリモートコントロールで行われる様になっており、望遠鏡の観測画像はワイヤレスWebcamで送られ、デンバーの町の南にあるデンバー大学(Denver University)で制御運用を行っています。

今年1月にロッキー山脈地区は非常に強い風を伴った嵐に見舞われましたが、その直後から観測画像に何か異様な陰が写る様になり、さっそく地元の山岳会グループで現在エベレスト山への登頂を目指してこのMount Evansの山頂近くでトレーニングを行っているメンバーに連絡を取り、天文台の様子を問い合わせたところ、彼らから頂上の天文台を撮影した写真が送られてきました。

なんと、700ポンド(318kg)もある重量のドームを開閉するドアが吹き飛ばされドーム部分が建物から剥がれている事が分かりました。

その山岳会のグループの人達は歩いてこの天文台までたどり着きそこから750フィート(229m)ほど山頂から下ったところでそのドアを発見しています。

このMeyer Womble天文台はデンバー大学が管理運営している2ヵ所の本格的な天文台の一つで、もう1ヵ所はデンバー大学の近くのObservatory Park内にある長い歴史を有するChamberlin Observatoryです。

ちなみにデンバー大学は地元ではDUと呼ばれていて、アメリカでは最も古くに設立された私立の総合大学と言う事で知られています。

今回のMount Evans山岳自動車道路の開通を待ってこの山頂の天文台の修復作業が始まります。

WRITER PROFILE

萩原正喜

米国コロラド州から、米国のデジタル放送事情からコロラドの日常まで多岐に渡るコラムをお届けします。