取材:鍋 潤太郎 / 撮影:山下奈津子 / Photos courtesy of Pixar. ©Disney/Pixar

ここ、明るく楽しいハリウッドでは、エンターテインメントのメッカだけあって、映画関連の様々なイベントが開催されている。特に夏のシーズンは、映画音楽に関連した素晴らしいコンサートを鑑賞出来る機会に恵まれる事も少なくない。今回は、ちょっと趣向を変えて、ハリウッドのサマー・ナイト・エンターテインメントの話題を皆さんにお届けする事にしよう。

PIXAR IN CONCERT

ハリウッドに、「ハリウッド・ボウル」という超デカイ野外音楽堂がある。このハリウッド・ボウルは、ハリウッド・サインに近い山の中腹の、広大な地形を利用して作られた野外音楽堂で、17,376席という規模を誇る。毎年6月から9月までがシーズンで、シーズン中は、クラシックやジャズ、ロックまで幅広いジャンルのコンサートが、連日連夜開催される。そのプログラムの一環として、シーグラフ2012の開幕とほぼ同時期の8月3~5日、「ピクサーINコンサート」が3夜連続でが行われた。筆者はシーグラフ直前に、このコンサートの事をツイッターでつぶやいたので、もしかしたらシーグラフの滞在中に鑑賞された方もおられるかもしれない。筆者は、8月5日(日)にシーグラフ会場であるコンベンション・センターでのプレス・レジストレーションを終えた後、夕方にハリウッドへ移動。このコンサートに足を運んでみた。

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会場入り口の大看板

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いよいよ開演 / Photos courtesy of Pixar. ©Disney/Pixar

大画面と迫力の生演奏

久しぶりのハリウッド・ボウルだが、ここに来ると「夏が来たな!」と思わずには居られない。筆者に取って、ハリウッド・ボウルのコンサートは夏の風物詩とも言える。さて、この「ピクサーINコンサート」ではピクサー歴代の作品の名場面に合わせて、ハリウッド・ボウル・オーケストラが優れた演奏を聴かせた。ちなみに、ハリウッド・ボウル・オーケストラは、常設のオーケストラではなく、ロサンゼルスのトップ・スタジオ・ミュージシャン達を集めた、”夏季限定”のオーケストラである。この日演奏されたのは、ピクサーの歴代作品から

  • 「トイ・ストーリー」
  • 「ファインディング・ニモ」
  • 「バグズ・ライフ」
  • 「Mr.インクレディブル」
  • 「カーズ」
  • 「レミーの美味しいレストラン」
  • 「ウォーリー」
  • 「カールじいさんの空飛ぶ家」
  • 「メリダとおそろしの森」

という、贅沢なラインナップの映画音楽の数々だった。

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演奏中 / Photos courtesy of Pixar. ©Disney/Pixar

各作品のダイジェスト・シーンをテンポ良く編集した映像が大スクリーンにデジタル・プロジェクターによって鮮明に写し出され、それに合わせて生の演奏が楽しめる、これは素晴らしい経験だった。映像にピッタリとタイミングを合わせてタクトを振る指揮者の超技巧にも、ただただ驚くばかりであった。大観衆を前に、映像に合わせて生のオーケストラが演奏するという試みは、昨年ご紹介した「スターウォーズ・コンサート」でもお馴染みの演出手法である。

しかし、ピクサーのアニメーション作品の映画音楽によって行なわれるコンサートは、ピクサー史上、そしてハリウッド・ボウル史上、今回が初めての試みだそうだ。この日のコンサートでは、ピクサー作品のサントラがレコーディングされた時と同じ顔ぶれのミュージシャンが含まれており、サントラに限りなく近いサウンドを楽しむ事が出来たのも嬉しい。

一例を挙げると、「Mr.インクレディブル」のサントラで実際に演奏しており、ハイノート・トランペット・プレイヤーとして名高いウェイン・バージェロン氏が、この日のステージに上がっており、サントラと全く同じ、よく通るハイノートを生で聴かせてくれた。このコンサートの「Mr.インクレディブル」がYouTubeでも紹介されていた。このコンサートは、まさに「映像と一体化したエンターテインメント」。素晴らしいひとときであった。

おわりに

このように、感動一杯の「ピクサーINコンサート」だが、アメリカだけではなく、この秋にはドイツ公演、そしてオーストラリア公演が開催される事が、ピクサーのホームページで発表されている。日本での公演は今のところ未定のようだが、この夏に東京国際フォーラムで開催された「スターウォーズ・コンサート」のように、いつか日本にも上陸する事を期待したい。また、来年の夏にロサンゼルスを訪問される方は、観光ついでに、是非ともハリウッド・ボウルのコンサートを堪能してみては如何だろうか。

ハリウッド・ボウル 公式サイト
http://www.hollywoodbowl.com/

WRITER PROFILE

鍋潤太郎

ロサンゼルス在住の映像ジャーナリスト。著書に「ハリウッドVFX業界就職の手引き」、「海外で働く日本人クリエイター」等がある。