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Column

Vol.05 Blackmagic Cinema Cameraついに発売!

2012-09-07 掲載

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デジタルフィルムの王道、RAW収録でハードに使おう!

teduka05_bmcc_07.jpg

RED RAWのDaVinci Resolve設定項目

BMCC最大の魅力は、なんと言っても連番RAWデータ収録の出来る最安値のカメラだ、というところだろう。RAW収録ではセンサーデータを生(RAW)で記録しているため、ビデオカメラであればエンジンがリアルタイムで処理してしまっているような過程の多くを後からクリエイター自身の手で行うことが出来る。例えば、RAW収録の元祖とも言えるRED RAWであれば、感度のデータを豊富に持っているため、後処理でISO感度や色温度を大きく変更しても画質が劣化しない事で知られている。カメラの感度や色温度そのものが後処理で変更できるというのは衝撃だ。果たしてBMCCのRAWデータはどういった性質を持っているのだろうか?

実際に試してみたが、BMCCのデータではISOこそ変えられないものの、露光(Exposure)は大きく変更することが出来、また、色温度は自由自在に画質劣化無しで変えることが出来た。大体、一般的なスチルカメラのRAW現像と同じような操作ができると思っていいだろう。1フレーム5MBという2.5K RAWにしては軽めのデータサイズと実用性をバランスした、非常に扱いやすいものだと言えるのでは無いだろうか。

RAWデータというと大きな勘違いを受けることがあるのだが、実は、RAWとはいってもセンサーデータをそのまま非圧縮で無傷の状態で収録しているわけでは無い。実は、どんなメーカーのカメラのRAWデータであっても、不可逆圧縮をして、データを取捨選択し、相当にデータ量を落としている。生データとは言っても、それは特定項目ごとの生データであって、全データが生でそのままあるわけでは無いのだ。

それもそのはずで、センサーが本当に生で吐き出すデータは膨大で、それを全て収録する方法はまだこの世に存在しないのである。どんなカメラであれ、思い切ってデータを切り捨てることでなんとか現実的な収録状況に納めているのだ。そうなると、なんのデータを収録向けに残したのかがそのカメラのRAW収録の特徴付けを行うことになる。そしてここが面白いところなのだが、BMCCでは、カメラ独自のRAW収録形式は採用せず、Adobe Systems社の提唱する汎用RAWフォーマットであるCinemaDNG形式での収録を行っているのだ。

teduka05_bmcc_08.jpg

BMCCによるCinemaDNGのDaVinci Resolve設定項目。明らかにREDよりも設定項目が少ない

DaVinci Resolve上でREDの設定項目と見比べてみれば一目瞭然だが、BMCCの吐き出すCinemDNGファイルでは、汎用フォーマットだけあって、REDよりも圧倒的に収録されている設定項目数が少ない。元々CinemaDNGの元になったAdobeDNGは、映画のデジタルネガ目的ではなく、あくまでもスチルカメラ用のデジタルネガだから、センサーデータからの収録データの絞り込み選択は思いきったものがあるのだ(実際のところ、CinemaDNGとはAdobeDNGのファイルを連番に並べただけに過ぎない。つまり、動画専用形式では無くスチルデジカメRAWと同じものだ)。

一例を挙げると、CinemaDNG(と、その元になるAdobeDNG)では、ISO基準データの収録項目がそもそも存在しないため、露出関連に関しては撮影後にISOカーブを動かすことは出来ず、Exposureでリニア的に露出をいじるのみになる(*1)。感度のデータがそもそも撮影時ISOを基準として大きく切り捨てられているのだ。そのため、RED RAWのように収録カーブそのものを動かしてISO感度を現像時に自由自在に上下したりといった思い切ったマネは出来ない。

しかし、Exposure部分のデータ収録はあるのでスチルカメラの現像処理程度の露出上下は問題なくできることになる。特殊なケースを除き、通常の撮影時にはある程度モニタを見て大体のISO基準と色温度は合わせているはずなので(さもなければそもそもモニタを見て撮影は出来ないだろう)CinemaDNGのExposureデータ部分のみの操作でも、現実的なワークフローを考えると十分なものと言える。とんでもない大ハズレの撮影を行ってしまった収録データについてはフォローしきれないかも知れないが、ある程度ちゃんと撮っていれば多少の感度変更は画質劣化無しに出来ることになる。この辺も割り切りの問題だ。

とはいえ、CinemaDNGもちゃんとしたRAWである。よほど無茶な撮影方法やRAW現像の動かしかたをしない限り、現像過程で画質が劣化するということはまずない。参考例で、露光過多で飛び気味の撮影を無理矢理に行った映像を、現像で手直ししてみた。見れば一目でわかると思うが、これ以上の無茶な撮影をするケースは想定しにくいので、必要十分と言ってよいのでは無いだろうか。服のレースによるモアレは気になるが、これはカラーグレーディング前から出ていたものだ。元々玉虫に変化する服を露光過多を演出するためにISO1600で撮影したのでそれが原因だろう。それ以外は安定しており、おおむね非常に素直な画質のカメラだと言っていいだろう。

また、BMCCは2.5K RAWという小さい映像サイズのシネカメラではあるが、フルHDが事実上の民生レベルでの映像流通最高品質である2012年現在では、最終出力に対し、必要十分な映像の大きさであると言っていいだろう。

BMCC by DaVinci Resolve9 (モデル:吉澤直美) from Kazuyoshi Tezuka on Vimeo.

ちなみに、BMCCのRAW映像のサイズはカタログスペックでは2432×1366であるが、実際の最終的なRAWファイルピクセル数は2400×1350となっている。センサー出力自体はカタログスペック分出ているようだが、どうも誤差の端数分はセンサーからRAW画像を作る際の演算処理過程で失われているようだ。まあ、端数は無い方が処理は楽なので、これはこれでありがたい。映像敢えて露光過多で飛び気味に撮影した撮影データをDaVinci Resolveで現像してみた。ISO1600、SIGMA 10−20mm F3.5 20mm 4500Kにて撮影。モデルは吉澤直美さん。現像後はちゃんと見られる映像になっているのがわかる。

私の手元にこのカメラが届いてから1週間程度で、まだBMCCを使い込んでいるとは言えない状況ではあり、まだまだ細かい機能や癖などは理解していない。しかし、本物のシネカメラが常に手元にあるというのは何とも嬉しいものだ。

以前、フィルム時代には、16mmや8mmフィルムカメラがそうしたクリエイター所有カメラとして活躍していたが、BMCCの場合には、フィルム現像のコストがかからないため、より手軽に日常的にどんどん撮影を行うことが出来る。しかもそのクオリティはデジタルフィルム、RAWの最高品質のものだ。ただの手元カメラというだけで無く、いわば、作品作りのためのベースツールとしても使えるわけで、今までに無かったカメラの使い方も出来るだろう。また、必要十分な機能を備えているため、学生の教育用にも最適なのではないか。いずれにしても、手元に常に置き、どんどん使い込んで行きたいカメラである。

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WRITER PROFILE

手塚一佳 デジタル映像集団アイラ・ラボラトリ代表取締役社長。CGや映像合成と、何故か鍛造刃物、釣具、漆工芸が専門。芸術博士課程。


[ Writer : 手塚一佳 ]
[ DATE : 2012-09-07 ]
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手塚一佳 デジタル映像集団アイラ・ラボラトリ代表取締役社長。CGや映像合成と、何故か鍛造刃物、釣具、漆工芸が専門。芸術博士課程。


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