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Column

Shoot.05 片手で気軽に4K撮影 JVC GY-HMQ10:Vol.1

2012-09-20 掲載

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収録は超簡単!では編集は?

raitank:編集環境はどのようなスペックやソフトウェアを想定されていたのですか?

塚田氏:ご存知の様に、GY-HMシリーズは以前からApple FinalCut Proとの親和性を謳っています。また、Appleの動画フォーマットであるProResコーデックはすでに4K解像度をサポートしていましたので、今回もまずはFinalCut Pro7、そしてXで編集できるようにしよう、というところから開発をスタートしました。

raitank_shoot05_05.jpg

ビジネス・ソリューション事業部メディアシステム統括部クリエーション技術部シニアマネジャー 塚田幸司氏

収録データは4枚のSDカードにMP4ファイル形式で分割保存されます。これらをそれぞれFinalCut Proの4つのタイムラインに別々に読み込んで位置を調節しても良いのですが、これでは編集が煩雑でやりにくい。そこでカメラをMacに接続すると自動で4つのストリームを認識し、まとめて1本の4K ProRes422データとして出力する「JVC 4Kクリップマネージャー」というユーティリティを開発し、お使いいただけるようにしています。
ProResへの変換にかかる時間はCPUの処理能力に依存しますが、素材の実時間の3倍程度が目安となります。10分のデータの変換に30分ほどかかる計算です。

ただし、ProResはイントラコーデックなので、4KのProResデータはビットレートが1.2Gbps以上にもなります。これは一般のパソコンで扱えるデータ・スペックを遙かに超えています。どんなスペックで何を使えば編集できるかを弊社で確認したところ、12コアのMacProに外付けのRAID HDDをつなぐと、60pのデータをほぼリアルタイムで再生できることがわかりました。

また編集中、あるいは完成した4K/60pデータの視聴ですが、これは今のところソリューションが見つかりません。AJA KONA 3Gなど4Kデータに対応したボードは発表されているのですが、フレームレートが24fps止まりです。24pでお使いのお客様はそれでなんとかなるのですが、4K/60pのモニタリング環境は、まだまだ敷居が高いです。

いっぽう、Windows環境では編集ソフトはEDIUSを想定しています。こちらは開発・販売元のグラスバレー様のほうで、AVCHDデータをGrassValley HQやHDVに変換する「AVHD converter」をGY-HMQ10に対応して頂きました。4つのストリームをまとめて、GrassValley HQXコーデックに変換してくれます。
マシン環境的には、春に出たHP Z820ワークステーションが1CPUあたり最大8コアを搭載しており、デュアルコア構成において最大16コアでの処理が可能になります。これは変換スピードもかなり速く、弊社で16コアのZ820を使って確認したところ、だいたい素材の実時間と同等での変換が可能でした。

raitank_shoot05_06.jpg

出力については、現在はMac環境と同じく最大24pまでのソリューションしか見当たりませんが、QuadroやFireProのような高速なGPUでどこまで出力できるか検証を進めています。グラフィックボード自体の性能的には、いちおう4K/60pまで対応してはいるのですが、ソフトを経由すると実際にはそこまで出ないようです。

中原氏:ただ、4K映像に対する期待感というのは非常に高くなってきておりまして、ノンリニア系のメーカー各社様の対応も、我々が当初予想したよりも早いです。グラスバレーさんのAVCHD converterの他に、Adobeさんも… Adobeにはまだネイティブの4Kコーデックはお持ちではないですが、最新のCS6では先ほど塚田が申しましたように、上下左右に4分割されたデータをタイムライン上に4本配置し、さらにプラスアルファでエフェクトレイヤーも設けて4Kのまま編集する、といった使い方ができるようになりました。

まだ徐々にではありますけれど、撮影から編集、ディストリビューションまで進めていくフローが出来つつあるのを感じています。

raitank:兄弟機というか先代というか、GY-HM100は中身のファイル自体はソニーさんのXDCAM EXベースでしたよね。HMQ10はどうなんですか?別々のHDストリームが4本あるわけですが、やはり一つ一つはXDCAM EXのようなLong GOP式なんでしょうか?

塚田氏:はい。1本ずつはLong GOPですが、コーデックはMPEG-2ではなくMPEG-4 AVC/H.264です。トレンドとして動画のフォーマットはすっかりH.264の方に移行してしまいましたし、4K解像度を確保した上でビットレートは抑えて、でも同時により綺麗な画を出そうということになると、MPEG-2ではなくてH.264ということになります。

4Kが普及するのは…?

raitank:ここでちょっと制作者視点での話をさせて頂きますと、正直、まだ4Kで何かを作ろうという気運がありません。それには編集環境などのワークフローの問題ももちろんありますが、それ以前に、そもそも視聴環境がありません。まだ4Kの実態がどこにもないのです。

で、考えてみると、そもそも「フルHD」という概念が登場したのが90年代の終わり頃で、今、21世紀も最初の10年が終わり、ようやくBlurayなどでフルHD解像度の作品を普通に鑑賞するようになりました。登場からココまで15年くらいかかっているんですね。

それを考えたら…、初めて4Kという概念を耳にするようになってから、現在5年目くらいとして、本格的な普及はまだ10年くらい先の話なのかな?と。

熊谷氏:おっしゃる通りでして、我々も初めて4Kの映像を見た時、その画の凄さに圧倒された記憶がまだ鮮明に残っています。それはSDが普通だった時代に初めてHDを見た時と同じような感動と申しますか、「わ!?ココまででちゃうの?」という驚きでした。そして、HDが出始めた頃、SD解像度のTVを見ていて「別にHDじゃなくていいよ」なんて言っていた人たちが、その後10何年経って「え??ハイビジョンじゃないの?」なんて言うようになって…。4Kについては、我々も、まさにそういう次世代フォーマットなのだろうなと感じています。 raitank_shoot05_07.jpg

ビジネス・ソリューション事業部国内営業部 国内営業推進部 クリエーショングループ グループ長 熊谷肇氏

そういう意味で、まずこれは一般の家庭から入っていく商品ではないなと感じておりまして、「業務用」というところでまず販売させて頂きながら、徐々に裾野を拡げていけたらと考えています。実際、今、HMQ10をご購入いただいているのは、ハイアマチュアのかた、そして企業系のかた、大学や学術機関あるいは研究所のかた、医療機関など、ある意味、狙い通りの方々にご導入いただいております。

実際、大学はかなりの割合ですでに4Kプロジェクターを導入されていますね。そういった、すでに視聴環境の整ったところにご提案させて頂いたり、あるいはすぐにご購入頂いたり、そういう例が増えております。なにはともあれ、まずはなるべく多くの皆様にこの、もの凄い画を見て頂きたいなというのが、今我々のとっている行動ということになります。

raitank:ただ同時に、ハイエンドの制作環境ではF65にしろREDにしろ、もうしばらく前から「次は4Kです。4K以上です」という “のろし” は上がっていて、これは何か?というと、早いはなし、4Kで撮って2Kの作品を作りましょうってことなのかな?と思うんです。今まではフルHD解像度で撮影してフルHD作品を作っていた。つまり全くマージンのないギリギリの解像度で制作をこなしていたわけです。これが、本格的に4K時代が到来した暁には、この「マージンができる」ということが一番大きいのかな?と感じています。 raitank_shoot05_08.jpg

…感じているのですが、でも、HMQ10の製品コンセプト的には、仰るように企業系、学術機関、医療機関などという想定はあれど、”映像作家系の人が、あるいは映像制作会社が、作品撮りに使う” という想定がないようにも思われるのですが。

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WRITER PROFILE

raitank アートディレクター。あまたの海外ソースを読み漁ってHDSLRを独学。国内と海外の情報流通の温度差にモーレツな疑問を感じ、最新の情報を自ら日本語で発信するblogを運営中。


[ Writer : raitank ]
[ DATE : 2012-09-20 ]
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