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Column

映像とシームレス化した写真機の祭典!

2012-09-24 掲載

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動画カメラの雄 Canon

photokina2012_12.jpg

やはり注目は1D C!素晴らしい出来になりつつある

スチルカメラによるムービーということで、やはり注目を集めていたのはCanonだ。Photokinaに先立ち「EOS 6D」というこれまたフルサイズセンサー機を出してきて、話題をさらっていた。とはいえ、その性能は今となってはありきたりなもので、価格が安くなったという点が一番のポイントのカメラと言える。

それに対し、ムービー系の人間の間で熱く盛り上がっていたのが同社製シネマカメラ「 EOS-1D C」の実機展示である。1D Cはスチルカメラスタイルのカメラながら、なんと4KのLOGガンマ動画が撮れることを売りにしているカメラで、これ一台で写真から映画まで撮れてしまうという夢のようなカメラである。しかも、その手の従来のモーションピクチャーカメラと異なり、大きさも重さも普通のカメラの範囲内に収まっており、普通のカメラのように持ち歩くことが可能なのである。一台でなんでも出来るカメラは現実には存在しないとは言え、それに近いカメラとして、この1D Cは期待されているのだ。もちろん、 EOS-1D Cの発表自体は以前からあったのだが、その実機の完成度の高さはいよいよ発売間近かと思わせるものであり、熱い注目を集めていた。

Panasonic GH3は安定の出来

photokina2012_13.jpg

GH3は事実上のDSLR動画のスタンダードGH2の後継機だ。非常に優れたカメラになった

今回最注目だったのが、Photokinaで発表されたPanasonicのカメラGH3だ。フルサイズセンサー戦争我関せずとマイクロフォーサーズでの登場だが、動画機能にはフルHD 60Pを搭載。その収録はAVCHDながら、なんとイントラフレーム収録方式の「ALL-I」収録では72Mbpsのスーパーハイビットレートを実現している。これは、今までGH2をハックして行われていたのと同じ性能が市販品で手に入るということであり、信頼度が必要な制作現場においては、非常に大きな福音となるだろう。

また、無線LAN機能も搭載し、様々な活用方法も検討されているようだ。しかも嬉しいことに、防塵防滴のマグネシウムボディとなった。そのコンパクトさから、大型カメラが入れないところでのハードな使い方が多いスチルカメラムービー撮影において、防塵防滴機能は非常に重要だ。もちろん、USTREAMなどのネットライブ放送を意識した、HDMIスルー出力も健在だ。GH2のブラッシュアップといえばそれまでだが、かゆいところに手が届く仕様となっている。GH3も、スチルカメラムービー撮影の新しいスタンダードの一台になるだろう。

「普通」になったスチルカメラムービー

ZeissコーナーにあったBlackmagic Cinema Camera。筆者も取材に使用、まだ数が少なく、注目を集めていた

Photokinaの初日、ついに富士フイルムが映画用フィルムの生産をやめたというニュースが飛び込んできた。まだまだ日本では抵抗する者も多いが、ついに否応なく完全デジタル化の時代が来たのだ。しかし、正直言って、数百万円のハイエンドのシネカメラであったとしても、画質的にはフィルムカメラにかなわない部分がある。映画の世界にデジタルと聞くと鼻で笑う人がいるのも、理由がない話では無いのだ。

そんな中、2回前のPhotokinaにおいて登場した、Canon EOS 5D Mark IIのおまけ機能のフルサイズ動画は、衝撃であった。何しろ、それまでの数百万円のシネカメラの映像を、30万円程度のカメラのしかもおまけ機能が軽やかに飛び越えていったのだから。映画の本質とは連続した写真だ。そうであれば、写真を撮るカメラで連続して撮ってしまえばいいだけのこと。そんな簡単な事実を教えてくれたのが、スチルカメラムービーだったのだ。

その衝撃のPhotokinaから4年。スチルカメラの技術を使う事で、ついに、画質も徐々にフィルムに追いつきつつある。中でも、RAWやLOGガンマをつかったHDR撮影は、その差を詰めるだけでなく、フィルムになかったやり直し可能な容易なデジタル現像によって、新しい表現を生み出しつつある。その影響は、今回のPhotokinaでも、明確に見えてきたと言っていい。

この競争の勝者は誰なのだろうか?まず、ユーザーは、間違いなく勝者だ。なにしろ、今まで数百万円のカメラでしか出来なかったことを数十万円で手に入れている。これは、フィルム時代にもあり得なかったことだ。何しろ昔のフィルム時代には、1回の映画の現像代がそのくらいかかったのだから。また、カメラメーカーも勝者である。何しろ、今まで存在しなかった数千ユーロ(数十万円)のカメラを次々と買う層が突然現れたのだから。

最大の勝者はレンズメーカーだ、という人がいる。実際、全てのカメラにおいてレンズは必須で、しかもカメラの性能が上がれば上がるほど高性能なレンズが必要になるのだ。更にいえば、実はレンズは消耗品であり、コーティングで数年、レンズ自体も長くて数十年、成分次第では十年前後で歪んで使えなくなってしまう(中学の理科を思い出していただきたいが、ガラスは粘性が極めて高いだけで、実は液体なのだ)。

実際、Photokinaにおいても、レンズメーカーは極めて元気であった。例えばZeiss社は、新しいシネズームレンズを出すだけでなく、スチルカメラムービーを意識したレンズを次々と発表し、注目を集めていた。ブース内には多くの新型カメラに並んでBlackmagic Cinema Cameraも展示し、同社のレンズがシネマにも対応できることを強くアピールしていた。

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Kowa社では、iPhone向けの本格レンズの試作。カメラを単なるセンサーと考えれば、こういう発想もあり!

しかし、結局のところ、デジタル化で損をする人はあまりいないのでは無いか、と筆者は考えている。確かにカメラは安くなったが、確実に層全体が広がり、単に「コストダウンをしました」という状況では無くなっているように思える。事実、各社共に販売台数は上昇傾向であり、その傾向は動画機能が強い高級カメラに明確に現れているのだ。事実、周辺機器のメーカーもこの特需に湧き、今回、様々な機材を発表していた。中でも、アタッチメントを替えるだけで様々なカメラにレンズを付けてしまおうという試みは面白く、各社様々な機器向けの様々な機材を展示して、まさに百花総覧という感じであった。

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RED Scarletによる撮影。TAMRONブースでは、同社製レンズの性能を示すのに、REDでの撮影。REDは連番RAW収録のため、写真撮影にも使える。これも新しい動きだ

もちろん、映画業界自体の古さもあり、特に映画館などの設備更新は、VPF問題などでわかるとおり、まだまだ先行き不透明だ。スチルカメラムービーは、ハイエンドの映画機材に慣れきったプロから見れば、何もかもが不足していて使いにくいという問題もある。しかし、斜陽を通り越してコンテンツが全く生産されなくなりつつあった我が国の数年前の映画界を思えば、こうしたスチルカメラムービーの盛り上がりは歓迎して良いものだろう。世界的に見ても、コンテンツ制作の裾野が広がるのは急務であったから、こうした動きは大歓迎であろう。

私には、そういう明るい未来が見えてきたPhotokina2012であったと感じられる。2008年に始まったスチルカメラムービーの世界は、4年を経て、ついに「普通」の撮影手法の一つになったのではないだろうか。

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WRITER PROFILE

手塚一佳 デジタル映像集団アイラ・ラボラトリ代表取締役社長。CGや映像合成と、何故か鍛造刃物、釣具、漆工芸が専門。芸術博士課程。


[ Writer : 手塚一佳 ]
[ DATE : 2012-09-24 ]
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手塚一佳 デジタル映像集団アイラ・ラボラトリ代表取締役社長。CGや映像合成と、何故か鍛造刃物、釣具、漆工芸が専門。芸術博士課程。


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