txt:川上一郎 構成:編集部

4K・8K次世代放送とは?

“映像革新!4Kの世界から見える最新技術とそのビジネスに与えるインパクト”と題した、4K映像に関する総合的な話題を網羅したシンポジウムが、5月22日にDCCJ(デジタルシネマ・コンソーシアム・ジャパン)とSKJ(She Knows Journal)の共催により慶應義塾大学三田キャンバスにて開催された。スカパーによる4K実況中継トライアルや、2014年に4K衛星放送開始等の話題が多いことから150名を超える参加者で大盛況であった。なお、この行事は、総務省の情報通信月間行事として行われており、4K・8K次世代放送のロードマップを含めた施策について総務省の衛星・地域放送課長 小笠原陽一氏が講演を行った。

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主催者である、DCCJ理事長で慶應義塾大学青山友紀教授から、DCCJ設立の経緯と、デジタルシネマ規格での4K映像に対する先進的な取り組みの紹介が行われた。このDCCJ設立時の様々なエピソードについては、SKJ社を主宰する真咲なおこ氏が”デジタルシネマの侍達”と題する60分番組を製作している。SKJ社についてはホームページFacebookページをご参照いただきたい。

シンポジウムの冒頭では、慶応義塾大学DMC(デジタル・メディア・アンド・コンテント)統合研究センターの金子晋丈専任講師が、日吉キャンパスに設置されているDCI規格認証設備となっている4Kスタジオの概要と、デジタルシネマの現状について説明を行った。昨年末で、約8万9千スクリーンがデジタル化され、約2万スクリーンが4K対応、7万スクリーンが2K対応の構成である。

また、4K実写映像とCG合成でのワークフローについてDrawiz代表の尾小山良哉氏が講演を行い、ACESをベースにした、OpenEXR16ビットとリニアガンマによる編集合成工程の実例について紹介した。

アスキーの創業メンバーとして著名な、尚美学園大学大学院教授の西和彦氏は”4Kテレビ成功のシナリオ”と題して講演を行った。オーディオの世界では、CDやMP3により音質は改悪されてしまっており、アナログ録音の最高峰は2トラック38cm磁気テープであるのに対して、デジタル録音では32ビット384kHzサンプリングが現時点では最高の音質である。100年の歴史を持つフィルムに対して、デジタル映像は4Kカメラの出現によりやっとフィルムを超えた。映画館や劇場でのデジタル上映は、4Kになりつつあるが、民生用テレビが4Kとなるには価格が最大の問題となる。すでに中国では4K60インチのテレビが16万円で販売されており、10万円になるのは時間の問題である。

4Kコンテンツについては、放送とネット、パッケージメディアの同時展開が必要であり、放送については国際競争力確保の面から、政府による政策推進が必須である。パッケージメディアについては4Kブルーレイディスクの早期標準化と、4Kブルーレイ再生機能を持ったプレイステーション4の市場投入が牽引役になると考えられる。ネット配信は自由競争であり、SD、HD、4Kで課金額を変えるなど自由度が高い利点がある。したがって、ネットのオンデマンド・ストリーミングともにマルチフォーマットでの共存が続き、パッケージメディアでも同様にDVD、ブルーレイ、4Kブルーレイの共存が続くと考えられる。

来るべき4K・8K時代に向けて

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総務省衛星・放送課長の小笠原陽一氏は、スーパーハイビジョン(4K・8K)普及推進のロードマップとして講演を行った。2014年の4K放送開始は、米国と欧州での4K放送に遅れない為に以前の計画を2年前倒しとしたものである。また8Kの放送開始についても、国際競争力確保の為に4年前倒しとしている。このスーパーハイビジョン普及推進の為には、オールジャパンでの取り組みが必須であり、5月2日に一般社団法人次世代放送推進フォーラムが発足している。NHK、スカパーJSAT、NTT、ソニーの4社が発起人となり、在京テレビ局5社のほか商社やメーカー、広告代理店など21社による組織である。5月30日には、次世代放送推進のテストベッド設立に関する30億円の予算配分について、公募選定結果を踏まえて詳細な発表が行われることになる。

また、世界に先駆けて4K衛星配信によるJリーグ実況中継を行ったスカパーJSATのサービス開発担当主幹である今井豊氏が、講演を行った。特に、2回目の実証実験となったFC東京と柏レイソルの試合中継では、キヤノン「EOS C500」4台、ソニー「PMW-F55」、アストロデザイン「AH-4413」を各1台、そしてスーパースロー撮影用として朋栄「FT-ONE」1台を使用し、4KのCGジェネレーターも投入し、より実践的な試合中継を実現している。上映会場は、「お台場シネマメディアージュ」に仮設のパラボラアンテナによりH.264のストリーム4本による120Mbpsの帯域で受信し、ソニーSXRDプロジェクターで4K上映している。実際の4K実況中継における課題として、PLマウントによるシネマレンズでは、焦点深度が浅いために周囲の選手がぼけてしまう問題や、動きが激しいためにフォーカスフォローの問題などを挙げられていた。

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