イベント映像の最前線で活躍するプロダクションやトレンドをシリーズで紹介する「イベント映像演出の世界」。3回目の今回は1月23日、24日に東京・江東区で行われた光和の「2014最新映像機器内覧会」の様子を紹介しよう。株式会社 光和は、会議室やAV設備の施工や映像、音響機器の機材レンタルで業界大手の会社だ。毎年1月に最新映像機器の内覧会を行うのが恒例で、今年で18回目の開催と長い歴史をもつことからイベント業界お馴染みの業界展として親しまれている。

建物1つの中にメーカーも協力して映像機器を網羅する形で展示が行われる大規模なものだ。イベント業界は新しいLEDディスプレイやプロジェクターなどの登場によって伸張しているということもあり、光和の内覧会の注目度も増しているといった感じだ。早速当日の様子を紹介しよう。

プロジェクターは4万ルーメンやレーザー光源モデルに注目が集まる

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中央に展示されていたDLPプロジェクター「HDQ-2K40」。筐体は大柄で重量は210kg。レンズの周りに「レンズの中を覗かないで下さい」という注意書きが貼られていた

■4万ルーメンのDLPプロジェクター「HDQ-2K40」

まずはイベント系の業者注目のプロジェクターから紹介しよう。ここのゾーンは、やっぱりイベント業者が多く集まっている感じで、昨今のプロジェクションマッピングの流行からか例年以上に盛り上がりを見せているような雰囲気が感じられた。そのプロジェクター関連の展示でもっとも目を引いたのはバルコの4万ルーメンを実現した世界最高輝度のDLPプロジェクター「HDQ-2K40」だ。4万ルーメンというのは驚愕のスペックだ。ランプを直視すると目が焼けてしまう恐れがあるということで、本体にも覗かないように注意書きが貼られて展示されていた。

■色表現が広くて綺麗なレーザー光源採用プロジェクター
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レーザー光源採用DLPシネマプロジェクター「NC1100L」

NECディスプレイソリューションズのレーザー光源採用のシネマプロジェクター「NC1100L」も注目を集めていた。特徴はデジタルシネマプロジェクターで初めて光源にレーザーを採用していることだ。また、光源の寿命が2万時間であったり、レーザー光の場合は単一周波数だけを出すので熱があまり出ない。つまり、消費電力が少ないというのも特徴だ。本体を触ってみたが確かにあまり熱くなかった。2014年3月出荷予定とのことだ。

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レーザー4K対応のDLPシネマプロジェクターも参考出展されていた

また、同じコーナーでNECディスプレイソリューションズの4Kレーザープロジェクター「NC1040L」が参考出展されていてこれも見逃せない展示だった。今話題の4K(4096×2160ドット)対応で、キセノンランプでは出すことができないAdobe RGBに対応。チューリップ畑を撮影したデモ映像を上映していたが、チューリップの赤や黄色、ピンクが驚くほど鮮やかで、普通のランプ方式のプロジェクターでは絶対できない色といった感じだった。このほかにも、光源は2万時間の寿命を実現しているところなどが特徴だ。

■4台のプロジェクターで4Kを映写するデモ
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左右に2台ずつプロジェクターを設置して4K映像を映写するデモが行われていた

イベント業界では「4Kを映写したい」という需要があるが、現在リリースされている4K対応プロジェクターの最大輝度が5,000ルーメンだったり、フィルム調の画質になるなどレンタルに適したプロジェクターはまだないといっていい状態だ。光和では、フルHDのプロジェクターを4台使用し4Kの映像を映写する手法を提案している。その4台で4K映像を映写するというデモが会場で行われていた。また、同ブースにはパナソニックシステムネットワークスのフラグシップモデル「PT-DZ21K」も目立つ形で展示されていた。コンパクトなボディながら2万ルーメンやWUXGA(1920×1200ドット)対応を実現しているのが特徴だ。

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注目度の高い2万ルーメンを実現したパナソニックシステムネットワークスの「PT-DZ21K」

■ひずみ補正機能でプロジェクションマッピングを実現
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本の形をモチーフにした造形物への投影を行っていた

プロジェクションマッピングがブレイクしたのは去年ぐらいだが、光和の内覧会には4年ぐらい前から展示が行われている。そのプロジェクションマッピングのデモが今年も会場内で行われていた。今回のデモは本の形をモチーフにした造形物への投影を行うというもので、プロジェクターを縦に2台設置される形で行われていた。通常、このようなプロジェクションマッピングを行う場合は、送出側のコンテンツを補正したり、補正をするための機材を別に用意して使うのが一般的だが、デモのような造形物の曲面であればプロジェクター自身に搭載されているひずみを補正する「幾何学歪み補正機能」で実現できる。ソースに特殊なしかけや外部機器がいらないというところをアピールしていた。

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使っていたプロジェクターはパナソニックシステムネットワークスの1万2,000ルーメンの「PT-DZ13K」。幾何学歪み補正機能や縦長映像を投写できるポートレートモードを搭載していて、2台は縦置きに設置して稼動していた

■最新のプロジェクターを横並びで比較展示
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各社のプロジェクターがずらりと並べられて展示されていた

プロジェクターの比較展示も光和の内覧会の見どころだ。今年もカシオやパナソニックシステムネットワークス、日立マクセル、NECディスプレイソリューションズ、エプソン、ソニービジネスソリューションなど各社の3,000から8,500ルーメンのプロジェクターを並べて、同じ映像を投影して比較が行われた。

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このように横並びで同じ映像を投影されて、各機種の明るさや色再現性の違いが一目瞭然でわかるようになっていた

LEDディスプレイでは曲面使用可能な屋内用LEDタイルに注目

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曲面に設定することが可能な「DigiFlex DFX6BP」

LEDディスプレイもいろいろ展示されていた。その中でも注目は曲面で使用できるLEDディスプレイ「DigiFlex DFX6BP」だ。画素ピッチは6ミリで、内側・外側への湾曲設置が可能。筒状や波型の造作が可能というのが特徴だ。

バルコはLEDディスプレイも手がけていて、屋外用LEDディスプレイ「V14m」や「V9m」、屋内用LEDディスプレイ「C5」などを展示していた。LEDはピッチの幅によって数種類のモデルが用意されており、細かさによって用途が異なってくる。実際の現場の例でいうと、9.5ミリピッチの「V9m」は非常に高精細なので展示会などに使われ、14.3ミリピッチの「V14m」は粗めなのでコンサートステージで使われている感じだ。

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バルコのコーナーに展示されていたLED。左が9.5ミリピッチLEDの「V9m」、右が14.3ミリピッチLEDの「V14m」。

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こちらもバルコのコーナーに展示されていたLED。写真上半分が5.5ミリピッチLEDの「C5」

ディスプレイは大型タッチ対応モデルやシャープの90インチモデルに注目

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55インチのマルチタッチディスプレイの「MT553UTB」。6台のマルチ状態で展示が行われていた

■大型マルチタッチディスプレイ「MT553UTB」

次にマルチディスプレイやタッチディスプレイの展示を紹介しよう。電子黒板的なディスプレイは一昨年ぐらいから展示されていたが、今年は大型マルチタッチディスプレイ「MultiTaction」シリーズの「MT553UTB」が注目を集めていた。「MT553UTB」は大人数でマルチに使えるのが特徴で、展示会場や企業のショールームなどをターゲットとにしたものだ。タッチパネルを使ってカタログを巨大に表示してめくったり、高解像度の写真なども細かいところまで巨大に表示させるなどのアピールをしていた。画面が大きくてタッチができることから、ついつい触りたくなる。お客さんの足止め効果が高そうな製品だ。

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画面をまたいでカタログを大きく表示して、めくるようなことも可能だ

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高解像度の写真を大きく表示した例

■20枚のマルチディスプレイとビデオ送出のデモ
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20台のモニターに映像を送出するデモ。NECディスプレイソリューションズの46インチの「LCD-X462S」や「LCD-X463UN」、シャープの60インチの「PN-V601」など3種類のディスプレイを使っていた。モニターを支えているフレームはオリジナルで作成したものとのことだ

展示会やイベントの入り口などに展示したりする20台のディスプレイを自由にレイアウトしたマルチディスプレイのデモも迫力があった。映像の送出は、20台のモニターのレイアウトをPC上に入力して、ビデオサーバーからレイアウトに映像を貼り付けていくイメージで実現している。映像は普通のHDの素材を使ったり、比率の違う映像とかを貼り付けることが可能で、同時に何ロールも使用することが可能とのことだ。

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白い枠線が映像のサイズ。赤や緑、黄色がモニターの位置。ここで映像の位置とモニターに映る映像をレイアウトすることができる

■各社のマルチディスプレイも一堂に展示
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90インチで縦置きを実現しているシャープのディスプレイ「PN-R903」

大型ディスプレイの注目機種にシャープの90インチディスプレイ「PN-R903」があるが、内覧会でも展示されていた。PN-R903の魅力は、90インチながら縦型設置も可能で、その大きさからマルチにするといった手間を減らせるところだ。縦型設置の際のディスプレイ部の表示画面サイズは約199cmもあるので、人を等身大に映すといったことも可能だ。

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こちらはNECディスプレイソリューションズのディスプレイをマルチ構成したところ

NECディスプレイソリューションズのディスプレイもマルチ構成で展示されていた。NECディスプレイソリューションズのマルチディスプレイの強みは、キャリブレーションの部分にあるとこのことだ。ディスプレイには個体差があって、1万時間などを超えてくると急激に輝度が下がってしまう。そういった場合に周りのディスプレイが輝度の一番低いものに合わせるなど、輝度調整を行うためのキャリブレーションソフトが独自開発されてリリースされている。そのあたりのメンテナンス性が他社との違いだとアピールしていた。

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パナソニックシステムネットワークスのLFVシリーズをマルチ構成しているところ。スリムベゼルによるシームレスな画面を実現できるところが特徴だ

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こちらは三菱電機の55型液晶ディスプレイをマルチ構成しているところ

システム関連では高速レスポンスの映像プレゼンターに注目

■マルチフォーマットビデオプレゼンター「PR-800HD」に注目!
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中央の筐体がPR-800HD。ブースでは2台展示されていた

光和の内覧会はディスプレイ関連の展示だけではなく、映像再生や録画、送出機、スイッチャーなどシステム一式を見ることができるのも特徴だ。システム関連のブースにくると、プロジェクターのゾーンと違ってスーツを着た業務用のシステムインテグレーターの人たちが多いといった感じだ。システム関連のゾーンで一番目に付いたのはローランドのブースに展示されていたマルチフォーマットビデオプレゼンターの「PR-800HD」だ。発売は今年6月を予定とのことで、稼動するテスト機が展示されていた。

最大の特徴はレスポンスの良さだ。従来のローランドの製品でも高速レスポンスで再生できていたが、実際の速さでいうと映像が出るまで6から7フレームの速さだった。PR-800HDではわずか3フレームという高速再生を実現している。実際に再生したところを見せていただいたが、従来の6フレームだと「うっ」というぐらいの時間がかかるが、PR-800HDはクリックから0.1秒で再生できる。キーボードを押してガッシャという音と同じぐらいで再生する感じだ。これならばジャストタイミングを要求されるイベント現場でも不安なくビデオ送出ができそうだ。

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再生速度の調節がリアルタイムで可能だ

再生中に細かなスピードの調整ができるというのも大きな特徴だ。コンサートのような生演奏の現場では音楽の演奏の進行と映像がずれたりすることが起こる場合がある。そういった場合にオペレーターが進行に合わせてクリップの再生速度をリアルタイムで調整することができるという機能だ。

また、再生機でありながらも切り替え効果を持っているというとことも特徴だ。例えばオーバーラップでの切り替えをするならば通常、デッキなどの再生機を2台とスイッチャーを用意して切り替えないとできないのだが、PR-800HDならば1台単体で切り替えが可能だ。このような切り替え効果を持っている再生機というのは今まで存在していなかった。現場のシステムがより簡略化できたり、一人でオペレーションできるなどのメリットがあるだろう。

このほかにも、完全に同期して動いてくれる「複数台同期システム」という機能を搭載している。マルチスクリーンでより高解像度、広い画面の再生に対応するすることを想定した機能だ。

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必要な機能がひとつに凝縮したVR-3EX

サイズも魅力で、前モデルのVR-3は「ジャストA4サイズ」というのが売りだったが、VR-3EXはA4よりも横に4センチばかり大きいので「ワイドA4サイズ」と呼んでいる。VR-3EXの登場によりローランドのAVミキサーのラインナップは、ハイビジョンでクオリティを求めるユーザーは上位機種の「VR-50HD」。そこまで画質を求めないけれども音もしっかり作って配信をしたいというユーザーはVR-3EXということになるだろう。値段は税別で19万8,000円。発売が2月10日予定だ。

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右が上位機種のVR-50HD。左が新しく発表されたVR-3EX。サイズの小ささも魅力だ

ノンリニアライブプロダクションセンター「GV Director」
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スイッチャー、ビデオサーバー、グラフィックジェネレーター、マルチビューワーの機能を備えたGV Director

グラスバレーのブースでは、スイッチャー、ビデオサーバー、グラフィックスジェネレーター、マルチビューワーの機能を統合したノンリニアライブプロダクションセンターの「GV Director」が展示されていた。HD/SD-SDIは8入力4出力、アナログオーディオは2入力、4出力を備えている。特徴は、直感的にボタンを押してスイッチングができるとことや、スイッチャーとかの知識がない方でも直感的に映像を切り替えるオペレーションが可能というところだ。タッチパネルのコントロールパネルをボタンに割り当てて、直感的な形で切り替えていくことが可能で、さらにユーザー自身の好きなプリセットでそれをコンフィグレーションすることもできる。たとえば展示会用のボタン配列の設定にして活用することができるのが特徴とのことだ。

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タッチパネルを搭載しているのもユニークなところだ

4K対応のモニターーレコーダー「Odyssey7Q」
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7.7インチの有機ELディスプレイを搭載したレコーダーOdyssey7Q

テクノハウスのブースに展示されていたConvergentDesign製4K対応モニターレコーダー「Odyssey7Q」の展示も目を引く存在だった。7.7インチの有機ELディスプレイを搭載していて、レコーダーの部分は4K RAWデータを収録することができる。専用のSSDはモニターの背面に2台装着することが可能で、収録が終わったあとにリーダーに差し込めば即編集ができるというのが特徴だ。

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こちらが専用のSSD

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本体に専用SSDを2台搭載することが可能だ

今年から4K関連の展示もスタート

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各社の4K対応の民生用液晶テレビがずらりと展示されていた

会場には今年から新しく4K関連を紹介するゾーンができていて、4K対応の民生用液晶テレビやカメラが展示されていた。民生用液晶テレビのコーナーにはパナソニックの「TH-65WT600」やシャープの「LC-60UD1」、ソニーの「KD-65X9200A」などが展示されていた。4K対応カメラのコーナーには、ソニーのデジタルシネマカメラ「PMW-F55」やデジタル4Kビデオカメラレコーダー「FDR-AX1」などが展示されていた。

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スーパー35mm CMOSイメージセンサーを採用するソニーのデジタルシネマカメラ「PMW-F55」

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民生用ながら4Kを実現したデジタル4KビデオカメラレコーダーFDR-AX1

光和の代表取締役社長 塚本氏にイベント業界の動向を聞く

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質問に答えていただいた光和の代表取締役社長 塚本貴信氏

最後に光和の代表取締役社長 塚本貴信氏に光和の強みやイベント業界の動向などの話を聞くことができたので紹介しよう。

光和は映像、音響機器の販売とレンタル、どちらの面でも業界大手といわれていますが、ここまで大きくなれた光和の強みを教えてください。

塚本氏:弊社の場合はシステムの販売とレンタルの事業を合わせてやっていますので、販売のお客様に対してもレンタルのお客様に対してもそれぞれにお話ができます。販売とサービスを兼ねていることが強みであると同時に技術力も自負しております。

レンタルでは主にどういった機材を扱っていますか?

塚本氏:どちらかというとイベント関係が主体となりますので、ディスプレイやプロジェクター、LEDと映像演出に必要な送出のコントロール機器ですね。あとは高度な演出ができるように社員の教育を進めています。

それらの機材をクライアントはどのようなシーンに使っているのでしょうか。

塚本氏:イベントや展示会の映像や、放送局のスタジオ内の映像演出が多いですね。あとは特殊なところでは株主総会です。ここも映像による訴求が最近多くなってきています。

最近のイベント映像業界ではプロジェクションマッピングなどのトレンドありますけれども、近年の映像機材の動向や技術の動向とかで何か感じることはありますか?

塚本氏:そうですね。機材の動向でいうならば、わりと小型で高出力なプロジェクターも多くなってきています。ディスプレイではかなり視野角の広い高精細なものがでてきています。そういったものが主体になってきていることを感じています。

近年、クライアントはどのようなことを求めてきていますか?

塚本氏:やはり高画質ですね。ただ、4Kに関しては展示会とかイベントなどで指名されることは少なくて、まだ一般的にはなっていません。逆に我々のほうでは、LEDディスプレイならば平面ではなくて曲面にできるようなものをご案内しています。

まとめ

光和の内覧会を回って感じたことは、イベントや設備関連の業務用機器を短時間でまとめて見られる貴重な展示会ということだ。特に他で行われているディスプレイ専門の展示会だと展示はディスプレイだけでシステム関連の展示がないというものがある。光和の内覧会は、送出などのシステムや他の展示会ではあまり並べないものも確認できるのもポイントと感じた。今後、機会があればぜひ光和の内覧会でイベント映像の世界をチェックすることをお勧めしたい。

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編集部

PRONEWS編集部による新製品レビューやイベントレポートを中心にお届けします。