データカードの戦い

「サンディスク エクストリーム プロSDHC/ SDXC UHS-Ⅱ カード」は現在「FUJIFILM X-T1」のみに使える

高精細度撮影における足回り関係では、データカードの競争激化が目立っていた。サンディスクのブースでは、同社製の新しい規格のSDカード「サンディスク エクストリーム プロSDHC/ SDXC UHS-Ⅱ カード」を展示していた。これは、富士フイルムの新しいスチルカメラ「FUJIFILM X-T1」に使う事の出来るカードで、従来のインタフェイスであるUHS-Iとは違う、全く新しい規格によるSDカードだ。

LexarブースはMicronブースの中にあった

これに対し、ライバルのLexarは「Lexar Professional 600x UHS-I SDXCカード」という、以前からあるUHS-IのU1規格ながらも、最高速度600x(90MB/s)の高速SDカードを出してきており、既存規格でも十分に速度的に戦えるところを示していた。この速度を考えればGH4の規格であるU3への対応も容易であるものと予想されるため、こうした旧来のUHS-I規格における速度アップと安定化も非常に期待が持てるだろう(U1とU3の違いは、最低速度保証だ。このカードは最低保障こそ無いものの、既にU1規格の3倍の速度が出ている計算になる)。

「Lexar Professional 600x UHS-I SDXCカード」は90MB/sの最高速度を誇る。よく見るとロゴにもMicronの文字が!

データカードは収録の要である。速度も大事だが、信頼性こそ大切だ。こうした足回りの競争激化は大いに期待したい。

CP+に課された今後の課題

こうしてみると、4Kのカメラが整ってくるだけでは無く、足回りがしっかりと整ったのが、今回のCP+2014の特徴であったと言える。

元々昨今の動画ブームやミニ映画ブームは、スチルカメラであるCanon EOS 5D mark II(5D2)のブレイクに寄るところが大きい。5D2はそれまでとても個人には手の出るものでは無かった映画向け高解像度業務機材を一気に引きずり寄せ、個人でも頑張れば買えるレベルの価格帯の機材へと変えた。それを考えれば、CP+が、安価なミドルクラス以下のラインの映像の祭典も兼任することは当然の話であり、その傾向は今後も続くものと思われる。

実制作を考えれば、単にカメラ本体が安くなるだけではダメで、それを取り巻く周辺環境が整って初めて、映像制作は可能となる。特に4K以上では、ピントや手ぶれへの対策は必須で、旧来のカメラ本体だけではどうしようも無い側面がある。そう考えると、今回は、4Kなどの高解像度撮影に向けた周辺機器の充実やカメラ本体側でのそうした高解像度撮影特有の問題への対策が、大変頼もしい回であったと言える。

来年は、さらにこのCP+が、単にスチルカメラの祭典と言うだけでは無く、我々映像業に関する者に取っても重要なイベントと化してくることは間違いが無いところだろう。もはや、CP+抜きに映像業界は語れなくなってきているのだ。

さて、ここまで良いことばかり書いてきた今回のCP+2014ではあるが、実は、筆者は今回、たった1日しか参加が出来なかった。それは、まず第一には2月14日の関東甲信越地方への記録的な大雪が原因なのだが、単に大雪が降ったというだけでは無く、CP+の開催中止のプレス向けの連絡が雪のため開催中止となった15日当日正午近くになるまで来なかった、というのが大きかった。これによって大きく時間をロスしてしまった。

結局は初日に目立つブースを一通り回っただけで、映像作品展やセミナーなどを取材することが出来なくなってしまった。せめて、雪の降り始めの14日夜にでも、翌日開催中止の可能性の連絡をくれていれば、予定の組み替えが間に合ってもう1日取材が出来た可能性が高いだけに、残念でならない(実際、多くのプレス関係者が、雪で交通機関が止まる中、中止された会場に馳せ参じてしまったようだ)。

さらに言えば、プレスルームの位置が遠方にあり、会場からビルを二つはさんで向こう側の会議棟の、さらにエスカレーターを上った奥にプレスルームが置かれている始末であった。これでは、会場との片道に15分もかかり、プレスルームの利用がほぼ出来なくなってしまう。

そのため、大荷物での移動を強いられて、たった1日の取材時間の中でも、さらに体力と時間を消耗してしまった。今までのCP+で取材されることの少なかったセミナー系の取材をして欲しいから、という意向でのプレスルームの「島流し」であったようなのだが、結果として取材時間が無くなり、セミナー取材が出来なくなったのだから皮肉なものである。

teduka_n42_20.jpg

Photokinaのプレス向きイベントも今回CP+では開催された。CP+には、世界が注目している

今まで、CP+は、一時、斜陽産業とまで言われたスチルカメラのイベントであり、参加人数も限られ、取材者もカメラ専門の熱心な人たちばかりであったとは思う。しかし、今や映像系イベントともなったわけで、そうなれば世界中から取材陣もやってくるし、国内でもカメラ専業に時間をたっぷり割けるわけでも無い取材者も多く来るようになる。映像エンタメ目当ての一般のお客さんも増えてきている。それなのにこういうやり方で、果たして良いものだろうか?

ここ数年は、世界最大のカメラの祭典Photokinaでも、CP+の名前を聞くことが多くなった。実際今回は、PhotokinaのイベントもはるばるドイツからPhotokinaの幹部を招いて、CP+の会議棟で行われた。CP+はもはや日本と言うローカルな国のマニアックなカメライベントでは無く、世界的プレゼンスが大きくなっている世界的大イベントであるのは間違いが無いし、そこまで育ったのは、関係者各位のたゆまぬ努力の成果であることは間違いが無い。

前述の通り、もはや、CP+抜きでの映像業界は考えられないところまで来ている。是非とも、今回の経験を生かし、次回はさらに盛り上がるより素晴らしいイベントになってくれるものと期待してならない。

WRITER PROFILE

手塚一佳

デジタル映像集団アイラ・ラボラトリ代表取締役社長。CGや映像合成と、何故か鍛造刃物、釣具、漆工芸が専門。芸術博士課程。