アビッドは、NAB2014でMedia Composerにサブスクリプションライセンスやフローティングライセンスを提供することを発表した。注目はサブスクリプションライセンスだ。バージョン7で大幅な値下げが行われたのに続いて、月単位の契約の選択などによってさらに導入の敷居は低くなると予想される。そこでこれからますます注目の集まりそうなMedia Composerについて、今一度その魅力を紹介をしよう。

オフラインからオンライン編集まで現場に幅広く対応

まずはラインナップから見てみよう。現在、アビッドの編集/フィニッシング系ソフトのブランドはMedia Composerのみで、I/Oボックスとの組み合わせなど3種類のモデルがリリースされている。最小構成はソフトウェアのみのバージョン。特にソフトウェア版は、Final Cut Proからの乗り換えを検討している人たちから高い注目を浴びている。Media ComposerにはMac版があり、操作性はFinal Cut Proと類似点が多数あること、AMA機能を使えばFCPのメディアであるProResも使用可能である点などが、Final Cut Proユーザーの関心を引いているところだ。SDI接続やモニタリング、テープへの書き出し環境が必要な場合には、AvidのI/Oボックスを導入することによって対応が可能だ。

Avid純正のI/Oボックスには2種類あるが、上位モデルの「Nitris DX」は、DNxHDやAVC-Intraのエンコーダー/デコーダーチップの搭載やRGB4:4:4のデュアルリンクにも対応しており、リアルタイムレスポンスやオンラインレベルの画質を実現しているのが特徴だ。Nitris DXほどの多機能でなくていいといった場合には、「Mojo DX」と呼ばれる小型のブレークアウトボックスを搭載したモデルもリリースされている。デジタルのキャプチャやモニタリング、出力が可能で、ノートパソコンで運用したいといった用途にも最適なモデルだ。アビッドというと純正のI/Oしか対応していないと思われる人もいるかもしれないが、Media ComposerはAJAやBlackmagic DesignやMatroxといったサードパーティー製のI/Oにも対応している。すでにこれらのI/Oを導入しているというユーザーや、できるだけ少ない投資でビデオI/Oを実現したいという人にはポイントの部分だ。

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共有ストレージで作業効率が上がる

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アビッドは、ネットワークを使った共有ストレージの開発も自社で行っている。その共有ストレージは、優れた協調作業が特徴でMedia Composerを使ったワークフローにはなくてはならない存在となっている。番組制作の現場というのは1台のPCですべての作業が終わるということはなく、周りのいろいろなシステムの相互によって作られている。また、クライアントの編集機が2台や3台とわずかな台数であっても各編集機が個別にプロジェクトやビンを作ってしまっては作業の混乱を招いてしまう。

協調作業は、やはり共有サーバを導入してメディアを共有するのが適切な方法だろう。アビッドはISISと呼ばれる共有ストレージをリリースしていて、Media Composerを使ったクライアントはビンやプロジェクトを共有でき、同じメディアに同時アクセス可能といった協調作業ワークフローを実現している。共有サーバは、少し前まで規模や導入コストの問題で敬遠されることが多かったが、今ではクライアントが3台以上になったら真剣に考慮していいソリューションになってきたともいえるだろう。

映像編集とMAの連携がスマートに行える

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アビッドのソリューションの魅力といえば、ソリューション間でのスマートな連携を実現している点だろう。ポストプロダクションにはビデオ用のソリューションのほかにMA用のソリューションを導入しているところも多いと思うが、通常その間でデータのやり取りの際には送り先に対応したフォーマットに変えなければいけない。例えば、Media ComposerとPro Toolsとのやり取りは、AAFファイルで可能だが、Media ComposerでAAFを書き出す際にはいろいろ設定をしなければいけないし、Pro Toolsでは送ったファイルを選択してインポートしなければいけない。工程ごとにいちいち手作業で選択や設定を行わなければいけないのが現状だ。

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アビッドの場合は、こうした煩雑なやり取りの部分を「Interplay | Production」と呼ばれる制作管理ソリューションで解決することが可能だ。例えば、Interplay | Productionが導入されている場合、Media Composerのオペレーターは送りたいシーケンスを右クリックして、「Interplayにチェックイン」という項目を選択するだけだ。データのコピーも必要ないし、プロジェクトファイルの変換作業も必要ない。チェックインが完了すれば、ファイル名に行き違いがないように専用のメッセンジャーを使用し、Pro Tools側に連絡をすることも可能だ。Pro Tools側では、受信したメッセンジャーに記載されているリンクを右クリックして「Pro Toolsにインポート」という項目を選ぶだけでPro Toolsのシーケンスに読み込みができる。

Pro Toolsで音が完成したら「選択したトラックをAvid Interplayのシーケンスへ」を選択するだけでMedia Composerに返すことができる。Interplay | Productionが更新されたら、Media Composerは該当シーケンスを右クリックして「Interplayから更新」の選択だけで最新の状態にアップデートが完了だ。Interplay | Productionを導入しているとほとんどのやり取りはメニューから機能を選ぶだけだ。インポートとエクスポートに面倒な設定やファイルの選択といった作業が発生しない。シンプルかつ間違いない2者間のやり取りを実現しているところはさすがアビッドといった感じだ。

トランスコードなしに直接アクセスや編集ができる

今の映像業界はファイルベースの時代といわれているものの、異常といえるほど増加したビデオフォーマットの種類やトランスコードといった面倒な作業に悩まされている人も多いと思う。Media Composerの場合はそういった問題に悩まされることはなく、ほとんどのビデオフォーマットをトランスコードなしに直接アクセスや編集が可能だ。例えば番組制作の現場ならば、一般視聴者がiPhoneで収録した映像を使う機会があるだろう。

H.264をMedia Composerで扱う方法は2つあり、1つはファイルメニューからインポートをする方法だ。この方法は、素材の数がとても多い場合はフォーマットの変換時間がかかってしまうという欠点がある。もう1つは、AMAと呼ばれるプラグインアーキテクチャを使用する方法だ。AMAはインポートするのではなく、映像とリンクをして再生や編集をするという機能だ。ビンの中で右クリック、または、メインメニュー→「ファイル」メニューから「AMAリンク」を選んで取り込みたい映像を選択すると、その映像がビンの中に現れる。インポート時に処理が必要ないので、タイムライン上に並べて即編集が可能だ。素材の数が多い場合にはどんどんAMAリンクをして素材の中身を確認して、後からほしいものだけのフォーマットを変換するという使い方もありだろう。

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XDCAMをMedia Composerで使う場合もH.264と大きく変わることはない。ソニーの「PDW-U2」というPCで再生可能なXDCAMドライブをUSBで編集機に接続して、プロフェッショナルディスクをドライブの中にセットすると、Media Composerはメディアのセットを認識して、自動的にビンを立ち上げてくれる。XDCAMにある「モデルタイプ」や「プロキシAVデータ」といったクリップに付属するメタデータもMedia Composerが自動的に取得してくれる。4KのXAVCであってもAMAで対応が可能で、オリジナルのメタデータを維持しているのも特徴だ。

AMAは、QuickTimeやAVCHDについては対応プラグインが標準でインストールされている。しかし、それ以外の各フォーマットは、各カメラベンダーからプラグインをダウンロードする必要がある。XDCAMやAVC-Intra、XAVCなど大半は無料でダウンロードが可能だ。将来、新しいフォーマットが登場しても、リリースされたプラグインをインストールすることで対応することができるだろう。

総括

Media Composerは、個々の機能よりもスムーズなワークフローを実現できるところが特徴だ。入り口の広さや出口の広さがありながら他のソフトより確実に受け渡しを実現しているといったところだ。例えばAAFへの対応を謳っている編集ソフトはたくさんあるものの、きちんと整合性が取れているというものは実は少ない。Media Composerは高いデータ互換性を実現していて、それがワークフローをきちんと成立させている要因にもなっている。エディターというのはどうしても編集ソフトの機能ばかりに目がいってしまいがちだ。ワークフローもエディターにとって大きなメリットであり、注目すべきポイントのはずだ。いろんなマシンがつながり「連携作業をしましょう」というときに、ワークフローがきちんとスムーズに進むということもプロの現場にとってはものすごく大事なことだではないだろうか。Final Cut Proからの乗り換えを検討している人は、そのあたりも考慮して選んでみてはいかがだろうか。

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編集部

PRONEWS編集部による新製品レビューやイベントレポートを中心にお届けします。