新時代のスタジオ収録システムを志向するBlackmagic Studio Camera

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Blackmagic Studio CameraにENGレンズを装着

さて、URSAとは全く異なるコンセプトのカメラBlackmagic Studio Cameraは、特異な形状でNABでも人目をひいたが、新たな制作スタイルを提案したカメラといえる。従来のスタジオカメラという概念でこのカメラを見てしまうと非常に使いにくい訳の分からない物となってしまうだろう。

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新たなスタジオカメラシステムを提供するBlackmagic Studio CameraとATEM 1 M/Eスイッチャーのシステム

Blackmagic Studio Cameraはアメリカの3大ネットワークや日本のキー局がスタジオで使うカメラではなく、新時代のスタジオカメラだ。カメラマンがフォーカスやズーム操作を行うのではなく、スイッチャーがそうしたテクニカルな操作を一元管理し、カメラマンは被写体のどこにカメラを向けるかといった操作に集中するだけというものだ。すでにネットの世界では国や視聴環境といった制限はなく、世界中でスマホからリビングのテレビまで視聴できるようになっている。従来型の放送局は、マスメディアとしてではなく、ワールドワイドで見ると地方局という位置づけになってしまうだろう。こうしたネット時代のスタジオカメラを先取りしたのがBlackmagic Studio CameraとATEMスイッチャーのシステムだ。

http://www.pronews.jp/pronewscore/wp-content/uploads/2014/10/1410_BMD_URSA_BMSC_2014-10-06-18.32.jpg ATEM 1 M/Eには10台のカメラを接続することが可能。写真は個々のカメラを一覧できる表示モード
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http://www.pronews.jp/pronewscore/wp-content/uploads/2014/10/1410_BMD_URSA_BMSC_2014-10-06-18.32.27.jpg DaVinci Resolveのプライマリーカラーコレクターが搭載されており、カメラごとのカラーバランスを調整できる
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Blackmagic Studio CameraにはHDと4Kの2タイプがあるが、いずれもマイクロフォーサーズのレンズマウントを採用している。同社のWebサイトではB4マウントのレンズやPLマウントのレンズを装着し、フォーカスやアイリスのデマンドを使った写真が大きく取り上げられているが、これらはアダプターを介して装着することになり、基本的にはマニュアル操作になる。マイクロフォーサーズのレンズでは、アイリスやフォーカスなどのコントロールを電気的に行うことができるので、ATEMスイッチャーから操作を行うことが可能だ。またカメラ側にLANC端子が装備されているので、デマンド操作を行うこともできる。

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マイクロフォーサーズのレンズマウントを採用したBlackmagic Studio Camera。マウントアダプターを使用することでPLマウントレンズなど様々なレンズを装着できる

1410_BMD_URSA_BMSC_0129 色温度やフォーマットなどカメラの基本設定を行う画面 1410_BMD_URSA_BMSC_0130

内蔵マイクと外部、レベルなどオーディオ関係の設定画面

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画面の明るさやゼブラ表示などモニター表示関係の設定画面

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リファレンス信号やヘッドセットのレベルなどの設定画面

スタジオカメラでは、タリーやインカム、繰り返しの映像への対応も必要になるが、Blackmagic Studio Cameraでは標準的な光ファイバーケーブルを採用することで長距離伝送が可能となっている。ただし、カメラ用のケーブルでは、電源供給を行うことができないので、カメラ側に電源を内蔵しており4時間ほどの使用ができるようになっている。更に長時間にわたる収録では外部電源を使うことになる。電源や映像系などのコネクターはレンズマウント周辺に集中配置されているが、キャノンコネクターなどは頑丈にできているものの、光ファイバーケーブルは頻繁な抜き差しやストレスのかかるところでの使用には不安がある。実際に使用する上では注意したいところだ。

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LANCやヘッドセット、オーディオ入力端子が並んだカメラ左側面

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SDIや光ファイバーケーブルなど映像系の入出力コネクターや電源コネクターが装備されたカメラ右側面

なお、Blackmagic Studio Cameraにはレコーダーが内蔵されていないので、個別収録が必要な場合はHyperDeck Shuttleを装着して対応するようになっている。カメラには両サイドと上面に3/4のネジ穴が複数あいており、こうした周辺機器の装着も容易に行える。

独特なスタイリングだけでなく、その運用も新たな方法を提案しているBlackmagic Studio Cameraだが、ネットを中心とした新たなマスメディアの登場に一役買うことができるのだろうか。現状は学校放送や企業内ビデオ、ミュージックビデオの収録で使われることが多いだろう。もちろん、そうした収録映像をネットに流すということもあるものの、現状のスタジオカメラとしての使い勝手とのはざまでこれからも進化していくことを望みたい。

WRITER PROFILE

稲田出

映像専門雑誌編集者を経てPRONEWSに寄稿中。スチルカメラから動画までカメラと名のつくものであればなんでも乗りこなす。