年末に味わう新ガジェット達

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Steadicam Solo初心者には最高の組み合わせ

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コンパクトながらマーリン系とは確実に違う

InterBEEも終了した11月下旬に新機材を二つお借りすることが出来た。一つは筆者が9月に大型機?Steadicamから1年越しで登場した「Steadicam Solo(以下、Solo)」と、シネマEOSシリーズの末っ子で、C100の後継機種で在る「EOS C100 Mark II」だ。

Solo自体は昨年のInterBEEで初日の昼頃まで展示されていたので運の良い方は実際に見られたと思うが、その後1年間出る出ると言われながらようやく1年経過して量産品が発表された感じである。C100 Mark IIはC100の後継機種、アップグレード的な意味合いに見えるが、実は全くの別物と思える位の進化をしての登場だ。

今回はSoloの話が先に来ていたのだがこのスタビライザーに載せるならC100しかないと思いキヤノンマーケティングジャパンに問い合わせた所、丁度新機種のC100 Mark IIデモ機が空いていたので運良くこの2台でのレポートが出来ることになった。では両機種を見てみよう。


Steadicam Solo

スタビライザーと言えばSteadicam…と言うのは今は昔の話になってしまって、ここから派生した物は色々ある。特に中華製品の物は価格が一桁も安く、ブライダルでの撮って出し系のエッセンスに使われているのが最近での特徴だ。

しかしそれらの物は収録時間のごく一部を使うに過ぎない撮り方、つまりはA-B間の動きの中で使える一部を切り取る形だが、本当はA-B間をFIX to FIXで繋ぐことが出来るのがSteadicamである。

もちろん中華製と比べるのもおこがましいが、SoloはしっかりとSteadicamの血がしっかり受け継がれているのはこのFIX to FIXを繋ぐことが出来るからだ。特にベスト&アームでの運用では流石と言わざるを得ない。このフルセットでの運用でもSoloがベースだと価格をぐっと抑えることが出来る。

今までポスト系のステディだと一番最安値のパイロットでも50万円前後はしてしまうのでそれなりの予算感が必要になってしまう。Soloベースではまだ国内正規代理店が価格を出してないので(12月初旬現在)何とも言えないが海外の通販(B&H)等を参考にすると、Solo+アーム・ベストでも20万円強と言うところか?この価格なら十分に個人購入する意味はある。勿論Solo単体での運用もOKだ。

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約2m程まで延ばすことが出来る

Soloの一番の特徴は一脚+スタビライザーのコンセプト通り、一脚での運用が可能と言う事だ。既に海外製で同じ様なコンセプトモデルも見かけるが流石に本家は一味違う。ハンドル部分を大型化し、どんな掴み方も出来るようにしてある為にアーム・ベストが無い場合でもC100程度の重さでも短い時間なら運用が可能になる。

つまり一脚でFIXを撮り、被写体がそのまま移動してもポストからハンドルに握り替えしてそのままスタビライザーショットに移動が出来る。被写体が止まってもそのまま動から静へ、一脚に運用にするだけでFIXが撮れるようになる。もちろん一脚運用の時は最長2m位は上に出せるのでハイアングルからの撮影も可能だ。

この運用方法を一番使う場面が多いと思われるブライダルでの撮って出しで使用してみたが、これはもうハマること間違い無しだ。今までこの手の撮影の時は一脚+スタビライザー+スライダーと3機材を使わなければならなかった。それ自体は苦では無いにしろ、それらを持ち歩く、又は置いておくと言うのは中々邪魔になる物。それがSoloの1台でカバーできるのは非常に魅力的だ。しかもその間は常にシームレスで動くことが出来る。スライダーショットもチョット練習してコツを掴めば撮って出しシーンに使う尺程度なら十分に可能だ。

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ベースプレートの調整は簡単に出来る。下部のウェイトはワンタッチで開閉が可能だ

特にマーリンをスタビライザーに使っているユーザーはすぐに買い換えることをお勧めしたい。正直に言えばマーリンの運用というのはベテランステディカムオペレーターでも難色を示すくらい難しい。その難しさに挫折してしまった方も多いだろう。そう言う意味でもSoloは運用、特にバランスセッティングが非常に楽だ。一度バランスを取ってしまえば後は現場での数分の微調整で運用が可能になる(因みに筆者でも最初のセッティングは10分チョイで完了)。

既に筆者は、マーリンを手放してSoloとの入れ替えを、特にブライダルでの使用を目的に真面目に考えている。

Canon C100 Mark II

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こちらも出る出ると言われ続けていた機材である。そしてこの秋にいきなり登場してきたカメラだ。C100と言えば発表当時は、あまり人気がなかったように思う。その一番の原因はCinemaと言う言葉とAVCHDと言うフォーマットが合致しなっかた為では無いだろうか?つまり「CinemaでAVCHDはナシ!」と言う部分が有ったからだろう。

しかし筆者は最初からこのカメラをENG向けの小型カメラとして捉えていたのでフォーマットがと言うのは全く問題が無かった。実際最初の使用は某テニスの試合と選手へのインタビューだったが何も問題なく、特にEOSレンズを簡単にコントロールする事が出来て便利だった。

その後は、コスパも良く大判素子特有の表現も出せる事から人気が出たが、数が出ると同じ位疑問点が出るのはしょうがない事。C100もその洗礼を受けたが、それを全て解消したのがC100 Mark IIだ。

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(1)バリアングルモード(サイド出し)

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(2)VEモード(真横向け)

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(3)ワンマンモード(真後)

NF_vol45_C100mk2_05 (4)EVFモード(全閉)
バリアングルLCDは単純にこの4パターンの形態が可能だ

全てが新しい

細かい数字はいつもの如くメーカーHPを見て欲しい。先ず一番先に目に付くのはバリアングルLCDだ。今までも多少は動いたがそれは傾きを変える程度でこのモニターだけで現場をこなすのは、やはり難しい。特にハイアングルではかなり見にくいのは経験者なら同意して貰えるはず。C300/C500は流石にこの部分をしっかり作ってあるので見にくいという事は無かった。

C100の大きな弱点が無くなったのは素晴らしい。更にEVFに関しても大きな進化がある。ほぼ「見えなかった」C100に対してMark IIはより大型で高詳細な物に変更された。これでLCDが見えない様な晴天時でもEVFでの運用が可能となったのはENG現場的には非常に助かる。

またOP扱いであったAFも標準搭載されその精度は顔認識も含めてC100と比べると更に上がった様に感じた。全く同じ現場で比べた訳ではないので若干の思い込みもあるかも知れないが、同じ様な被写体で比べた感じでは間違いなく追従性は良く、無理にフォーカスワークが必要ないならAFオンリーでもいける。

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アサインボタンが増え、LCD枠にも操作ボタンが増えた

また一番重要な心臓部にはDIGIC DV4が搭載されている。その画質は実機を見て貰うとして、ISOの感度は飛躍的に上がりISO102400と言う数値に成っている。勿論この次元になるとエマージェンシー的な扱いになるが、今までもの実用限界値だった数値より確実に2つ上の数値まで使える様になった。

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またSDカードスロットは一部が透明になりメディアの確認が可能

C100 Mark IIは収録だけでなく入力に関しても大幅にパワーアップされている。log収録が低バジェットでも使われる様になった今では、現場でのモニター出しが中々大変だ。この部分にMark IIは上位機種と同じ様にLUTを当てることが出来る。これで後のワークフローの方向性はかなり楽になる筈だ。

総評

SoloにしてもC100 Mark IIにしても、ミドルレンジ的にはド真ん中のガジェットが登場した。価格と性能が非常に良いバランスで組み合わさっている。しかも今回の組合せで、確実に面白い映像が撮れる。

流石にいきなりすぐと言う訳には行かないが若干の講習会等で基本的なワークを覚えればすぐに使いこなすことが出来るだろう。因みにベスト・アームを使った状態ではあるが、今回の機材で約2時間の現場を丸々収録したが最後まで重さを強烈に感じる事なくロケを終わらせる事が出来た事を付け加えておこう。

WRITER PROFILE

岡英史

岡英史

モータースポーツを経てビデオグラファーへと転身。ミドルレンジをキーワードに舞台撮影及びVP製作、最近ではLIVE収録やフォトグラファーの顔も持つ。