NAB会期前に新商品を覗いてみる!

Blackmagic Designはコンバーターやキャプチャーボードでビデオ業界における地位を確立。その後レコーダーやルーターのほかモニターやカメラ、スイッチャー、フィルムスキャナーなど、撮影から収録、後処理や配信までを手がけ、現在ではビデオ機器の総合メーカーとなったといえよう。

カラーグレーディングソフトのDaVinci Resolveをフリー(Lite版)にしたり、まさかのカメラ発売など、製品の価格だけでなく毎年同社の製品発表には驚かされるが、昨年はURSAやStudio Cameraのほか、フィルムスキャナーも発表し、商品構成の充実を図っている。こうして発表された製品は順次市場に投入されているほか、すでに発売した製品のアップデートなども行われている。

最近国内に入荷された新製品があるという情報があったので、さっそく取材。その幾つかを紹介しよう。同社は毎年4月のNABと9月のIBCで多くの新製品を発表するのが恒例となっているが、Intensity Pro 4Kが2015年2月に発表され、同社としては異例の早さで出荷が開始されたという。もちろんNAB開催直前のため現地で発表される物ではない事はご容赦願いたい。

Intensity Pro 4K

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DCI規格の4096×2160やフルカラーバンド幅12bit RGBのキャプチャーが可能なDeckLink 4K Extreme 12G。4月2日のアップデートで入力ビデオフォーマットの自動検出やデュアルリンク6G-SDIおよびHDMI出力に2160p60 Ultra HDがサポートされた

Intensity Pro 4KはPCI Express 4レーンのコンパクトなカードだが、4K、非圧縮、10bitに対応。アナログコンポジット/コンポーネント、Sビデオ、HDMI入出力が可能となっている。DaVinci Resolve Lite、Media Express、Disk Speed Test、Blackmagic Desktop Videoといったソフトが同梱されており、キャプチャーからカラーグレーディングまで行うことができる

Intensity Pro 4K はIntensity ProをUltra HD(3840×2160)対応にした製品といえ、Mac、Windows、LinuxといったOS上で使用することが可能。記録はProRes、DNxHDなどの圧縮フォーマットのほか非圧縮10bitで記録することもできる。アナログコンポジット/コンポーネント、Sビデオ、HDMI入出力が可能なので、VHSやベータカムなどの古いVTRからのキャプチャーからHDMI 1.4bのDeep Color対応のビデオ機器まで幅広く対応できる。価格は税抜24,980円となっており、業務用だけでなくゲーマーなど幅広いユーザーをターゲットにした製品だ。価格的には一般民生用としても充分低価格といえるが、Ultra HDや非圧縮10bitでの記録となるとそれなりにマシンパワーや高速なディスクドライブなどが必要となることから、そうした環境を整えている業務用ユーザーやゲーマーをターゲットとしているようだ。

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HDMI、HD-SDIのほか12G-SDIコネクターを搭載。アナログからデジタルまで様々な入力に対応

本格的な業務用ユースとなるとSDI対応が必須となるが、DeckLinkのシリーズがそうした用途に対応した製品となり、昨年9月のIBCで発表となったDeckLink 4K Extreme 12Gの出荷が開始されている。DeckLink 4K Extreme 12Gの4KはDCIの4096×2160となっており、10bit YUVまたはフルカラーバンド幅12bit RGBのキャプチャーに対応している。また、同社の独自規格であるデュアルリンク12G-SDIコネクターを搭載しており、SD、HD、Ultra HD(Ultra HD 60pを含む)のほか、最大60p、4096×2160解像度のフルフレームDCI 4Kにも対応可能で、現在のところ最上位モデルとなっている。

SmartView 4K、Blackmagic MultiView 16、Smart Videohub 40×40 Ultra HDルーター等

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19インチラックマウント可能な15.6型4K対応モニターSmartView 4K。3D LUTは2系統あり、PCから任意のLUTをアサインすることができる

そのほか、IBCで発表されたSmartView 4K、Blackmagic MultiView 16、Smart Videohub 40×40 Ultra HDルーター等の出荷も開始されている。SmartView 4Kは、12G-SDI入力を搭載した3840×2160のUltra HD放送用モニターで、19インチラックマウント可能な15.6型6Uサイズのコンパクトなモニターとなっている。入力は12G-SDIを2系統装備しており、内蔵のTeranexプロセッサーにより、SD、720HD、1080HDなど様々な入力フォーマットに対応している。

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入力は12G-SDIを2系統装備。本体で選択した入力の出力も可能。タリーにも対応している

また、3D LUT、H/Vディレイ、色相/画像ノイズを確認できるブルーオンリー、フレームマーカー機能などを搭載している。ラックマウントタイプということもあり、中継車やスタジオ内のピクチャーモニターとして設計されているが、DC12V駆動も可能なほかピント合わせなどに便利な拡大表示機能も搭載されていることから、撮影時のフィールドモニターとしても活用されることも多いという。同社では4K対応のモニターとしてすでにSmartScope Duo 4Kを発売しているが、波形/ベクトルモニターのピクチャー表示機能ということもあり、パネルは800×480なので、ネイティブ4K表示という意味ではSmartView 4Kが初ということになる。

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SD、HD、Ultra HD SDIなど様々なソースに対応したBlackmagic MultiView16

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PCから各入力を画面のどの位置に表示させるかなどを設定できる。個々の画面サイズは等分表示だが、ファームのアップデートで将来的にはサイズの変更も可能になるという

中継車やスタジオサブではソース入力数に対応した数のピクチャーモニターが並んでいるのが一般的だったが、最近では大型のパネルディスプレーに一括して表示する方向になっている。チャンネル数がそれほど多くないスイッチャーにはこうしたマルチ画面表示に対応した機種もあるが、スイッチャー入力にアサインされていない入力は表示されない。また、イベントホールや各種競技場、アミューズメント施設などでの映像設備や監視カメラシステム等マルチ表示の需要は高まっているといえよう。

そうしたニーズに対応した製品がBlackmagic MultiView 16やSmart Videohub 40×40 Ultra HDルーターで、従来高価になりがちなシステムをリーズナブルな価格で実現できる製品といえる。いずれも同社らしい機能としてSD、HD、Ultra HD SDIなど様々なソースに対応できるようになっているほか、PCと接続することで入力のアサインなどの設定を簡単に行うことが可能となっている。

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URSAの60fps収録に対応可能な動作検証済のメモリーカード一覧。逐次同社のサポートページで動作検証済のメモリーカードが発表される

製品数が多いということもありアップデートは頻繁に行われているが、アップデート関係のトピックとしてはCinema Cameraでlossless圧縮CinemaDNG RAW収録が可能になったこと、言語メニューオプションで日本語および中国語に対応。そして先日リリースされたCamera2.3により、1920×1080解像度で最大150fps収録やProRes 444 XQコーデックに対応した。また、2枚のCFast2.0カードへRAWファイルの同時収録が可能となる。さらに新しい4K V2センサーも発表された。これにより、4K 120fpsまでの高フレームレート収録に対応するという。

URSAの高フレームは転送レートも高速になることから、現状では限られたメモリーカードのみとなっている。利用する場合は、動作検証済みのメモリーを同社のサポートページで参考にしたい。Cinema Cameraのメニュー表示に日本語と中国語が対応になったことは、それだけ日本と中国のマーケットを重要視してのことだろうが、穿った見方をすると、日本メーカーへの挑戦状ともとれる。国産の業務用カメラの中にはメニューの日本語表示に対応していない機種もあることから、同社のこうしたきめ細かい対応を評価したい。

この記事が掲載されるころにはNABが開催され、初日にはプレス発表が行われているだろう。これまでの同社の製品を見てみるとほとんどが4Kに対応していることから、今年は8K対応の製品になるのだろうか、いつもいい意味で期待を裏切る同社の発表に期待したい。

WRITER PROFILE

稲田出

映像専門雑誌編集者を経てPRONEWSに寄稿中。スチルカメラから動画までカメラと名のつくものであればなんでも乗りこなす。