ターニングポイントがやってきた

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大判センサーカメラはEOS C100だけではない。EA50ならENGになれたカメラマンなら直ぐにしっくり来るはずだ

ここ最近のブライダル撮影は従来のスタイルと比べて大きく変わり始めている。いわゆる“シネマスタイル”とか“シネマチック”と言う名称が付くようになった。EOS 5D Mark IIが登場した頃が始まりかと思う。個人的には否定をしていたが、ブライダル業界では着実に浸透して来たのも事実だ。

映像表現の一つとして被写界深度のコントロールも含まれ大判センサーカメラをメインカメラに使うようになってきた。今回はそんな変わりゆく”NEO Wedding Movie時代”の機材的な話を書いてみたい。

必要な機材とは?

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個人的には、従来のシステムに大判カメラを1台付加して状況の変わり目のインサート用と言う考えで十分であると思っている。しかし現状ではスライダーやスタビライザーを駆使しているが、経験値の浅さを道具でカバーしているようにしか見えない方が多いような気がする。

場面毎に適正な画角を築くのはセンスより経験値の方がブライダル撮影では多い。結婚式そのものの邪魔をせず最適なポジションとアドリブを見抜けるのはやはり経験値のあるベテランが強い。タイミングは、経験値がモノを言う。

だが、機材に関してはその選択は様々だろう。筆者が考える機材としてはスタビライザー、スライダー、それに一脚があると良い。一脚は三脚でも十分に代用できると思うが、従来の全収録とは違いダイジェスト収録を考えるなら一脚でも十分に保持は可能。

しかし、今までは三脚が1本在れば事足りた収録に、スタビライザー・スライダー・一脚などを持ち込まなきゃならないのは流石に厳しい。その中で筆者が注目したのはSteadicam Soloである。

Steadicam Soloの可能性

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Soloのエルゴノミックハンドルは三脚の75mmボール穴にぴったりと合うのでこの様に調整が可能となる

スタビライザーと言えば小型軽量なSteadicam Merlinを一番に思い浮かべるが、一脚と併用も考えると厳しい。他にもグライドカムや中華製のフライカムと言う安価な物もあるが、どれも動きは比較するに値せず、長さ的にも一脚で運用するには短すぎる。その点Soloは最初からそのような使い方を想定している為に長さも十分。しかしそのままのストック状態での一脚運用は難しい。その為にステージの上に軽量な雲台をセットし、折りたたみ可能なミニ三脚をセットする事によりSolo自体が自立することが可能となった。

この上に載せる雲台だがあくまでもカメラのパン・チルトの補助的な役目と言う事を考えて完全にゼロバランスまでは視野に入れなくて良いだろう。今回はマンフロットMVH500AHをチョイスした。フラットヘッドタイプが条件なのでLibec ALLEX Hも視野に入れる事が出来る。

この辺は上に載せるカメラの重量も含めて総合的なバランスで選べば良い。石突き部分の三脚は出来るだけ小型で軽量な物、しかし上の重量物を支えられる物を選べば良い。今回はBENRO製品を選んだがスチル三脚メーカーでも小型の物は沢山あるのでカタログから重量を調べて決めれば良いだろう。


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Soloのステージに軽量な油圧雲台をセット

この二つをSoloに取り付ける事により、スタビライザーがかなり高性能な一脚へと変身出来る。スタビライザーとしての動きは折り紙付きのステディカムなので何も問題はない。良く言われるのが「重くないのか?」だが、確かに軽くはない。だがこの状態のままスタビライズ運用をするとしても連続では大体5分弱、この位なら重さも苦にならない。

逆にこの重さがスタビライザーとしての安定感を増している。軽すぎるスタビライザーほどベテランパイロットでもコントロールは難しいが、このSolo改なら最初のゼロバランスを取りドロップタイム2秒位に設定すれば、1日1時間程度の練習で5日もやればかなりの動きをマスター出来る筈だ。それ以上の技術をマスターしたいならステディカムのセミナーに参加するのもアリだ。基本をしっかり覚えると画作りが絶対的に向上するのでお勧めだ。

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石突き部分は3/8inchネジが切ってある為にこの様な軽量なミニ三脚を取付可能(写真はBENRO製品)


その他の機材

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スライダーの他、3-AXIS系のガジェットや広い会場ならミニJIBもアリだ

正直上記のSolo改が一つあればスキルにもよるが、かなり映像のバリエーションは増える。上下逆さまにする事により、ローアングルの撮影も可能だし確実に保持をする筋力があればスライダーの様に平行移動する事も可能だ。

とは言え現実的に流石にスライダーの代わりはかなり厳しいので、ココはしっかりと使いたい。その際の長さだが何を撮るかによって、又は動かす方向や、レンズの焦点距離によって選ぶ長さは決まってくる。特に前後で移動距離を表現するなら短いスライダーは長い焦点距離、逆に長い焦点距離ならワイドレンズが適している。しかしながら120cmのスライダーと言うのは流石にワンマン運用は厳しい物で、三脚運用も一緒に兼ねるなら写真の様なしっかりとしたメーカーの40cmを選ぶと良い。


総評

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これらの機材を全て使い切るのは最初は難しい。もちろん使わなければ駄目なわけでもない。前からENGを担ぎブライダル撮影を行って来たベテランならこの様な機材を使わなくても効果的な映像は切り取れるはずだ。

大判センサーカメラに変わりピントがシビアになってくると小物のインサート等なら対象距離が変わらないスライド映像もまた面白い。スタビライザーを使ってのSTOP&GOは当に機材ありきの表現だろう。アシスタントがいるならば三軸スタビライザーやミニJIBも今までのブライダルでは見られなかった映像表現が出来る。

もちろんこれらの機材を使ったからと言って映像のグレードが上がるわけではないが、チョットだけ印象的なカットが入るだけでも違うのは確かだ。自分の引き出しを増やす事になるので、「食わず嫌い」で大判センサーを否定しない(笑)で、良い物は積極的に取り入れると言うスタンスがこれからのブライダル収録には必要になってくるだろう。もちろん基本は忠実に!

…えっ、お前が言うなって?各方面から、そんな声が聞こえてきそうだが、技術論で否定した覚えは一度もない。より良い映像を求めてのことである。

WRITER PROFILE

岡英史

モータースポーツを経てビデオグラファーへと転身。ミドルレンジをキーワードに舞台撮影及びVP製作、最近ではLIVE収録やフォトグラファーの顔も持つ。