PRONEWS

  • imgABOUT
  • imgTWI
  • imgFB
  • imgYTU

トップ > コラム > 土持幸三 > [土持幸三の映像制作101]Vol.04 デジタルワークフローの重要性

News

[土持幸三の映像制作101]Vol.04 デジタルワークフローの重要性

2015-08-04 掲載

これまで主に撮影と演出について話してきたが、今回は最近重要になってきたデジタルワークフローについて話してみたいと思う。

時代によって変化して来た映像制作ワークフロー

映像制作のワークフローは基本的に大きく3つに分けられる。企画書から脚本を仕上げるなどの撮影準備の「プリプロダクション」、撮影自体の「プロダクション」、編集作業の「ポストプロダクション」。最近のプリプロダクションでは、作品内容に合わせたワークフローや撮影方法、カメラ選び、編集方法が昔に比べて重要になってきている。このワークフロー、つまり作業の流れがすべてデジタルになっているのでデジタルワークフローと呼ぶ。フィルム時代もカメラの種類は多かったが、大まかには16ミリか35ミリ、カメラ、レンズマウント、音とシンクするかしないかで分けられ、それにフィルムの種類で色合いや撮影手法を考えてきた。

tsuchimochi101_04_01

今はカメラおよび編集がデジタルになり、さらにその種類や収録・管理方法が大きく増えて、選択肢が広がった。4Kで撮影する必要があるかどうか、RAWやLogで撮影し、カラーグレーディングをするか、カメラが小さい大きい、カメラで記録させるメディアの種類やファイルの種類も様々で、データを管理する必要があり、頭を悩ます機会が増えてきた。

tsuchimochi101_04_02

「今、このカメラが流行っていると聞いたから…」という安易な気持ちでカメラを選んでしまうと、編集ソフトで対応していなかったり、思ったような映像が撮影できないこともおこり、きちっとワークフローやデータ管理をしないと大変なことになる。フィルム時代は撮影済みネガフィルムの扱いにかなり緊張感を持って行っていたが、最近はSDカードだったりするので雑に扱うスッタフも少なからずいるし、また、編集の事を考えずに「きれい」と言われるファイルで撮影して、後で苦労する作品もある。

だから撮影の前、プリプロダクションの段階で、プロデューサー・監督・撮影監督と編集やCG担当、DIT(デジタル・イメージング・テクニシャン)などで、カメラの選択から撮影ファイルの選定、撮影したファイルの管理と編集への引き継ぎなどを話し合い、決めて行かなければならない。フィルムで撮影していた時よりも、より複雑になり専門知識が必要になっているのだ。DITは最近できた新しい職種で、一言でいえばデジタルワークフローを管理する人のことで、撮影ファイルから編集ファイル、最終的な書き出しファイルまで熟知している。

tsuchimochi101_04_03

低予算での撮影が多い僕の場合(あぁ、「予算が充分にある」と言ってみたい!)、撮影現場をできるだけコンパクトにしたほうが良いと思っている。さらに時間的に余裕が無いときは、現場での音録りはあきらめて、アフレコにすることも多い。コンパクト→人数が少ないということだが、人数が少ないということは、単に人件費だけではなく、車両の数、駐車場の数、食事の数など、多くに影響する。

有難いことに、僕はそのスタイルのエキスパートである撮影監督の長田勇市さんと仕事をさせていただく機会が多い。長田さんはコンパクトな撮影に興味を持っていらして、コンパクトな撮影・照明クルーで撮影現場をこなし、常に新しい機材を積極的に活用し、時には機材製作会社にアドバイスをおくる。

tsuchimochi101_04_04

現在はミラーレス一眼のGH4で撮影することが多いそうだ。先日も映画の海外ロケでGH4、X1000、FZ1000と、民生機だけで4K撮影を行ったそうだ。単にこのGH4で撮影するのでも、実際にカメラで記録させたものを使うのか、外部レコーダーで記録させたものを使うのか、選択肢は多数ある。今回は外部記録を行わず、カメラ内でLog収録(メーカーから特別に提供)して、そのファイルを編集、カラーグレーディングしたとのこと。今回はDITはいなかったそうだが、デジタルワークフローを編集作業をするポスプロの会社、カラーグレーディングとDCP作業を行う会社と綿密な打ち合わせを行ったそうだ。

このように4K、RAW、Log、DI、DCPなど、撮影・編集環境は刻々と変化してきている。「カメラなんてなんでもいいんだよ、話が面白けりゃ」と、極論を言ってデジタルワークフローに全く興味を持たないプロデューサーはたくさんいる。プリプロダクションは脚本・スタッフィング・キャスティングだけが重要だと思っているのだ。作品の良い悪いを決める要素として、あきらかにデジタルワークフローが入っている時代だと僕は思う。


WRITER PROFILE

土持幸三 1970年生。鹿児島県出身。俳優を経て渡米。LA市立大卒業・加州立大学ではスピルバーグと同期卒業。帰国後、映画・ドラマの脚本・監督を担当。川崎の小学校で映像講師も務める。


[ Writer : 土持幸三 ]
[ DATE : 2015-08-04 ]
[ TAG : ]

関連のコラム一覧

[土持幸三の映像制作101]Vol.25 「ネットシネマ・ゴールデンエッグ」の短編3本の撮影

txt:土持幸三 構成:編集部 経験の違う俳優たちの演出と撮影 前回のコラムで書いた「ネットシネマ・ゴールデンエッグ」の短編制作の撮影が、この原稿の締め切り直前に終了し... 続きを読む

[土持幸三の映像制作101]Vol.24 新しい才能を発見するプロジェクト「ネットシネマ・ゴールデンエッグ」での短編映画制作

txt:土持幸三 構成:編集部 短編映画上映に向けたオーディションと3本の制作を受け持つ 6月から、おもしろい演技ワークショップに演技指導と短編映画の監督として参加して... 続きを読む

[土持幸三の映像制作101]Vol.23 中学校で映像制作を教えるコト

txt:土持幸三 構成:編集部 アイデアを具体化して撮影、編集を経て発表するという体験 今月から川崎市の中学校で映像授業が始まった。小学校と違い、僕が講義するのは月に1... 続きを読む

[土持幸三の映像制作101]Vol.22 初心者用の動画編集ソフト

txt:土持幸三 構成:編集部 動画編集ソフトを選択する上で重要なこと 映像制作を教えていると「カメラは何がいいですか?」「動画編集ソフトは何がいいですか?」とよく聞か... 続きを読む

[土持幸三の映像制作101]Vol.21 映像制作の基本と、舞台の演技、映像の演技の違い

txt:土持幸三 構成:編集部 演技指導のワークショップ 今回は、先日ある俳優事務所で講師として演技指導のワークショップを行ったので、そのことを書こうと思う。一般的に俳... 続きを読む

WRITER PROFILE

土持幸三 1970年生。鹿児島県出身。俳優を経て渡米。LA市立大卒業・加州立大学ではスピルバーグと同期卒業。帰国後、映画・ドラマの脚本・監督を担当。川崎の小学校で映像講師も務める。


Writer

編集部
PRONEWS編集部による新製品レビューやイベントレポートを中心にお届けします。
小寺信良
業界で噂の新製品を、AV WatchやITmediaのコラムでもおなじみの小寺信良氏がレポート。
raitank
アートディレクター。あまたの海外ソースを読み漁ってHDSLRを独学。国内と海外の情報流通の温度差にモーレツな疑問を感じ、最新の情報を自ら日本語で発信するblogを運営中。
ふるいちやすし
自身で脚本、監督、撮影から編集、音楽までもこなすマルチプレーヤー。
岡英史
バイクレース及びF3レース参戦など、映像とはかけ離れた経歴を持つ異色ビデオカメラマン
江夏由洋
兄弟で株式会社マリモレコーズを設立し、ノンリニアにおける映像技術、映像制作を中心に、最新技術を取り入れたワークフローを提案している。
鍋潤太郎
ロサンゼルスを拠点とするVFXジャーナリスト。
林和哉
映像プロデューサー/ディレクター。入口から出口まで全てのポジションを守備範囲にしている。最新技術が好物で、各種セミナー活動も豊富。
江口靖二
江口靖二事務所主宰。現在デジタルサイネージコンソーシアム常務理事などを兼務。
栁下隆之
写真家アシスタント、現像所勤務を経て、撮影機材全般を扱う輸入販売代理店で17年余り勤務の後に、撮影業界に転身。一眼カメラによる撮影を得意し、代理店時代に手がけたSteadicamや、スタビライザー系の撮影が大好物。
猿田守一
企業用ビデオ、CM、ブライダル、各種ステージ記録など撮影から編集まで地域に根ざした映像制作活動やCATV局などへの技術協力なども行っている。
オースミ ユーカ
映像ディレクター。企画、脚本から演出までジャンルを問わず活動。
土持幸三
1970年生。鹿児島県出身。俳優を経て渡米。LA市立大卒業・加州立大学ではスピルバーグと同期卒業。帰国後、映画・ドラマの脚本・監督を担当。川崎の小学校で映像講師も務める。
鈴木佑介
日本大学芸術学部 映画学科"演技"コース卒の映像作家。 専門分野は「人を描く」事 。 広告の仕事と個人ブランドでのウェディングがメイン。 セミナー講師・映像コンサルタントとしても活動中。
松本敦
映像クリエイター。企業VPからスポーツイベント撮影まで幅広く手がける。アクションカムやドローンなどの特殊ガジェット好き。
宏哉
フリーランス2年目の駆け出し映像屋さん。バラエティーから報道や空撮まで幅広い番組撮影をこなすテレビカメラマンであり、ダンスイベントから幼稚園お遊戯会収録まで請け負う街のビデオ屋さん。タイムコード・ラボ代表。Next-Zero.com管理人。
山下大輔
東京オフラインセンタープロダクトサポート所属。個人でもAdobe Premiere ProやAfterEffectsの勉強会を定期的に開催している。
柏原一仁
日本大学芸術学部写真学科卒、銀一株式会社海外商品部勤務。 銀一が世界中から輸入する写真・映像用品ブランドのマーケティング担当。静止画・動画・音声と様々な技術に翻弄される日々。好きな食べ物はからあげ。
井上晃
映像制作会社「有限会社マキシメデイア」代表、制作プロデューサー&キャメラマン。Facebookグループ「ATEM Tech Labo」、「Grass Valley EDIUS ユーザーグループ」を主催して、ATEMやEDIUSの布教に、日々勤しんでおるでよ。
奥本宏幸
大阪を拠点にしているフリーランスの映像ディレクター。演出・編集・モーショングラフィックをバランス良くこなす。フィンランドサウナが好きです。
安藤幸央
無類のデジタルガジェット好きである筆者が、SIGGRAPH ASIAやCESなど海外の注目イベントを紹介。
手塚一佳
CGムービー制作、ネットワークゲーム制作を得意とするデジタルデザイン会社アイラ・ラボラトリの代表取締役。
高野光太郎
Cosaelu株式会社 代表取締役 / 映像ディレクター ミュージックビデオ、番組オープニングタイトル、CM、劇場映画、全てをデスクトップで制作。
ヒマナイヌ
頓知を駆使した創造企業
駿河由知
中央区築地出身。マルチカメラ収録&配信ユニット「LiveNinja」メンバー。2006年より株式会社スタートライン設立。外務省、国連機関、国際NGOなどの国際会議やシンポジウム、企業イベントなどのライブ配信を担当
山本久之
映像エンジニア。フリーランスで映像設備のシステムインテグレーションと、ノンリニア編集に携わる。
ベン マツナガ
未来シネマ/ディレクター。ハリウッドでの大型映像制作、短編時代劇の自主映画制作を経て、現在は、映像を通じて人と人をつなぐことをテーマに様々な映像制作に取り組んでいる
河尻亨一
1974年大阪生まれ。雑誌「広告批評」を経て現在は実験型の編集レーベル「銀河ライター」を主宰、企業コンテンツの企画制作なども行う。デザイナー石岡瑛子の伝記「TIMELESS」(http://eiko-timeless.com/)をウェブ連載中。
茂出木謙太郎
株式会社キッズプレート代表。「楽しいInternetコンテンツ」をテーマに活動。現在VRの可能性をまさぐり中。CG-ARTS協会会員
稲田出
映像専門雑誌編集者を経てPRONEWSに寄稿中。スチルカメラから動画までカメラと名のつくものであればなんでも乗りこなす。
黒田伴比古
報道・ドキュメンタリーエディターでありながら、放送機器に造詣が深く、放送局のシステム構築などにも携わるマルチプレーヤー。
ヒラタモトヨシ
ファッションとテクノロジーを繋ぎイノヴェーションを生み出す事をライフワークとし、WEB/ライブメディア/高精細映像表現を追求。
猪蔵
いつも腹ペコ。世の中の面白いことを常に探っている在野の雑誌編集者。
須藤高宏
東京・国分寺市に於いて録音スタジオ「マイクロサウンド」を運営し各種録音編集に携わる傍ら最近では各種イベント配信音声を担当。
林永子
2005年よりサロンイベント「スナック永子」を開催。通称「永子ママ」
ViewingLab
未来の映像体験を考える有志の研究会。映画配給会社、映像作家、TV局員と会員は多岐に渡る
石川幸宏
映像専門雑誌DVJ編集長を経て、リアルイベントを中心とした「DVJ BUZZ TV」編成局長として活躍中。
山下香欧
米国ベンチャー企業のコンサルタントやフリーランスライターとして、業界出版雑誌に市場動向やイベントのレポートを投稿。
岡田智博
クリエイティブクラスター代表。メディアアートと先端デザインを用いたコンテンツ開発を手がけるスーパー裏方。
萩原正喜
米国コロラド州から、米国のデジタル放送事情からコロラドの日常まで多岐に渡るコラムをお届けします。
坪井昭久
映像ディレクター。代表作はDNP(大日本印刷)コンセプト映像、よしもとディレクターズ100など。3D映像のノンリニア編集講師などを勤める。
しらいあきひこ
カメラメーカー、ゲーム開発などの経験を持つ工学博士が最先端のVR技術を紹介。
秋山謙一
映像業界紙記者、CG雑誌デスクを経て、2001年からフリージャーナリストとして活動中。
今間俊博
アナログ時代の事例を通じ、教育関連の最新動向を探る。
金田浩樹
映画・テレビの映像制作を中心に、USTやニコ生等、ライブメディア各分野を横断して活動中。ジャンルや固定概念にとらわれない構成力と発想に定評あり。
伊藤裕美
オフィスH(あっしゅ)代表。下北沢トリウッドでアニメーション特集上映を毎年主催している。
UserReport
業界で話題の商品を実際に使ってみてどう感じたかを、各方面の様々な方々にレポートしていただきました。
System5 Labs
SYSTEM5スタッフが販売会社ならではの視点で執筆します。

トップ > コラム > 土持幸三 > [土持幸三の映像制作101]Vol.04 デジタルワークフローの重要性