txt:岡英史 構成:編集部
映像/素材協力:AVENE(Pierre Fabre Japon Co., Ltd.)

ミニ4KカメラXC10の有効性

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XC10には純正ワイコンとIkeTech製ハンドグリップを付加

今年のNABで発表され、6月末に発売開始されたCanonの「XC10」。小さいながらもEOS系のボディデザインを持つこのカメラの一番の特徴は4K収録が可能な事。今回は7月初旬に行ってきた南仏での企業VP撮影にこのカメラを使い、ロケを行ってきた。

XC10のNABでの印象は、アクションカメラ、次にATOMOSやPHOTONEXTの展示に触っているうちに小さいボディながら4K内部RECやLog収録、HDMIによる外部4K信号等、Canonのエッセンスが詰め込まれているのが何か気に掛かり、発売と同時に製品版をお借りして今回の収録に持ち込んだ。まず結果から言うとXC10は少人数でのオープンロケに非常に有効だと言う事だ。

今回のロケ概要は?

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AVENEの代表製品

AVENEと言う製品をご存知だろうか?殆どの女性ならこの名前を知ってると思うが、今回はその製品のVP収録が目的だった。実はヨーロッパ初経験なので、PRONEWSでもお馴染みの重鎮ジャーナリストセレブ石川氏に渡仏に関しての色々なアドバイスを貰ったのだが、とにかくATAカルネ系はNABよりもしっかりした方が良いとの事だった。この辺をディレクターと相談し、当初予定していた機材をかなりダウンサイジングして、結果出来るだけ小さいパッケージで行く事になった。納品的にはHDなのだが今の時期に折角の海外ロケ、素材を4Kで撮らないてはない。とは言えF55やC500を持ち込めないのでそのスケール感だとXC10は当にピッタリのスケールだ。

持込機材

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LibecのALX S4 KIT(40cmスライダー)

NABの取材でワンマンでもかなりの荷物を持って行けるのは、取材先が決まっていて最悪プレスルームや懇意にしているメーカーさんに機材を預かって貰えるのと、飛行機に関しても直行便なら23kg×2個を持って行く事が出来るので後は自分の体力だけで何とかなるからだ。しかしフランス、特にパリからの南仏への国内線が荷物の制限が厳しいので、出来るだけ小さいパッケージで持って行きたい。とは言えしっかりとロケハン出来ていないので予想できる最低限の機材を持ち込まなければならない。

そんな中で選んだ機材は、XC10の大きさに対応できる物として三脚&スライダーLibec ALX S4 KIT、Canon純正ワイコンWD-H58W、フランス仕様のAZDEN 35BT/310UDR/35HTがセットになったワイヤレスシステム310LH、ガンマイク+IkeTech製ハンドグリップ等をメイン機材として使用。ワイコンはFIXレンズのXC10では外せない所。専用品ではないが同じ業務用Canonカメラの純正品なので全く不安は無い。スライダーはもはやスモールパッケージロケでは定番になりつつあるALXシリーズから40cmのS4をチョイス。

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AZDENのフランス仕様ワイヤレスシステム一式

今回一番のポイントは海外でのワイヤレスをどうするか?米国だと国内でもレンタル出来るが、ヨーロッパ用は探しても見つからずAZDENさんに問い合わせた所、ワンセットをお貸出し頂ける事になったので現場では非常に助かった。また現地でのデータ確認とオフライン的にEDIUS Pro 8を使用した。Canonの新コーデックであるXF-AVCに対応しているので現場での確認が簡単だ。

XC10ファーストシュート

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早朝タイムラプスの撮影風景

このカメラに関しては、既に販売もしているので色々な意見や使用感は探せば出てくるが、NABで見た時の最初の印象はやっぱり単体で使うカメラと言うより、色々な補助器具・ガジェットに載せて(組み合わせて)使うカメラの印象が大きかった。それが大きかったのはやはりEDIUS Pro 8で扱える事が出来たからかもしれない。スペック的には4K収録ではあるものの、4:2:2/8bit/H.264フォーマットと言うのが引っかかる所かもしれない。この辺は筆者も同じくチョット?マークが残る所だったが、今回はHDでの納品と言う事もありレゾリューションの大きさの方が重要だと判断し(勿論小型軽量も)選択した。実際に南仏での初日収録後にホテルの部屋でチェックしたら、その解像感に目を奪われてしまった。

レゾリューションだけの4Kかと思っていたのが“ちゃんと4K”で撮れていると感じる事ができた。よくよく考えてみればビットレートは305Mbpsもあるのだからそれは当然なのだろう。こうなって来ると色々と構想が変わって来る。出来るだけ4Kを使おうと言う事で2日目以降をこなすのだが、そうは言ってもCFastカードの限界と編集時の問題もあるので、その辺は相談しつつバランスよく収録する方向だった。

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暗部のシーンはATOMOS SHOGUNを装着。SHOGUNとの組み合わせは何の問題も無い。トリガーコントロールもXC10側から連動が可能で、Log収録時には現場モニターとしても是非持ち込みたい

その中でも夕景以降のシーン(とは言っても22時前後)は、ATOMOS SHOGUNを組み合わせてLUTを当ててのチェックをしながらと言うスタイルに。これらをバランスよくRIGに組んだが、それでも本体が小さいのでコンパクトにまとめる事ができた。翌朝からは早起きし、タイムラプスやHSも入れて見たが特に何の問題もなくメニューからスルッと設定できてしまった。

ロケ合間のTESTシュート(サンプル1)

XC10の特徴の一つとしてFIXのレンズがある。CINEMA EOSシリーズ等を扱ってる方の中にはFIXじゃダメと思われる方もいるだろう。もちろんその考えは悪く無い。ただ今回は、小規模海外ロケ(ディレクターとカメラマンの二人)という事もあり中々荷物を持って行けない。しかもロングで狙う部分と狭い部屋でのショートレンジを狙うシーンがあるのが解っていたので、27.3mmからの光学10倍ズームは1inch素子と組み合わせて非常に使いやすかった。撮像版がS35程大きく無いのでピンがシビアになりすぎる事は無かったが、それでもタッチAFやフォーカスアシストを使う事でピンボケは皆無と言って良い出来だ。

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アベンヌ村でのワンショット。この町並みはすべてCanon Logで収録

さらに手持ちの際には、もとより強風下や足元が弱い場所での三脚使用時、揺れは手ぶれ補正を使う事でほぼ問題無いレベルまでに抑える事ができた。この時標準装備であるスコープを多用したが、これを使うとタッチフォーカスができないので用途やスタイルによっては現地で自作した簡易フードを使う場面も多々あった。

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ルーブル美術館前での手持ちショット

またXC10には純正ワイコンのアクセサリーが無いので、Canon XF105の純正ワイコンをそのまま使ってみた。FIXレンズ自体が軽量化されているのもあるので、その先に重いレンズをつけるのは些か怖い部分でもあるが、少なくとも手に持って走るくらいでは全く問題は無い。もちろんケラレ等も全く見られず純正の27.3mmが22mm弱まで広がるのは使い勝手が全く変わって来る。これはXC10ユーザーにはオススメだ。

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この絶景感はワイコン無しでは撮れなかった

TESTシュート(サンプル2)

総評

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今回のモデルのお二人

XC10は今回の様な少人数でのロケにも十分対応出来る事が証明出来た。大きさ的にもC100等と比べるとふた回りは小さい感じなので一見すると「大丈夫?」と言う疑問符が付いてしまうが、収録した映像は間違いなく使える物が撮れる。今回はHDと4Kが混在した収録に加え、後処理を考えHD時にはワイドDR、4K時にはLogと使い分けをした。その切り替えもメニューから入らずともタッチパネルから簡単にアクセスができる。

音の収録に関しては、XC10はキャノン入力を持っていないため、当初はICレコーダーパラ回しを予定してたが、渡仏直前に通称:IkeTech製マイクグリップホルダーの貸与があり、これにより2chの業務用マイクでの収録が可能となった。このハンドルグリップは単にマイクが付くだけではなくファンタム48V給電が可能な為、業務用ガンマイクの装着が可能になる。これによってXC10の弱点でもある音声収録はカバーされた(この製品に関してのレビューは次号にでも)。

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ロケ途中で寄ったお城で結婚式に遭遇。色々勉強になった

見た目以上に高性能なカメラだが、やはり操作性で弱いところもある。音系は上記した通りだが、通常なら3.5mmマイク入力しか無いのでそれなりに工夫が必要だろう。またレンズもマニュアルで動くのは良いが、さすがにENG系のハンドヘルドの様な動きは難しい。標準スコープに関しても眼鏡を掛けてる方は少々慣れが必要で、この辺は自作フードで補う事をオススメしたい。なんにしてもオールマイティーなカメラは無いと言う事は当然だが、XC10はその中でもかなり簡単に使える機種だと言う事はオススメしたい。

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アベンヌ村はどこを切り出しても画になってしまう

WRITER PROFILE

岡英史

モータースポーツを経てビデオグラファーへと転身。ミドルレンジをキーワードに舞台撮影及びVP製作、最近ではLIVE収録やフォトグラファーの顔も持つ。