txt:岡英史 構成:編集部

赤いヤツの衝撃

本年NAB2015で初めて見た時にこの「赤(クリムゾンレッド)」は中々衝撃的な色だった。それまではカメラ=黒と言うのが定番で、この様なあえてのカラーリング、しかもPanasonicブルーでは無いと言う!!ある意味このカメラの本気具合が出ているかを感じた。一応お約束で「3倍処理が早いの?」と言う質問はしてみた(分かる人にはわかる冗談です。念のため)。

oka52_VJ_DVX_04

このカメラは三脚に載せてこそ性能を100%発揮出来る

Panasonic AG-DVX200(以下:DVX200)が先日販売された。今回は街のビデオ屋さん代表として、DVX200を自分の仕事の中で使ってみた。そのファーストインプレッションを書いてみたい。因みに筆者はSonyの大ファンであると言う事を頭に入れて読んで欲しい。結論から言えばDVX200はミドルレンジでの撮影スタイルには最高にマッチしている!これが筆者の回答だ。

DVX100 to DVX200

oka_dvx200_1
クリムゾンレッドは、とにかく映える

DVX100が名機と言われたのは誰もが納得出来る事だ。この時期Sonyから同じくハンドヘルドの名機と言われているPD150があり、そのシェアは放送局を筆頭に物凄いスピードで飛び回っていた時に、西から来た情報が映画が撮れるDVカメラが発売された!という事だ。これは流石に大げさな表現ではあるが実は筆者はオーナーだったりする。しかもPD170を買わずにDVX100を入手した。先にも書いたがSonyファンである筆者が何かのタイミングで他メーカーを好きになる時がある。それはSonyのカメラの性能が悪いと言う訳ではない。単純にファースト・コンタクト時のインスピレーションなのだ。

当時は、ズームワークのしやすさに惚れてしまった。DVX100は御存知の通りメカニカルズームである。ズームリングの動きがダイレクトに画角に出てくるが、最近の小型機はスペースの問題もあり電気的に動く。もちろんその動きはスムーズでNGな部分は無いが、何かのタイミングで自分の動きとシンクロ出来るのはやはりメカニカルの良いところ。DVX200も正にその部分が感覚的に良かったのかもしれない。

DVXエボリューション第二章

正常進化と言う言葉がぴったりなDVX200、その特性として良くも悪くもぱっと見た目は尖ったものが出てないという事だ。強烈に思えるクリムゾンレッドもすぐに違和感は無くなってしまう。とは言え個性が無いのかといえばそんな事はない。VARICAM共通のV-Logは搭載しているし、4K60pの内部録画も可能。しかもそのメディアはPanasonicお得意のP2カード(microP2カード)ではなく一般市販されているSDカードで収録出来る。その収録方法は通常録画の他にミラーリングとバックアップ収録も可能だ。

やはり市販のSDカードを使う上でメディアの不安は残るが、2枚同時に録画出来たり、テイク2が出来ない環境では1枚が回りっぱなしのバックアップ収録はそれだけで撮影に集中できる。予算が少なくワンマンオペレートが多いミドルレンジではこの辺の機能はマスト。逆にこれらの機能が付いていなければ売れる理由が確実に減る。DVX100が評判になった時の一番のポイントはシネライクガンマの搭載だろう。これによって擬似的にではあるが階調表現が今までのVガンマに比べると色々な表現ができ、DVX200は4Kと言うハイレゾリューションもさることながらPneumatic伝統でもあるバリカムからの継承V-Logを搭載してきたのもそのエボリューションたる所以だろう。

とは言えLogをしっかり理解している方なら兎も角これからLogを勉強しようと言う方には中々ハードルが高い。それはエフェクト(カラーコレクション)ではなくグレーディング(階調表現)の部分が多い。ここを間違えるとその映像そのものがダメになる。そもそもLog自体は前にもコラムで書いたが、簡単に言えば黒が0ではなく白が100ではない圧縮された映像。と言う事は収録時の明るさ(絞り)をしっかりと考えなければいけない。

http://www.pronews.jp/pronewscore/wp-content/uploads/2015/11/oka52_1-A.jpg http://www.pronews.jp/pronewscore/wp-content/uploads/2015/11/oka52_1-B.jpg http://www.pronews.jp/pronewscore/wp-content/uploads/2015/11/oka52_2-A.jpg http://www.pronews.jp/pronewscore/wp-content/uploads/2015/11/oka52_2-B.jpg

写真1-A/2-A:生Log映像、1-B/2-B:簡易グレーディング済
※画像をクリックすると拡大します

http://www.pronews.jp/pronewscore/wp-content/uploads/2015/11/oka52_3-A.jpg http://www.pronews.jp/pronewscore/wp-content/uploads/2015/11/oka52_3-B.jpg

写真3-A:Log映像+波形、3-B:3DLUT+波形(同じ映像でも色味と波形の形が全く違う)
※画像をクリックすると拡大します

単純に暗いから眠いからと言うだけで100%にしてはいけない。こういう時に便利なのがATOMOS SHOGUN。ベクターと波形を搭載しているのでモニターの大きさからくるピント調整も含めて一番良いが、全ての現場に波形モニターを持っていくことは厳しい。しかしDVX200は波形モニターを表示させる事も出来るので少なくとも大きなエラーにはならない。しかしそれだけではタダの「眠い映像」になってしまうので色味とかの確認ができないが、これにもしっかり内蔵LCDモニター上で」3DLUTを当てて確認することが出来る。この2つをしっかり守ることでLog収録の第一歩は間違いなく安全に行える。

4:2:2 8bit収録の恩恵

oka52_DVX200_12

SHOGUN等の4Kレコーダーは、カメラ購入と同時に手に入れるのがオススメ!

DVX200の内部収録は4:2:2 8bitとなっている。一般的には4:2:2は10bitが多いが収録ファイルの大きさや扱いやすさは断然8bitファイルが良い。最近はこの手の数字も多く見てるが、一つ勘違いしてはいけないのは8bitと10bitでは移動できる情報量は大きく違うこと、つまり10bitと違って8bitLogでは撮影時に全てのセッティング(色味・明るさ等)をしっかりやっておき、最後のポスト部分では映像を作りこむと言うよりは、出なかった出せなかった信号部分を補正するくらいの感覚が良い。10bitと同じような事をしてもスグに信号破綻し、映像として成立しなくなる。

ではDVX200では作りこむ映像は出来ないのか?そんな事はない。HDMIからの4K出力時には10bit 4:2:2が出力されているので、それをATOMOS社のSHOGUN等の4Kレコーダーに入れれば10bitLogを手に入れられる事になる。それではDVX200のコンパクトさがスポイルされるのでは?と言う懸念もあるが、総じてミドルレンジの現場では10bitを要求されるような時は予算もしっかりあり、外部モニターも1個や2個では無いので参加人数の増大ともに問題は無いはずだ。

総評

DVX200がミドルレンジにオススメ出来るのは、センサーサイズが大判カメラに比べてM4/3とやや小ぶりであるために、マニュアルでのピント合わせも比較的難しくないと筆者は感じた。また交換式ではない固定レンズは、従来のハンドヘルドのようなレンズワークが出来るのも嬉しい。もちろんバックフォーカスが狂うこともないのでズームワークも色々楽しめる。若干ズーム比が足りないと言う指摘もあるが、HDサイズで使うならポストでも更に2倍までのブローアップが出来るので問題はないはず。本来ならこの手のカメラはSonyから出てくる物だったのが今回はPanasonicから登場した。

これもDVX100が出た時にも同じ様な締めくくりでレポートをした気がする。4KやLogへの登竜門としてミドルレンジや映像系の学生には是非使って欲しい。出来ればメーカーさんにお願いしたいのは、DVX200に学割を儲けて広く若い人達に広げて欲しいと思う。最後にDVX200でLive映像をワンカメで撮ったので、技術サンプル的に見て貰えればと思う。

■DVX200 for ANARCHY STONE

4Kサンプル映像

Logサンプル映像

WRITER PROFILE

岡英史

モータースポーツを経てビデオグラファーへと転身。ミドルレンジをキーワードに舞台撮影及びVP製作、最近ではLIVE収録やフォトグラファーの顔も持つ。