[ライブ配信手帖]Vol.23 擬似空撮!都市でドローン風映像を撮影するには?〜DJI OsmoとZ-Axis
2016-05-27 掲載

一脚で簡単に撮れるドローン風映像の擬似空撮は都市部にぴったり!

DJI Osmoの発売時にこれは「擬似空撮」「擬似スライダー」「擬似ステディカム」になり得る!とPRONEWS Mag Vol.03に書きましたが、この度ついに上下の歩行揺れを機械的に補正する純正オプション「Z-Axis」の登場で「擬似空撮」の完成度が劇的に向上しました!「擬似空撮」はドローンの飛行規制が厳しい都市部にこそぴったりで、特に群衆の頭上をフライオーバーしていく映像が撮れるのは画期的です。ジンバルや光学手ブレ補正のビデオカメラは各メーカーが出していますが3m/5m/7mの一脚の先につけても重量をほとんど感じさせないDJI Osmoの独壇場と言えます。今回はDJI OsmoとZ-Axisを組み合わせた「擬似空撮テクニック」をテストショットを含めてご紹介してきましょう!

「擬似空撮」は本当に「空撮」に見えるものなのか?
OsmoとZ-Axisで撮った映像が本当に空撮に見えるものなのか?これは百聞は一見にしかずなのでまずこちらの動画をご覧ください!
いかがでしょう?見えますよね!上空3mや5mのアイレベルでの主観移動ショットというのはこれまで「ブラタモリ」のインサートカットぐらいでしかお目にかかることがなかったので新鮮です。Osmo X3は20mmのレンズですが、当然ドローンでよく使われているレンズなので主観移動を前提に設計されています。周辺部に流れてもディテールがしっかり活きている絵作りなので4Kの30pで撮るか2Kの60pで撮るか悩みどころです。今回のサンプルはすべて4Kの30pで収録しました。
OsmoとZ-Axisで走るとどんな映像になるのか?
歩行揺れを機械的に吸収するZ-Axisは、Ozmoのカメラ部とグリップ部の間に割り込ませるようにして装着するアタッチメントです。装着はとても簡単で上部にバネの強さの調整ダイヤルがついています。これにより激しく走りながら撮るときは固めに、歩きながら撮るときは柔らかめなどの調整が出来ます。歩き方が雑でバネが伸びきって底にあたってしまうと映像でもボヨンボヨンとなります。すべての上下動を吸収するものではなく、あくまで人間がASIMOのような歩き方で滑らかに歩いた時に発生する微妙な上下動を打ち消してくれるアタッチメントだと理解してください。
「擬似空撮」は比較的ゆっくりとした歩きで行うものなので、ここで走りながら撮ったテスト動画をお見せしましょう!
これは小学2年生のジョギングを後ろから追いかけながらOzmoとZ-Axisで撮っています。スマホは使わずグリップにあるジョイスティックでカメラヘッドを目視でコントロールしています。走りながらスマホを見るのは危険なので子どもの安全を考えノーファインダーで撮影しました。
20mmレンズの広角効果もあり、ものすごい速度で走っているように見えますが、実際はかなりゆっくりとしたペースで走っています。カメラは大人の腰のあたりから前につきだすようにして追いかけています。この時にカメラに振動がいかないように腕は地面から一定の距離にしています。ほぼ映画のステディカム撮影に匹敵するスムーズさを実感していただけると思います。特に急に子どもが曲がって地域センターの裏を抜けるところや止まっているクルマの間をすり抜けるところなどはOsmoのような小さなカメラでなければ絶対にムリなショットでしょう。
擬似空撮の基本的なセッティングはどのようにするのか?


擬似空撮にはOsmoを固定する特殊なシューを使います。これは匠工房が製作したシューでOsmoの軸をずらさずに一脚や三脚に固定することが出来ます。Z-Axisは角度を調整することができるのでバネが地面に並行して動くような向きに固定します。バネの強さは調整ネジでプラスとマイナスにすることが出来ます。風が強い日などは横風で揺らされたりするのでバネが底付きしないように調整します。音声に関してはOsmoの内蔵マイクはほぼ使いものにならない感度と音質なのでプラグインパワーのマイクを使用します。今回は本格的なマイクが間に合わなかったのでソニーのボイスレコーダー用のステレオマイクを装着しました。

擬似空撮の理想は2パイロット体制です。カメラをしっかり安定させて動かす人と、カメラヘッドを操作する人を分けます。ひとりで行う場合はスマホを使うことになりますが、カメラヘッドのコントロールに気を取られて人にぶつかったりすると事故につながりますので、最小限の操作にするよう心がけます。一脚を伸ばして消失点をしっかり設定したらあとは歩きながら一脚自体の回転などで調整したほうが安全です。

コントラストの強い日中などに擬似空撮を行うと露出補正が必要になります。その時は立ち止まって周囲の安全を確かめてからスマホにタッチして露出補正するのがよいでしょう。X3はセンサーが小さいので露出補正にも限度があります。昼の11時から12時くらいの太陽がまんべんなく街にあたっている時間を選ぶなどの工夫が必要になるでしょう。

スムーズな擬似空撮のコツは2つ!「まっすぐ進むこと」、そして「上下に揺れないこと」です。まっすぐ進むというのは撮影する場所の人混みや状況にもよりますが、まるで参勤交代のように一脚を持って真剣な顔でそろりそろりと歩いていると道が自然にひらけて来ます。また歩き方としては能のすり足やASIMOの歩行のように足は動かすけど腰は上下に動かない歩き方がベストです。毎日のように商店街や街を擬似空撮していると速度感覚や歩き方のコツのようなものがわかってきます。最初はドローンのように移動感が重要かな?と思っていたので早足で歩いていたのですがX3の20mmレンズでディテールの多い商店街などを擬似空撮しているとゆっくりのほうが画面左右に消えていく看板やネオンなどがよく見えて面白いと感じるようになりました。

ストリートビューよりスムーズに街を見渡せ、ドローンでは絶対に飛べない群衆の頭上を飛び越せる!ありそうでなかった上空3mの低空飛行は観光や都市計画の映像資料として新しいジャンルを切り開くかもしれません!近いうちに「擬似空撮セミナー」を開催しようと思っています!詳細が決まりましたらまたお伝えします!
WRITER PROFILE
ヒマナイヌ
頓知を駆使した創造企業
[ Writer :
ヒマナイヌ
]
[ DATE : 2016-05-27 ]
[ TAG : ライブ配信手帖]
関連のコラム一覧
![]() |
[ライブ配信手帖]Vol.24 有線LANがない会場から安定したライブ配信!〜LiveU Solo現場レポート Part1txt:川井拓也 構成:編集部 有線LANがない現場からのライブ配信というニーズ! ライブ配信の前提として専用の有線LANを確保することは最優先事項ですが、会場側の条件... 続きを読む |
![]() |
[ライブ配信手帖]Vol.22 野外映像編集を実現するために〜Surface Pro 4とSSD撮影したあとのデータを事務所や自宅に現場からどう安全に持ち帰るか? 収録メディアが大きなテープから、今や切手より小さいSDカードやmicroSDカードになってきました。撮影し... 続きを読む |
![]() |
[ライブ配信手帖]Vol.21 DJI Osmoで幕張メッセをウォークスルー!Inter BEEスペシャル!IntetBEEで実戦投入!俺のOsmo ようやく個人的に入手しましたDJI Osmo!自撮りレポートの新時代を切り開くべく今日は外部マイクのテストであります!今日はオーディオテ... 続きを読む |
![]() |
[ライブ配信手帖]Vol.20 Roland V-1HD最速レビューその1〜果たしてV-1HDはどんなサイズ感なのか?txt:川井拓也 構成:編集部 そのスケール感に刮目せよ!なんだこのコンパクトさは! マルチカメラ収録やライブ配信をやっているユーザーが「待ってました!」とおもわず声を出してし... 続きを読む |
![]() |
[ライブ配信手帖]Vol.18 ジンバル一体型4KカメラOsmoに外部マイクはどうだ?Osmoの内蔵マイクと外部マイクの音の違いを聞いてみる! 今回は、音声部分についてテストしてみたい。Osmoはほとんどの人にとって擬似空撮や擬似ステディカム、擬似スライダー的... 続きを読む |
- [ライブ配信手帖]Vol.17 飛べないドローンOsmoの浅草低空飛行!(後編) (2015-10-23)
- [ライブ配信手帖]Vol.16 DJI OSMO日本最速(たぶん)レビュー〜新しいカメラの時代へ(前編) (2015-10-13)
- [ライブ配信手帖]Vol.15 「第2回ライブ&イベント産業展」でみつけたLIVE MULTI VIEWINGがおもしろい! (2015-07-24)
- [ライブ配信手帖]Vol.14 イベントのグルーヴをあますところなくマルチカメラで収録するステルスユニット”LiveNinja”の挑戦! (2014-12-16)
- [ライブ配信手帖]Vol.13 Kodak SP360が生む超魚眼タイムラプス&動画のシンプルな魅力とは? (2014-11-18)
アクセスランキング(直近1週間)
WRITER PROFILE
ヒマナイヌ
頓知を駆使した創造企業
ヒマナイヌ のコラム一覧
Writer
![]() |
編集部 PRONEWS編集部による新製品レビューやイベントレポートを中心にお届けします。 |
![]() |
小寺信良 業界で噂の新製品を、AV WatchやITmediaのコラムでもおなじみの小寺信良氏がレポート。 |
![]() |
raitank アートディレクター。あまたの海外ソースを読み漁ってHDSLRを独学。国内と海外の情報流通の温度差にモーレツな疑問を感じ、最新の情報を自ら日本語で発信するblogを運営中。 |
![]() |
ふるいちやすし 自身で脚本、監督、撮影から編集、音楽までもこなすマルチプレーヤー。 |
![]() |
岡英史 バイクレース及びF3レース参戦など、映像とはかけ離れた経歴を持つ異色ビデオカメラマン |
![]() |
江夏由洋 兄弟で株式会社マリモレコーズを設立し、ノンリニアにおける映像技術、映像制作を中心に、最新技術を取り入れたワークフローを提案している。 |
![]() |
鍋潤太郎 ロサンゼルスを拠点とするVFXジャーナリスト。 |
![]() |
林和哉 映像プロデューサー/ディレクター。入口から出口まで全てのポジションを守備範囲にしている。最新技術が好物で、各種セミナー活動も豊富。 |
![]() |
江口靖二 江口靖二事務所主宰。現在デジタルサイネージコンソーシアム常務理事などを兼務。 |
![]() |
栁下隆之 写真家アシスタント、現像所勤務を経て、撮影機材全般を扱う輸入販売代理店で17年余り勤務の後に、撮影業界に転身。一眼カメラによる撮影を得意し、代理店時代に手がけたSteadicamや、スタビライザー系の撮影が大好物。 |
![]() |
猿田守一 企業用ビデオ、CM、ブライダル、各種ステージ記録など撮影から編集まで地域に根ざした映像制作活動やCATV局などへの技術協力なども行っている。 |
![]() |
オースミ ユーカ 映像ディレクター。企画、脚本から演出までジャンルを問わず活動。 |
![]() |
土持幸三 1970年生。鹿児島県出身。俳優を経て渡米。LA市立大卒業・加州立大学ではスピルバーグと同期卒業。帰国後、映画・ドラマの脚本・監督を担当。川崎の小学校で映像講師も務める。 |
![]() |
鈴木佑介 日本大学芸術学部 映画学科"演技"コース卒の映像作家。 専門分野は「人を描く」事 。 広告の仕事と個人ブランドでのウェディングがメイン。 セミナー講師・映像コンサルタントとしても活動中。 |
![]() |
松本敦 映像クリエイター。企業VPからスポーツイベント撮影まで幅広く手がける。アクションカムやドローンなどの特殊ガジェット好き。 |
![]() |
宏哉 タイムコード・ラボ代表。Next-Zero.com管理人。バラエティーから報道や空撮まで幅広い番組撮影をこなすTVカメラマンであり、ダンスイベントからe-ラーニング収録まで請け負う街のビデオ屋さん。2017年度の振り幅はイージス艦CICから幼稚園のおゆうぎ会。 |
![]() |
手塚一佳 CGムービー制作、ネットワークゲーム制作を得意とするデジタルデザイン会社アイラ・ラボラトリの代表取締役。 |
![]() |
山下大輔 フリーランスの映像講師。Adobe Community Evangelist。アドビ製品でビデオ編集をどのようにやっていくか日々模索中。FacebookではAfter Effects User Groupの管理人として勉強会なども随時行なっている。 |
![]() |
柏原一仁 日本大学芸術学部写真学科卒、銀一株式会社海外商品部勤務。 銀一が世界中から輸入する写真・映像用品ブランドのマーケティング担当。静止画・動画・音声と様々な技術に翻弄される日々。好きな食べ物はからあげ。 |
![]() |
曽我浩太郎 未来予報株式会社 代表取締役・プロジェクトデザイナー。新ビジネスに特化したリサーチ・コンセプトデザイン・コンサルティングを専門に行う。SXSW LLC.公式コンサルタント。著書『10年後の働き方「こんな仕事、聞いたことない!」からイノベーションの予兆をつかむ』が好評発売中。 |
![]() |
井上晃 映像制作会社「有限会社マキシメデイア」代表、制作プロデューサー&キャメラマン。Facebookグループ「ATEM Tech Labo」、「Grass Valley EDIUS ユーザーグループ」を主催して、ATEMやEDIUSの布教に、日々勤しんでおるでよ。 |
![]() |
石多未知行 クリエイティブディレクター、映像クリエイター、空間演出家。PMAJ代表、東京芸大 非常勤講師。空間演出やプロジェクションマッピングを中心に様々なメディアを使った企画演出を手掛ける。 |
![]() |
奥本宏幸 大阪を拠点にしているフリーランスの映像ディレクター。演出・編集・モーショングラフィックをバランス良くこなす。フィンランドサウナが好きです。のびしろラボ管理人。 |
![]() |
安藤幸央 無類のデジタルガジェット好きである筆者が、SIGGRAPH ASIAやCESなど海外の注目イベントを紹介。 |
![]() |
高野光太郎 Cosaelu株式会社 代表取締役 / 映像ディレクター ミュージックビデオ、番組オープニングタイトル、CM、劇場映画、全てをデスクトップで制作。 |
![]() |
ヒマナイヌ 頓知を駆使した創造企業 |
![]() |
駿河由知 中央区築地出身。マルチカメラ収録&配信ユニット「LiveNinja」メンバー。2006年より株式会社スタートライン設立。外務省、国連機関、国際NGOなどの国際会議やシンポジウム、企業イベントなどのライブ配信を担当 |
![]() |
山本久之 映像エンジニア。フリーランスで映像設備のシステムインテグレーションと、ノンリニア編集に携わる。 |
![]() |
ベン マツナガ 未来シネマ/ディレクター。ハリウッドでの大型映像制作、短編時代劇の自主映画制作を経て、現在は、映像を通じて人と人をつなぐことをテーマに様々な映像制作に取り組んでいる |
![]() |
河尻亨一 1974年大阪生まれ。雑誌「広告批評」を経て現在は実験型の編集レーベル「銀河ライター」を主宰、企業コンテンツの企画制作なども行う。デザイナー石岡瑛子の伝記「TIMELESS」(http://eiko-timeless.com/)をウェブ連載中。 |
![]() |
茂出木謙太郎 株式会社キッズプレート代表。「楽しいInternetコンテンツ」をテーマに活動。現在VRの可能性をまさぐり中。CG-ARTS協会会員 |
![]() |
稲田出 映像専門雑誌編集者を経てPRONEWSに寄稿中。スチルカメラから動画までカメラと名のつくものであればなんでも乗りこなす。 |
![]() |
黒田伴比古 報道・ドキュメンタリーエディターでありながら、放送機器に造詣が深く、放送局のシステム構築などにも携わるマルチプレーヤー。 |
![]() |
ヒラタモトヨシ ファッションとテクノロジーを繋ぎイノヴェーションを生み出す事をライフワークとし、WEB/ライブメディア/高精細映像表現を追求。 |
![]() |
猪蔵 いつも腹ペコ。世の中の面白いことを常に探っている在野の雑誌編集者。 |
![]() |
須藤高宏 東京・国分寺市に於いて録音スタジオ「マイクロサウンド」を運営し各種録音編集に携わる傍ら最近では各種イベント配信音声を担当。 |
![]() |
林永子 2005年よりサロンイベント「スナック永子」を開催。通称「永子ママ」 |
![]() |
ViewingLab 未来の映像体験を考える有志の研究会。映画配給会社、映像作家、TV局員と会員は多岐に渡る |
![]() |
石川幸宏 映像専門雑誌DVJ編集長を経て、リアルイベントを中心とした「DVJ BUZZ TV」編成局長として活躍中。 |
![]() |
山下香欧 米国ベンチャー企業のコンサルタントやフリーランスライターとして、業界出版雑誌に市場動向やイベントのレポートを投稿。 |
![]() |
岡田智博 クリエイティブクラスター代表。メディアアートと先端デザインを用いたコンテンツ開発を手がけるスーパー裏方。 |
![]() |
萩原正喜 米国コロラド州から、米国のデジタル放送事情からコロラドの日常まで多岐に渡るコラムをお届けします。 |
![]() |
坪井昭久 映像ディレクター。代表作はDNP(大日本印刷)コンセプト映像、よしもとディレクターズ100など。3D映像のノンリニア編集講師などを勤める。 |
![]() |
しらいあきひこ カメラメーカー、ゲーム開発などの経験を持つ工学博士が最先端のVR技術を紹介。 |
![]() |
秋山謙一 映像業界紙記者、CG雑誌デスクを経て、2001年からフリージャーナリストとして活動中。 |
![]() |
今間俊博 アナログ時代の事例を通じ、教育関連の最新動向を探る。 |
![]() |
金田浩樹 映画・テレビの映像制作を中心に、USTやニコ生等、ライブメディア各分野を横断して活動中。ジャンルや固定概念にとらわれない構成力と発想に定評あり。 |
![]() |
伊藤裕美 オフィスH(あっしゅ)代表。下北沢トリウッドでアニメーション特集上映を毎年主催している。 |
![]() |
UserReport 業界で話題の商品を実際に使ってみてどう感じたかを、各方面の様々な方々にレポートしていただきました。 |
![]() |
System5 Labs SYSTEM5スタッフが販売会社ならではの視点で執筆します。 |
