txt:岡英史 構成:編集部

ワイヤレス化へと向かう伝送の世界

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カメラからワイヤーが消えると、その行動範囲は広がり、撮影に関しても解放されることを想像するのは簡単だ。近年急速に色々な物が小型化及び低価格になりその恩恵は大きい。ほんの10年前は音声を飛ばすためのワイヤレスを導入するには100万円単位での投資が必要だった。それがHD化される時期と同じタイミングで低価格の業務用途に耐えられるワイヤレスマイクのセットが販売される事により、今までENGでのインタビュー等ではワイヤードが当たり前だった物が一気にワイヤレス化へと変化した。

このワイヤレス化は色々な撮影現場の形態を大きく変えていくことになる。それまでは大きなバジェットでしっかりと音声さんがいなければ使えなかった機材が使用可能にもなった。この10年で音声のワイヤレス化は完全に定番になったと言っても過言ではない。しかしまだモニタリングに関してはワイヤードが一般的だ。それは伝送装置が流石に高価なこともある。

とはいえ、最近のマルチカメラ化に伴って映像のワイヤレス=伝送も早急に欲しいところ。もちろん筆者もそれを考えていた。その伝送に関して真面目に考え出したのは2年前にステディカムを導入した事が大きい。導入時に日本のMr.ステディカムに言われたことは「ワイヤレスフォーカスと伝送は導入しないとダメだ」と言うこと。確かにステディカムにワイヤードは動きにくくなるよりもバランス問題が大きい。その時に出会ったのがIDX CAM~WAVEシリーズだ。

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スカイアグリ2016(農業きぼう祭)~ジュエリーふくしま~で使用

今回ふくしまスカイパークで行われたイベントにIDXさんの協力の元、CAM~WAVEの全シリーズを試すことが出来た。

シリーズ最小パッケージCW-3の実力

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シリーズ最小パッケージCW-3

CAM~WAVEシリーズの中では業務用途としては最小パッケージになるCW-3だがその能力は大きい。室内はもちろん野外でも使用が可能、その伝送距離は約50mだが室内より条件の悪い野外でも30mは間違いなくリンクが切れずに3G/4:2:2/1080-60pの映像を飛ばすことが出来る。

(※更に簡素化されたCW-1もあるがHDMIと言う事で今回は除外)

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CW3の一番の特徴はその大きさだろう。小型のハンドヘルドでも十分に搭載できる大きさで、ワイヤレス音声のレシーバーと大きさ的には変わらない。また電源も7V~17Vまで使えるので、ハンドヘルド用の7.2Vバッテリーから、Dタップ12Vも使える。このバッテリー運用は色々な物に搭載するには非常に使いやすい。バランスが大事なステディカムではその重量配分は大きい。また外装されたアンテナのお陰で野外ではCW-7より距離が飛ぶ事もある。端子はSDIなので殆どの業務用システムに組み込むことが出来る。CAM~WAVEシリーズの中では最も汎用性が高い機材だ。

ショルダー型との相性が良いCW-7

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Vマウントに直結で運用できるCW-7はショルダー型との相性が良い

CAM~WAVEを一番最初に知ったのはこのCW-7だ。筆者の機材環境だとENGカメラが多いので必然的にVマウントバッテリーの方が数はある。CW-7はVマウントのIN-OUTがあるのでカメラにダイレクトに取り付けが可能。また内蔵アンテナの為、ガチャガチャした場所に飛び込んでも引っかかって壊れることはない。

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基本性能はCW-3と同じということだが、内蔵アンテナの分、野外での到達距離は若干短くなる。CW-7の特徴はCHを固定して使うことが出来る。またマルチ運用が出来るためにカメラ側に受信機を付け別途小型モニターを付ければ、PGMベースのリターンを複数台で同時に見ることが可能だ。またVマウントバッテリーを使用せずキャノン4Pから電源を供給することも出来る。部品点数が少ない分CW-3よりセッティングは素早くできる。

とにかく伝送の到達距離が長いCW-F25

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コスト的には少々高く付くが、到達距離はその他の性能を考えれば、逆にコスパはシリーズ最高だ

CW-F25はとにかく到達距離が長い。CW-3やCW-7の比ではない位に伝送する。今回はふくしまスカイパークでのエアーショー含むイベントでステディカムにセットして使ったがカタログ数値の2kmは大袈裟ではない。CW-3/7とは違い4本のアンテナとパケット通信を使ってエラー補整をしている為、距離に関わらず6fの遅延は生じてしまうがこの長距離はやはりメリットだろう。

(※HDVでのiLink変換位の感覚)

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CW-F25の特徴はまだある。他のCAM~WAVEシリーズが一方通行に対して、CW-F25は双方向で伝送が出来る。つまりリターン映像を一緒に送る事が出来る。今回使用時にはステディカムもSWに混ぜ込んであったので、リターンを見られるのは助かる。更にインカムの音声も双方向で載せることが出来る。インカム自体は汎用品を使えるので、本線のインカムラインと混ぜて使えば情報の共有になる。更に別売りの外部アンテナを使うことにより、よりクリアーな伝送が可能となる。

実践編

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オプションの外部アンテナ

今回イベントのSWにステディカムごと割り込ませて貰った。実は昨年もCW-7を割り込ませたのだが、カタログ数値の半分も飛ばずIDXさんに相談したのがきっかけで、室内では反射波を利用できるのでカタログ数値はガッチリ飛ぶが野外は反射波が使えず、また芝生や林、雨天時も電波は吸収?されてしまうので当に最悪の環境で使っていたわけだ(もちろん、人間も電波を吸収してしまう)。

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イベント等で人混みの多い中では特にその効果は大きい

CW-F25はカタログ値で2kmとなっており、この悪条件の中では40mも行けば良い方と思っていたら、驚くほど距離が飛ぶ。敢えて建物の裏側に回り込んで電波の飛びを遮って見たがそれでも200mは確実に映像が飛んでいる位だ。リターン映像は1Mbpsの低ビットレートなので画質的には望めないがPGMを見るには何も問題はない。今回も雨上がりの濡れた芝生+人混みと言う伝送には最悪の環境で使用したが1kmは全く問題ない。もちろん外部アンテナを伸ばしているが、良くあるイベント等の伝送ならCW-F25があれば問題は無いだろう。

総評

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CAM~WAVEシリーズはどれも価格的には業務レンジでも十分購入出来る価格だ。CW-F25だけはやや大台のプライスになっているが、これだけの機能と到達距離を考えればそれも納得できるだろう。先ずはレンタル、もしくはデモを見て頂きその飛び具合を直接感じて貰えばと思う。久しぶりにビックリした機材だ。

またIDXさんは今回のロケに同行して頂きその後色々なお話しを聞かして貰ったが、今後も業務レンジに使用して貰える様な伝送系の機材を開発して行くとの事。今後も楽しみなメーカーだ。

WRITER PROFILE

岡英史

モータースポーツを経てビデオグラファーへと転身。ミドルレンジをキーワードに舞台撮影及びVP製作、最近ではLIVE収録やフォトグラファーの顔も持つ。