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[DigitalGang!]Shoot.30 新時代のフォーマットX-OCNに思う。AXS-R7/X-OCNが捉える美しい世界

2016-12-09 掲載

txt:江夏由洋 構成:編集部

新しく発売された4KレコーダーAXS-R7とX-OCN

dg_vol30_001-1 PMW-F55のレコーダーとして新しく発売されたAXS-R7。RAWのみならずX-OCNという新しい収録フォーマットを搭載した

4Kデジタルシネマカメラの世界をけん引するSony PMW-F55。9月末にこのF55の新しい収録ユニット、AXS-R7が発売になった。このユニットは当初からF55の4KRAWレコーダーとして活躍していたAXS-R5の新機種にあたる。F55自体2013年の初頭に発売になってから間もなく4年目に突入しようとしており、個人的には「そろそろPMW-F55の次のカメラが発表になるのだろう」と勝手に推測していた。そして実際に撮影をしてみて、その実力に驚愕した。AXS-R7は、F55を最強のカメラにする力を持っている。

dg_vol30_001-2

もちろんAXS-R5同様にRAWで記録することができるのだが、今回SonyがAXS-R7に搭載させたのが、新しい収録フォーマットである「X-OCN(Extended tonal range Original Camera Negative)」である。これはRAWでもなく、ビデオコーデックでもないという位置づけにある映像ファイルなのだが、なんと4K収録フォーマットとして比較した場合、ProRes 422(HQ)コーデックよりもビットレートが低く、16bitの色深度を維持している「次世代の映像収録フォーマット」なのだ。さらに加えてAXS-R7は4K120pをメディアの記録時間の限り、秒数制限なく収録することが可能になった。

http://www.pronews.jp/pronewscore/wp-content/uploads/2016/12/DG_vol30_002.jpg 4K120pを無制限に収録することができるのは大きな魅力だ
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dg_vol30_003-1 dg_vol30_003-2 実際の撮影現場―普段のF55の撮影と何ら変わらない。今回はHDR編集ということもあり、露出の確認はシビアだ

RAWという壁

私も含めて「RAW」の撮影にはちょっと抵抗を感じる人も多いと思う。そもそも収録素材のデータ量も膨大になるし、ポストプロダクションの作業も簡単には行えない場合が多い。作業する人材の知識もしばしば必要とされるなど、映画やCMの現場に限られるワークフローともいえるだろう。そもそもRAWには「現像作業」がつきものだったり、さらに重いDPX連番ファイルなどの中間コーデックを要するシチュエーションも少なからずとも登場する。綺麗な映像のデータを手にするということは、それなりに覚悟がいるということだ。

http://www.pronews.jp/pronewscore/wp-content/uploads/2016/12/DG_vol30_004.jpg X-OCNはRAWと同様に色温度を変えたりすることもポストで可能だ
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X-OCNが持つ魅力

そこで登場したのがX-OCNである。このX-OCNは16bitという色深度を持つ「RAWのようでRAWではない」収録フォーマットである。ポストではRAW同様に色温度の調整や減感・増感も簡単に行える。またX-OCN STとX-OCN LTの2種類が用意されており、目的に応じて使い分けることが可能だ。そしてすでにBlackmagic Design社のDaVinci Resolveでネイティブに扱える。これは心底素晴らしいと感じる点だ。通常のビデオコーデックと何ら変わらない感覚で編集をすぐに始められ、RAW同様の画質や色の美しさを持つ魔法のようなフォーマットと言っていいだろう。

http://www.pronews.jp/pronewscore/wp-content/uploads/2016/12/DG_vol30_005-1b.jpg ※画像をクリックすると拡大します http://www.pronews.jp/pronewscore/wp-content/uploads/2016/12/DG_vol30_005-2b.jpg DaVinci Resolveですでにネイティブ編集が行える。通常のビデオコーデックと何らそのワークフローは変わらない
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dg_vol30_005-3b

加えて素晴らしいのがビットレートである。4K24pにおけるビットレートは、X-OCN STで660Mbps、X-OCN LTで389Mbpsと非常に扱いやすくなっている。ProRes 422(HQ)が10bitの色深度でありながら、4K24pで750Mbps程度あることを考えると、ポストにおける負担がいかに「通常」と変わらないかが想像していただけるだろう。F55RAWに比べて約70%のビットレートをX-OCN STは実現している。X-OCN LTにおいては、これが約40%と、半分以下となる。

http://www.pronews.jp/pronewscore/wp-content/uploads/2016/12/DG_vol30_006-1.jpg http://www.pronews.jp/pronewscore/wp-content/uploads/2016/12/DG_vol30_006-2.jpg
撮影素材からの切り抜き。今回はS-Gamut3.Cine/S-Log 3で撮影
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http://www.pronews.jp/pronewscore/wp-content/uploads/2016/12/DG_vol30_007-1.jpg http://www.pronews.jp/pronewscore/wp-content/uploads/2016/12/DG_vol30_007-2.jpg
色編集後。実際はHDRでカラーグレーディングを行った
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120p収録には新しく発売になったS48(4.8Gbps書き込み対応モデル)のAXSメモリーカードが必要になる。このモデルには512GBと1TBの2種類が用意され、512GBであれば4K120pのX-OCN STが約84分、X-OCN LTが142分も収録できる。ちなみにAXS-Aシリーズである、旧タイプの2.4Gbps書き込み対応モデルのAXSメモリーもX-OCN LTであれば120pまで収録可能、X-OCN STも60pまでなら記録可能だ。

dg_vol30_008 新しく発売になったS48のAXSメモリーカード。これでX-OCN STで4K120pまで捉えることができる

4K120pをHDRで-16bitの色震度が叶える新しい世界-

そしてなんといっても4K120pの世界は異次元である。今回はHDRによる編集を行ったのだが、X-OCNが魅せる4KハイスピードHDRの映像はあまりにも美しすぎると実感した。撮影ではS-Gamut3.Cine/S-Log 3によるモニタリング設定で行い、DaVinci ResolveにおいてBT.2020のカラースペースに落とし込んだ。16bitの力をカラーグレーディングで発揮できる。実際にRAWで撮影した素材も作品にも入れ込んでみたものの、RAWとの画質の差を感じられる隙間は全くなかったといっていい。柔軟に調整できる色の深さは、想像以上であった。モデルのスキントーンやHDRで見せる高輝度の諧調、暗部のノイズ、何をとってみても、素晴らしいの一言に尽きる編集であった。そしてF55が全く別のカメラであるように感じた。

http://www.pronews.jp/pronewscore/wp-content/uploads/2016/12/DG_vol30_009.jpg 作品から。暗部のノイズはフィルムグレインそのもの。HDRの編集においても素晴らしい画質を得ることができた
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http://www.pronews.jp/pronewscore/wp-content/uploads/2016/12/DG_vol30_010.jpg HDR素材として完璧なデータをX-OCNは捉える
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X-OCNと共に未来へ

今デジタルシネマは新しい時代に突入しようとしている。すでにフィルムの解像度を超えたとされる次世代のデジタルワークフローはHDRや4Kハイスピードに象徴されるように「より美しく」という方向に動いている。そして技術という力がその世界を「より手軽に」というユーザーの思いを形にしてくれているんだと思う。X-OCNはそんな時代を動かしていくことになるのかもしれない。


WRITER PROFILE

江夏由洋 兄弟で株式会社マリモレコーズを設立し、ノンリニアにおける映像技術、映像制作を中心に、最新技術を取り入れたワークフローを提案している。


[ Writer : 江夏由洋 ]
[ DATE : 2016-12-09 ]
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