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[岡英史のNewFinder]Vol.67 FUJINON MK18-55mm T2.9セカンドインプレッション~NAB取材編

2017-06-23 掲載

txt:岡英史 構成:編集部

NAB前に手元に来たシネマレンズ FUJINON MKシリーズ

すでにファーストインプレッションでその感触を書いたが、その時のセッティングをかなり変え、ベースのカメラをFS5に変更し、完全にENGスタイルでのシネマレンズの運用を試みてみた。結果から伝えると、ロングレンジの被写体でなければ十分にミドルレンジでも扱えるレンズだ。ロングレンジがダメというわけではなく、単純に焦点距離が55mmでは足りないというだけ。

しかし、FS5と組み合わせるなら超解像度ズームを利用することでUHDで1.5倍、FHDなら2倍までのエクステンダーを入れることができるのでFHDなら110mmまで寄れる。これならインタビューベースの取材なら十分活用できる。

今回の取材機材の構成は、Sony PXW-FS5をベースにショルダースタイルに対応すべく純正の縦位置グリップを排除。FS700の横位置グリップを、SmallRigのパーツを一部使いレンズ横にオフセット、重心位置を後ろにずらすので15mmのロッドエンドに1kmのカウンターウェイト+ワイヤレスレシーバーをセット。できればカウンターバランスと本体・ワイヤレスの電源供給代わりにVマウントバッテリーを使いたいところだが充電器などの補記類の重量を考え、バッテリーも最大容量の純正U90を使っている。

さらに本体LCDを見やすくするためにスコープを装着、これはBlackmagic Pocket Cinema Camera用がぴったりハマる。視度調整も可能なのでFS5のLCDに不満がある方にはお薦めだ(FS700の横位置グリップのマグニファイやズームレバーのアサインはそのまま使える)。

シネマレンズでのENGスタイルにライドオン!

Red Rock Canyonでの各種レンズ&カメラテスト

このMKレンズをENG用途で使うのは、納得できない方もいると思う。もう少し本来の使い方を知りたい方は、同じレンズ題材でコラムデビューした柳下氏のレビューを読むことをお薦めする。筆者のレビューはそういう意味では亜流なので、性能云々よりもこんな使い方もできるという感じでいてもらえば良いかと思う。

現地では柳下氏と、目線入り動画をUPした宏哉氏の3人部屋での行動だったが、この3人の場合だと亜流の使い方であるシネマレンズENGが2:1で本流になってしまったのもおもしろい。宏哉氏もENG系のカメラマンなので、このFS5のセットアップには大きなサムアップをもらえた。

このレンズをワザワザENGで使う意味を考えてみよう。デメリットを突けばたくさん出てくるがそれは使い方にもよる。今回の使い方だと、フォーカスリングのワークが厳しい。リング周りに距離目盛がftとmで刻まれているが、LCD位置の関係でft表示部分しか良く見えない。普段m表示で慣れているならこの部分は注意したい。

カメラボディが変わるとレンズの使い方も変わる

またシネマレンズなのでレンズの回転角度が深く粘りも強い。B4レンズのように小指でフォーカシングというのは角度、重さ共にやや厳しい。操作感に慣れが必要なのはこのくらいだ。メリットはいろいろなレンズワークが決めやすい。被写界深度コントロールが大判センサーと相まって表現がいろいろできる。レンズ特性もシネマレンズにしては開放からパキッとしているのでピントは掴みやすい。

また今回のようなゴチャゴチャした取材現場では、深度が浅めのレンズだと背景整理が非常に楽だ。開放値からf5.6まで絞っても十分に背景は整理できる。無駄に開放でピントのシビアさに苦しむなら、f8での運用もアリだ。このくらいの絞りでも、さすがにB4レンズに比べれば十分に深度は浅く背景のボケ感も嫌味がない。

とはいえ、ハンディで撮っているときは特にピントの監視は通常の業務用ハンドヘルドカメラに比べ格段に気を使わなければならない。ミドルレンジ向けの良いレンズだとは思うが、最低限レンズワークをフルマニュアルで行えることが条件だ。そのへんがC100にCN-E系のレンズを付けたものとは違う。気になるレンズ画角だが18~55mmなので係数を付加すると大体ワイド28mmからテレ超解像度を使って、180mm弱はSD時代のB4-J14に雰囲気は似ている感じだ。実際の映像はPRONEWS内のNAB2017のものを見てもらえればと思う。

軽量コンパクトにバンザイ!

このレンズの特長の一つに軽量というワードがある。今回のNAB取材では、会場ではほぼ担ぎっぱなしでの運用だったのだが、FS5との組み合わせはその重さの呪縛から解放されたといっても良い。一昨年に同じようにJVC GY-LS300CHと組み合わせてENG仕様を使って取材したが、さすがにレンズ部分が重く結果手にバランスが前重のために腕が疲れたのを思い出した。そのときはCanonのEFレンズを使用したのだが、それに比べてもMKレンズの重量は評価できる。

今回は早めにラスベガス入りし遅めの帰路を選択したので、まずはラスベガスの夜景を空撮すべくドローン…ではなく現地でヘリコプター観光を申し込んだが、この時我々のグループしかおらず結果的にチャーター機扱いで飛んでもらった。ご存知かと思うが、小型ヘリは重量のバランスを非常に重視する。このような場所にデカいPLレンズを持って行っても迷惑なだけ。MKレンズのような小型レンズは有利だ。

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ラスベガスの夜の空撮からの切り取り(左:Logと右:HDR現像)
※画像をクリックすると拡大します

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左:Logと右:HDR現像
※画像をクリックすると拡大します

明るい開放値に乾杯!

スチルレンズも含めて価格の比較的安いレンズは、テレ端とワイド端でf値の移動が大きい。これは値段なりのことなので仕方がないが、特にワイド端は明るいのにテレ端が急激に落ちてしまうレンズはがっかり感が大きい。それは価格との兼ね合いで仕方がないのだが、MKレンズは安価ではあるが通しでT2.9という明るさを持つ。明るいのは正義とはよくいったもので、レンズの表現が完全に一枚上のランクにできる。もちろんブリージングに関しても、ほぼ感じられないのは素晴らしい。

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今回は素材撮りも含めてグランドキャニオンに1泊2日のロケハンも行った。この時はMKレンズ2本にCN-E1本という贅沢な仕様
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※画像をクリックすると拡大します

総評

MKレンズの欠点を挙げるとすれば18-55mmというズーム比率だろう。筆者もそれは懸念していたが、FS5と組み合わせることにより超解像度ズームが使えるので、55mmが画質劣化なく100mm以上のレンズになる。このサイズがあればインタビューベースのENGなら全く問題はないし、今回のNABでの各種プレスカンファレンスでのセミナーも、後方のカメラ台から十分にサイズを詰めることができた。さらに寄りが欲しい時はMK50-135mm T2.9を組み合わせればOKだ。このレンズも軽いので2本持ちでも重量で苦になることはないはずだ。しかも2本購入しても100万円を大幅に下回る価格。今までのことを考えるとこのレンズはアリだ。

今回MKレンズをお借りしてNABの取材、ブライダル、VPと使ってみたが、フォーカスの回転角以外で慣れが必要な部分はなかった。ただENG用途で限定する場合、ショルダー運用している時にメートル表示が見えにくかった(フィートは見える)。このへんも使い勝手だと思うが、できれば同じ所に表示が欲しい。最後に、これはいっても仕方がない希望なのだが、Eマウント以外にもOP扱いでも良いので、EFマウントが是非欲しいものだ。


◀︎前編 [岡英史のNewFinder FUJINONMK]

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岡英史 バイクレース及びF3レース参戦など、映像とはかけ離れた経歴を持つ異色ビデオカメラマン


[ Writer : 岡英史 ]
[ DATE : 2017-06-23 ]
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