さる9月14日、東京都港区のベルサール御成門において「Roland/BOSS 2017秋 新製品発表会」が開催された。デジタルピアノやキーボード、シンセサイザー、電子ドラム、DJ機器、ギター関連製品などの新製品を多数展示するイベントで、毎年1月にアナハイムで開催されている「NAMM Show」 (the National Association of Music Merchants)や、7月にナッシュビルで開催されている姉妹イベント「Summer NAMM」で発表された製品だけでなく、今回初めて発表された製品も多数展示されていた。ちなみにNAMM Showは、演奏者やレコーディングエンジニア、楽器小売店、商社向けの展示会で、楽器業界のNABショー的なものだ。

ローランドは、リズムマシンやシンセサイザー、電子ピアノなどを創業当初から手掛けていることから業界でも定評があり、今回も往年の名器のサウンドを再現できる新製品を発表している。

■モノフォニックシンセサイザー「SH-01A」

アナログシンセ「SH-101」の音色や操作性を踏襲したリファインモデル。往年の名器「SH-101」をUSBやMIDIなどを装備して現代的に復活させた製品となっており、同社はこうした製品を「Roland Boutique」シリーズとしてすでに数機種発売している。写真のキーボードはオプションでカラーバリエーションはレッド、グレー、ブルーの3色がある。

■リニアシンセサイザー「D-05」

ローランド初のフルデジタルシンセサイザー「D-50」の音色を細部にいたる眼で忠実に現在に再現したモデル。USBオーディオやMIDIが搭載されており、PCから制御しながら曲作りを行えるなど実用性を備えている。「Roland Boutique」シリーズの1機種となっており、会場では49鍵のMIDIキーボード「A-49」との組み合わせでデモを行っていた。

■ベースシンセサイザー「TB-03」

伝説の「TB-303」のサウンドをACBテクノロジーで忠実に再現。アクセントやスライドなど特徴的なオリジナルの挙動を再現したシーケンサーで、TB-303と同じピッチ、タイム、ステップでの入力が可能。

カットオフ、レゾナンス、エンベロープ・モード、ディケイ、アクセントなどもTB-303と全く同じ操作を実現。また、4桁LEDディスプレー、オーバードライブやディレイなどのエフェクトのほか、MIDI端子、ファインテンポ・コントロール、パターンクリエイト機能などオリジナルにはなかった新機能も搭載している。

■リズムコンポーザー「TR-08」

30年ほど前に発売されたリズムマシン「TR-808」のデザインや音色を踏襲しており、操作系も当時のものとほぼ同じ構成となっている。サイズは「Roland Boutique」シリーズ共通のA4サイズのコンパクト化されている。

■リズムパートナー「DR-01S」

アコースティックギターなどを演奏する際に本格的で多彩なパーカッションのリズム伴奏を加えて、セッション感覚で演奏を楽しめる。シェーカー、タンバリン、マラカスやカホン、コンガ、ボンゴ、ドラムセットまで、アコースティック楽器と相性の良い18種類のパーカッション音色を搭載。

■電子ドラム「TD-1KPX2」

ツインペダルを使った迫力ある演奏にも対応した省スペースで本格的な演奏ができる電子ドラム。収納時も42×61×75cmほどのサイズとなり、昨年発売された「TD-1KPX-S」より更にコンパクトになっている。

■サンプリングパッド「SPD-SX Special Edition」

通常のドラムにはない音で自由自在に演奏することが可能。音色を保存する内部メモリーの容量が「SPD-SX」の4GBから16GBに容量アップ。最大約50時間(モノラル時)の録音が可能になったほか、音楽制作ソフト「Ableton Live Lite」のライセンスが付属する。

Ableton Live Liteを使ったオリジナルの音色作成やSPD-SX Special EditionをAbleton Live Liteの演奏用パッドとして使うなど、パソコンやソフトウェアと連携させた環境でスムーズに制作・演奏が行える。

■DJコントローラー「DJ-202」「DJ-505」

「DJ-505」はSerato DJ専用コントローラーで、TR-808、TR-909、TR-606、TR-707のサウンド&シーケンサーとの融合が特長。リミックスでだけではなく、TRサウンドとSerato DJサンプラーを組み合わせた自由なシーケンスをDJプレイに取り込むことやトラックメイクをすることも可能(写真右)。

「DJ-202」は、Serato社とのコラボレーションモデルで、Serato DJ Intro用の2チャンネル4デッキのDJコントローラー(写真左)。

■電子ギター「VG-Strandberg」

1980年台初頭に一世を風靡したRolandのギターシンセサイザー「GR-300」のサウンドを3種類搭載。Strandberg Boden J Standardをベースに「BOSS V-Guitar」テクノロジーによるギターモデリングやシンセサイザーサウンドなど20種類のサウンドで演奏することができる。

■ギターエフェクトペダル「JB-2」

コンパクトエフェクター40周年を機に米JHS Pedalsと共同開発したコラボレーションモデル。「BOSS BD-2 Blues Driver」と「JHS Pedals Angry Charlie」をベースにした2つの回路を搭載し、1つのペダルユニットに融合。2軸式のノブを3系統装備し、2つのサウンドのドライブ、トーン、レベルを個別に調整することができるほかモードセレクターで6種類のモード選択可能。

■デジタル管楽器「Aerophone AE-10G」

昨年発売した「Aerophone AE-10」に新たなカラーバリエーションとしてグラファイトブラックモデルが加わった。Aerophoneはサックスの音色はもちろん、管弦楽器から尺八や二胡などの民族楽器まで1台で50種類以上の音色を楽しめる。

■電子キーボード「VR-730」

ライブ演奏で必要なオルガン、ピアノ、シンセサイザーと専用のエフェクトを1台にまとめた電子キーボード。今回新たにオルガン演奏に最適な73鍵のウォーターフォール鍵盤を搭載。オルガン独特の高速トリルや激しいグリッサンドなどの奏法も思いのままに演奏することが可能。

また、鍵盤にはおもりを備えているので適度な手応えがあり、ロックのみならずジャズやバラードなど表現力を必要とするピアノ演奏にも最適。

■VR-09バージョンアップモデル「V-Combo VR-09-B」

ステージでの視認性や操作性がさらに向上した61鍵のVR-09のバージョンアップモデル。本体5.5kgと軽量設計でステージ、野外など場所を選ぶことなくご使用可能なほか、暗いステージでも視認性の高いパネルデザインに変更。

■キーボードシンセ「FA-07」

61鍵のシンセサイザー「FA-06」と88鍵のピアノ鍵盤を搭載した「FA-08」の2モデルのほかに、ライブ演奏派のキーボーディストからの要望に応えた76鍵仕様の「FA-07」がラインアップに加わった。FAシリーズは高品位な音源を搭載し、レコーディングシステムのほかサンプラーやエフェクトなどを搭載しており、本格的な音楽制作を1台で行なえるワークステーション型のシンセサイザーとなっている。

■電子ピアノ「HP-601」

エントリーモデルながら優れた演奏性と耐久性を両立した木と樹脂のハイブリッド鍵盤を採用し、繊細なタッチまで実現した家庭向け電子ピアノ。BluetoothオーディオとMIDIに対応している。

■デジタルピアノ「FPー60」

ライブやリビングルームなどさまざまな場面に対応したスリムデザインの電子ピアノ。グランドピアノの発音の仕組みを細部まで再現した最新音源と優れた弾き心地の鍵盤を搭載したモデル。

会場では1時間弱にわたり新製品の解説が行われたほか、いくつかの機種では演奏デモも行った。会場の周囲には今回発表された新製品のタッチアンドトライのコーナーが設けられており、製品個別の詳細な質問も受けられるようになっており、人垣ができるほど盛況だった。

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PRONEWS編集部による新製品レビューやイベントレポートを中心にお届けします。