[OnGoing Re:View]Vol.34 さらなる映像美へ。進化した4Kハンディカムフラッグシップモデル「Sony FDR-AX700」
2017-11-10 掲載

1.0型積層型CMOSイメージセンサー搭載「FDR-AX700」
2014年3月に登場した4KハンディカムSony FDR-AX100は、民生用のハンディタイプとしては、初の4Kカムコーダーとして登場したカメラである。この1.0型Exmor R CMOSセンサーと光学12倍ZEISSズームレンズの組み合わせはその後、業務用機の派生モデルを次々と生み、Sonyにおけるハイエンドの民生用カムコーダーと、ローエンドの業務用カムコーダーの礎となった。
それから3年と6ヶ月。そのFDR-AX100の後継機「FDR-AX700」が発表され、しかも兄弟モデルとして、XDCAM「PXW-Z90」、NXCAM「HXR-NX80」の2機種を含めた3機種同時の登場となった。本来業務用機を扱うPRONEWSではあるが、一足先に発売されたFDR-AX700を通じて、この新しい3兄弟の性能を探っていこう。
概要

今回新登場となる3機種はいずれも、1.0型積層型CMOSイメージセンサーExmor RSと最大広角29mmのZEISSバリオ・ゾナーT*光学12倍ズームレンズ、画像処理エンジンBIONZ Xといった、前作FDR-AX100譲りのキーデバイスをアップデートして組み合わせている。さらに高い追従性を実現するファストハイブリッドAFシステムを搭載。
また、広いダイナミックレンジの映像を記録できる4K HDR記録HLG方式に対応。遅回しや早回し撮影を可能にする「スロー&クイックモーション」や、最大960fps(40倍)の「スーパースローモーション」などの撮影機能を搭載した。
外観から俯瞰する

前作FDR-AX100の兄弟モデルHDR-CX900と並べてみるとAX700はそっくりであり、特に左側面はアサインボタンが増えたことと、その機能のアサイン以外に違いはないが、SDカードスロットがダブル化されたことが目を引く。しかし右側面のグリップに目をやると両機種の違いに気が付く。グリップ部がふっくらと大型化され手持ちでのホールド感が良くなった。
それに伴ってズームのシーソーレバーはサイズが大きくなり、また押し込み量も深くなったことから、操作性がずいぶん向上した。グリップ後端部にはジョイスティックが付き、機器のメニュー操作はこれで行うようになった。またHDMI端子もフルサイズとなり、バッテリースロット脇という邪魔にならない場所に移動したのも歓迎したい。

ちなみにこれらの変更は、業務用機であるPXW-X70などで変更されたことととほぼ同じであり、ボディの基本設計はPXW-X70などから流用し、上部ハンドルのマウント部を省いたという設計がAX700となったようだ。PXW-X70やAX100などにはない変更点として、従来のマルチ端子経由ではないΦ2.5mmリモート端子が復活した。リモートコントローラーが使いやすくなり、ライブスイッチャー「MCX-500」とのケーブル接続も簡単に行える。この大型化したグリップと大型のアイカップが装備されたことによって総重量はAX100と比べて100g前後増加している。
内部をメニューから見る

では内部を見ていこう。まず見てもらいたいのは本機のメニューである。このメニューの展開の仕方は、業務用機であるNXCAMやXDCAMと同じものである。前作のAX100と、業務用機として作られたPXW-X70では異なるメニューが用意されており、民生用、業務用として機能の区別がされていたが、本機AX700では業務用機に匹敵するメニューと機能が用意されている。そのメニューに用意された項目にはTCやUBの設定といった業務用機には必須の機能に加えて、高度な色調整が可能なピクチャープロファイルなどの項目がある。

ピクチャープロファイルが用意されて色調整の機能を持ったことは大きい。複数カメラ運用時に、安価な本機を押さえの1台としてマルチカメラシステムに追加しても、色合わせの面で困ることは、まずないと思う。このようにAX700は民生機であっても業務用ユーザーの要望に十分応える能力を持つカムコーダーであり、民生機の皮を被った業務用機であると言えよう。

実際、直上の上位機種となるNXCAM「HXR-NX80」との差異は、ほぼXLR音声入力付きハンドルの有無といったものだけであり、写真のように別売りのXLR入力アダプターXLR-K2Mを追加すると、ハンドルの有無を別にした機能的な差異は、ほぼないといった具合である。
基本録画性能

XAVC S 4K記録方式では、最大100Mbpsのビットレートで、3840×2160のQFHD解像度の30p記録が可能。残念ながら60pには非対応だ。それに加えてHLG(Hybrid Log-Gamma)方式による高ダイナミックレンジの4K HDR(High Dynamic Range)撮影に対応したことがトピックである。
XAVC S HD記録方式では、同じく最大100Mbpsのビットレートで、1920×1080のFHD解像度での120p記録が可能だ。それに加えて最高960fpsのスーパースローモーション撮影、フルHD記録での最高120fpsから1fpsまでのスロー&クイックモーション撮影に対応した(30fpsから1fpsまでのクイックモーション撮影はXAVC S 4K記録時にも対応している)。そのほかにもDVD/BDレコーダーなどと相性の良いAVCHD録画方式も残されている。
センサー・レンズなどの光学性能は?

AX700に搭載されるレンズは、ZEISSバリオ・ゾナーT*光学12倍ズームレンズと前作のAX100譲りのものだ。全画素超解像ズーム機能を用いて4K撮影時18倍、HD撮影時24倍のズーム比を実現する。撮像素子には、撮像エリアの約84%という広範囲をカバーする、高密度な273点像面位相差AFセンサーを配置したという新しい1.0型積層型Exmor RS CMOSセンサーが搭載された。
この2つの組み合わせと画像処理エンジンBIONZ Xなどの組み合わせによって高い追従性を実現する高性能なファストハイブリッドAFシステムを搭載したというのが本機のトピックスの一つである。このAFシステムは、メニューから動作を細かく設定が可能で、AF追従範囲[奥行]を1[狭い]から、5[広い]まで5段階に、またAF乗り移り感度は、1[粘る]から、5[敏感]と設定でき、組み合わせることで様々な撮影対象に対応可能だ。
実際に使用した感触では、AF乗り移り感度1[粘る]は、最初に捉えた被写体が画面外に出ないと、AFが移らないほど粘る。群衆の中の一人を追い続けるような撮影ができそうだ。対してピン送り的な撮影を行った場合には、もっとも敏感な、5[敏感]くらいの速度がちょうどいいかなと筆者は感じた。
加えてタッチ操作により選んだ被写体を追尾する「ロックオンAF」や「スポットフォーカス」そしてお馴染み「顔検出AF」なども搭載されている。このAFの動作は様々な設定が可能になったというのがキモだ。撮影者の好みと被写体にあった設定を見つけることがまず第一歩かと思う。

レンズ回りで少し気になったのは、ズームの駆動速度。AX100ではズームの速度が遅いという声が聞かれたが、本機のズーム速度も依然として速いとは言えないように思う。クイックなズームワークが必要な時に本機はマッチしないかもしれないので、事前に確認して欲しい。
4K画質の進化
では進化した画質について紹介しよう。本機ではHDR記録が可能となったことが大きなトピックスである。このため対応したテレビでの評価視聴が必須と考えたことから、Sonyより4K HDRテレビもお借りして本機の評価を行うことにした。以下はSony BRAVIA KJ-65X9500Eに本機AX700を組み合わせた評価である。4KというとフルHDの4倍におよぶ高解像度やフレームレート、量子化ビット深度、色域の改善を主にアピールしてきたが、下記の図表をみてもらいたい。

映像の画質を決める要素として残った、輝度のダイナミックレンジは、カメラがLog記録など広いダイナミックレンジを保持できるようになったのにも関わらず、CRTを基準とした映像製作という背景から放置されてきた。しかし近年、家庭用テレビでも高輝度・高コントラスト化が進み、今まで再現できなかった明るい部分の階調を、肉眼に近い状態で表現することが可能になるHDRという表現方法が注目を浴びることになった。
撮影技術者なら誰でもよく感じるのが、日中の屋外と日陰部分など明暗差の大きい被写体を撮影するときの苦労だと思う。暗部に合わせれば明部が白飛びしてしまうし、明部に合わせれば暗部が黒つぶれしてしまう。こういった被写体の場合、どちらかに合わせる必要性が常にあった。
これらを救う一つの方法となったのが、大判撮像素子カメラが搭載するようになったLogガンマによる記録方式だ。撮像素子のラチチュードを十分発揮できるように設定されたLogガンマで撮影を行い、ポストプロダクションによる後処理で被写体のダイナミックレンジを適切に押し込むという手法だ。このようにLogガンマによるHDRは後処理が前提のシステムであり、ライブコンテンツなどには適用が難しいところがあった。
そこでNHKとBBCは共同で、従来のテレビ方式(SDR=Standard Dynamic Range)と高い互換性を保ちながら、広いダイナミックレンジを持つ、HLG(Hybrid Log-Gamma)方式を開発し、国際規格Recommendation ITU-R BT.2100として定義された。このHybrid Log-Gamma記録方式は言うなれば、ポストプロダクションの処理法が予め決められたLog記録方式であり、ポスプロ要らずのHDR方式なのである。
2つのHDR
現在家庭用のテレビなどに実装されるHDR方式は、大まかに言って2つに分けられるようになった。UltraHD BDなどコンテンツ系に使われる「HDR10(PQ)」およびDolby Vision。そして主に放送用や今回のAX700などに実装された「HLG(Hybrid Log-Gamma)」方式だ。
HDR10やDolby Visionなどは、映像製作的にはLog撮影後にグレーディングなどのポスト処理という流れであり、映像の明るさを絶対値で指定することなどから、映像製作者の絵作りを正確に伝えるための方式といった性格が強い。これに対してHLGは、放送などライブコンテンツ向けに規程されており、受像器のもっとも明るいピーク輝度を上限として、全体の輝度値は相対的に決定している。
また暗部から中間部(0~0.5)までは従来のSDRのガンマカーブと同じガンマを使用し最明部の(0.5~1.0)のガンマを変えることで明部の階調性能を向上させている。このため同じ映像をSDR受像器に入力した場合でも若干暗めの描写となる程度の、互換性を保てるようになっている。
このように受像器側での処理方法が規程されたことから、カメラとしてはHLGで記録しておけば後処理の必要もなく、対応型受像器ならHDRの恩恵を受けられ、対応でない受像器であってもほぼ問題の無い描写をしてくれるという、インスタントなHDRであると言えるのがHLGのポイントだ。
ピクチャープロファイル
ガンマ | カラーモード | 設定の概要 | |
PP1 | スタンダード | スタンダード | [STANDARD]ガンマを用いた設定例 |
PP2 | STILL | STILL | [STILL]ガンマを用いた一眼動画カメラのような色合いの設定例 |
PP3 | ITU709 | PRO | [ITU709]ガンマを用いた自然な色合いの設定例 |
PP4 | ITU709 | ITU709マトリクス | [ITU709]規格に忠実な色合いの設定例 |
PP5 | CINE1 | CINEMA | 一般的な映画用カラーネガフィルムによる撮影画のような設例 |
PP6 | CINE2 | CINEMA | 一般的な映画用カラープリントフィルムで上映したような設例 |
PP7 | S-Log2 | S-Gamut/3200K | [S-Log2]ガンマと[S-Gamut]カラーモードで撮影するときの推奨設定 従来のビデオガンマとの親和性が高い |
PP8 | S-Log3 | S-Gamut3.CINE/3200K | [S-Log3]ガンマと[S-Gamut3.CINE]カラーモードで撮影するときの推奨設定。Cineonログと親和性が高い |
PP9 | S-Log3 | S-Gamut3/3200K | [S-Log3]ガンマと[S-Gamut3]カラーモードで撮影するときの推奨設定 |
PP10 | HLG2 | BT.2020 | HLG(ハイブリッド・ログ・ガンマ)によるHDR撮影を行うときの設定例 |
AX700での4K HDR記録に重要な役割を担うのが「ピクチャープロファイル」だ。本機のピクチャープロファイルは10個のプリセットを持つ。その10個のプロファイルを紹介してみよう。
前作AX100では、そもそもピクチャープロファイルというものは搭載されておらず、映像のトーン調整には限りがあった。AX700に搭載されたピクチャープロファイルは、業務用機から移植されたSTILL、ITU709系、CINEMA系に加えて、SonyのLogカーブ・色域であるS-Log2/S-Gamut、その最新版となるS-Log3/S-Gamut3.Cineも搭載。それに加えてHLG/BT.2020が搭載された。ピクチャープロファイルの7番から9番にプリセットされた、S-Log2/S-Gamut・S-Log3/S-Gamut3はポストプロダクション処理で幅広いダイナミックレンジを実現するLogカーブと色域で、HDR10(PQ)など後処理のHDRに対応する十分なレンジを持つ。

加えて今回搭載されたのが、ピクチャープロファイルの10番にプリセットされたHLG/BT.2020が、本機の最大のトピックと言えるハイブリッド・ログ・ガンマだ。撮影時にこのピクチャープロファイルをセットし、撮影するだけで、HLGによるHDR撮影は完了する。しかも本機の液晶モニターはLog撮影によるオリジナル映像を、後処理後の映像のように簡易確認できるビューアシスト機能を持つ。撮影時には自動的にセットされるので、これで撮影後のイメージを撮影時に掴むことが可能だ。
実写データを鑑賞する

さてHDR撮影された映像は、対応する受像器で見て初めて完結する。AX700でHLG記録された映像を4K HDR BRAVIAで視聴してみよう。通常4K映像の視聴はHDMI接続で良いが、AX700でのHDR視聴ではUSB接続が推奨されている。だが今回はHDMIで伝送し、BRAVIAの映像メニューからマニュアルでHDRモードを切り替えることで視聴した。
同じHLG記録の映像でHDRモードを「切」と「HLG」で行き来してみると良くわかるのだが、HDRモード時に対応受像器は輝度をパワーアップする。お借りしたBRAVIAでは「明るさ」が最大値にセットされ、そもそもの白ピーク値は通常視聴時の倍くらい明るいイメージとなる。この輝度値は、HDRモードが「HDR10」モード時にはコンテンツの持つ絶対値に従って描写され、映像製作者の意図に忠実な描写を行う。BRAVIAでは最も明るい描写だ。
これに対して「HLG」モードでは、受像器の最大輝度に従った相対値で描画されるため、受像器がそもそも持つ最大輝度に応じて描画は変わることになる。BRAVIAではHDR10モードほどは明るくはないが「切」と比べるとかなり明るい。このようにまず最大輝度を上げることでダイナミックレンジの嵩上げを行い、その輝度を上手に利用して明部階調の緻密化を行う。これによって映像のダイナミック感の底上げをするというのがHDRの正体だ。
こうした4K HDR BRAVIAで、AX700によってHLG記録された映像をHDRモードを入り切りして見比べてみると、さすがHDRモードは素晴らしい。白の輝度が高くパワー感溢れる映像ながら、最明部の白から続く明部に階調がちゃんとある。白に粘りがあり破綻しないのだ。
テストではAX700の4K SDRと思われるピクチャープロファイル1番の「スタンダード」や、ピクチャープロファイル3番「ITU-709」(HDでのガンマ・色域)などで撮影した映像を、受像器のHDRモードを「切」とした映像とも比較視聴したのだが、AX700のHLG+BRAVIAのHLGモードは、受像器の高い白ピークなどとも相まって単に明部を押しつぶしたのではない、白から黒までまさにハイダイナミックレンジな映像で筆者を魅了してくれた。
この映像がAX700のピクチャープロファイルをHLGにセットして、対応受像器のHDRモードで見た、というインスタントなことで実現しているのが素晴らしい。この組み合わせは家庭用ビデオの新時代であることを実感させてくれた。
実は今回のテスト視聴で実感させられたのは、この輝度のハイダイナミックレンジだけではない。つくづく美しいと思わされたのは4K HDRの豊かな色域である。このHLG記録という方式は、4K色域のBT.2020とセットとなっているのがポイントで、HDの色域であるITU-709よりかなりの広帯域を誇る。具体的には緑方向がかなり広くなり、また赤方向にも色域が広げられている。このため木々などの緑や花々の赤などの色彩が非常に美しく、豊かな色に溢れている。「ITU-709」(HDでのガンマ・色域)などと比べてしまうと一目瞭然で、HDの色域ってこんなに色が出ていなかったんだということを実感させられる。

またAX700のHLGでは、HLG(無印)/HLG1~HLG3と4種類のガンマ設定が選択可能で、それぞれHDRの効果が異なる。ITU-R BT.2100相当のHLG(無印)から、ダイナミックレンジとノイズのバランスを考慮した設定としてHLG1~HLG3が用意されており、SDR機との互換性は最も良いが撮影できるダイナミックレンジが狭めで、出力ビデオレベルの最大値も87%とやや暗いHLG1から、出力ビデオレベルの最大値95%のHLG2、最も広いダイナミックレンジで記録でき、出力ビデオレベルの最大値も100%と、パワー感が最大のHLG3まで多彩なプリセットが用意されている。HLGによるHDRの特性として出力ビデオレベルが上がると、相対的に暗部が持ち上がりノイズが見えてくるような場合もあるので、被写体に応じて適切な設定を選びたいものだ。AX700のデフォルト設定ではHLG2となっている。
このように、AX700はライバル機と比べると分かりやすい4K60pに対応しなかった代わりに、HDRによってパワー感溢れる輝度のダイナミックレンジと豊かな色域で、これまでになかった豊穣な映像の品位を手に入れたといえる。これは4K進化の一つの方向性として正しい進化だ。AX700が獲得したこの豊かさに拍手を贈りたい。

AX700/HLG2+BRAVIA HDRモード:切

AX700/HLG+BRAVIA HDRモード:HLG

AX700/HLG1+BRAVIA HDRモード:HLG

AX700/HLG2+BRAVIA HDRモード:HLG

AX700/HLG3+BRAVIA HDRモード::HLG

AX700/ITU.709+BRAVIA HDRモード:切
4K HDR映像製作に向けて

このようにAX700では、対応型受像器と組み合わせることで、豊かな4K HDRが簡単に手に入れられることがわかった。これで十分とも言えるのだが、映像製作者としてはどう考えれば良いのだろうか?
まず一つは4K HDRライブコンテンツ制作の可能性だ。4Kでのライブコンテンツ制作では単に解像度の高さ以外に訴えかけるメリットはなかったのだが、このハイダイナミックレンジと豊かな色域は、見る人を魅了する。入り口であるカメラと、出口であるディスプレイの双方が対応していれば、相応の効果がインスタントに発揮できるのは大きい。
また4Kまで必要としないパッケージコンテンツ制作系はどうだろうか?既に現在でも編集用のノンリニアソフトでは続々とHDRへの対応が進んでいるが、取り扱いに熟練が要するLog撮影に、一つスタンダードが加わったと考えると分かりやすい。出口が決まっていることから、ノンリニアソフトでもプリセット一つである程度の対応が可能になるので、作り込んでいく上での基準点が分かりやすく、また応用を利かせやすい。
ピクチャープロファイル一つで撮影現場でのカメラ設定はOKで、ビューアシストによって撮影時の確認も容易いので、取りあえずこれで収録しておけばある程度のダイナミックレンジを確保出来るのも嬉しいだろう。舞台撮影などでもスポットの当たった部分が飛びやすいことなどが救われる可能性がある。 このようにFDR-AX700などによる4K HDRは、単に解像度の高さに留まらず、コンテンツ制作における一つのスタンダードとなり得る力を秘めていると思う。真価を確認するには対応受像器を用意しなくてはならないのがネックだが、現在発売されている4K受像器は続々と対応が進んでいるので、この4K HDRが当たり前になる日も近いだろう。
4Kとしての真価が発揮されるHDR映像は、視聴者を魅了する。ぜひとも早く体験して欲しい。
WRITER PROFILE
井上晃
映像制作会社「有限会社マキシメデイア」代表、制作プロデューサー&キャメラマン。Facebookグループ「ATEM Tech Labo」、「Grass Valley EDIUS ユーザーグループ」を主催して、ATEMやEDIUSの布教に、日々勤しんでおるでよ。
[ Writer :
井上晃
]
[ DATE : 2017-11-10 ]
[ TAG : SONY OnGoing Re:View AX700]
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井上晃
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石多未知行 クリエイティブディレクター、映像クリエイター、空間演出家。PMAJ代表、東京芸大 非常勤講師。空間演出やプロジェクションマッピングを中心に様々なメディアを使った企画演出を手掛ける。 |
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奥本宏幸 大阪を拠点にしているフリーランスの映像ディレクター。演出・編集・モーショングラフィックをバランス良くこなす。フィンランドサウナが好きです。のびしろラボ管理人。 |
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小林譲 イギリスにて大学卒業後、現地の会社にて映像編集を学ぶ。2006年に帰国。大手ポスプロIMAGICAにてテレビ番組を中心に日本のキャリアをスタート。後にドラマ、音楽系、CM系へと活躍の幅を広げる。2017年に独立。オフラインからアートデザインまで、作品の全体パッケージを監修することも多い。 |
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染瀬直人 写真家、映像作家、360°VRコンテンツ・クリエイター。日本大学芸術学部写真学科卒。勉強会「VR未来塾」を主宰し、360°VR動画のセミナー、ワークショップなどを開催。 |
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高野光太郎 Cosaelu株式会社 代表取締役 / 映像ディレクター ミュージックビデオ、番組オープニングタイトル、CM、劇場映画、全てをデスクトップで制作。 |
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駿河由知 中央区築地出身。マルチカメラ収録&配信ユニット「LiveNinja」メンバー。2006年より株式会社スタートライン設立。外務省、国連機関、国際NGOなどの国際会議やシンポジウム、企業イベントなどのライブ配信を担当 |
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山本久之 映像エンジニア。フリーランスで映像設備のシステムインテグレーションと、ノンリニア編集に携わる。 |
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ベン マツナガ 未来シネマ/ディレクター。ハリウッドでの大型映像制作、短編時代劇の自主映画制作を経て、現在は、映像を通じて人と人をつなぐことをテーマに様々な映像制作に取り組んでいる |
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河尻亨一 1974年大阪生まれ。雑誌「広告批評」を経て現在は実験型の編集レーベル「銀河ライター」を主宰、企業コンテンツの企画制作なども行う。デザイナー石岡瑛子の伝記「TIMELESS」(http://eiko-timeless.com/)をウェブ連載中。 |
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茂出木謙太郎 株式会社キッズプレート代表。「楽しいInternetコンテンツ」をテーマに活動。現在VRの可能性をまさぐり中。CG-ARTS協会会員 |
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稲田出 映像専門雑誌編集者を経てPRONEWSに寄稿中。スチルカメラから動画までカメラと名のつくものであればなんでも乗りこなす。 |
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小池拓 (有)PST 代表取締役。1994年より Avid、Autodesk、Apple、Adobeなどの映像系ソフトのデモ、トレーニンングを行っている。 |
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黒田伴比古 報道・ドキュメンタリーエディターでありながら、放送機器に造詣が深く、放送局のシステム構築などにも携わるマルチプレーヤー。 |
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ヒラタモトヨシ ファッションとテクノロジーを繋ぎイノヴェーションを生み出す事をライフワークとし、WEB/ライブメディア/高精細映像表現を追求。 |
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猪蔵 いつも腹ペコ。世の中の面白いことを常に探っている在野の雑誌編集者。 |
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須藤高宏 東京・国分寺市に於いて録音スタジオ「マイクロサウンド」を運営し各種録音編集に携わる傍ら最近では各種イベント配信音声を担当。 |
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林永子 2005年よりサロンイベント「スナック永子」を開催。通称「永子ママ」 |
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ViewingLab 未来の映像体験を考える有志の研究会。映画配給会社、映像作家、TV局員と会員は多岐に渡る |
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石川幸宏 映像専門雑誌DVJ編集長を経て、リアルイベントを中心とした「DVJ BUZZ TV」編成局長として活躍中。 |
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山下香欧 米国ベンチャー企業のコンサルタントやフリーランスライターとして、業界出版雑誌に市場動向やイベントのレポートを投稿。 |
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岡田智博 クリエイティブクラスター代表。メディアアートと先端デザインを用いたコンテンツ開発を手がけるスーパー裏方。 |
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萩原正喜 米国コロラド州から、米国のデジタル放送事情からコロラドの日常まで多岐に渡るコラムをお届けします。 |
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坪井昭久 映像ディレクター。代表作はDNP(大日本印刷)コンセプト映像、よしもとディレクターズ100など。3D映像のノンリニア編集講師などを勤める。 |
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しらいあきひこ カメラメーカー、ゲーム開発などの経験を持つ工学博士が最先端のVR技術を紹介。 |
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秋山謙一 映像業界紙記者、CG雑誌デスクを経て、2001年からフリージャーナリストとして活動中。 |
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今間俊博 アナログ時代の事例を通じ、教育関連の最新動向を探る。 |
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金田浩樹 映画・テレビの映像制作を中心に、USTやニコ生等、ライブメディア各分野を横断して活動中。ジャンルや固定概念にとらわれない構成力と発想に定評あり。 |
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伊藤裕美 オフィスH(あっしゅ)代表。下北沢トリウッドでアニメーション特集上映を毎年主催している。 |
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UserReport 業界で話題の商品を実際に使ってみてどう感じたかを、各方面の様々な方々にレポートしていただきました。 |
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System5 Labs SYSTEM5スタッフが販売会社ならではの視点で執筆します。 |
