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[デジタルシネマの歩き方]Vol.12 大きいことはいいことだ

2017-11-28 掲載

txt:林和哉 構成:編集部

巨大なお相撲さん「SUMO」

ATOMOS社から巨大なお相撲さんが発売された。日本贔屓の社長さんのネーミングにはいつも楽しませてもらっているが、まさかSUMOだとは思わなかった。個人的には、そのうち「KAROU(家老)」と来て欲しいと願っている。

SUMOの基本スペック

  • 19インチ1920×1080の10ビットLCDパネル(1200nit)
    Log/PQ/HLGのガンマカーブを10 STOP以上のHDRで表示可能
  • 12ビット4K/30pまでのCinemaDNG記録
  • 10ビット4K/60pまでのApple ProRes/Avid DNxHR記録
  • 12ビットRAW 4K/60p、2K/240p記録
  • ※現時点での対応カメラ:ソニーPXW-FS5/FS7/FS700、キヤノンEOS C300 Mark II/C500、パナソニックVARICAM LTのSDI出力
  • VESAマウント100×100つき
  • XLRバランス音声入力48Vファンタム電源つき
  • スピーカー内臓
  • ライブスイッチング機能

4つのSDI端子に入力したHD信号を、スイッチングやミキシングしたり、4つのHD映像を並行して記録することが可能(原稿執筆時は「今後のアップデートで実装」となっている)。こうして見てみると、すでに発売されているSHOGUN INFERNOの大きい版と揶揄されそうだが、大きいがゆえにいろいろと違うところがある。

SUMOならではの特色

■電源

大きいがゆえにバッテリータイプが変わり、みんなの必需品でたくさんもっているであろう定番のソニーLバッテリーが使えない。その代わり4Pinの電源コネクタが2つ、DCとしての4Pinが1つと、付属のアダプターにVマウントアダプターが2つ付く仕様になっていて、それを4Pin接続すれば、Vマウントバッテリーを2つ付けてリレー交換ができる。

■ライブスイッチング機能

筆者は撮影の時などに位置合わせや確認で、前の撮影カットをスイッチングで出すことが多いため、この機能が目当ての1つだ。発売日当日に届いたSUMOで、メニューはどこだーと探し回ったのだが、現段階では未実装。後日のアップデートで対応とのことで、楽しみに待つことになった。機能としては、4系統全てをパラレルで記録でき、プログラムアウトも記録できるという、これ1台でライブ配信と後編集にも対応する素材の確保ができそう!という夢の機能だ。

■業界標準級のキャリブレーション機能

SUMOのキャリブレーションは、X-Rite社のi1DisplayProを使用して、正確なHDRとRec709のモニタリングを保証できる、とある。

使用感

発売後すぐに、地方でのHDR撮影案件に使用する機会を得た。納期がギリギリでヒヤヒヤしたが、そこはシステムファイブの方が頑張って撮影に間に合わせてくれた!DSLRのカメラにNINJA INFERNO、そばでDirector&DITモニターとしてSUMOを用意。画面の大きさは、大きいほど良いに決まっている。その大きさへのマイナス要因は、それが便利に使えるかどうかという部分だと思う。

その点SUMOは19インチのサイズでありながら、並みのSDIモニターと比べてめちゃくちゃ軽い。ミニセンチュリーにつけて、ヒョイっと持ち上げて撮影ポイントの移動なんかはお手のもの。カメラ側にINFERNOをつけて、管理側はSUMOでチェック。軽さは相当なアドバンテージ。

一度は経験したことがあると思うが、大人数で小さい画面を見ていると、実に顔が近い!ちょっとした事故や、恋が芽生えるのではないかという顔の近さで、仕事にならないくらい落ち着かない。だがSUMOは顔を付き合わせて細かいところまで見ていても、モニターが大きいから人との距離が遠く、振り向いた時に勢い余って頭がぶつかったりしない。

解像度はHDまでだが、等倍、2倍まで拡大機能があり、画面の大きさも手伝ってフォーカスチェックやバレものの発見に重宝する。現場では、カメラマンの切るフレーミングで最大限のHDR効果を出すために、波形を確認して絞りの調整を行った。

SUMOにはLogモード、HDRモード、CUSTOMモードがあり、CUSTOM以外のモードには各メーカーの主要なLogカーブのプリセットが仕込まれている(CUSTOMは自作のLUTを入れるモード)。メーカー名、Log名、ターゲットガンマを設定することで、正しいモニタリングができるという寸法だ。

Logモードは変換後のガンマカーブにRec.709 、BT.2020があるので、一般的なコンテンツ制作のモニタリングが容易になる。同じ要領で、HDRモードでは各カメラのLogカーブに合わせたHDR表示が可能で、様々な組み合わせがセットされている。

モニターは最大1200nitまであるので、HDRコンテンツ制作にもってこいである。ただし、長時間つけているとモニターが熱くなるので火傷に注意である。カメラ側からHLGを出した場合は「Rec.2100」を選び、インプットガンマの設定を「HLG」、出力するカラースペースを「BT.2020」にする。

RED Digital Cinema Cameraではメーカー名を「RED」インプットガンマの設定をREDWideGammutRGB。かなりの頻度で使うのがS-Log。これは「SONY」と選んでガンマを設定する。SDRに対して何%の拡張があるのかも一目瞭然だ。

艶のあるところを狙うと、HDRはとてもドキッとするリアルさを見せてくれる。発色もとても良く、これを紙面で見せることが困難なところにHDRモニターの存在意義もあると思う。

別の使い方として

高品質なHDRモニターとして、PlayStation 4のHDRコンテンツのモニタリングにも使用可能だ。PCモニターとして、ノンリニア編集アプリケーションのカラースペースガンマの調整されたプレビューウィンドウの表示器や、外部出力なしで正確な映像を見ながらの作業にも使用できる。

SUMOは、こちらの要求を何でも受け止めてくれる横綱相撲を魅せる機材だと感じる。1プロダクションに1台。力士を迎えるのは楽しい。


WRITER PROFILE

林和哉 映像プロデューサー/ディレクター。入口から出口まで全てのポジションを守備範囲にしている。最新技術が好物で、各種セミナー活動も豊富。


[ Writer : 林和哉 ]
[ DATE : 2017-11-28 ]
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